転生先は小説の‥…。

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第七章 それぞれの思惑

囮役・アドルフ回想ー⑤

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作戦の決行日が予定よりも早まる。そう沙汰された。


またもや諜報員の動きがあったと報告が入り急遽、領地にいる娘を迎えに行ったカレンシアを引き戻す事となったのだ。
仕方がない。娘はグレインを筆頭に帝国側の護衛に避難させれば良いか。暫しの間とは言え我慢ならぬ。折角の親子水入らずが‥…



後の報告で、領地に向かう途中で引き返したカレンシアの行動が領地の公爵家に伝わっておらず、行方不明騒ぎとなり捜索隊も出されたと言うではないか。我が耳を疑ったぞ。

この騒動でレティエルは攫われた。まさか身内同然の者の手引きで拐かされるとは。事件発覚は当の本人からの連絡でだ。護衛達は護衛対象を守らず何をしていたのだ。我が公爵家の誇る護衛騎士の脆弱を、私の迂闊さを悔いた。己の悔悟の念に圧し潰されてしまう。

今回の事件は我が公爵家の安全神話が崩れたのだと否が応でも現実を吞まされた。手中に敵を招いたのは私の奢りであろうと猛暑するしかない。


あの子が無事であったのは偏にあの子の能力だ。自身の力で身を守れると証明して見せた強い子である。子の成長は嬉しく思う、だが同時に危険に晒したのだ。私の後悔は一生続くだろう。


‥‥この悔悟の念は敵に。容赦はしない。


今回の事件で娘を狙う愚か者がまだいるのだと突き付けられた。

宣戦布告か、受けてやろう!



情けなくも私達は娘は安全な場所に避難したとグレインの報告で安堵していたのだ。魔力持ちを護衛にいざとなればレティエルの身代わりも用意していると聞いて油断していたのだろうな。まさかそのグレインらが操られていたとは。
背後関係が未だ不明で忌々しいのだが隣国の手の者かどこの勢力の者か掴めていない。悔しいが早急に手を打たねば成らぬのに遅れをとっている。犯人探しが難航する中で王宮内で何かが起こっている。それすら掴めぬとは。王妃も側妃達、勿論殿下方が静か過ぎて、その静観が一層不気味に感じる。





ーーーーーーーー

前倒しされた作戦の決行日に告発者と名乗る人物が現れたと言う。

私は思わぬ人物の名を聞き驚きが勝る。その者は長きに渡り裏方に徹していたのだが何を企んでいるかと疑問が脳裏に浮かんだ。

その人物は少し前から行方をくらませていたエリックだったのだが、予定外の行動をする此奴は敵陣に降ったのかと懸念が。

然るべき機関で取り調べを受ければ事の真相は解明されるだろう。残念ながら今の私では尋問が出来ぬ、その歯がゆさで八つ当たりしたくなるのは仕方ない。



しかし我等を凶弾し親の仇だと詰るエリックの心情が読めぬ。それに何故此奴が我らの作戦を知っていた? 隣国を招き入れたのか? そして何時寝返ったのだ‥‥不可解すぎる。


父上からエリックを頼むと託された時にこの子を表舞台に出してはならぬとも言われたのだ。明かせぬ理由に眉間に皺寄せ硬い表情の父上も苦悩されたのだと自分に言い聞かせた。決して表に出してはならぬ子。大方身分ある人物の子と憶測し自分を納得させた。


そのエリックが表舞台に立ち上がる気でいるのだ。その手を誰が掴んだ? 唆したのは誰だ? 

‥‥これも敵の作戦か? だが隣国の諜報工作とは違うと私の勘が囁く。新たな敵の出現か? 


そして私の考えを肯定するかの如く御前会議の招集がないのだ。いや陛下が公の場にお出にならず奥に籠られたと聞く。この危機的状況下にだ。私以外の公爵らに後は任せてあるが‥…報告が欲しい。

早く寄越せ!





ーーーーーーー


隣国に渡ったランバードの吉報を待つ身。
折角の機会だここで揺さぶりを掛けようか。
先ずは派閥内の貴族からか‥…
息子が謀反の嫌疑が掛けられたのだ。何れ公爵家も何らかの処罰が降るだろう。
我が家の富に目が眩み噂を鵜呑みに動き出すのは何処の者か。


自由の身のランバードは一旦王城の貴族用の牢に収監された後、極秘に出立した。アレの事だ今頃嬉々として報復と妨害工作に明け暮れているであろう。主犯格は一本の髪の毛もこの世に残すなと厳命したのだ。しっかり遂行しているであろうな。


さて、楽しみだ。
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