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17.喪女と悪役令嬢
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「あの・・・、それも大切ですが・・・」
椿はふと疑問が沸きあがった。
「オフィーリア様、この一週間はどうやって山田として生活されていたのですか?」
二人が入れ替わって一週間ほど経っている。オフィーリアも一週間ほど前に入れ替わった事実に気付いたと言っていた。
ではその一週間どうやって過ごしていたんだろう? さっき保健室で目が覚めたと言っていなかったっけ?
椿の背中に嫌な汗が流れる。
「あ、あの・・・、もしや・・・、山田として学校に行っていたとか・・・?」
「いいえ。まだ行っていませんわ」
まだ・・・?
「事故からに遭った翌日から今日までゴールデンウイークという時期だそうで、この家におりました。でも明日から登校する予定ですわ」
「あ、あ、明日から・・・?」
「ええ」
オフィーリアは頷いた。
「明日から・・・登校・・・」
「ええ。椿様のお父様もお母様もわたくしが別人であることに一応の理解を示してくれているのですが、信じ切れていないようですわ。どうやら軽い記憶障害と思っていらっしゃるようです。学校に行けば何か思い出すのではと考えているのでしょうね」
ふぅ~と悩まし気に溜息を付くオフィーリア。
そんな彼女を見て椿はカタカタと震えだした。
山田の姿で・・・オフィーリアが学校に行く・・・?
「そ、そ、それは駄目です! オフィーリア様!」
椿は鏡に向かって叫んだ。
「ダメですよ! 山田の姿で学校行くなんて! そんなの事故です! それこそ大事故を引き起こします!」
「は?」
必死に訴える椿をオフィーリアは怪訝そうに見つめた。
「だ、だって・・・、だって・・・」
自分の姿で中身がオフィーリア!
小デブでもっさい地味な喪女の中身がオフィーリア!
ひたすら教室の空気だった喪女から放たれる主人公級の令嬢オーラほど恐ろしいものがあるだろうか?
悪役令嬢の中身が喪女であることなんぞ比ではないのでは?
想像するだけで身の毛がよだつ。
「や、や、山田はその、喪女で・・・と、とっても地味で目立たない存在なんです!」
「?」
オフィーリアは怪訝な顔のまま首を傾げた。
「そんな山田の姿のままオフィーリア様が登校するなんて・・・。非常且つ異常に浮きますよ、浮きまくります! ど、どんな目に遭うか・・・! 危険極まりない!」
「それでも行かないわけにはいきませんでしょう?」
アワアワと泣きそうな椿に対し、オフィーリアはピシャリと言い放った。
「セオドア様もいらっしゃるのだから。きっと彼も不安を抱えていますわ。事情を知った今、情報を共有して少しでも不安を取り除いて差し上げないと・・・」
そう言うとオフィーリアはスッと目を伏せた。
(そうだった・・・)
椿は一気に顔が熱くなった。自分の事しか考えていないことに気が付いたからだ。そんな自分が急に恥ずかしくなった。
(そうだ・・・。セオドア様だって柳君だった・・・。二人だって大変なのに・・・)
椿は鏡の向こうのオフィーリアを見つめた。
自分の姿をしている彼女は少しだけ寂し気に俯いている。心配してあげたところで報われない相手なのに、それでも心配せずにはいられないのだろう。彼女の気持ちが未だにセオドアにあることが伺われる。
(自分よりもセオドア様を気にかけるなんて・・・。優しいな・・・。それに比べて私は・・・)
自分の事ばかり・・・と大いに反省させられるが、それでもだ。
実際に悪目立ちしてクラスで笑いものになったら、その時に嫌な思いをして傷付くのはオフィーリアだ。
「オ、オフィーリア様、明日、学校に行ったら、絶対に静かにしてくださいね。出来るだけ誰とも話さないように・・・。クラスでは静かに静かに静か~に地味に過ごしてください。変なトラブルに巻き込まれないように、常に気配を消してください!」
これが椿にしてあげられる最大限のアドバイスだ。
オフィーリアがクラスの陽キャギャルに絡まれないように、可能な限り平和に過ごすことが出来るように、椿なりのアドバイスだった。
椿はふと疑問が沸きあがった。
「オフィーリア様、この一週間はどうやって山田として生活されていたのですか?」
二人が入れ替わって一週間ほど経っている。オフィーリアも一週間ほど前に入れ替わった事実に気付いたと言っていた。
ではその一週間どうやって過ごしていたんだろう? さっき保健室で目が覚めたと言っていなかったっけ?
