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みんな秘密を持っている
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キィイイーーーーン!
ある晴れた日、剣戟の音が城の中庭に鳴り響く。
俺とザンド王子は日課である朝の剣の修練に余念がない。
ザンド王子の剣は鋭く、そして強い。
その剣技は王国一と言われており、彼の実力を疑うものは誰もいなかった。
実戦訓練で数合の剣を交えたあと、パッと後ろに飛び跳ねて王子が言った。
「君の剣は相変わらず重いね、レドン」
笑顔を見せる王子の額の汗が朝の陽光に輝いている。
「ありがとうございます」
俺は表情を和らげて王子に言った。
俺の家の爵位は男爵、貴族の中では最下級だ。
そんな俺がこうして王子の従者として仕えることができているのは、偏にご先祖様の武勲のおかげと言っていい。
我が家はどうやら剣の才能に恵まれた血筋らしく、俺の親父も祖父も王国でも一二を争う腕前で、戦場でも多くの武勲を上げたらしい。
そして俺は、偶然にも現王子のザンド殿下と同じ日に生まれた。
多くの武勲により国王の覚えがめでたかった親父と祖父は、生まれたばかりの俺を伴い揃って謁見を賜った。
王子が生まれてご機嫌の極みにあった国王は、
「それは、めでたい!その子を我が王子の従者としよう」
と即断即決、晴れて俺は王子の従者になったというわけだ。
「今日はこれくらいにしようか」
「はい」
そう答えながら俺は、側のベンチにかけておいたタオルを取り、一枚を王子に手渡した。
「ありがとう」
王子が爽やかな笑顔で言った。
容姿端麗、剣技は王国随一、人柄も、ややくだけ過ぎたところはあるが、地位に相応しい人格を持っている。
そんな王子を俺は心から慕い尊敬していた。
だが、実を言えば、その王子に対して、俺は決して口にはできない秘密を持っていた。
それは、自分のためではなく王子のため、ひいては王国のためだと思っている。
王子が王国一の剣技の持ち主ということは、王国中の誰もが知っていることだ。
日課である剣の稽古でも王子の剣のほうが俺よりも勝っていると、剣の師範も言っている。
実際そのとおりだ。そうなるように俺は王子と剣を交えているのだから。
そう、俺は王子と剣を交える時に手加減をしているのだ。
そうしないと、あっという間に、それこそ一合で王子を倒せてしまうから。
この事は、最初に王子と剣を交えた時に気づいてしまった。
我が家は武でのし上がった家だ。
当然のことながら、幼い頃から厳しい修練を課せられる。
体格などの元々の才能もあったのかもしれない。
それは、九歳で王子の従者として正式に出仕したその日、木剣での模擬戦ですぐに分かった。
(まともにやったら王子に勝ってしまう……)
俺はバレないように必死になって、手加減をした。
手加減をしていると知れたら却って王子の心象を悪くすると思い恐ろしかったからだ。
こうして九年の間、俺は王子を騙し続けてきた。
そして、今日、王子の婚約者が王宮を訪れる事になっている。
その婚約者は隣国のラニタ王女、ザンド王子と(そして俺とも)同い年の十八歳だ。
実を言えばラニタ王女と会うのはこれが初めてではない。
というより、幼い頃からお互い頻繁に行き来しているので、ザンド王子とラニタ王女は幼馴染のような間柄だ。
穏やかで物腰が柔らかいザンド王子とは対象的に、ラニタ王女は快活でハッキリとした物言いをする女性だ。
俺も、王子の従者となってからは、王子と共にラニタ王女と顔を合わせるようになり、親しくしてもらっていた。
ラニタ王女は誰に対しても分け隔てなく笑顔で接してくれる。
従者風情の俺などにも親しい友達にするように話しかけてくれる。
そうこうするうちに、困ったことに俺は新たな秘密を作ることになってしまった。
そう俺は、ラニタ王女に強い好意を抱いてしまったのだ。
よりにもよって主の婚約者に邪な感情を抱いてしまうとは……。
この事は何としても秘密にしておかなければならない。
「こんにちは」
俺と王子が稽古の汗を拭いているところに、後ろから女性の声がした。
振り返ればそこにはラニタ王女が立っていた。
「ごきげんよう、ラニタ王女」
王子が右手を胸に当てて頭を下げる。
俺はもちろん、跪いて頭を垂れた。
「相変わらず剣の稽古に余念がないのね」
「レナトリア王国軍総司令官殿の婚約者として恥ずかしくないように、と思ってね」
