転生先は小説の‥…。

kei

文字の大きさ
297 / 365
第十二章 分水嶺

⑮・見返り?

しおりを挟む

何とかお爺ちゃんの何かを折ることに骨を折った(義兄が!)ことで、初めにお祖父ちゃんが忠告した話を聞けば後戻りできない(意訳)云々の意味を悟った。
多分、俺が思うのとお祖父ちゃんが意図したのとちょっと違うかもだけど。

‥‥王国と帝国の二国間が表立ってないけどヤバいんだってのがわかった。俺としては戦争を回避できるのであれば属国もあり派。お祖父ちゃんに協力もやぶさかではない。ただし親父の血の盟約問題を解決してからだけどね。



お祖父ちゃんの本命が両殿下と側近の暗殺。使節団は皇帝の息のかかった者ばかりで皇子に科せられたお仕事も皇子と王国側を欺くためだと。確かに、皇子サマご一行を歓待しなきゃだし貴族達もこの際とばかりに交流を持とうと躍起になるわ。目晦ましに持ってこいだよ。

事実を聞かされて驚愕で‥‥というより手の込んだやり方に驚かされた。
だけど、注目を浴びれば浴びるほど、陰に回った者が動きやすくのはわかる。軍が別動隊を複数送り込んだと聞けば、俺も腹を括るしかない。

‥‥それにしても別動隊は何をやるのかな? 是非とも義兄に暴いて貰いたい。




凶行犯をエリックに仕立て、彼共々伯爵家を処罰。お祖父ちゃんが関わるのはこっち。明かに私刑の色濃い今回の作戦、お祖父ちゃんは動きやすいからと裏工作に心血雪ぐみたい。

その事実を聞かされて、ここまでやるかと、正直引いた。

義兄はヴァンダイグフ伯爵家と前当主はレティエルの誘拐に関与していたので制裁は当たり前だと黒い笑顔でお祖父ちゃんに賛同する。親父の未許可のため自ら動けなかった鬱憤が、お祖父ちゃんに全力で手を貸す原動力となっていそう。

お祖父ちゃんの殺意を煽りたいのか、レティエルへの毒殺未遂の犯人は神殿関係者と伯爵の手の者と、可能性を示唆してとにかく盛るの、この人。

‥‥あ、ジオルドが言ってたやつか。毒を吞まされたって話だけど当の本人は無自覚だったんだよね。衝撃的な話だったけど実感がないからそれほどショックではないのが救い?かな。


それと母さん達を早々に帝国に逃がす目的もある。だけど親父の側を離れないと粘っているらしい。
今のところ王都の公爵邸で監禁を装って周囲を王国の騎士団(半数は公爵家の私兵)が包囲という名の護衛をしてくれてる。お祖父ちゃんも部下に見張らせてるので異変があればすぐにわかると。心配は不要だと宥められた。
邸には魔道具やら魔法陣で防衛強化してあると言われて、過剰防衛? と思わなくもないが安全が確保されているなら敵がどうなろうとも、まっ、いっか。


それにしても。


「お祖父様、理由をお聞かせ下さい。そうしてまで両殿下を王国の諍いの火種となさるのは何故ですの。それにタッカーソン侯爵子息が狙われたのは‥‥能力の所為としても、どうやって知ったのでしょう。少し気になりまして‥‥」

同じ希少な能力を持つ身としてはバレ方が気になるわけ。当主が秘匿&契約魔法でガッチガチに守ってたのがバレるって、どんな手口を使ったのか単純に興味があるのだ。

この問いにお祖父ちゃんは「気になるか」と呟きジェフリーに新しいお茶を用意しろと部屋から追い出した。どうやら聞かせられない内容だと悟った。そしてそんなヤバ話を催促した自分の迂闊さに、泣いた。

‥‥これ絶対メンドクサイ‥‥じゃなくて厄介…‥…大変な話だよね。



「側妃らは調合技術の特殊性なんぞ関心なかったのか王国に売る方を選んだようじゃのう。能力が知られたのは…調合時に勘付かれたか使用者が気付いたか。犯行に及んだ者が死んでおるでのう、わからん」

