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私はレオナルドを抱えたまま、必死に廊下を走った。
やっと扉に辿り着いた。息を切らせてノブに手を掛ける。
後ろを振り返ると、ザガリーが押さえていた男が追いかけてくる姿が見えた。ザガリーが突破されてしまったようだ。私は急いで外に飛び出した。
想像通り、この扉はホテルの裏庭に出た。
ステップを駆け下り、門扉まで走る。門扉を乱暴に開け、通りに出るが、ここは裏通り。人通りはほとんどない。
そんな人通りのない道に馬車が一台停まっていた。その馬車には粗末なマントで体を覆った男が御者席に座っており、私たちを見ると驚いたように目を見開いた。
私は咄嗟に馬車の向きとは反対方向に走り出した。
きっとこの馬車は私たちを拉致するために待機していたものだろう。案の定、御者は慌てて馬車の向きを変え始めた。私たちを追うつもりだ。
「くそー! 待てぇー!」
背後から声がする。黒ずくめの男もホテルから出てきたようだ。まったくゆとりのない私は、振り返ることもせずにひたすら走った。
大通りまで逃げ切れば、人がたくさんいるはず! 人集りに紛れて辻馬車を拾い、家まで逃げよう! いいや、そんな悠長なことを言っている場合か? 大声を上げて通りすがりの人に助けてもらおう!
「待てー! 女ー!」
怒鳴る声が段々大きくなる。どんどん男が近づいている証拠。
「逃がすかーっ!」
男の声がすぐ背後に聞こえる!
まずい! もう追い付かれてしまう!! 大通りはまだ先なのに!!
その思った時だ。腕の中のレオナルドが背後に向かって身を乗り出すと、飲み干した薬の空き瓶を男に向かって投げつけた。
ゴン!!
見事、男の眉間にヒット。男は額を押さえて蹲った。
その隙に私は近くの脇道に逃げ込んだ。
逃げ込んだ脇道で、私は壁に隠れるように背中から寄り掛り、息を整えた。
通りを覗くと、男はまだ頭を押さえ蹲っており、そこに仲間の馬車が追い付いた。御者が蹲った男に声を掛けている。
私は首を引っ込めて、脇道の奥を見た。そして、青くなった。
なぜなら、てっきり細い道だと思っていたのに、行き止まりだったのだ。
どうするか。
私は腕の中のレオナルドを見た。
「え・・・? 殿下?」
レオナルドは真っ青な顔をして苦しそうに息をしていた。額には冷や汗を搔いている。
「殿下! 大丈夫ですか?!」
「だ・・・だい・・じょうぶ・・・だ」
早速、薬の影響か? 返事をするのも辛そうだ。必死に歯を喰いしばっている。
どうしよう・・・。
私は周りを見渡した。
そこに大きなゴミ箱が私の目に入った。私は急いでそのゴミ箱の蓋を開けた。
「殿下。ここに隠れていてください。臭いけど我慢なさって」
私はゴミ溜めの中にレオナルドを入れた。
「お・・・い、な、なに・・・して・・・?」
「我慢なさって! きっと、もうすぐ元に戻れるはずですわ。元に戻る前に捕まるわけにはいきません。また、何かを飲まされてしまうかもしれないもの」
「ちょ・・・」
私は反論しかけているレオナルドを無視して、彼の上にゴミ箱の傍に置いてあった麻の布を被せ、ゴミ箱の蓋を閉めた。
そして、急いで羽織っていたケープを脱ぐと、横に転がっていたバケツを拾い、それをケープで覆った。
バケツを抱きしめ、立ち上がると、そっと通りを覗く。
男たちはキョロキョロと辺りを見回していた。
私は一度身を引き、壁に寄り掛ると、大きく深呼吸をして息を整えた。
いざ!!
私は通りに飛び出した。
☆彡
バケツを胸に抱えて私は大通りに向かって走り出した。
「いたぞ!」
男たちはすぐに私に気が付き追って来る。
私は大して足が速いわけでもない。既に近くにいる男たちから、大通りまで逃げ切れる可能性はほとんどない。
でも、僅かな可能性に賭けて必死に走った。
とにかく、アランが来るまで時間を稼げればいい。
ホテルであれだけ大立ち回りをしたのだ。あの騒ぎはきっと彼の目に留まるはず。
一早くそれに気が付き、裏庭に来てもらえれば!!
私が拉致されても、他の奴等が捕まれば!
レオナルドさえ無事に保護されれば!
