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第一章 攻略対象一人目 正しい第一王子の取り扱い方
やっぱりやるんだ断罪イベントー②
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「それならば私が適任でしょうな。我が職位を持って見届けましょうぞ」
名乗りを上げたのは神殿の神官長だ。
神殿関係者を学園側が招待する。これは恒例だ。
レティエルは懇意な神官長にお願いをして来てもらっていたのだ。
(‥‥神殿への寄付金、奮発したし)
王子を嵌めるための努力と財力を怠ることはない。
用意周到な彼女に抜かりはないのだ。
この国の婚姻は特殊だった。
それは『神からの祝福を受ける』ことだ。
職位が神官長以上の神殿関係者立ち合いの元、神から祝福を授けてもらうと言うのだ。マジかよ。
祝福を受けての婚姻関係になる。
そのため婚姻の解消や離縁は神からの縁結びを切ることとなる。
大抵は縁組を破談にすることはない。
お互い利のみを求めて呑み込むのだ。
レティエルには躊躇いはない。王子との縁結びが切れるのだ。
ブチ切ってもらいたいものだ。
喜んで神官長にお願いをしたのだ。
もうレティエルには王子を追い込むのに情けをかけてやる気持ちは、ない。
(‥‥まさか本当に断罪イベントをやるとはな。今夜は明日の学園卒業者への祝賀会だってのに。お前は何しちゃってくれてるんだよ。この馬鹿王子! 公共の場を私的に使うなよな。‥‥イヤ、ある意味これも公的だな。この国の王子の婚姻に関することだしな。まあ、いいか。筋書通り進めるとしようか)
王子は突然現れた神殿の者と、目の前に突き出された書類と今まで見たことがないレティエルの満面の笑顔を見比べ、予想外の展開に動揺していた。
(王子よ。目がキョドってる。おいおい)
「な、なんだ…これは‥‥」
王子は感情を隠すことを忘れ、振るえる手と声に怒りを滲ませているようだ。
(そういえばこいつは子供ん時から思い通りに行かないと怒るんだったな)
レティエルは、相変わらず子供っぽい癇癪持ちな王子に呆れていた。
「何と、と申されても‥‥。お分かりになりませぬか? ふぅ。お読みいただければ一目瞭然かと。目を悪くなされましたか? クリスフォード様。おそらくご多忙過ぎて必要な書類のご用意できないかと思いまして。僭越ながらわたくしが揃えて差し上げましたの。それにこちらの神官長は善意で名乗りをあげられたのですよ? 何か問題がありまして」
残念だったな。
お前は準備できなかったんだろう。王子の詰めの甘さを詰りながら煽る煽るレティエル。
「レティエル!俺を馬鹿にするのか!明らかにおかしいだろう!なぜこの場に神殿の者がいる。ここは学園の中だぞ!」
(いや、お前馬鹿じゃん。あと、人称が俺になってるぞ。どこで覚えた。親泣くぞ?それに神殿関係者がいるのは学園側の招待じゃん。決まりだろ。何いってんのお前)
レティエルは呆れた表情を隠すことなく神官長に目配せする。
ちょっとウインクっぽいかも。
「これはこれはクリスフォード第一王子。毎年学園長の名の元に神殿関係者が招待されているではありませんか。まさかその意味をお忘れに?」
レティエルは震えが止まらなかった。
王子のお馬鹿は健在だ。
我慢した笑いが全身を襲う。
堪らない。誰か止めて。
「レティエル様!ひっひどいわ‥‥」
突如、王子の横からか弱げな声が聞こえてきた。
(ンン‥‥誰だ?)
