転生先は小説の‥…。

kei

文字の大きさ
132 / 365
第六章 狙われた理由。

敵の作戦なの?

しおりを挟む
発言の許可を許された護衛が無事な俺に安堵したのと目的は本当に監視だったのか、他に目論みがあったのではと感じた違和感を告げる。

どうも俺だけ無事なことに何か裏を感じるらしい。

‥‥スルリと懐に忍び込まれて誤認させてくる敵なんて恐怖じゃん。
そう思うと周囲の者を疑っちゃうね。そうなると護衛に対してこいつ大丈夫か?と側に置くのを躊躇う。護衛対象が護衛を疑うなんて目も当てられない。


目的が監視以外? 何それ?

母さんもジオルドも「これは心理的に追い詰める手段か?」と相手の卑劣さに嫌な顔だ。どうも思い付いたのが相手に疑惑を植え付け疑心暗鬼にさせる手らしい

「レティエル嬢の信用を失わせて、護衛との間に溝を作り孤立させ精神的に追い詰める算段では?」

「‥…そうね、付け入る隙を作りたかったのかしら。まあ、常套手段には違いありませんが流石にわたくしの娘に対してだと些か憤りが」

えーーーヤダそれ。そんな精神攻撃、卑劣過ぎ。そいつ精神病んでねえ?

「確かにこの手はよく使われます‥…ですがそれですとお嬢様は身内の裏切りを知る必要がございます。そこまで計画されていたのかどうかが疑わしい…」

マジ?! よくあるんだ。

「ふむ、君の言う点は最もだ。これは裏切られ周囲が信用できなくならないと話にならない」

「そうなればお嬢様に疑惑を抱かせた者が怪しいと判断できますが」と護衛は暗にジオルド達が怪しいと仄めかしていた。

「その理屈だと、今まさに危険だと教えた者が疑われるねぇ」ジオルドも彼の言わんとすることに不機嫌さを隠さない。

「‥…失礼を承知で申し上げております。僅かであっても疑わしき点があれば警戒せねばお守り出来ませんので」護衛も引かない。そうだよね。

「確かにこの計画では必ず術を見破る者がいてその者が味方にならないと始まらないですし。それならばその者はクレアなる女と共犯であらねば話が通りません」二人いた護衛の片方が更に突っ込んできた‥‥ええ、いいの?

「ふん、危険人物を容易く近づけて?」

ピキリと不穏な空気が室内に漂う。心なしか睨み合ったように見えるの不味くない、やばくない?


お互いの腹を探るような視線が交差する中、突如、パン、パン、と響く音に気を取られた。‥‥母さんが注目させるように手を叩いたのか。

「もう宜しゅうございますわね。そこまでにして下さいな。これ以上、続けますのは敵の思う壺ですわよ。皆様冷静にね」

一番短気な母さんに注意されてる‥…それに気が付いたジオルド、バツが悪そう。あ~分かるわその気持ち。


「確かに、これでは敵の策略通りだ‥…すまない」

ジオルドも護衛も矛を収めたので一先ず場は収まった‥…のはいいんだけど微妙な空気が漂ってるわ~居た堪れなさが‥‥うう、誰かこの空気をどうにかしてーーー


「ゴホン! あの…‥陽動作戦とは思われませんか。ご令嬢を不安にさせるよりもご本人に術を施せば済みます。なのに女は不確実な手段を講じ発覚し難い精神支配系の術を使うなど‥‥‥術を見破る者がいなければ成功しない計画ではございませんか」

ダルさん! 居た堪れない空気ぶった切ってきくれてありがとう!

空気の読める侍従のダルさんが控えめながらも矛盾点を挙げてくれた。

でも‥‥陽動??? 何のために? ますます分からなくなる。


「陽動‥‥ですか。それも手の一つと考慮出来ますが‥…」

歯切れの悪いセリフに護衛が今だジオルドを疑っていると伝わってくる。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜  

たろ
恋愛
この話は 『内緒で死ぬことにした  〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜』 の続編です。 アイシャが亡くなった後、リサはルビラ王国の公爵の息子であるハイド・レオンバルドと結婚した。 そして、アイシャを産んだ。 父であるカイザも、リサとハイドも、アイシャが前世のそのままの姿で転生して、自分たちの娘として生まれてきたことを知っていた。 ただアイシャには昔の記憶がない。 だからそのことは触れず、新しいアイシャとして慈しみ愛情を与えて育ててきた。 アイシャが家族に似ていない、自分は一体誰の子供なのだろうと悩んでいることも知らない。 親戚にあたる王子や妹に、意地悪を言われていることも両親は気が付いていない。 アイシャの心は、少しずつ壊れていくことに…… 明るく振る舞っているとは知らずに可愛いアイシャを心から愛している両親と祖父。 アイシャを助け出して心を救ってくれるのは誰? ◆ ◆ ◆ 今回もまた辛く悲しい話しが出てきます。 無理!またなんで! と思われるかもしれませんが、アイシャは必ず幸せになります。 もし読んでもいいなと思う方のみ、読んで頂けたら嬉しいです。 多分かなりイライラします。 すみません、よろしくお願いします ★内緒で死ぬことにした の最終話 キリアン君15歳から14歳 アイシャ11歳から10歳 に変更しました。 申し訳ありません。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...