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人類の変化
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朝目覚める。自分で自分に話しかけてみた。
「おはよう」
すると自分の頭の中に陽気な男性の声で「おはよう!」と返ってきた。
「そうだよな、夢じゃないよな…」
あたし幸村御影の体の中にはエイリアンがいる。
不運にも隕石が激突して胸が吹き飛んで死にかけたあたしに寄生して再生してくれたのは良かったんだけど、完全に一心同体だと言われた。
よって追い出すことは死を意味する、というわけだ。
昨日はどっと疲れて風呂にも入っていなかったので朝シャンしてスッキリすることにした。
ところで少し気になることがある。
自分の中のエイリアン『アモン』に聞いてみた。
「あのさ、シャワー浴びたいんだけど。見えはしないよね?」
「そりゃ見えないよ。キミの中にいる限りはさ。俺も気持ちいいだけ」
感覚を共有しているってことだ。
気持ち複雑ではあるけど裸を見られるわけではない。
「ならいいか」とまではならないが仕方がない。
モヤッとしながらもシャワーを終えてリビングにあるテレビをつけた。
ニュース番組でもやはり無数に降り注いだ隕石が話題になっていた。
建物の破壊、怪我人など被害はあったものの死人は奇跡的に出ていない。
いや、奇跡的?
「死人0ってあり得る?やっぱりあたしと同じ状況の人がたくさんいるってことだよね?」
「まぁ、そうなるかな?」
やっぱりそうか。
おかしな国になってしまった。
ニュースによると隕石は日本に集中して降り注ぎ、海外でもそれが話題になっているという。
隕石は建物を多数破壊、怪我人は一時重傷、重体も全てが今は全快という異常事態。
「助かった人みんなエイリアン憑きってこと?映画かアニメじゃあるまいしホント何これ」
あり得ない状況に頭が痛くなってきた。
「まぁ…死んじゃうよりはいいけどさ。」
みんな命は無事だったのだから良しとしよう。
変な同居人が増えただけだと思えば…と自分と照らし合わせて言い聞かせるようにポジティブに考えた。
「うーん、どうだろ?」
アモンが少し後ろ向きな感情を含んだ言葉で呟いた。
「なんでよ?助かったんだし中に変なのがいる以外は元通りなんだから良いほうじゃん?」
奇妙な状況に順応しようと思っていたところにネガティブを持ち込んでほしくない。
そんな気持ちでいるため少し口調が強くなった。
アモンは話を続ける。
「いや、姿形はそりゃ元通りだよ。でももしかしたら人格は違うかも。パターンとしては3つあるんだ。ひとつは俺とキミみたいに平和に共存してる状態。俺がキミたち人間に好意を持ってひとつになってる状態ね」
好意を持って、か。迷惑ではあるけど情があって本当に良かったと思う。
アモンはさらに話を続ける。
「そして悪いパターンが2つ。ひとつはキミみたいに隕石の直撃を受けて死んで体を乗っ取られた状態。完全に性悪な同胞の人格だね。この星の生物をオモチャとしか思ってないんじゃないかな。そしてあとひとつ。悪人に寄生した状態。寄生した人間も悪で同胞も悪。双方の相性ピッタリで互いに欲望のまま行動する」
恐ろしい話だ。バイオハザードやパンデミックなんて話より更に最悪かもしれない。
寄生先が悪人であれば下手をすれば乗っ取りよりタチが悪い。
「なんかとんでもない世界になっていきそう。事件が増えたりして、下手したら戦争とか起きるんじゃ…」
急激に怖くなって嫌な想像しかできなくなった。
善良なエイリアンが圧倒的に多数であることを祈るしかない。
「あっ…!」
アモンがテレビを見ながら声をあげた。
「どうした?ビックリすんじゃん!」
そう言ってあたしもテレビに目を向けた。
そこには殺人事件のニュースが流れていた。
嫌な話だが殺人事件は頻発しているものだから一瞬驚かなかった。が、内容を聞いてるうちに血の気がひいていく感覚を覚えた。
遺体は体のあちこちの肉が抉られていて、骨や内臓が剥き出しになっている。
頭が割られて脳が無くなっている。
黒焦げになっている。
などそうそうないホラー映画のような残酷なものだった。
「何これ。こんなの普通じゃないよ。殺人自体普通じゃないけどこんな…」
気分が悪くなって手で口を覆いながら言うあたしにアモンが言う。
「間違いないだろうね。犯人には同胞が憑いてる。どういう形でかはわからないけど。普通の人間の仕業ではないね」
そう話すアモンにあたしはふと感じた疑問をぶつけた。
「ちょっと思ったんだけど警察で解決できるの?銃とかでなんとかなるものなの?」
あたしの質問に返ってきた答えは予想だにしないものだった。
「戦車やミサイルでも厳しいやつもいるかな?人間の武器で戦うのは得策じゃないね。言うなれば目には目を歯には歯を。エイリアンにはエイリアンを、かな?」
「…え?」
「戦え」と。そう言われた気がした。
「おはよう」
すると自分の頭の中に陽気な男性の声で「おはよう!」と返ってきた。
「そうだよな、夢じゃないよな…」
あたし幸村御影の体の中にはエイリアンがいる。
不運にも隕石が激突して胸が吹き飛んで死にかけたあたしに寄生して再生してくれたのは良かったんだけど、完全に一心同体だと言われた。
よって追い出すことは死を意味する、というわけだ。
昨日はどっと疲れて風呂にも入っていなかったので朝シャンしてスッキリすることにした。
ところで少し気になることがある。
自分の中のエイリアン『アモン』に聞いてみた。
「あのさ、シャワー浴びたいんだけど。見えはしないよね?」
「そりゃ見えないよ。キミの中にいる限りはさ。俺も気持ちいいだけ」
感覚を共有しているってことだ。
気持ち複雑ではあるけど裸を見られるわけではない。
「ならいいか」とまではならないが仕方がない。
モヤッとしながらもシャワーを終えてリビングにあるテレビをつけた。
ニュース番組でもやはり無数に降り注いだ隕石が話題になっていた。
建物の破壊、怪我人など被害はあったものの死人は奇跡的に出ていない。
いや、奇跡的?
