実話怪談「笑い声」

赤鈴

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 あれは今から3年前。秋も終わりに差し掛かった11月初旬頃の話である――。





 その日、仕事が休みだった私は昼過ぎまで寝ていた。昼食を食べ終える時分には、夕空に濃紺と橙の階調が描かれていた。
残りの貴重な休日をどう過ごすか思案していると、ふと思いついた。

――そうだ、あそこへ行こう

まるで、これから京都にでも行くようだが、そうじゃない。

"あそこ"とは、兼ねてより興味のあった"A神社"のことだった。

そこは人形供養で有名な神社で、境内の宝物殿の地下には数多くのいわくつき人形が保管されていることから心霊スポットとしても知られている。
当然、宝物殿の地下は一般公開されていない。
その手のテレビ番組でも何度か取り上げられ、怪異好きなら一度は行ってみたい寺社の一つである。

 人形とは、その名の通り人の形を模して作られたものである。
現在は一言に人形といっても様々なものがあるが、その本来の目的は悪霊を防ぐためだとも、死者の魂をとどめるためだともいわれている。
また、呪術に用いるために作られるものも世界中で存在する。日本で呪術用の人形として真っ先に思いつくのは、丑の刻参りで用いられるわら人形だろう。
そんな人形にある日、突然魂が宿ったとしても何ら不思議ではない。



 私の自宅からA神社までは車で片道4時間弱かかる。まさに、小旅行だ。
だが、その目的といえば旅行とは到底いえないほど不純なものだった。

簡単に準備を済ませると、蜂が花の蜜に誘われるように、A神社まで愛車を走らせる。
時間が経つにつれ、夜の色が徐々に濃くなっていった――。
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