いたわり

雪乃

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事情聴取・交番

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電話で通報してきた犯人の声色と言ったら、こっちが驚きましたよ。だって淡々と「人を殺しました。二人です。」なんて言うもんだから、イタズラだって思うじゃないですか。
……え?それは僕が警官として経験不足だから、ですか?はあ……じゃあ、先輩はああいった人をたくさん見てきたワケですか。凄いですね、普通なら声だけじゃなくて、体ごと必死に振るわせるもんだとばかり。
普通に囚われるようじゃ犯罪なんて起きない、確かにそうかも知れませんけど。
ああ、すみません。一応は事情聴取って形ですもんね。
この町に警察署はありません。だから、隣の市にある立派な建物からパトカーを呼ばないといけないんです。なにせ、この町にあるのは消防署と、隣にある小さな交番だけですよ。正直この町で殺人が起きたことすら信じられないです。だって、こんなに小さくて、退屈な町の中に殺したい人なんてそうそういるはずがない。居るとしたら……そうですね、
どうでもいい人、くらいなんじゃないでしょうか。
ありゃ、また話が脱線した。とにかく、市に出動要請を出した後、自分も交番を出て向かいました。パトカーはもちろん無かったので、レンタカーで。といってもレンタカーの借り場所はすぐ近くだったんですけど、初めて殺人事件というのに出くわしたっていう実感がどんどん湧いてきて。手から汗が止まらなかったんですよ。全身に力が入らなくなってきて。そのせいで現場に合流するのは遅くなってしまいましたけど、肝心の警察官が使えないってなるよりは良かったと思います。数分ほど深呼吸をしながら、通りの少ない車道をのろのろと走っていました。
幸い、火事とかは起きてなかったですね。本当にただの……いや、相当むごいと思いました。特に、女性のほうは。
すでに検死に来ていた人に話しかけて、死因は包丁で引き裂かれたんだと教えられました。首元から股まで、ほぼ一直線に。それから、中にある内臓、喉元やら肺やら、子宮まで。ぜ、全部。引きずり出されてたんです。
ああ、いえ、大丈夫、です。血が苦手だからこの町に来たと言っても過言じゃないのに、まだ警察官として半人前ですね。僕。
遺体は二人ともそのままで、ゴミとして捨てられてる、なんてことは無かったですね。僕としては、家のすぐそばの壁にあるゴミ捨て場にでもバラバラにした遺体を放ってくれれば良かったのに。
警官として失言?いいんです。
僕、今月末でここ、辞めますから。
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