椿の背中に嫌な汗が流れる。
「あ、あの・・・、もしや・・・、山田として学校に行っていたとか・・・?」
「いいえ。まだ行っていませんわ」
まだ・・・?
「事故からに遭った翌日から今日までゴールデンウイークという時期だそうで、この家におりました。でも明日から登校する予定ですわ」
「あ、あ、明日から・・・?」
「ええ」
オフィーリアは頷いた。
「明日から・・・登校・・・」
「ええ。椿様のお父様もお母様もわたくしが別人であることに一応の理解を示してくれているのですが、信じ切れていないようですわ。どうやら軽い記憶障害と思っていらっしゃるようです。学校に行けば何か思い出すのではと考えているのでしょうね」
ふぅ~と悩まし気に溜息を付くオフィーリア。
そんな彼女を見て椿はカタカタと震えだした。
山田の姿で・・・オフィーリアが学校に行く・・・?
「そ、そ、それは駄目です! オフィーリア様!」
椿は鏡に向かって叫んだ。
「ダメですよ! 山田の姿で学校行くなんて! そんなの事故です! それこそ大事故を引き起こします!」
「は?」
必死に訴える椿をオフィーリアは怪訝そうに見つめた。
「だ、だって・・・、だって・・・」
自分の姿で中身がオフィーリア!
小デブでもっさい地味な喪女の中身がオフィーリア!
ひたすら教室の空気だった喪女から放たれる主人公級の令嬢オーラほど恐ろしいものがあるだろうか?
悪役令嬢の中身が喪女であることなんぞ比ではないのでは?
想像するだけで身の毛がよだつ。
「や、や、山田はその、喪女で・・・と、とっても地味で目立たない存在なんです!」
「?」
オフィーリアは怪訝な顔のまま首を傾げた。
「そんな山田の姿のままオフィーリア様が登校するなんて・・・。非常且つ異常に浮きますよ、浮きまくります! ど、どんな目に遭うか・・・! 危険極まりない!」
「それでも行かないわけにはいきませんでしょう?」
アワアワと泣きそうな椿に対し、オフィーリアはピシャリと言い放った。
「セオドア様もいらっしゃるのだから。きっと彼も不安を抱えていますわ。事情を知った今、情報を共有して少しでも不安を取り除いて差し上げないと・・・」
そう言うとオフィーリアはスッと目を伏せた。
(そうだった・・・)
椿は一気に顔が熱くなった。自分の事しか考えていないことに気が付いたからだ。そんな自分が急に恥ずかしくなった。
(そうだ・・・。セオドア様だって柳君だった・・・。二人だって大変なのに・・・)
椿は鏡の向こうのオフィーリアを見つめた。
自分の姿をしている彼女は少しだけ寂し気に俯いている。心配してあげたところで報われない相手なのに、それでも心配せずにはいられないのだろう。彼女の気持ちが未だにセオドアにあることが伺われる。
(自分よりもセオドア様を気にかけるなんて・・・。優しいな・・・。それに比べて私は・・・)
自分の事ばかり・・・と大いに反省させられるが、それでもだ。
実際に悪目立ちしてクラスで笑いものになったら、その時に嫌な思いをして傷付くのはオフィーリアだ。
「オ、オフィーリア様、明日、学校に行ったら、絶対に静かにしてくださいね。出来るだけ誰とも話さないように・・・。クラスでは静かに静かに静か~に地味に過ごしてください。変なトラブルに巻き込まれないように、常に気配を消してください!」
これが椿にしてあげられる最大限のアドバイスだ。
オフィーリアがクラスの陽キャギャルに絡まれないように、可能な限り平和に過ごすことが出来るように、椿なりのアドバイスだった。
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