「あら、耳が早いのね」
「わがザドニア王国諜報部は俊足揃いだからね」
ラニタ王女の総司令官就任は俺も王子から聞かされていた。
恐らく両国間で事前の根回しがあったのだろう。
両国と国境を接している魔王国の存在を考えれば、両国の軍事的な結束は必要不可欠だ。
「それで、総司令官閣下におかれましてはいかなるご要件で?」
王子がわざとらしく聞くと、
「そうね……それでは王子様と一勝負お願いしようかしら?」
そう言いながら、王女はスラリと腰の剣を抜いた。
「おいおい、冗談だろ、ラニタ」
「何が冗談なものかしら」
不敵な笑いを浮かべる王女。
王女も剣の腕はレナトリア王国随一と言われている。
俺が見るところ、恐らくザンド王子以上だろう。
彼女は剣戟に地水火風の属性を付与して攻撃することができる、いわゆる魔法剣士だ。
ザドニアやレナトリアでは魔法剣士は稀な存在だ。
しかし……
(魔王国には魔法剣士が多いと聞く……)
彼女がレナトリア王国軍最高司令官に選ばれたのも、それが一番の理由だろう。
「それに……」
そう言いながら、ラニタ王女は肩越しに後ろを見た。
「妹の前で少しはいい格好をさせてもらわないとね」
すると、今までは柱の陰に隠れるようにしていたのであろう、レナトリア王国第二王女のレノラ王女が姿を現した。
「やあ、レノラ、よく来たね」
恐らく彼女の存在に気づいていたのであろう、ザンド王子はいつもの調子で挨拶をした。
「……殿下」
レノラ王女は、スカートの裾を両手で摘み、優雅なお辞儀をした。
そして、顔を上げて王子と目を合わせると、頬をバラ色に染めた。
「レノラ、レナトリア王国軍総司令官の剣技をよく見ているのよ」
「はい、お姉さま」
「頼むよ、姉妹して僕をいじめないでくれ」
などと、本気なのか遊びなのかわからないやり取りをしていると、城内にけたたましくラッパが鳴り響いた。
「ほら、式典が始まるよ。早く行かなきゃ」
と王女姉妹をわざとらしく急かすザンド王子。
「ラッパに助けられたわね」
そう言いながら、ラニタ王女はレノラ王女を見てウインクをした。
それを見たレノラ王女はクスクスと可笑しそうに笑った。
今日の式典は、ラニタ王女の総司令官就任を我が国の王に報告し、両国の軍事的結束をより強く内外に示すのが目的だ。
ひと通り式典が終わり、謁見室にてザドニア国王に対面したラニタ王女は、改めて国王に挨拶をした後にこう切り出した。
「実は、国王陛下にお願いがあるのですが」
「願い?」
「はい」
神妙な顔のラニタ王女。
「言ってみなさい」
「はい、お願いといいますのは……」
「うむ」
「私とザンド王子との婚約を解消していただきたいのです」
衝撃の告白に謁見室内は一気にざわつき始めた。
「な……なんだとぉ!?」
国王も予想外のことに動転を隠せないでいる。
「これには確たる理由があります」
ラニタ王女は落ち着いている。
「まず一つは、私がレナトリア王国軍総司令官に任命されたということは、魔王国との戦を念頭においてのことです」
「そ、そうだな……」
「そのような命の危険もある任務につかなければいけない私は、王子の婚約者にふさわしくないと思うのです」
「いや、だが……」
国王はラニタ王女の勢いに押されてしどろもどろである。
「それと、もう一つ」
ラニタ王女はザンド王子を見ながら言った。
「ザンド王子におかれましては、私に言えない秘密をお持ちのようですので」
「な、何ぃいいいいーーーー!」
国王は仰天してザンド王子を見た。
「いやぁ、何のことでしょう、ははは……」
乾いた笑いを響かせるザンド王子。
「ザドニア王国とレナトリア王国は同盟国として共に手を取り合って戦っていかねばなりません」
「そのとおりだ」
ラニタ王女の言葉に国王が頷く。
「となれば、互いの国の総司令官同士の信頼関係は大変重要な、国家の命運を大きく左右する重大事と心得ます」
「うむ……」
「そのあたりも考慮して、現ザドニア王国軍総司令官のザンド王子に替えて、他の方を総司令官に任命願いたいのです」
ラニタ王女がぴしりと言った。
「他の者と言ってもな……」
困り果てる国王。
「そこで、私に提案があります」
「提案……?」
「はい」
「うむ……聞こう」
「ザンド王子の代わりに従者のレドン殿を総司令官に任命されてはいかがでしょう?」
(えっ……!?)
俺は聞き間違いをしたのか?
「従者のレドンをだと?」
驚いて国王が聞き返した。
どうやら、俺の聞き間違いではなかったようだ。
それにしたって、俺を?
総司令官に?
