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第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲

回復薬事情ー②

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‥‥国内の回復薬? へぇ、あったんだ。ぐらいしか抱かない俺の正直な気持ち。

ファンタジー大好きな俺、いつもならこの手の話に食指が動く。でもね、でもさぁ、どういう訳か今回ばかりは心に響かないの。どうしてだろう。それに、何となく、本当に何となくだけど、違和感を覚えちゃって。心当たりはないよ? ないけど、ただ澱となって心の中に溜まっちゃうわけ。

‥‥はぁ、何だろうね、この感じ。

散々、点数稼ぎで励んだ神殿奉仕。活動中、回復薬の噂を小耳に挟むことなく、神殿に魔力持ちが働いている姿も話も見聞きしていない。あそこにはアンチ魔法使いが存在否定を声高々に喚いてたよね? なのに?魔力持ちのために回復薬作ってるの? うう‥‥モヤっとする。




はぁ―、取り合えず話、聞こ。先ずはそこからだね。


王国の回復薬事情‥‥それは神殿事情に通じる。

王国でも回復薬の需要は僅かだがあるそうだ。と言っても王家は王宮に仕える専属治療師がその任を担う。一方、貴族や平民は神殿に頼る。そう、管轄は神殿。

回復薬を手に入れるには? 聞けばなかなか面倒である。

「神殿に申請して購入するのは家門や個人で調達できない者達だね。彼等は国と神殿に魔力保有者であると申告した者達だから用途の理由を述べれば購入の許可が下りる。勿論、外国人も入国審査で申告していれば購入可能だよ」
「えっ?! そんなに厳しいの?!」

そんな厳格だとは知らなかった。しかも未申告者に販売すると違反だって。これにはビックリだ。

王宮と神殿が厳重に魔力保持者の個人情報を保管している。王宮の管理下って、まぁ、嫌だけど理解できる。国民調査の結果を把握と思えばね。だが、神殿はどうよ? 管理する必要ってある?

神殿側は緊急時を想定して人数の把握は人命救助に欠かせないと大義名分を掲げているらしい。その割に肝心の回復薬の管理は杜撰で横領もあったりとか。信じられない。

‥‥なんと?! 神殿従事者が横領かよ!! 

ちょっと耳を疑う話だった。にしてもどこで掴んだの? その情報。

「ふっ、偶々、犯罪組織に突入した時に発見してね。神殿の銘柄でありながら低ランク粗悪品が箱詰めで保管されていたので驚いたよ。それを押収したのが切っ掛けかな? その後の捜査で出た証拠が横領を示してたね」
「ええ?!」
 
‥‥ちょっとお宅にお邪魔します~みたいなノリで言わないでよね。そっちに驚くわ。


義兄との会話を聞いていたジェフリーが当時を思い出したのか、懐かしむ表情で会話に参加してきた。
ちょっとこの二人の感覚っておかしいよね? なんでいい思い出みたいな話し方なの?!

「そうでした~、お嬢様を狙った誘拐犯‥‥人身売買組織の取締りで見つけちゃっいました粗悪品《回復薬》。あれは困りましたよ~。なんせ神殿の刻印がある回復薬が粗悪品だったなんて、人に言えないじゃないですか~。参りましたよ~。ははは。下級ランクでも、神殿製回復薬ってお高目じゃないですか~。あんな粗悪品でも値が張るって知って驚きましたよ~。ぼったくりもぼったくり。聖職者のくせに阿漕で笑っちゃいました~あはは~」

何、笑ってんの? さっきまでのしおらしい態度はどこに行った?

「アレ、明らかに横流し品でしたね~。はは、犯罪組織を一つ潰したら次の犯罪見つけちゃって。若、キレちゃいましたね~」
「はぁ‥‥お前は口が軽いですよ。まったく」
「若君が自ら捕物をなさるとは。それで神殿の横領犯は捕まえたのですか?」

俺達の遣り取りを黙って見ていたガザも、思わずって感じで口を開いた。

「まぁ事情が事情でね…‥。神殿内部に手の者を潜り込ませてみたが犯人検挙は叶わなかったね」
「‥‥‥えぇー、犯人逃げちゃったの? …それより神殿に部下を侵入させたのお義兄様? どうして?」
「ふふ、神殿の弱みを握るためには、必要でしょ?」
「へっ?」

必要でしょって、本当に必要?! それに弱み握ってどうする気?! 
イイ笑顔で悪役の科白を吐く義兄って、義兄だったわ。やっぱこの人、感覚おかしいよね?

俺の何とも言えない表情を、ニッコリいい笑顔で見つめる義兄は、追加情報を盛ってくる。

「レティ、ライムフォード第二王子殿下が陣頭指揮を執られて建前上、人身売買組織との繋がりを調べるために捜査を行ったからね?」
「‥‥‥建前って…‥‥‥‥じゃあ、捜査で何かわかったの?」
「神殿側が盗難だと言い張ってたかな。初期の捜査報告書は横領を指摘していたのだけれど、私が別任務で現場を離れた後、隠蔽工作が行われたよ。横領の証拠は揉消され、代わりに盗難届が受理されて、その手際の良さを見る限り元々予定していたのだろうね。勿論、主導は殿下だよ?」

ええええ、ちょっと待って待ってよ。めちゃくちゃ冷静に言わないでよ。揉消しちゃったの?! 何で?!

「ふふ、殿下は糾弾よりも懐柔を決められたようだね」

おう‥‥政治的交渉って訳ね。流石は王子と評すべきか。清濁併せ吞むってやつね。
でも、結局、部下を潜り込ませても王子が裏取引してたんじゃあ、無駄骨だったのでは? 
心の中で徒労かとガックリ肩を落としていたら、俺の心情を読み取ったかのようにお気楽ジェフリーがポロっと零した。


「お嬢様~お嬢様~、ひとつも無駄じゃありませんよ? 契約魔法血の盟約の情報を得れたのって、手の者が探っていたからですよ~」
「えっ? あの情報って神殿で?! うそぉ?!」



ちょっと驚き過ぎて喉乾いちゃった。

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