いたわり

雪乃

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帰郷2

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関西の田舎町といえば「だんじり」だろう。
家よりも大きな神輿をいくつも担いで車道を練り歩く、いや、走り抜けると言ったほうが心の中にすとんと落ちた。毎年だんじりを担ぐ青年隊が怪我をしているというのに「伝統だから」という理由でこの祭りは20年経った今でも行われ続けている。そんな伝統とやらに縛られ続けるこの街が、私は嫌いだった。

何もかも中途半端で、そのくせ町の開発もろくにしないのだ。かつては一番の大通りだった、だんじりの通り道も今ではこぢんまりとした建物ばかりに見える。あるとしたら、そうだ。大手のファストフード店が無駄に広い土地を活かしてドライブスルーつきの二階建て店舗を建てたくらいだ。
この街全体が古いのならば、私の家が古く頭の固いところだったと納得できるだろう。けれど、それはそれで別問題だ。私はこの街が嫌いで、それよりもっと、家族が憎かった。

「あら、久しぶりやないの」
祖母の声が聞こえる。懐かしいようで古臭い、高齢者独特の匂いの中にいる。
「久しぶりぃ」
ヘラヘラ笑うそぶりを見せて仮面をかぶる。もう誰の声も聞きたくないはずなのに、どうして祖母と祖父の家にいるのだろうか。
「おじいちゃん、元気?」
「おじいちゃん入院しとったけど、今は家におるよ」
「ほんまに!よかった」
それだけは本心で出てきた言葉だった。祖父のことは好きでも嫌いでもないが、私の人生になんら口出しもしなかった。ただそれだけで他人として心配ができるのだ。
部屋の奥に入れて貰えばすぐそこに祖父がいた。驚いた顔で私を見た祖父に、どうしてからクスリと笑みがこぼれてしまう。
「久しぶり」
「久しぶりですぅ」
きっと祖父も私と同じ、人とコミュニケーションをあまり取らないタイプだ。だから緊張しているのだろう。まともにそうと話したのはいつだったか?4、5歳くらいで記憶は止まっている。
「そういえば、お母さんには連絡した?」
水を差すように祖母がきつく投げかけた。せっかくの安らぎになんてことを。
「ああ、今からね。実家行くからついでにおばあちゃんち寄ったんよ」
「あらそう。ちゃんと挨拶しいや」
「ははは、します」
実家の話なんてしたくもない。さっさと向かって、やることやって帰ろう。

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