なんの冗談だ。
「私もラニタ王女の提案に賛成です」
と、ザンド王子がすかさず言った。
「いえ……殿下」
さすがに俺も声に出して言った。
「まあ、突然のことで困惑しているだろうが、僕は全く根拠なく言っているわけではないよ、レドン」
「それは……」
「君が秘密にしていることを、僕が気づいていないと君は思っているのだろうが……」
「え……?」
まさか、俺が修練で手加減していることを王子は……。
「まあ、とにかく、君は総司令官に相応しい剣技と人格を待っているということだ」
ザンド王子が言うと、
「それでは決まりね」
ラニタ王女が呼応した。
「なんだか、私は埒外に置かれてしまっているようだが……まあ、いいだろう。未来は若い者たちのものだ。君たちが決めたようにやりなさい」
そう、笑顔で言う国王は心無しか寂しそうであった。
「「ありがとうございます」」
ザンド王子とラニタ王女が並んで頭を下げた。
「ところで、ザンド」
「はい、父上」
「王女が言っていた秘密とは、一体何なのだ」
恐らく今日一番の厳しい顔で国王は王子に問いただした。
「あ、いえ……それは……」
あからさまにたじろぐザンド王子。
「そのことでしたら、私からきっちりとお話させていただきますので、ご心配なさらないよう」
と、ラニタ王女がきびきびと言った。
「そ、そうか」
「はい」
太陽のような笑顔で答えるラニタ王女。
どうやら、国王はラニタ王女を娘のように思っているらしく、彼女の笑顔には抗えないようだ。
こうして、謁見室を辞した俺達はザンド王子の私室に集まった。
「で、ザンド?私に言うことがあるんじゃない?」
ラニタ王女は腰に手を当てて、鋭い視線でザンド王子に問いかけた。
どうやら、先程の秘密のことのようだ。
「すまん、ラニタ」
ザンド王子は腰を九十度か、それ以上折り曲げてラニタ王女に謝った。
「ふう……まさか私の妹に手を出すなんてね」
ラニタ王女がため息をつきながら言った。
(え……妹?ということは……レノラ王女!?)
「手を出すだなんて……」
必死に言い訳をしようとするザンド王子。
「レノラから全部聞いて知ってるのよ」
有無も言わせない口調のラニタ王女。
「スンマセン」
ザンド王子は降参したようだ。
「で、レノラ、何をされたんだっけ?」
ラニタ王女がレノラ王女に聞いた。
「え……?」
レノラ王女は咄嗟のことで返答に困ってしまっているようだ。
「ほっぺにキスだっけ?」
「お姉さま!」
レノラ王女は顔を真赤にして抗議した。
「まあ、いいわ。レノラの気持ちは私も聞いているし、理解もしているわ」
どうやら、ザンド王子とレノラ王女は相思相愛のようだ。
「ただし」
そう言ってラニタ王女は腰の剣に手を置き、
「もし、レノラを泣かせるようなことをしたら、この剣にかけて許さないわよ」
「も、もちろんだよ、ラニタ」
ザンド王子もたじたじだ。
「それじゃ、国王陛下へ報告に行ってらっしゃい」
「え?ラニタも一緒に行ってくれるんじゃないのかい?」
「何言ってるのよ、私は振られたのよ?なんで振られた私がそこまでしなきゃいけないのよ!」
「ええ……?こりゃあ、ぶん殴られそうだなぁ、父上に……」
「殴られてきなさい」
と、にべもなく言うラニタ王女。
「大丈夫ですわ、殿下。私が国王陛下にご説明いたしますから」
ザンド王子に寄り添いながら健気に言うレノラ王女。
「おお、レノラ。我が愛しの姫よ」
と、演劇じみたセリフを言うザンド王子に、
「ああ、殿下……!」
と、満更でもなさそうなレノラ王女。
まさにお似合いの二人のようだ。
「もう、見せつけてくれるわねぇ、まったく。行きましょう、レドン」
ラニタ王女は、そう言って部屋を出た。
俺は、どうしようか一瞬迷って、ザンド王子を見た。
王子はレノラ王女に寄り添いながら、俺に軽く頷いた。
それを見て俺は王子に軽く礼をして部屋を出て、ラニタ王女の後を追った。
ラニタ王女は廊下を少し行った先の扉の前で待っていた。
俺が追いつくと、
「少しお話をしましょう」
と言って、扉を開けてバルコニーに出た。
俺も、ラニタ王女の後からバルコニーに出て、柵に肘をついて王宮の庭園を眺めているラニタ王女の横に、少し間を空けて並んだ。
「今日は色々とあって大変だったでしょう?」
庭園を見ながらラニタ王女が言った。
「そうですね……」
「でもね、あなたを総司令官にということは以前からザンドと話して決めていたのよ」
「そうなんですか!?」
俺は少なからず驚いた。
「ザンドも言ってたでしょ?あなたが本当の力を秘密にしているって」
