転生先は小説の‥…。

kei

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第十二章 分水嶺

衝撃的な話は続くー3

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知らぬ間に開催されていた情報交換会。
ええ、無事に終わりました。俺の肝を散々冷やしてね。

義兄が差し出した被害者リストは帝国人ばかり。あ、これ交渉用に作成したんだなと腹に入った。抜け目のない義兄はニッコリ微笑んで引き取り先が動いてくれると助かりますとほざきおった。怒りを抑えるお祖父ちゃんの蟀谷に浮き出た青い筋が‥‥ミミズみたい~って、怖すぎて逃避したわ。


義兄は交渉上手なの? 
処分したかったリストだけで欲しい情報を得てホクホク顔の義兄。
うわー絶対義兄と交渉しないー!! そう心に刻み込んだよ。


「ふふ、どうやら神殿も一枚噛んでいたようですね」
「え? それってどういうこと?! 人身売買に神殿が関わってたの?!!」

またまた衝撃的な話だよ、これ。



且つてガサ入れした組織では神殿関係者の名は上がらなかった。当時、義兄も神殿の関りは考慮していなかったそうだ。それに義兄の目的は犯罪組織の壊滅とその組織を掌握すること。個人的にはウザい諜報員を追い出したかったって。

あー、これってレティエルの能力を知られないためだよね。過去にダルも潜り込んだ組織だ、どこで情報が洩れるかわからない。組織に狙われたレティエルを仮に帝国諜報員が救出したとしても軍のリクルートにスカウトされて社畜化で人生終わったかもしれない。青春も、お天道様の下を歩くことも、魔女っ子デビューも、指の隙間から零れ落ちるようにこの手から離れた可能性は大いにあっただろう。

‥‥組織マジ潰してくれてありがとー!! もう義兄に足向けて寝れない!(向けたことないけど)




今入手した情報には神殿の関与を匂わすものがあったと満足気な義兄が「これで潰せる」と魔王的な発言をなさいました。神殿に刃を向ける気満々の義兄ってマジ魔王。ん? 悪魔?
これにはお祖父ちゃんもビックリ。どっちに驚いたかは知らないけれど。

最近耳にする神殿の暗黒面。そういえば回復薬の横流しもあったよね。表向きは盗難扱いだけど、拉致った魔力持ちに与えるため組織に流したんだろうね。

この話を口にすれば義兄が「回復薬の製造もだけど、神殿こそ魔力が必要だからね。今の神殿のトップが魔力保持者否定派でねえ、どのようにして魔力や魔石を調達するのかと不思議に思っていたよ。まさか補填先が人身売買組織からとは。いやはや地に堕ちたか聖職者ともあろう者が」

嘆かわしいとめちゃくちゃ嬉しそうな顔で言われてもね、嘘っぽい。お祖父ちゃんも苦汁を呑んだ後の顔でガチガチがなってる。大分、頭にきてるよね。


神殿か~、過去に社会奉仕の一環でよく神殿にお邪魔してたけど、故前総神殿長に可愛がってもらった俺には悪いイメージがなかったからなーーー。ぽよよ~んと思い浮かべて見ても…‥あ、そう言えば母さんがレティエルに毒を盛ったのは神殿関係者だとか疑ってたよね。何だか一つ悪い話を聞くと他にもないかと穿った見方しちゃう。‥‥神殿? あれ? 何か引っかかって‥‥‥‥?!


「ジオルド様は?!」

思い出した! 王家専用の神殿に隔離されてるんだっけ!

「合法的に入手した王族の魔力保持者。彼かの方の魔力量は多い。囲い込んで一体何をする気なのだろうね神殿は」

熱の籠らない冷静な声色で淡々と言われると、禄でもない事を仕出かすのではと不安になるよ。この場にダルがいなくて良かった。彼が知れば心穏やかにいれないよね。


「ううむ、本当じゃったのか。ジオルド殿の身柄を確保できんかったのは痛手じゃが、まあ、属国化が済めば彼も救い出されるじゃろうて。軍部が欲しがっておったからのう。生きてさえいれば何とかなるじゃろ」


やっぱ情報は掴んでいたか。それにしても軍部に目を付けられてたんだね~。ん? それってダルが推薦したの? もしそうなら恩人を軍に紹介するのってどうなの? まさかレティエルもしないよね? 無きにしも非ずの可能性に気が付いてげんなりしちゃった。俺はダルさんを信じてるからね! 売らないでよ!

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