転生先は小説の‥…。

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第十章 クリスフォード・ラックスファル侯爵領

得体の知れない何か

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マグロだ。マグロが寝ている‥‥あっ、違った。マグロのように寝ているだ。


俺達は地下室‥‥正確に言えば地下に設えた数室あるうちの一室、男に宛がわれている小部屋の中で治療と言う名の人体実験を試みている。

‥‥うん、怪しい地下組織の人っぽいわ。

寝台に横たわる男を目の前にし『一休み』と勧められたのだが、休憩を挟む時間が惜しい。男がマグロ状態であるのをいいことに続行を決めた。
だって、疲れてないし余裕あるもん。休む必要ないよね? マグロは寝てればいいんだし。




『魔力回路器官を通して術の動力源に補填する』義兄の予想は大いに助かった。心部を覆う魔力が膜となり俺の魔力を弾くのでやり方を変える必要があったのだ。豊富な魔法関連知識を持つ義兄は難なく助言できる。何と頼りがいのある兄だろうか。最近どうも義兄が頼りがいがあり過ぎて、全幅の信頼を寄せる今日この頃なのだ。




外が駄目なら内からとアプローチを変えて。体内に満たした俺の魔力を溶解させ毛細血管から静脈を伝って心臓に送りこむイメージを明確に脳裏に描く。だからと言って魔力=血液とは違う。魔力の主成分は知らない、生命の神秘としておこう。その魔力に方向性を持たせることで体内を自由に動かせる。コントロールとはそう言う事だ。


レティエルの特殊性は魔力の自由操作と親和性の高さ‥‥だろう。闇系統の干渉とは違う。魔力に対して干渉が出来るみたいだ。

そう、レティエルは魔力に対して干渉が可能。

ジオルド邸で練習した魔石への魔力注入作業も地味に経験値となっていた。知らぬ間に魔力感知力も上がってる。元々、高い能力を有していたのに使い処が無かったのだろう。
それと幼少時より偽魔封じの道具(実は練習用の魔力循環補助魔道具)に組み込まれた魔石に魔力を無駄に垂れ流していたおかげか、流出量の微調整に長けていたのだ。この事実、素直に喜ぶべきか‥‥



ん? 複数? うーん、違うか複雑な構造? なにこれ? これ、可視化できないかな‥‥文字? 絵? 何かの象徴? 

溶け込ませた俺の魔力を心の臓の内と外側から魔力膜をサンドする。表面をなぞらせ、そこに何があるのか、感じ取る為に全神経を集中‥‥うぅ鼻血でそう。


躍動を続ける魔力膜はまるで生き物みたいだ。

‥‥そう、生きた得体の知れない『何か』を感じる。



「レティ、状況はどう?」

そりゃ、美少女の愁いを帯びた表情だもん。心配するよね。思わず眉根が下がっちゃう。不可解さに困惑顔だ。義兄が堪らず進捗状況を聞いてきた。


「心の臓内に浸透させました。ですが、感じたのは象徴的な? えっとぉ、似た物で言えば、魔法陣?」
「‥‥魔法陣? レティは魔法陣が視えているのかい?」
「あ~少し違います‥‥上手くは言えないのですが、系統別の魔力が折り重なったような? …‥まるで敷物「レティ待ちなさい」‥‥お義兄様?」

俺の話を遮る義兄に意表を突かれた。いつもの余裕綽綽の表情は崩れ、若干の焦りが伺える。

‥‥え? あっ、禁術! 

禁術に触れる話だと察した義兄の対応は早い。術の分析を行うためジェフリーらを交えて詳細の説明を求められた。

‥‥うぇ、何か不味った?

焦る。

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