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第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲
めっちゃ適当に言いましたー①
しおりを挟む…‥気不味い。どうしてこんなに気不味いのだろう。
彼等はそこはかとない微妙な空気を醸し出していた。多分、この微妙さの原因は俺の発言だよね。
‥‥ここは誤魔化そう。うん、多分、皆、全力で乗っかるはず。
「あ…コホン、ほら、魔物って王国を避けるでしょ? それに結界を感知できないのよね? もしかして魔道具ではなくて魔物の性質を利用したのかと思ったの。この本にも書いてあるわ。ほら、魔物って強者を感知すると逃げるって。だから王国もこれを利用したのかなぁって。それでドラ…翼竜が王国内で生きているのか、ハンターが捉えて閉じ込めちゃったか。‥‥だって魔物だけよね、避けるの。悪人は通れるのよね?」
ちょっと考えて見たの、って雰囲気醸し出しました。いかがでしょう。
「えっ? お嬢様、質問の主旨変わってませグフゥ!‥‥‥」
「あらやだ、ジェフリー食べながらお喋りだなんて、マナー違反よ。うふふ」
俺は手近なサンドイッチを鷲掴みジェフリーの口に捻じ込んでやった。ふふふ、これで無駄口叩けないよね。
ギリッ! って正面に鎮座する義兄の口から異音が‥‥気のせい、気のせい。
「ぷ、…‥成程、先程の問いはハンターが捉えて飼い殺しなのかスレイヤーが殺して魔石を使っているのか、を確認したいがためでしたか。ううむ、いやはや、お嬢様の慧眼お見逸れ致しました。まさかそのような考察をなさるとは。ふっ、このご様子ならばお嬢様もご存分にお力を発揮なさることでしょう、若君?」
「ガザ‥‥。はぁ、まぁいいでしょう」
毒気を逸らされたのかガザを見る義兄の表情に呆れが浮かぶ。でも含みを隠さない二人の遣り取り。何となくこの場をガザに仕切られた気がした。まぁ彼の言い分も捨てがたいか。
魔力含有の植物たちが育たない不可解さはこの際置いといて。先ずは魔物から。
皆も同じことを考えていたのか、ツッコミはない。良かった。
ガザ情報によると…‥どこで掴んでくるのか不思議に思う。
竜族はその昔、帝国と王国に一部領土を挟まれた現在の某国で、討伐されたと記録が残されている。なんせ数百年以前、記録媒体の技術が禄になく、戦国の乱世がひっきりなしに繰り返されていた過去を思えば、消滅した史料の多さを伺い知れる。恐らく竜の討伐もそうなのだろう。
記録では一国の騎士団が総勢力をもって最後の竜を倒したとされる。
だが‥‥とガザは一つの面白い民話があるのだと胡散臭い顔で仄めかす。
…‥あっ、厄介ごと、厄介がカモネギでやってきた感じがする。
これは、自分の首を絞めちゃったかな? な嫌な予感に苛まれた。でも、ガザの『曰く付きですよ~知りたいでしょ~』な視線を跳ね除ける自信がない。俺の好奇心を擽るのだ。くだらなくても抗えない。俺の胸の内を知ってか知らないでか。ガザは的を得たりな目付きで語る。
どこの誰が語ったのか民の間で流れていた話。要は出処不明の民話レベル。
話は、その昔、土地を追い出され流民となった部族について。周辺地域を荒らす悪竜を退治した英雄の部族が陥った悲惨な運命を。
驚異的な戦闘力と特殊能力を誇る彼等が最後の竜を討伐した。その後、この部族は滅亡したとされる。…その悲惨な部分の話はカットでお願いします。
どうやらこの部族の末路を、竜を対峙した際、呪われた。後に【竜殺しの呪われた部族】と忌み名の呼称で蔑まれ他民族から迫害された。今では史料も消失し、伝承も信憑性を疑われ創話とされた。現に義兄達も初めて耳にしたと言う。
一説に、この部族は当時の豪族達の頭首を指すと。どうやらガザは都市伝説を信じるアレな人みたい。陰謀説や隠された真実とか、あなたの知らない世界をガチで奨励するタイプだった。雰囲気は堅物っぽいのにね。意外や意外、こんな面白人物だったか。人は見かけによらないね。俺は親近感をちょっと抱いた。
聞けばこの部族、あっ、頭首陣ね。三部族の頭はそれぞれ特殊能力‥‥なのか秘伝の術なのか、はっきりしないが何らかの竜に対抗できる力を有していたのだろう。三人の頭首が竜と対峙し打ち勝った。
‥‥おおお、まさしくドラゴンスレイヤー!
ちょっとだけ俺の心のテンションは上がった。
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