倭国女王・日御子の波乱万丈の生涯

古代雅之

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  第3章 【金官伽耶国《クムグァンガヤコク》】における【ミカ】と【ハヤテ】

 〔28〕浜に難波・漂着した汚泥まみれの少年(?)

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  ハヤテが働き始めてから、1ヶ月が過ぎた。

仕事帰りに立ち寄った砂浜に寝そべって、疲れをやしていた。

日没直後で、まだ薄明るかった。


  ふと、前方の波打ち際を眺めると、汚泥まみれの少年らしき者が、板切れと共に浜辺に打ち上げられていた。

ハヤテは昨年、イト国の海岸で、心肺停止の少年の救命措置(人工呼吸)に成功したことを誇りに思っていた。

 
  「フッ、二度目か、楽勝だな!」

と、ツブヤきながら、大きく、胸元をはだけ、胸に手をやってみた。

生暖かく、心の臓は脈打っていた。

「フッ、二度目も、楽勝だったな!」

と、ツブヤきながらも、何故ナゼか違和感がある。

手を離して立ち上がろうとしても、右手がいうことを聞いてくれないどころか、左手も胸に吸い寄せられてしまった。

試しに、両手でモミモミすると、脈打ちが早くなり、その少年(?)の両眼が見開かれ、ハヤテと眼と眼が合って、驚いて両手を離した瞬間、ハヤテの前歯と少年の前歯が、壮絶にぶつかってしまった。

「ツゥー!」「イターッ!」

二人がそれぞれ、叫ぶや否や、少年の右平手打ちがハヤテの左頬に、「パァーン」と大きく炸裂した。

その勢いで、ハヤテは右側に倒れ込んでしまった。



  少年は立ち上がり、腰に巻いていた麻紐アサヒモククり付けていた、長い麻袋から何かを取り出していた。


ハヤテは何を言い訳しても無駄と悟り、十数歩後ずさりした。


「コラー!」
「逃げるなー!」
「許さーん!」
「殺す!」

ドスの利いた大声が響き渡った。


・・・やはり、男だ!・・・
・・・一瞬、女の子かも?・・・
・・・などと、思った自分が馬鹿だった・・・
・・・エッ!?・・・
・・・倭国語!?・・・

などと混乱し、考えあぐねていた一瞬のスキに、

その少年が高く跳躍して、上段から剣を振り下ろそうとしていた!!
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