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河童の松のものがたり
河童の松のものがたり
しおりを挟むむかしむかし、伊崎浦という場所に、嘉兵衛という お酒が大好きな漁師がいました。
ある日 嘉兵衛は漁に出たのですが、その日は魚が取れませんでした。
すると嘉兵衛は持ってきていた徳利から酒を茶碗に注ぐと、独りで船上の酒宴を開きました。
嘉兵衛は呑みに呑みました。
そして酔いが回り始めてから暫くすると、海の中から河童が現れ、自分も酒が欲しいと嘉兵衛に頼みました。
しかし嘉兵衛は河童の態度が無礼であったので、酒を分けませんでした。
ついに嘉兵衛は、海の上で寝てしまいました。
たっぷりの睡眠の後、嘉兵衛が目を覚ますと、船は砂浜に打ち上げられいました。
嘉兵衛は寝惚け眼な状態ではありましたが、徳利の中身を確認します。
するとその中身は、海から現れた河童が全部飲み干してしまった後でした。
河童は、嘉兵衛に謝りました。
そしてそのお詫びに、嘉兵衛が漁に出て魚が獲れない時は魚を捕まえてあげることを約束しました。
それからはいつも漁に恵まれたということです。
そして、それは現代においても……
嘉兵衛の子孫と、河童の子孫の間で、約束は続いているのでした。
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