芙蓉の喋り場

高城蓉理

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 私は定期的に【放送禁止用語】の再確認をしています。

 何故、唐突にその話題?と声が聞こえてきそうですが、それは最近私が資料の更新をしたからという単純な理由です。
 私がいま仕事をしている会社は数百個の放送禁止用語がリスト化されていて、NGワードと代替表現が書いてあります。ただ代替え表現のなかには「いや、それオンエアで言うことある? 」と突っ込みたくなるものもあったりします。放送禁止用語なので、ここに書くのは割愛しますが、無理やり代替え表現を作り出した故に回りくどくて意味がわからなくなっていたり、酷い悪口がマイルドな悪口になっただけだったりと、いろいろあります。

 放送禁止用語は局が独自に定めているものですが、多少のグレーゾーンの違いはあるものの、アカン単語はだいたい同じです。もしその単語を口にしたら、大変なことになりますので、表方裏方関係なく放送を生業にしている人間は必ず覚えておかなくてはいけません。
 幸い私はまだ放送禁止用語をオンエアで口にしたことはありません。ただ明日は我が身なので、常日頃の自分の発言から気をつけているのはもちろん、同業者との会話で無意識に出てきたりしたら、お互いに容赦はなく指摘し合うのが暗黙の了解です。でもどんなに気を付けていても、生番組で全くのゼロにすることは難しくて、私も何回か他の出演者の発言に謝罪を入れたことがあります。
 

 放送禁止用語と切っても切り離せないのは、表現の自由と言葉狩りの議論かと思います。この話題については答えは簡単には出ないと思っているので、どちらの言い分も理解はできます。

 ただ私は趣味で小説を書いてますが、この議論に参戦することはありません。
 私はあくまでも放送業で生活しているので、小説を書くときは、前後の文脈云々などをひっくるめたとしても、現代の基準に見合わない表現は使わないと決めています。放送禁止用語は私たちにとっては敵であり、深く思考する余地もなく、絶対にオンエアに乗せてはいけない存在としか認識していないです。そんなことを書いてしまうと、もっと考えて仕事をしろと言われそうですが、こちらとしては現代社会に不適格とされる表現をすることは許されない立場にいるので、条件反射に近いものがあります。
 そんなこともあり、私は現代以外を舞台とすると、表現での危険が生じるので、心情的に書けないなと思っています。どちらにせよ現代以外の内容を小説を書くのは力量的にも私には無理な気がするので、あまり残念ではないですけどね。 

 ここからの話はちなみにの話ですが、放送業高城モードの私が気になって仕方ない単語は【悪役令嬢】です。
 実はこの【令嬢】という単語は使用に注意すべき単語となっていて、逆差別にならないようにすると注釈がついています。なので、一般的なテレビ番組では実際の人物に対して呼称として使われることはありません。そんな中【悪役令嬢】とタイトルにある作品が数多くアニメ化しているのは、前後の文脈と逆差別に注意が払われているからなんだと解釈しています。ただ条件反射で放送禁止用語に反応してしまう私としては違和感が半端ないです。 

 あと私が個人的に注意しているのは、後宮系の作品です。舞台背景的に放送禁止用語のオンパレードなので、実はあまり読まないようにしています。物語にのめり込み過ぎて日常生活でポロっとアカン単語が出ちゃうのが怖すぎるので、もう少しマイルドな表現で書いてくれると助かるのになー、といつも思っています。完全なる私見ですが、時代不適合な単語って作品に雰囲気がでるんですよね。でも個人的には、そこに頼らずなんとかしてくれたら、それこそプロじゃない?と思ってます。

 言葉狩り以前に、放送に乗せるのを自粛することにした表現というのは、現代や未来に持ち越すのは止めようと先人たちが決めた言葉たちなんですよね。実際に私世代では死語になっていて、私自身も放送禁止用語リストで初めて知った差別表現はたくさんあります。だからこそ、大多数が知らなくなった言葉をわざわざ掘り起こさなくてもいいのではないかとは感じています。



 
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