「はい……」
「彼、言ってたわ……魔法剣を使わなければ、レナトリア随一と言われている私でもあなたには勝てないだろうって」
「そうなんですか!?」
「ええ、だから、あなたの力がきっと必要になるって思ったの」
「それは、魔王国との戦《いくさ》を想定してということですか?」
「そうよ、私がたかだか十八歳で総司令官に任命されたのと同じことよ」
「魔法剣……ですね?」
「ええ、あなたにも修得してもらうわ」
「できるのでしょうか……?」
「できると思うわ……してもらわなければ困るし」
「わかりました……」
しばしの沈黙の後、重くなってしまった空気を軽くしようとでもするように、ラニタ王女が切り出した。
「ところでね、さっきのザンドの秘密のことだけど」
「はい」
「あれね、実は秘密でもなんでもなかったの」
と、ラニタ王女があっけらかんとした様子で言った。
「え?」
「私とザンドは子供の頃に婚約者になったの、まあ、政略的にね」
「はい……」
「で、私もザンドもお互いが好きではあったけど、あくまでも友達としてという感じだったわ」
「……」
「レノラは私達の二歳下なんだけど、お年頃になる頃にはザンドに恋してたの、それでね」
「はい」
「ザンドに気持ちを伝えなさいって私から言ったの、レノラに」
「ええ!?」
これは意外な展開だった。
裏でそんな駆け引きがあったとは……。
「で、レノラはザンドのハートをしっかり掴んで、ほっぺにキスまでさせたってわけ」
そう言って、ラニタ王女は楽しそうにクスクスと笑った。
「それで……王女様はそれでいいのですか?」
形の上だけとはいえラニタ王女はザンド王子の婚約者なのだし。
「え?私が気にするかってこと?全然平気よ」
まさにあっけらかんとした様子のラニタ王女。
「ザンドには、ちょっと意地悪だったかもしれないけど」
と、ラニタ王女はペロッと舌を出した。
(女の子って怖いかも……)
俺は生まれて初めてそう思った。
「秘密って言えばさぁ……」
ラニタ王女が思い出したように言った。
「レドンにも秘密がありそうだよね、剣技を手加減してた他にも……」
と、俺を流し目で見ながらラニタ王女が言った。
(え……それは……絶対知られてはいけない秘密だ……!)
「い、いえ……他に秘密なんて、はは……」
(ヤバい……挙動不審になってないか俺?)
「そう……まあ、そういうことにしておいてあげる」
と、大いに含みのあることを言うラニタ王女。
「でもね、私にも、もう一つ秘密があるんだぁ」
「え……レノラ王女のことの他にもですか?」
「うん」
「それは……?」
「もちろん……」
「……?」
「ヒ、ミ、ツ!」
「ええ……!?」
そして、ラニタ王女は両腕を空に向かって伸ばし、くるくると踊るようにその場で回りながら、
「女の子にはね、幾つも秘密があるんだよ!」
と、言って、楽しそうにケラケラと笑った。
(天使って、きっとこんな感じなんだろうな……)
くるくると踊りながら、軽やかに笑うラニタ王女を見て俺は思った。
すると、
「でもね」
と、ラニタ王女はピタリと止まって言った。
「女の子の秘密にはね、二種類あるんだよ」
「二種類……ですか?」
「そう、二種類。なんだか分かる?」
「いえ……」
「それはねぇ……」
「はい」
「暴かれたくない秘密と、暴いてほしい秘密!」
「暴いてほしい秘密?」
「そう!」
「そんな秘密があるんですか?」
「あるんだよぉーー今の私の秘密はそれ!」
「それは、なんですか?」
「それを、聞いちゃうの?」
「だめなんですか?」
「だめに決まってるでしょ!」
(う~ん……わからない)
今後、魔王国との戦に向けて司令官として並び立つうえで重要なことなのだろうか。
「それは、重要なことなのでしょうか?」
「とぉっても重要だよ!」
「戦略的な意味で……ですか?」
「戦略……そうね、戦略と言ってもいいかもしれないわね」
「分かりました」
「本当に分かったの?」
「はい、今後は特に対魔王国に関し、戦略面、戦術面と、あらゆる点を考慮し、王女様が密かに意図しておられるところを、しっかりと理解できるよう務めてまいります」
そうだ、これからは司令官としてラニタ王女と肩を並べて戦わなければならないのだ。
半端な覚悟ではいけない。
すると、ラニタ王女は俺の顔をじっと見つめると、
「ちっとも分かってなぁああーーーーい!」
と言って、プイッと怒ったように踵を返してバルコニーから出ていってしまった。
「お……王女様……!?」
(え……?俺、何かヤバイこと言った……?)