「死人0ってあり得る?やっぱりあたしと同じ状況の人がたくさんいるってことだよね?」
「まぁ、そうなるかな?」
やっぱりそうか。
おかしな国になってしまった。
ニュースによると隕石は日本に集中して降り注ぎ、海外でもそれが話題になっているという。
隕石は建物を多数破壊、怪我人は一時重傷、重体も全てが今は全快という異常事態。
「助かった人みんなエイリアン憑きってこと?映画かアニメじゃあるまいしホント何これ」
あり得ない状況に頭が痛くなってきた。
「まぁ…死んじゃうよりはいいけどさ。」
みんな命は無事だったのだから良しとしよう。
変な同居人が増えただけだと思えば…と自分と照らし合わせて言い聞かせるようにポジティブに考えた。
「うーん、どうだろ?」
アモンが少し後ろ向きな感情を含んだ言葉で呟いた。
「なんでよ?助かったんだし中に変なのがいる以外は元通りなんだから良いほうじゃん?」
奇妙な状況に順応しようと思っていたところにネガティブを持ち込んでほしくない。
そんな気持ちでいるため少し口調が強くなった。
アモンは話を続ける。
「いや、姿形はそりゃ元通りだよ。でももしかしたら人格は違うかも。パターンとしては3つあるんだ。ひとつは俺とキミみたいに平和に共存してる状態。俺がキミたち人間に好意を持ってひとつになってる状態ね」
好意を持って、か。迷惑ではあるけど情があって本当に良かったと思う。
アモンはさらに話を続ける。
「そして悪いパターンが2つ。ひとつはキミみたいに隕石の直撃を受けて死んで体を乗っ取られた状態。完全に性悪な同胞の人格だね。この星の生物をオモチャとしか思ってないんじゃないかな。そしてあとひとつ。悪人に寄生した状態。寄生した人間も悪で同胞も悪。双方の相性ピッタリで互いに欲望のまま行動する」
恐ろしい話だ。バイオハザードやパンデミックなんて話より更に最悪かもしれない。
寄生先が悪人であれば下手をすれば乗っ取りよりタチが悪い。
「なんかとんでもない世界になっていきそう。事件が増えたりして、下手したら戦争とか起きるんじゃ…」
急激に怖くなって嫌な想像しかできなくなった。
善良なエイリアンが圧倒的に多数であることを祈るしかない。
「あっ…!」
アモンがテレビを見ながら声をあげた。
「どうした?ビックリすんじゃん!」
そう言ってあたしもテレビに目を向けた。
そこには殺人事件のニュースが流れていた。
嫌な話だが殺人事件は頻発しているものだから一瞬驚かなかった。が、内容を聞いてるうちに血の気がひいていく感覚を覚えた。
遺体は体のあちこちの肉が抉られていて、骨や内臓が剥き出しになっている。
頭が割られて脳が無くなっている。
黒焦げになっている。
などそうそうないホラー映画のような残酷なものだった。
「何これ。こんなの普通じゃないよ。殺人自体普通じゃないけどこんな…」
気分が悪くなって手で口を覆いながら言うあたしにアモンが言う。
「間違いないだろうね。犯人には同胞が憑いてる。どういう形でかはわからないけど。普通の人間の仕業ではないね」
そう話すアモンにあたしはふと感じた疑問をぶつけた。
「ちょっと思ったんだけど警察で解決できるの?銃とかでなんとかなるものなの?」
あたしの質問に返ってきた答えは予想だにしないものだった。
「戦車やミサイルでも厳しいやつもいるかな?人間の武器で戦うのは得策じゃないね。言うなれば目には目を歯には歯を。エイリアンにはエイリアンを、かな?」
「…え?」
「戦え」と。そう言われた気がした。
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