160 / 365
第八章 出揃った駒
ダルの情報ー①
しおりを挟む『私の持つ情報を買って頂きたい』
ダルの軍法会議まっしぐら発言にこの場が凍る。予想外過ぎたかギルガや護衛は言葉を忘れたように口をパクつかせるだけで声になっていない。
肝心のダルと言うと平静を装ってはいるが内心かなりの焦りで悪手を選ぼうとしてるんじゃないか。そう思ってしまうほどダルの全身から強張りを感じる。
ちらりと一人の護衛に目を向けると案の定「胃、胃が」ってお腹を押さえていたよ、胃痛か? ストレスか? わかるわかるよ! そうだよね、胃がね、胃がシクシク痛むんだよねこの状況は。彼の胃を考えると早く話を切り上げて安心させてあげなきゃ。
そんな俺と護衛の内情をまるっと無視してくれたダルが母さんに交渉を始めた。
『‥‥あら、面白い事を。いいわ話を続けなさいな』
やはりと言うかそうだろうな、母さんは殊の外嬉しそう、きっと腹ン中で舌なめずりしてんだろな。
『お母様‥‥よろしいのですか?』
『いいのよティ。彼等は一・応・わたくし達の窮地を救ってくれたのですから。そうよね貴方? 公爵家の者の窮地を救ったのよねぇ』
ああ、さいですか。恩人扱いにするってことですね。ラジャ!
最高権力者に逆らいません!!
でも母さん恩人さんに対する態度じゃないですね。
うわ‥‥ギルガめっちゃ顔引き攣ってる、ダルもちょっとビビったな。
護衛は‥‥達観してね?
『‥‥ありがとうございます。公爵夫人のご温情厚く御礼申し上げます』
ちょっと強張りが取れたダルさん、本当にそれでいいの?!
『情報を売るのは私が聞き及んだ話になりますのでギルガは一切関係ございません。…仮に処罰を受けることになれば私だけに。どうかお願い致します』
『おい! ダル!』
ここで堪らずって感じのギルガがダルと母さんの会話の中に割って入った。なんちゅう無謀な、おおーい、母さん怒らすなよ‥…勇気と無謀は違うんだぞぉ。
『公爵夫人、申し訳ございませんがこの話は聞かなかったことにして頂けないでしょうか。今なら何事も無かったこととして皆様をご領地に送り届けます。どうかこいつの話は無かったことに』
『なりません。一度願い出た以上勝手に撤回は許しません。お前にその権限はないのですよ』
『‥‥くっ! で、では私の褒賞を! 頂ける褒賞はダルの話を取り扱わないでお願い致します!』
うわーーーーーおまっ! 逆らうなんて!
わぁ、空気、めっちゃ重ぉくなったじゃねーか!
‥‥あれ? 心なしか蒸し暑く感じるんだけど‥…まさか。
ひぃっ、母さん魔力漏れてる?!
内心焦りまくってた俺の横で護衛がまたお腹擦ってた、ごめんよ~無事に帰れたらお休み取っていいから今は耐えてぇぇぇ
『公爵夫人、誠に、誠に申し訳ございません! ギルガは皆様を案じての発言なのです。咎は私が受けますので、どうかお許し下さい。早くギルガも謝罪を!』
言葉を向けられたギルガは可哀想な程、目を剥いて汗だくだ。そりゃ、イライラ溜めてた母さんを怒らすからだよ。母さんから高圧的なモノを感じる。
上位者の会話を遮ったり逆らうって死にたいのかよ、お前。ダルを思っての言動だろうが今の対高位貴族の態度じゃねえよ。このままだと俺達も巻き添え確定だな。こうなりゃ仕方ない手を貸そう。
『お母様! お怒りはごもっともですが今は話を聞くのを優先しませんか。このまま徒に時間を過ごしてはこの場で夜を迎えなくてはならなくなります』
そうなんだ。このままだと非常に不味い状況を迎えてしまう。こんな廃村で夜を迎えるって無理! 何か出そうでヤダ! ってかここじゃなくてよくね? どっか移動しようよ! んん、それより俺達どこに向かってんの?
護衛は何かに気付いたっぽいけど俺は全く分からん! ちょっとは俺を安心させようよ!
ううん、安心させてくださーーーい。
0
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜
naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。
※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。
素材利用
・森の奥の隠里様
・みにくる様
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる