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いよいよ撮影が始まる。
と言っても等身大の深月さんを撮影するのが写真集なので、いつもの仕事のように畏まったポーズ決めは無い。
満点の星空で、ロケーションは完璧だ。
長谷川さんは次々とカメラのシャッターを押す。
俺と他のスタッフはデータを確認していく。
「綺麗…」
つい口に出してしまった。
星空に負けないくらい深月さんが綺麗だったからだ。
「あ、支倉くーん!ちょっと来てー」
突然長谷川さんに呼ばれた。
「支倉君さ、深月君とここで寝っ転がって話しててよ。それ撮るから」
「えっ?」
「大丈夫、深月君しか写さないから」
これは何か意味があるんだろうか。
しかも話してて欲しいと言われても、長谷川さんはカメラを構えているし何を話すって言うんだ。
「深月さん、あの星なにか分かります?」
恐らく自然体の深月さんを撮りたいんだと思うが、それでなぜ俺が呼ばれたのだろう。
マネージャーだからか?
撮影のためなら、と自然に雑談を振る。
「カノープスだろ」
「え、深月さん星分かるんですか?」
「まぁ、小さい頃親に連れられてて覚えたんだ」
カノープスは、白い輝星で日本では一部地域でしか見られないがモルディブでははっきり見える。
なるべく自然体な深月さんを出せるようにするが、長谷川さんがいるからかどこかぎこちない。
その上長谷川さんは中々シャッターを切らない。
「し、支倉も星好きなの?」
深月さんは、真太郎と言いかけた。
が、マネージャーを名前で呼ぶと変に怪しまれると思ったのか苗字に言い替えた。
「俺高校の時天文部でしたもん」
「え、めっちゃ帰宅部と思ってた」
深月さんは、フッと笑う。
その時、長谷川さんはシャッターを切った。
「支倉君もういいよ、ありがとう」
「え、はい。じゃあデータ確認してきます」
一体何なんだろう。
確かにさっきの表情は自然体とは思うけど、別に俺を話し相手にしてまでやる必要はあるのか?
深月さんはプロなわけで自然体に見せる表情だって出来るのに。
星空での撮影は終了した。
元々予定には無かったが、朝日も綺麗なので朝も撮影することとなった。
ホテルに戻り、深月さんが着替え終わるまで俺は今日のデータを見ていた。
撮ったもの全てが写真集に載るわけではない。
勿体無いな。全部こんなに綺麗なのに。
「綺麗だよね」
突然、背後から声がした。
声の主は長谷川さんだった。
「そ、そうですね。流石長谷川さんです」
びっくりした。急に声掛けないでくれよ、と思った。
「深月君を前に撮ったのは数年前だけどその時とは随分雰囲気が変わっていたね。もしかして支倉君のおかげなのかな?」
「さぁ…。まぁ、歳も近いですし。気が合うとこはあるからじゃないですかね」
「深月君は橘君とも仲良かったけど、彼とも距離はあったからね」
「え、そうなんですか?」
つい食いついてしまった。
「そうだよ。距離が近いと思ったの?達観そうに見えたけどやっぱりまだまだ若いね」
長谷川さんの事は誤解していたのかもしれない。
この人は人間観察が上手くて、人の気持ちを見透かすのが得意なだけなのかもしれない。
だから橘のような嫌な感じはしなかった。
深月さんが苦手と言うのは、自分が見透かされそうだからなんだろうな。
AD時代、自分と同業のあくどい人の噂はよく聞くが、長谷川さんは聞いた事ない。
「仲はいいけど、君に対する信頼と同じ熱量は対橘君には無かったんじゃない?じゃなきゃ深月君と橘君が今の君たちみたいな関係になってたと思うけど」
「ん?」
「あれ、違ったかな?付き合ってるでしょ?」
と言っても等身大の深月さんを撮影するのが写真集なので、いつもの仕事のように畏まったポーズ決めは無い。
満点の星空で、ロケーションは完璧だ。
長谷川さんは次々とカメラのシャッターを押す。
俺と他のスタッフはデータを確認していく。
「綺麗…」
つい口に出してしまった。
星空に負けないくらい深月さんが綺麗だったからだ。
「あ、支倉くーん!ちょっと来てー」
突然長谷川さんに呼ばれた。
「支倉君さ、深月君とここで寝っ転がって話しててよ。それ撮るから」
「えっ?」
「大丈夫、深月君しか写さないから」
これは何か意味があるんだろうか。
しかも話してて欲しいと言われても、長谷川さんはカメラを構えているし何を話すって言うんだ。
「深月さん、あの星なにか分かります?」
恐らく自然体の深月さんを撮りたいんだと思うが、それでなぜ俺が呼ばれたのだろう。
マネージャーだからか?
撮影のためなら、と自然に雑談を振る。
「カノープスだろ」
「え、深月さん星分かるんですか?」
「まぁ、小さい頃親に連れられてて覚えたんだ」
カノープスは、白い輝星で日本では一部地域でしか見られないがモルディブでははっきり見える。
なるべく自然体な深月さんを出せるようにするが、長谷川さんがいるからかどこかぎこちない。
その上長谷川さんは中々シャッターを切らない。
「し、支倉も星好きなの?」
深月さんは、真太郎と言いかけた。
が、マネージャーを名前で呼ぶと変に怪しまれると思ったのか苗字に言い替えた。
「俺高校の時天文部でしたもん」
「え、めっちゃ帰宅部と思ってた」
深月さんは、フッと笑う。
その時、長谷川さんはシャッターを切った。
「支倉君もういいよ、ありがとう」
「え、はい。じゃあデータ確認してきます」
一体何なんだろう。
確かにさっきの表情は自然体とは思うけど、別に俺を話し相手にしてまでやる必要はあるのか?
深月さんはプロなわけで自然体に見せる表情だって出来るのに。
星空での撮影は終了した。
元々予定には無かったが、朝日も綺麗なので朝も撮影することとなった。
ホテルに戻り、深月さんが着替え終わるまで俺は今日のデータを見ていた。
撮ったもの全てが写真集に載るわけではない。
勿体無いな。全部こんなに綺麗なのに。
「綺麗だよね」
突然、背後から声がした。
声の主は長谷川さんだった。
「そ、そうですね。流石長谷川さんです」
びっくりした。急に声掛けないでくれよ、と思った。
「深月君を前に撮ったのは数年前だけどその時とは随分雰囲気が変わっていたね。もしかして支倉君のおかげなのかな?」
「さぁ…。まぁ、歳も近いですし。気が合うとこはあるからじゃないですかね」
「深月君は橘君とも仲良かったけど、彼とも距離はあったからね」
「え、そうなんですか?」
つい食いついてしまった。
「そうだよ。距離が近いと思ったの?達観そうに見えたけどやっぱりまだまだ若いね」
長谷川さんの事は誤解していたのかもしれない。
この人は人間観察が上手くて、人の気持ちを見透かすのが得意なだけなのかもしれない。
だから橘のような嫌な感じはしなかった。
深月さんが苦手と言うのは、自分が見透かされそうだからなんだろうな。
AD時代、自分と同業のあくどい人の噂はよく聞くが、長谷川さんは聞いた事ない。
「仲はいいけど、君に対する信頼と同じ熱量は対橘君には無かったんじゃない?じゃなきゃ深月君と橘君が今の君たちみたいな関係になってたと思うけど」
「ん?」
「あれ、違ったかな?付き合ってるでしょ?」
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