わけが分からないながらも、何か間違いを犯したらしいことを察した俺は、すぐさまラニタ王女を追った。
(こんな俺なんかが総司令官なんて務まるんだろうか……しかも)
密かに想いを寄せているラニタ王女と共に肩を並べて、である。
などと、ラニタ王女を追いながら心の中で深刻ぶってはみたが、自然と頬が緩むのを自分でも意識していた。
因みに、後日聞いたところによると、ザンド王子とレノラ王女が隠れて様子を伺い、俺とラニタ王女のやり取りを思う存分楽しんだとのことだった。
ある晴れた日、剣戟の音が城の中庭に鳴り響く。
俺とザンド王子は日課である朝の剣の修練に余念がない。
ザンド王子の剣は鋭く、そして強い。
その剣技は王国一と言われており、彼の実力を疑うものは誰もいなかった。
実戦訓練で数合の剣を交えたあと、パッと後ろに飛び跳ねて王子が言った。
「君の剣は相変わらず重いね、レドン」
笑顔を見せる王子の額の汗が朝の陽光に輝いている。
「ありがとうございます」
俺は表情を和らげて王子に言った。
俺の家の爵位は男爵、貴族の中では最下級だ。
そんな俺がこうして王子の従者として仕えることができているのは、偏にご先祖様の武勲のおかげと言っていい。
我が家はどうやら剣の才能に恵まれた血筋らしく、俺の親父も祖父も王国でも一二を争う腕前で、戦場でも多くの武勲を上げたらしい。
そして俺は、偶然にも現王子のザンド殿下と同じ日に生まれた。
多くの武勲により国王の覚えがめでたかった親父と祖父は、生まれたばかりの俺を伴い揃って謁見を賜った。
王子が生まれてご機嫌の極みにあった国王は、
「それは、めでたい!その子を我が王子の従者としよう」
と即断即決、晴れて俺は王子の従者になったというわけだ。
「今日はこれくらいにしようか」
「はい」
そう答えながら俺は、側のベンチにかけておいたタオルを取り、一枚を王子に手渡した。
「ありがとう」
王子が爽やかな笑顔で言った。
容姿端麗、剣技は王国随一、人柄も、ややくだけ過ぎたところはあるが、地位に相応しい人格を持っている。
そんな王子を俺は心から慕い尊敬していた。
だが、実を言えば、その王子に対して、俺は決して口にはできない秘密を持っていた。
それは、自分のためではなく王子のため、ひいては王国のためだと思っている。
王子が王国一の剣技の持ち主ということは、王国中の誰もが知っていることだ。
日課である剣の稽古でも王子の剣のほうが俺よりも勝っていると、剣の師範も言っている。
実際そのとおりだ。そうなるように俺は王子と剣を交えているのだから。
そう、俺は王子と剣を交える時に手加減をしているのだ。
そうしないと、あっという間に、それこそ一合で王子を倒せてしまうから。
この事は、最初に王子と剣を交えた時に気づいてしまった。
我が家は武でのし上がった家だ。
当然のことながら、幼い頃から厳しい修練を課せられる。
体格などの元々の才能もあったのかもしれない。
それは、九歳で王子の従者として正式に出仕したその日、木剣での模擬戦ですぐに分かった。
(まともにやったら王子に勝ってしまう……)
俺はバレないように必死になって、手加減をした。
手加減をしていると知れたら却って王子の心象を悪くすると思い恐ろしかったからだ。
こうして九年の間、俺は王子を騙し続けてきた。
そして、今日、王子の婚約者が王宮を訪れる事になっている。
その婚約者は隣国のラニタ王女、ザンド王子と(そして俺とも)同い年の十八歳だ。
実を言えばラニタ王女と会うのはこれが初めてではない。
というより、幼い頃からお互い頻繁に行き来しているので、ザンド王子とラニタ王女は幼馴染のような間柄だ。
穏やかで物腰が柔らかいザンド王子とは対象的に、ラニタ王女は快活でハッキリとした物言いをする女性だ。
俺も、王子の従者となってからは、王子と共にラニタ王女と顔を合わせるようになり、親しくしてもらっていた。
ラニタ王女は誰に対しても分け隔てなく笑顔で接してくれる。
従者風情の俺などにも親しい友達にするように話しかけてくれる。
そうこうするうちに、困ったことに俺は新たな秘密を作ることになってしまった。
そう俺は、ラニタ王女に強い好意を抱いてしまったのだ。
よりにもよって主の婚約者に邪な感情を抱いてしまうとは……。
この事は何としても秘密にしておかなければならない。
「こんにちは」
俺と王子が稽古の汗を拭いているところに、後ろから女性の声がした。
振り返ればそこにはラニタ王女が立っていた。
「ごきげんよう、ラニタ王女」
王子が右手を胸に当てて頭を下げる。
俺はもちろん、跪いて頭を垂れた。
「相変わらず剣の稽古に余念がないのね」