そう願いながら必死に走る。
大通りが近づいてきた。一瞬、私の中に希望の光が灯る。
が―――、
次の瞬間、私は背後から伸びた手に肩を掴まれた。
やっと扉に辿り着いた。息を切らせてノブに手を掛ける。
後ろを振り返ると、ザガリーが押さえていた男が追いかけてくる姿が見えた。ザガリーが突破されてしまったようだ。私は急いで外に飛び出した。
想像通り、この扉はホテルの裏庭に出た。
ステップを駆け下り、門扉まで走る。門扉を乱暴に開け、通りに出るが、ここは裏通り。人通りはほとんどない。
そんな人通りのない道に馬車が一台停まっていた。その馬車には粗末なマントで体を覆った男が御者席に座っており、私たちを見ると驚いたように目を見開いた。
私は咄嗟に馬車の向きとは反対方向に走り出した。
きっとこの馬車は私たちを拉致するために待機していたものだろう。案の定、御者は慌てて馬車の向きを変え始めた。私たちを追うつもりだ。
「くそー! 待てぇー!」
背後から声がする。黒ずくめの男もホテルから出てきたようだ。まったくゆとりのない私は、振り返ることもせずにひたすら走った。
大通りまで逃げ切れば、人がたくさんいるはず! 人集りに紛れて辻馬車を拾い、家まで逃げよう! いいや、そんな悠長なことを言っている場合か? 大声を上げて通りすがりの人に助けてもらおう!
「待てー! 女ー!」
怒鳴る声が段々大きくなる。どんどん男が近づいている証拠。
「逃がすかーっ!」
男の声がすぐ背後に聞こえる!
まずい! もう追い付かれてしまう!! 大通りはまだ先なのに!!
その思った時だ。腕の中のレオナルドが背後に向かって身を乗り出すと、飲み干した薬の空き瓶を男に向かって投げつけた。
ゴン!!
見事、男の眉間にヒット。男は額を押さえて蹲った。
その隙に私は近くの脇道に逃げ込んだ。
逃げ込んだ脇道で、私は壁に隠れるように背中から寄り掛り、息を整えた。
通りを覗くと、男はまだ頭を押さえ蹲っており、そこに仲間の馬車が追い付いた。御者が蹲った男に声を掛けている。
私は首を引っ込めて、脇道の奥を見た。そして、青くなった。
なぜなら、てっきり細い道だと思っていたのに、行き止まりだったのだ。
どうするか。
私は腕の中のレオナルドを見た。
「え・・・? 殿下?」
レオナルドは真っ青な顔をして苦しそうに息をしていた。額には冷や汗を搔いている。
「殿下! 大丈夫ですか?!」
「だ・・・だい・・じょうぶ・・・だ」
早速、薬の影響か? 返事をするのも辛そうだ。必死に歯を喰いしばっている。
どうしよう・・・。
私は周りを見渡した。
そこに大きなゴミ箱が私の目に入った。私は急いでそのゴミ箱の蓋を開けた。
「殿下。ここに隠れていてください。臭いけど我慢なさって」
私はゴミ溜めの中にレオナルドを入れた。
「お・・・い、な、なに・・・して・・・?」
「我慢なさって! きっと、もうすぐ元に戻れるはずですわ。元に戻る前に捕まるわけにはいきません。また、何かを飲まされてしまうかもしれないもの」
「ちょ・・・」
私は反論しかけているレオナルドを無視して、彼の上にゴミ箱の傍に置いてあった麻の布を被せ、ゴミ箱の蓋を閉めた。
そして、急いで羽織っていたケープを脱ぐと、横に転がっていたバケツを拾い、それをケープで覆った。
バケツを抱きしめ、立ち上がると、そっと通りを覗く。
男たちはキョロキョロと辺りを見回していた。
私は一度身を引き、壁に寄り掛ると、大きく深呼吸をして息を整えた。
いざ!!
私は通りに飛び出した。
☆彡
バケツを胸に抱えて私は大通りに向かって走り出した。
「いたぞ!」
男たちはすぐに私に気が付き追って来る。
私は大して足が速いわけでもない。既に近くにいる男たちから、大通りまで逃げ切れる可能性はほとんどない。
でも、僅かな可能性に賭けて必死に走った。
とにかく、アランが来るまで時間を稼げればいい。
ホテルであれだけ大立ち回りをしたのだ。あの騒ぎはきっと彼の目に留まるはず。
一早くそれに気が付き、裏庭に来てもらえれば!!
私が拉致されても、他の奴等が捕まれば!
レオナルドさえ無事に保護されれば!
そう願いながら必死に走る。
大通りが近づいてきた。一瞬、私の中に希望の光が灯る。
が―――、
次の瞬間、私は背後から伸びた手に肩を掴まれた。
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