異世界ヒロイズム~サイコパスとJKは転生犯罪者と戦争する

MASU.

文字の大きさ
5 / 11

第5話 安楽城朱華

しおりを挟む
安楽城朱華(あらがきしゅか)

普通の女子高生だった彼女が突然こんな異世界に放り出されたわけだから不安だっただろう。

が、これ程の跳躍力があれば…いや恐らく身体能力すべてが強化されている。

そしてそれ以外にも能力を秘めているかもしれない。

なら1週間あの山を生き延びたのも頷ける。


サクトはひとっ飛びして朱華の目の前に降り立った。

朱華は目を丸くして「あなたも!?」と驚いた。


「このくらいの跳躍は軽いな。で、ほかには?」

一応、この朱華という少女がどれほどの力を持っているのか気になって聞いてみた。

「え、能力の話?それが怪物から逃げ回っただけだから、いまいち力のことわかんないのよね。ある程度、力持ちにはなってると思うんだけど。てゆーかあなたの名前!まだ聞いてないんだけど?」


そう彼女に言われてまだ名乗っていなかったことに気づいた。

「サクト・バルザック。日本で生きてた頃の名前は羽崎朔人だよ」

朱華は「えっ…」と小さく声をあげ驚いた。

「その名前、やっぱりここ異世界?ってやつ?で、あなたは元日本人で…今は…」


「あぁ、転生してこの世界アストレアで生きている。20年前から…だ」


覚醒したのは最近だがこの肉体が誕生したのは20年前なので一応そう朱華には言っておいた。


「転生…20年。あたしとはだいぶ違うね。そっか、あたしが生まれる前にあなたはこっちに…じゃ見た目若いけど中身はおじさん?」

しんみりしたかと思えばいきなりの失言か。

確かに向こうで生きていれば四十路で彼女から見ればおじさんではあるが。死んだのは二十歳なのでギリおやじは回避だろう。


「確かにあっちの世界での時間差的に世代にだいぶズレはあるだろうがこっちじゃ3つくらいしか変わらん。おじさんは失礼じゃねぇか?」

「ごめんごめん。で、この世界で生きていくにもお金は必要よね?仕事とか紹介してくれるところある?」

朱華は軽く謝って直ぐに限りなく現実的な話に切り替えてきた。異世界転移して間もないはずだが、動揺して泣きじゃくることも向こうを恋しがることもなく最早この世界で生きていくと腹を括っているようだ。

帰りたがらないとこを見るとこいつもこいつで日本でいろいろあったのだろうか。

「仕事か。まぁ日本と変わらないくらい普通な仕事もバイトも沢山あるけど。」


ふと頭を過る。

狩人という仕事を紹介すべきか否か。

まだ未知数ではあるが先ほどの彼女の身体能力は狩で活きるのではないか。

しかし、彼女に『狩る』という行為ができるのか。

つい1週間前まで只の女子高生だったのだから危険生物とはいえ狩る、つまり殺めることなど普通ならばできないだろう。

もっとも俺の場合は裏の仕事含め即日順応していたが。


「…狩りとかできるか?」

いろいろ考えたが言ってみた。朱華の能力に興味もある。役にも立ちそうだ。

「狩り!?ゲームとかであるクエストみたいな?やりたい!」

朱華は目を輝かせて身をのり出した。

「楽しそうって感じだが命懸けだぞ?勿論、こっちも相手の命を奪うんだ。そこ理解してるか?」

俺の言葉に朱華はハッとした様子だ。

「血とかって出るよね?」「あぁ」「苦しむよね?」「あぁ」「……」


やっぱりそうなるか、と思ったら突然「よしっ!」と意を決したように朱華は声をあげた。


「その危険生物っていわゆるモンスターで人間を苦しめたり殺したりしてるんでしょ?だったら誰かが退治しなきゃ!」

朱華はそう言って拳をぶつけて気合いを入れてみせた。

あっさり結論出したな、と思いつつ彼女について考えた。

今の朱華を見てわかるのは正義感が強いこと。

まだ『狩る』ということを解りきっていないこと。


そして


本当に厄介で狩るべきなのは人間の中にこそいる。

それをまだ彼女は知らないということ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~

月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」 ​ 猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。 彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。 ​チート能力? 攻撃魔法? いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。 ​「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」 ​ゴブリン相手に正座で茶を勧め、 戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、 牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。 ​そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……? ​「野暮な振る舞いは許しません」 ​これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。

男女比1:50の世界に転生したけど、前世の感覚で普通に接してたら幼馴染も姉妹もお嬢様もみんな沼にハマっていった件 ~ダンジョンにも潜ります〜

ベリーブルー
ファンタジー
男女比1:50――この世界で男は、守られ、大切にされ、穏やかに生きることを求められる存在。 だけど蓮は違った。 前世の記憶を持つ彼には、「男だから」という枷がない。女の子にも男の子にも同じように笑いかけ、距離を詰め、気負いなく手を差し伸べる。本人にとってはただの"普通"。でもこの世界では、その普通が劇薬だった。 幼馴染は気づけば目で追っていた。姉は守りたい感情の正体に戸惑い始めた。名家のお嬢様は、初めて「対等」に扱われたことが忘れられなくなった。 そして蓮はと言えば――。 「ダンジョン潜りてえなあ!」 誰も見たことのない深淵にロマンを見出し、周囲の心配をよそに、未知の世界へ飛び込もうとしている。 自覚なき最強のタラシが、命懸けの冒険と恋の沼を同時に生み出す、現代ダンジョンファンタジー。 カクヨムさんの方で先行公開しております。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...