「レナトリア王国軍総司令官殿の婚約者として恥ずかしくないように、と思ってね」
「あら、耳が早いのね」
「わがザドニア王国諜報部は俊足揃いだからね」
ラニタ王女の総司令官就任は俺も王子から聞かされていた。
恐らく両国間で事前の根回しがあったのだろう。
両国と国境を接している魔王国の存在を考えれば、両国の軍事的な結束は必要不可欠だ。
「それで、総司令官閣下におかれましてはいかなるご要件で?」
王子がわざとらしく聞くと、
「そうね……それでは王子様と一勝負お願いしようかしら?」
そう言いながら、王女はスラリと腰の剣を抜いた。
「おいおい、冗談だろ、ラニタ」
「何が冗談なものかしら」
不敵な笑いを浮かべる王女。
王女も剣の腕はレナトリア王国随一と言われている。
俺が見るところ、恐らくザンド王子以上だろう。
彼女は剣戟に地水火風の属性を付与して攻撃することができる、いわゆる魔法剣士だ。
ザドニアやレナトリアでは魔法剣士は稀な存在だ。
しかし……
(魔王国には魔法剣士が多いと聞く……)
彼女がレナトリア王国軍最高司令官に選ばれたのも、それが一番の理由だろう。
「それに……」
そう言いながら、ラニタ王女は肩越しに後ろを見た。
「妹の前で少しはいい格好をさせてもらわないとね」
すると、今までは柱の陰に隠れるようにしていたのであろう、レナトリア王国第二王女のレノラ王女が姿を現した。
「やあ、レノラ、よく来たね」
恐らく彼女の存在に気づいていたのであろう、ザンド王子はいつもの調子で挨拶をした。
「……殿下」
レノラ王女は、スカートの裾を両手で摘み、優雅なお辞儀をした。
そして、顔を上げて王子と目を合わせると、頬をバラ色に染めた。
「レノラ、レナトリア王国軍総司令官の剣技をよく見ているのよ」
「はい、お姉さま」
「頼むよ、姉妹して僕をいじめないでくれ」
などと、本気なのか遊びなのかわからないやり取りをしていると、城内にけたたましくラッパが鳴り響いた。
「ほら、式典が始まるよ。早く行かなきゃ」
と王女姉妹をわざとらしく急かすザンド王子。
「ラッパに助けられたわね」
そう言いながら、ラニタ王女はレノラ王女を見てウインクをした。
それを見たレノラ王女はクスクスと可笑しそうに笑った。
今日の式典は、ラニタ王女の総司令官就任を我が国の王に報告し、両国の軍事的結束をより強く内外に示すのが目的だ。
ひと通り式典が終わり、謁見室にてザドニア国王に対面したラニタ王女は、改めて国王に挨拶をした後にこう切り出した。
「実は、国王陛下にお願いがあるのですが」
「願い?」
「はい」
神妙な顔のラニタ王女。
「言ってみなさい」
「はい、お願いといいますのは……」
「うむ」
「私とザンド王子との婚約を解消していただきたいのです」
衝撃の告白に謁見室内は一気にざわつき始めた。
「な……なんだとぉ!?」
国王も予想外のことに動転を隠せないでいる。
「これには確たる理由があります」
ラニタ王女は落ち着いている。
「まず一つは、私がレナトリア王国軍総司令官に任命されたということは、魔王国との戦を念頭においてのことです」
「そ、そうだな……」
「そのような命の危険もある任務につかなければいけない私は、王子の婚約者にふさわしくないと思うのです」
「いや、だが……」
国王はラニタ王女の勢いに押されてしどろもどろである。
「それと、もう一つ」
ラニタ王女はザンド王子を見ながら言った。
「ザンド王子におかれましては、私に言えない秘密をお持ちのようですので」
「な、何ぃいいいいーーーー!」
国王は仰天してザンド王子を見た。
「いやぁ、何のことでしょう、ははは……」
乾いた笑いを響かせるザンド王子。
「ザドニア王国とレナトリア王国は同盟国として共に手を取り合って戦っていかねばなりません」
「そのとおりだ」
ラニタ王女の言葉に国王が頷く。
「となれば、互いの国の総司令官同士の信頼関係は大変重要な、国家の命運を大きく左右する重大事と心得ます」
「うむ……」
「そのあたりも考慮して、現ザドニア王国軍総司令官のザンド王子に替えて、他の方を総司令官に任命願いたいのです」
ラニタ王女がぴしりと言った。
「他の者と言ってもな……」
困り果てる国王。
「そこで、私に提案があります」
「提案……?」
「はい」
「うむ……聞こう」
「ザンド王子の代わりに従者のレドン殿を総司令官に任命されてはいかがでしょう?」
(えっ……!?)
俺は聞き間違いをしたのか?
「従者のレドンをだと?」
驚いて国王が聞き返した。
どうやら、俺の聞き間違いではなかったようだ。
それにしたって、俺を?
総司令官に?