今この場で自分に声を掛けることができる高位の者は王子と神官長だけなはず。
予想外な声掛けに震えが止まった。
思わぬ助け船だなと声の元に視線を送ると、そこには王子の腕に縋りついている女がいた。
(ああ、そういえば、いたっけこの女。アホらしくて視界から外していたわ)
か弱げな声とは裏腹に、レティエルを見つめる目には激しい憎悪が見てとれた。
(うひぃー。睨むなよお嬢ちゃん。こえーわ)
名乗りを上げたのは神殿の神官長だ。
神殿関係者を学園側が招待する。これは恒例だ。
レティエルは懇意な神官長にお願いをして来てもらっていたのだ。
(‥‥神殿への寄付金、奮発したし)
王子を嵌めるための努力と財力を怠ることはない。
用意周到な彼女に抜かりはないのだ。
この国の婚姻は特殊だった。
それは『神からの祝福を受ける』ことだ。
職位が神官長以上の神殿関係者立ち合いの元、神から祝福を授けてもらうと言うのだ。マジかよ。
祝福を受けての婚姻関係になる。
そのため婚姻の解消や離縁は神からの縁結びを切ることとなる。
大抵は縁組を破談にすることはない。
お互い利のみを求めて呑み込むのだ。
レティエルには躊躇いはない。王子との縁結びが切れるのだ。
ブチ切ってもらいたいものだ。
喜んで神官長にお願いをしたのだ。
もうレティエルには王子を追い込むのに情けをかけてやる気持ちは、ない。
(‥‥まさか本当に断罪イベントをやるとはな。今夜は明日の学園卒業者への祝賀会だってのに。お前は何しちゃってくれてるんだよ。この馬鹿王子! 公共の場を私的に使うなよな。‥‥イヤ、ある意味これも公的だな。この国の王子の婚姻に関することだしな。まあ、いいか。筋書通り進めるとしようか)
王子は突然現れた神殿の者と、目の前に突き出された書類と今まで見たことがないレティエルの満面の笑顔を見比べ、予想外の展開に動揺していた。
(王子よ。目がキョドってる。おいおい)
「な、なんだ…これは‥‥」
王子は感情を隠すことを忘れ、振るえる手と声に怒りを滲ませているようだ。
(そういえばこいつは子供ん時から思い通りに行かないと怒るんだったな)
レティエルは、相変わらず子供っぽい癇癪持ちな王子に呆れていた。
「何と、と申されても‥‥。お分かりになりませぬか? ふぅ。お読みいただければ一目瞭然かと。目を悪くなされましたか? クリスフォード様。おそらくご多忙過ぎて必要な書類のご用意できないかと思いまして。僭越ながらわたくしが揃えて差し上げましたの。それにこちらの神官長は善意で名乗りをあげられたのですよ? 何か問題がありまして」
残念だったな。
お前は準備できなかったんだろう。王子の詰めの甘さを詰りながら煽る煽るレティエル。
「レティエル!俺を馬鹿にするのか!明らかにおかしいだろう!なぜこの場に神殿の者がいる。ここは学園の中だぞ!」
(いや、お前馬鹿じゃん。あと、人称が俺になってるぞ。どこで覚えた。親泣くぞ?それに神殿関係者がいるのは学園側の招待じゃん。決まりだろ。何いってんのお前)
レティエルは呆れた表情を隠すことなく神官長に目配せする。
ちょっとウインクっぽいかも。
「これはこれはクリスフォード第一王子。毎年学園長の名の元に神殿関係者が招待されているではありませんか。まさかその意味をお忘れに?」
レティエルは震えが止まらなかった。
王子のお馬鹿は健在だ。
我慢した笑いが全身を襲う。
堪らない。誰か止めて。
「レティエル様!ひっひどいわ‥‥」
突如、王子の横からか弱げな声が聞こえてきた。
(ンン‥‥誰だ?)
今この場で自分に声を掛けることができる高位の者は王子と神官長だけなはず。
予想外な声掛けに震えが止まった。
思わぬ助け船だなと声の元に視線を送ると、そこには王子の腕に縋りついている女がいた。
(ああ、そういえば、いたっけこの女。アホらしくて視界から外していたわ)
か弱げな声とは裏腹に、レティエルを見つめる目には激しい憎悪が見てとれた。
(うひぃー。睨むなよお嬢ちゃん。こえーわ)
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