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第九章 王国の異変
ジェフリーのオネダリ
しおりを挟む「さて、ジェフ、言いたいことがあるのでしょう? 何ですか」
「はい、若。エリックは許されないのでしょうか」
「ふぅ、だから私の一存では決めれないと言ったでしょう? お前もしつこいね」
ジェフリーはエリックを心配して?
確か、あいつはミリア達にボコボコにされたよね? もう怪我は完治したのかな‥‥。まあ俺もあの時はエリックが犯人だと思ってやっちゃったけど。
「お義兄様‥‥その、エリックは本当に裏切ったのでしょうか」
「レティ?」
「あ、あのもしかして‥‥ですが、クレアが関わっているかも知れませんよね? それなら彼も被害者では?」
そう、クレア疑惑が浮上した今、容易に敵だと言えなくなった。
今のところ白黒付かないグレーってところか。
「お、お嬢様~! そ、そうかもしれないですよね~若、だってエリックが若を裏切るだなんて!」
「だから肝心のエリックがいないのだから、確認できないでしょう」
「でもでも、若、可哀想じゃないですか~許してあげるんでしょ」
「それは、私の一存では決められないって言ってるでしょ」
「若とお嬢様から頼まれたら旦那様もお許し下さいますよ~、あいつは忠義の熱い男ですよ~」
「ジェフリー‥‥そんなに彼の事が?」
必死なジェフリー。エリックを信じているのか。
これが男の友情なのかと、じんわり胸に来てたんだけど、義兄は呆れた顔で
「お前ねぇ‥‥本心を言いなさい」
「だって、だって、王族の血が混じってんでしょ? 若~王族の血ですよ~、絶対、絶対、貴重ですよ~」
ん? ジェフリー?
「王族に手は出せませんがエリックなら構わしないでしょ~、ちょっとぐらい血を貰っても文句言わないじゃ~ないですか?! 勿体ないですよ~」
んん? ジェフリー?
「王族の血~、いい感じに、魔道具とか魔法陣とか作れそうじゃないですかー、今度こそ、魔道具作ってくれるって約束したじゃないですかー、ねえねえ若~、王族の血をちょこっと混ぜて最凶なの、作ってください~、俺、囚人で頑張ったでしょ、ご褒美下さ~い」
んんん? こいつさっきから何言ってんの? 今も王族の血、王族の血って煩いし。さっきまで、しおらしい雰囲気でエリックを心配した素振りだったよね?
「お前、収監先で三食昼寝付きで惰眠を貪っていたね?」
「ひぇ! ご存じで」
「それにお前の本心は‥‥」
「あっ、やべっ」
「あ、あの…お義兄様とジェフリーは何のお話をしていらっしゃるの?」
いい笑顔のジェフリーをジト目で睨む義兄‥‥こいつら仲良いよね。
溜息吐いた義兄が教えてくれた。
「このバカモノは私の作る魔道具を以前から強請っていてね。私は魔道具技師として魔力の無い者や少ない者でも最小サイズの魔石で攻撃魔法や防御魔法を使えるよう魔道具を作製しているんだ。これでも結構、帝国では有名でね。ランバード・ファル・ファーレンの名は爵位の高さではなくて技師として名を馳せているんだ」
「そ~なんですよ、お嬢様! 若のお作りになる魔道具は他の者では再現できないって言われているんです! 高魔力者が威力のある魔道具を使用するのは当たり前ですけど、若は魔力ありませんからね。それで高魔力者と同じ‥‥いえそれ以上のパフォーマンスを出すんですよ~、若に憧れちゃてる人、多いんですから~」
ええ? 何このジェフリーのノリ。ちょっとキモいんだけど。
「お義兄様‥…ええっとお」
「ふぅ、ジェフの馬鹿は相手しなくて宜しい。そうだね、レティにも魔道具を作ろうか。護身用の魔法陣と併せて魔道具もあれば私が安心だしね。レティ、何かリクエストはあるかい? 君のアイデアは斬新で面白いから作り甲斐があるんだ」
「ふぁ~魔道具ですか? ひゃ~」
おお~何かよくわからんけど、くれるって言うなら貰っちゃう。
そうだな~何がいいかな~
うーん、あっ、そうだ、アレがいい。
「お義兄様、丁度、欲しいと思っていたのがありますの」
「ふふ、いいよ。どんな物かい?」
「あ~いいな~若~、俺も欲しぃですぅ~」
「お前は煩いね。仕方ない。何か適当に作ろうか」
あれ? 王族の血はどうした?
「ふっ、私の作る魔法陣や魔道具には血液を混ぜるからね。ジェフの言う血とは作成時に使う血液のことだよ。ふふ、これは私のオリジナルで他の技師は血液など混ぜないから、レティ、これは内緒だよ。いいね」
ふぇ~何とビックリ。恐ろしや。
血液混ぜるの? やだ~気色悪~
俺のドン引きに気が付いた義兄は、針で突いた程度だと言い訳してた。
魔力がないから苦肉の策だと言われてもねぇ‥‥やだなそんな魔道具。
「レティの魔道具は魔力を使うから心配しないで!」
よし、それで頼みます!
ところでエリックの話はどうなったの?
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