なんの冗談だ。
「私もラニタ王女の提案に賛成です」
と、ザンド王子がすかさず言った。
「いえ……殿下」
さすがに俺も声に出して言った。
「まあ、突然のことで困惑しているだろうが、僕は全く根拠なく言っているわけではないよ、レドン」
「それは……」
「君が秘密にしていることを、僕が気づいていないと君は思っているのだろうが……」
「え……?」
まさか、俺が修練で手加減していることを王子は……。
「まあ、とにかく、君は総司令官に相応しい剣技と人格を待っているということだ」
ザンド王子が言うと、
「それでは決まりね」
ラニタ王女が呼応した。
「なんだか、私は埒外に置かれてしまっているようだが……まあ、いいだろう。未来は若い者たちのものだ。君たちが決めたようにやりなさい」
そう、笑顔で言う国王は心無しか寂しそうであった。
「「ありがとうございます」」
ザンド王子とラニタ王女が並んで頭を下げた。
「ところで、ザンド」
「はい、父上」
「王女が言っていた秘密とは、一体何なのだ」
恐らく今日一番の厳しい顔で国王は王子に問いただした。
「あ、いえ……それは……」
あからさまにたじろぐザンド王子。
「そのことでしたら、私からきっちりとお話させていただきますので、ご心配なさらないよう」
と、ラニタ王女がきびきびと言った。
「そ、そうか」
「はい」
太陽のような笑顔で答えるラニタ王女。
どうやら、国王はラニタ王女を娘のように思っているらしく、彼女の笑顔には抗えないようだ。
こうして、謁見室を辞した俺達はザンド王子の私室に集まった。
「で、ザンド?私に言うことがあるんじゃない?」
ラニタ王女は腰に手を当てて、鋭い視線でザンド王子に問いかけた。
どうやら、先程の秘密のことのようだ。
「すまん、ラニタ」
ザンド王子は腰を九十度か、それ以上折り曲げてラニタ王女に謝った。
「ふう……まさか私の妹に手を出すなんてね」
ラニタ王女がため息をつきながら言った。
(え……妹?ということは……レノラ王女!?)
「手を出すだなんて……」
必死に言い訳をしようとするザンド王子。
「レノラから全部聞いて知ってるのよ」
有無も言わせない口調のラニタ王女。
「スンマセン」
ザンド王子は降参したようだ。
「で、レノラ、何をされたんだっけ?」
ラニタ王女がレノラ王女に聞いた。
「え……?」
レノラ王女は咄嗟のことで返答に困ってしまっているようだ。
「ほっぺにキスだっけ?」
「お姉さま!」
レノラ王女は顔を真赤にして抗議した。
「まあ、いいわ。レノラの気持ちは私も聞いているし、理解もしているわ」
どうやら、ザンド王子とレノラ王女は相思相愛のようだ。
「ただし」
そう言ってラニタ王女は腰の剣に手を置き、
「もし、レノラを泣かせるようなことをしたら、この剣にかけて許さないわよ」
「も、もちろんだよ、ラニタ」
ザンド王子もたじたじだ。
「それじゃ、国王陛下へ報告に行ってらっしゃい」
「え?ラニタも一緒に行ってくれるんじゃないのかい?」
「何言ってるのよ、私は振られたのよ?なんで振られた私がそこまでしなきゃいけないのよ!」
「ええ……?こりゃあ、ぶん殴られそうだなぁ、父上に……」
「殴られてきなさい」
と、にべもなく言うラニタ王女。
「大丈夫ですわ、殿下。私が国王陛下にご説明いたしますから」
ザンド王子に寄り添いながら健気に言うレノラ王女。
「おお、レノラ。我が愛しの姫よ」
と、演劇じみたセリフを言うザンド王子に、
「ああ、殿下……!」
と、満更でもなさそうなレノラ王女。
まさにお似合いの二人のようだ。
「もう、見せつけてくれるわねぇ、まったく。行きましょう、レドン」
ラニタ王女は、そう言って部屋を出た。
俺は、どうしようか一瞬迷って、ザンド王子を見た。
王子はレノラ王女に寄り添いながら、俺に軽く頷いた。
それを見て俺は王子に軽く礼をして部屋を出て、ラニタ王女の後を追った。
ラニタ王女は廊下を少し行った先の扉の前で待っていた。
俺が追いつくと、
「少しお話をしましょう」
と言って、扉を開けてバルコニーに出た。
俺も、ラニタ王女の後からバルコニーに出て、柵に肘をついて王宮の庭園を眺めているラニタ王女の横に、少し間を空けて並んだ。
「今日は色々とあって大変だったでしょう?」
庭園を見ながらラニタ王女が言った。
「そうですね……」
「でもね、あなたを総司令官にということは以前からザンドと話して決めていたのよ」
「そうなんですか!?」
俺は少なからず驚いた。
「ザンドも言ってたでしょ?あなたが本当の力を秘密にしているって」
「はい……」
「彼、言ってたわ……魔法剣を使わなければ、レナトリア随一と言われている私でもあなたには勝てないだろうって」
「そうなんですか!?」
「ええ、だから、あなたの力がきっと必要になるって思ったの」
「それは、魔王国との戦《いくさ》を想定してということですか?」
