ある物語

しんたろう

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結衣は温かい毛布とベッドの中、し~んとした、空間の中、鳥の声に目を覚ました。
結衣の怪我は重く意識もなく、昏睡状態が病院で続いていたが、
僕とよしはるは、昨日からずっと二人で見守っていた。
僕は疲れてすやすやと眠りについていた。

「気が付いた?」よしはるは結衣が起きたことに気づき言った。
「ここは、天国?」結衣は言った。

結衣は冷静に自分の置かれている状況を理解しようとした。数分で悟り、

「私、生きているんだ」と、言った。

僕はよしはるに言われて、目を覚ました。
僕は状況を理解し、優しく言った。

「お帰り、結衣」と言った。そして続けた。
「処置が早かったから助かった。医者の人の説明では、軽度の障害は残るけど命に別状はないみたいだ。結衣の事、よしはると1日中見てた。
もしこのまま目が覚めなかったらと心配していたが、それももう終わった。良かった。」

よしはるは嬉しそうに、病院中に響く程、結衣が助かった、助かったよ~と言っていた。
僕は結衣の目を見つめていた。
結衣はまだ、少し疲れ気味に、

「ごめんなさい」そう言った。
「私、誰にも迷惑をかけたくなかった。貴方に。居てくれてありがとう。本当の天国ってこうゆう事を言うのかもって気がした。」
「まだ、負けるな。強くなるんだ。」僕は言った。
「ありがとう。」

その時、寝室に現れたのは、父と母の姿もあった。

「とにかくよかった。よかった。」父は涙ながらに結衣に言った。
結衣はうなずいて「私も良かった。父さんや母さんに居てくれて。」

その後、僕に言った。

「ここまでしてくれてありがとう。言えなくなったね。関わらなきゃ辞めずに済んだのに。」

僕は言う。

「そんな事言っている場合じゃないだろう。別の人生?当然だろ、結衣の笑顔が見れる人生を選択できた。生きててくれた。思いやりのない事を言うなよ。」と言った。

おめでとうと僕は結衣に思った。
その時、結衣は僕の頬に軽くキスした。
その日は夜になるまで、話をした。
その後、これからの事を考え、疲れてぼ~っとて病院からの帰りによしはるの車で、夜の高速を走っていた。
ふと、自分の表情がバックミラーに写っているのに気づき、自分の表情を見ながら、これまでの事を
回想していた。
車の窓ガラスが少し開いていて、そこから吹き込む風がとても涼しく、気持よく、後何時間でもこうしていたいと思った。
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