やっぱり完全に秘匿は難しいか。

「タッカーソンは違反薬物に手を染めておった。と言えど今回の誘拐で明るみになったんじゃ。側妃と娘の第二皇女らに脅されていたと犯行を自供しよった。どうも精神に作用する薬でのう、他人を意の如く従わせるために使用していた。闇系魔力でなくとも精神干渉ができるとなれば容易に人を洗脳できるで。反対勢力の有力貴族を洗脳したり邪魔な者を精神干渉させ廃人にさせたりと好き勝手しおってのう。陛下も頭を悩ませられてての。皇族が臣下を精神干渉で従わせるなどとんだ醜聞じゃ。陛下の統治に影を差す行為じゃて。じゃが難儀なことに側妃の実家は有力貴族。迂闊に手は出せんかった」

今までは。と状況が変わったと話が続く。

「内偵の者らが誘拐事件にこの違法薬物が関わっておると突き詰めてからじゃ。状況が変わった。側妃らは王国の者と結託しよってのう。…‥気に入らん者に薬物を使って奴隷契約や人身売買組織に売ったりしておった(奴らめティを狙いよって思い出すだけでも腸が煮えくり返るわい。おまけにグレインまでも巻き込みよって)それに極めつけが次期皇帝候補の皇子の暗殺計画じゃな。仮に暗殺されればまた後継争いで皇室が荒れよるでのう、ここで漸く陛下も損切りを決意されたんじゃ」
「うぇ、最悪‥‥」
「‥‥そうですかそんなことが。ではタッカーソン家は‥‥」
「ぬ? ああ、これは表沙汰になるといろいろ不味いで秘密裏に処理された。あの倅に解毒薬を作らせたのがバレて攫われ売られる羽目になった。縛めのつもりじゃろう。当主に目を掛けられておったあの倅を使こうて自分らに逆ろうた者に報復したかったんじゃろう。ほんに、後先考えん愚かもんじゃわい」

「うわ、サイテ―、そんな理由で貴重な作り手を害しようだなんて馬鹿でしょ。馬鹿、馬鹿だわ」
「私もレティと同じ思いです。愚かとしか言いようがありませんね。‥‥では、ファーレン家に子息が引き取られるのもそれが関係して、でしょうか」
「おう、そうじゃ。仮にタッカーソンが操られれば解毒薬云々じゃなくなるからの。こちらで身柄を確保せんと。まだ薬は必要じゃ。それに効能が上がった回復薬も必要じゃてな。まぁ権利は儂らが貰うたで、代わりにタッカーソン家諸共引き受けたわい。当面とはいえ調合薬の市場はファーレン家が独占じゃて。ぬはは」

おおぅ。そんな裏取引が‥‥一族どころか家門の貴族まで取り込んじゃったの? 暫定的な処罰としても受け皿になれるのって凄いわ。多分、一家に権力や財力が集まるのを阻止したい貴族達の反発を抑えることができるからだろうね。

タッカーソンは代替わりを余儀なくされる。現当主は病に罹り数か月後‥‥側妃らの捕り物が終了次第病死になる予定。当主一人の責任で済むのは、事情が考慮されたのだとわかる。脅迫されてたのと解毒薬の調合、犯行を自供したことで黒幕?な側妃を実家諸共処罰できるとなれば考慮されたのか。

飴と鞭を使い分けたような沙汰だよね。


これで、ヴォルグフが狙われた訳も両殿下が処罰される訳もわかった。王国を…と言うか今の国王を失脚狙いも報復の色合いがある訳ね。はぁ‥‥。
帝国は誘拐事件もひっくるめて王国を糾弾する手も使えるわけか。

お祖父ちゃん以外にも工作活動しちゃう人達がいるんだよね? まだ何か企みが? ああ、お祖父ちゃんは知らないんだっけ。義兄に探れって唆してたぐらいだもん。


話し終えたのかソファーの背もたれに身体をどっしり預けたお祖父ちゃん。緩くなったね。でもね、でもね、油断しちゃダメだよ。横から見ててもわかる。義兄の目がキララ~ンってした。あ、企んでるね?



「ではお義祖父様、見返りについて話を進めて頂いて宜しいでしょうか」


え? 何の?! 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜

naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。 ※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。 素材利用 ・森の奥の隠里様 ・みにくる様

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー 結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!? 王女が婚約破棄した相手は公爵令息? 王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした? あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。 その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。 彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。 そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。 彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。 その数日後王家から正式な手紙がくる。 ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」 イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。 「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」 心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ! ※ざまぁ要素はあると思います。 ※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

処理中です...