どくしょかんそう文のせいでどくしょがきらいになっていた

月尊優

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どくしょかんそう文のせいでどくしょがきらいになっていた

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 文章ぶんしょうが書けなかった。絵もけなかった。
 ようちえんのときはがようしをもらっても描かずにすててましたね。
 小学校に上がると作文、読書感想文どくしょかんそうぶんというやっかいなものが登場とうじょうする。
 げんこう用紙ようし使つかかたおしえてもらえたのでそれはかんぺきにわかる。
 文章の書き方っていつならったっけ?


   *


 「坐禅ざぜん習禅しゅうぜんにはあらず」(坐禅は習うものではありません)

 座禅とはあぐらをかいて正しくすわってめいそうをすることです。

 これは、正治しょうじ2年1月-建長けんちょう5年8月。いまから771~824年のむかしに高祖承陽大師こうそしょうようだいし道元禅師どうげんぜんし)というおぼうさまが書いたおきょうの一部分いちぶぶんです。
 習うものではなかったのか、こんなの小学1年生にわかるわけないでしょ?

 こんな一年生にいのこりをさせるからかみかくしにあってしまったんだよ。
 かみかくしとは、こどものゆくえがきゅうにわからなくなることで、むかしはまじんのしわざだとしんじられていました。
 わたしは書いてただけなのにいつのまにかよるになっていたんだよ? ほんとうだよ?


    *


 絵もおなじ。道具どうぐ使つかい方はわかるけど描き方を習っていない。
 これはおかしい。書き方、描き方をおそわる日に欠席けっせきしていたのだろうか?


   *


 読書感想文がきらいになったせいで、読書はもちろんのこと、映画えいが観劇かんげき、おたのしみ会等かいなど、感想文を書かされるものは全部ぜんぶきらいになった。


   *


 中学生になり、読書感想文のくみ立て方をる。
 こういうのをさきに教えてくれないと。それまで、感想文を書けとわれれば、あらすじを書き、あらすじを書けと言われればその本を書きうつしていましたよ。


   *


 高校生になり、やっとびじゅつのいい先生がじゅぎょうしてくれた。
「こどもに自由じゆうに描かせると私では真似出来まねできないとてもいいものが出来るんですね」

 そのお言葉ことばしかおぼえていない。でも、絵を全部ぜんぶ描けたのはその先生のときはじめてでした。

 また、おやからは「大学へ行かせるお金がない」と言われていたのでその時からはたらくための勉強べんきょうりかえていました。そのために作文(あとからも)を書いてた。なのに下の弟は5年間もとおくの大学にかよっていたんですよ? しんじられませんね。


   *


 読書が出来るようになったのは感想文を書けと言われなくなってから、書くようになったのは親がワードプロセッサにあきてから、ろうどくをはじめたのはげきだんに入ってから、まんがは友だちの手伝いをはじめてからか。
 それでも書き方は習ったことがないな。最初さいしょはカセットテープにろくおんしたTRPGテーブルトークロールプレイングゲーム会話かいわをワードプロセッサで書いて、そして小説しょうせつけん魔法まほうが出てるもの。
 つぎの小説を書いてやっと「前とくらべてわかりやすくなったね」とのことでした。
 むかしはいまみたいにパソコンじゃなくてワードプロセッサというきかいでうっていんさつしていたんですよ。


   *


 まだ、けない問題もんだいがあります。
作者さくしゃ気持きもちをこたえなさい」
 えっ? この答えがわからない。わかる人いるの?
 私はきかれれば正直しょうじきに答えますが、勝手かってに私の気持きもちを書けるはずありませんよね?
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