「そうよ、私がたかだか十八歳で総司令官に任命されたのと同じことよ」
「魔法剣……ですね?」
「ええ、あなたにも修得してもらうわ」
「できるのでしょうか……?」
「できると思うわ……してもらわなければ困るし」
「わかりました……」
しばしの沈黙の後、重くなってしまった空気を軽くしようとでもするように、ラニタ王女が切り出した。
「ところでね、さっきのザンドの秘密のことだけど」
「はい」
「あれね、実は秘密でもなんでもなかったの」
と、ラニタ王女があっけらかんとした様子で言った。
「え?」
「私とザンドは子供の頃に婚約者になったの、まあ、政略的にね」
「はい……」
「で、私もザンドもお互いが好きではあったけど、あくまでも友達としてという感じだったわ」
「……」
「レノラは私達の二歳下なんだけど、お年頃になる頃にはザンドに恋してたの、それでね」
「はい」
「ザンドに気持ちを伝えなさいって私から言ったの、レノラに」
「ええ!?」
これは意外な展開だった。
裏でそんな駆け引きがあったとは……。
「で、レノラはザンドのハートをしっかり掴んで、ほっぺにキスまでさせたってわけ」
そう言って、ラニタ王女は楽しそうにクスクスと笑った。
「それで……王女様はそれでいいのですか?」
形の上だけとはいえラニタ王女はザンド王子の婚約者なのだし。
「え?私が気にするかってこと?全然平気よ」
まさにあっけらかんとした様子のラニタ王女。
「ザンドには、ちょっと意地悪だったかもしれないけど」
と、ラニタ王女はペロッと舌を出した。
(女の子って怖いかも……)
俺は生まれて初めてそう思った。
「秘密って言えばさぁ……」
ラニタ王女が思い出したように言った。
「レドンにも秘密がありそうだよね、剣技を手加減してた他にも……」
と、俺を流し目で見ながらラニタ王女が言った。
(え……それは……絶対知られてはいけない秘密だ……!)
「い、いえ……他に秘密なんて、はは……」
(ヤバい……挙動不審になってないか俺?)
「そう……まあ、そういうことにしておいてあげる」
と、大いに含みのあることを言うラニタ王女。
「でもね、私にも、もう一つ秘密があるんだぁ」
「え……レノラ王女のことの他にもですか?」
「うん」
「それは……?」
「もちろん……」
「……?」
「ヒ、ミ、ツ!」
「ええ……!?」
そして、ラニタ王女は両腕を空に向かって伸ばし、くるくると踊るようにその場で回りながら、
「女の子にはね、幾つも秘密があるんだよ!」
と、言って、楽しそうにケラケラと笑った。
(天使って、きっとこんな感じなんだろうな……)
くるくると踊りながら、軽やかに笑うラニタ王女を見て俺は思った。
すると、
「でもね」
と、ラニタ王女はピタリと止まって言った。
「女の子の秘密にはね、二種類あるんだよ」
「二種類……ですか?」
「そう、二種類。なんだか分かる?」
「いえ……」
「それはねぇ……」
「はい」
「暴かれたくない秘密と、暴いてほしい秘密!」
「暴いてほしい秘密?」
「そう!」
「そんな秘密があるんですか?」
「あるんだよぉーー今の私の秘密はそれ!」
「それは、なんですか?」
「それを、聞いちゃうの?」
「だめなんですか?」
「だめに決まってるでしょ!」
(う~ん……わからない)
今後、魔王国との戦に向けて司令官として並び立つうえで重要なことなのだろうか。
「それは、重要なことなのでしょうか?」
「とぉっても重要だよ!」
「戦略的な意味で……ですか?」
「戦略……そうね、戦略と言ってもいいかもしれないわね」
「分かりました」
「本当に分かったの?」
「はい、今後は特に対魔王国に関し、戦略面、戦術面と、あらゆる点を考慮し、王女様が密かに意図しておられるところを、しっかりと理解できるよう務めてまいります」
そうだ、これからは司令官としてラニタ王女と肩を並べて戦わなければならないのだ。
半端な覚悟ではいけない。
すると、ラニタ王女は俺の顔をじっと見つめると、
「ちっとも分かってなぁああーーーーい!」
と言って、プイッと怒ったように踵を返してバルコニーから出ていってしまった。
「お……王女様……!?」
(え……?俺、何かヤバイこと言った……?)
わけが分からないながらも、何か間違いを犯したらしいことを察した俺は、すぐさまラニタ王女を追った。
(こんな俺なんかが総司令官なんて務まるんだろうか……しかも)
密かに想いを寄せているラニタ王女と共に肩を並べて、である。
などと、ラニタ王女を追いながら心の中で深刻ぶってはみたが、自然と頬が緩むのを自分でも意識していた。
因みに、後日聞いたところによると、ザンド王子とレノラ王女が隠れて様子を伺い、俺とラニタ王女のやり取りを思う存分楽しんだとのことだった。
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