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冒険者ジルク
冒険者ジルク-15
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階段を上った先、その広間には後光を纏ったヤギがいた。
……え、次の魔物はあいつなのか?。それは戦力的にどうあがいても無理だろう。
念のため生命力による身体強化を行い広間に入る。ローズも同様に警戒を高めていた。
「随分早い登場だな」
「ええ。ちょっとつまらないですが、そろそろ終わりにしようかと」
予想外な一言に目を見開く二人。それも当然だ。いつまで続くかも分からない戦いがいきなり終わると言われて信じられるはずもない。
「元々五階で終わらせる予定だったんですよ。ドラゴンで終わると思ってましたし」
「私が入ったからか」
ヤギがコクリと頷く。ローズがいなければドラゴンとの戦闘でジルクが死んでいたのは確実であり、その予想は間違ったものではない。
だが言い換えるとここまでジルクは奴の予想を裏切り続けてきたとも言える。クスリと微笑むのも仕方ないことだった。
「ええ。なのでここは辿り着くことはないはずだった階層」
「魔物の準備をしてない、と?」
警戒しながらヤギに疑問をぶつける。あたしの声を聞くと嬉しそうな顔になるのが忌々しい。
「いいえ。用意していますが……戦力差が過ぎると思うので準備ができたら呼び出す形式にしようかと」
「ほう……何を呼ぶ気だ?」
槍を構えて訝し気にローズは問い掛ける。ドラゴンでさえ戦力差は著しいものだった。それすら超えるともなれば災害に匹敵すると言われても疑いはしない。
「ドワーフとエルフです。かつて私が見た、ね」
その言葉にローズもジルクも頭に疑問を浮かべる。
確かにドワーフとエルフはとんでもない強さをしている。ドラゴンと対等に戦ったとしても疑いはしない。
だがあくまで対等から少し超えるくらいの強さのはずだ。どれだけ強くても、ドラゴン以上に強いローズと比較して戦力差がひどいから譲歩するなどという強さではないはずだ。
二人の疑問に答えるかのようにヤギは言葉を続ける。
「今のドワーフやエルフたちとは比べ物にならない強さ…言うなればエルダードワーフとエルダーエルフですか。それが最期にあなたたちと戦う相手です」
ヤギの言葉は理解できた。だが二人の知識にはそんなドワーフやエルフは存在しない。ヤギが準備した魔物と考える方が自然だった。
「ドラゴンなどとは比較にすらなりませんよ。全力で戦っても持って数秒…いえ、一瞬でケリはつくでしょう。それほどの相手なのですよ」
「ドワーフとエルフを随分と評価しているんだな。彼らに憧れでもあるのか?」
ふるふると首を振り否定の意志を示すヤギ。だが憧れよりもある意味ひどいものがそこにはあった。
「聞いた話では彼らは何体もの災害を殺したことすらあるという話ですからね。かつての私はもう怖くて怖くて仕方なかったですよ」
その言葉に何を呼ぼうとしているのかを察する。憧れではなくトラウマをジルクたちに押し付けると言っているのだ。悪趣味が過ぎると、先に口に出たのはローズだった。
「自分自身のトラウマを押し付けるとは良い趣味をしているな」
「ええ。だから戦力差が過ぎると言っています。用意はできましたか?。もう呼びますよ?」
息を整え、ジルクは生命力による身体強化を、ローズは魔術による身体強化をしっかりと行い、武器を構えた。
「「来いっ!」」
そこに現れたのは金色と紅色が混じった大槌を肩に担いだドワーフと、白刃の長剣を持ったエルフだった。
……え、次の魔物はあいつなのか?。それは戦力的にどうあがいても無理だろう。
念のため生命力による身体強化を行い広間に入る。ローズも同様に警戒を高めていた。
「随分早い登場だな」
「ええ。ちょっとつまらないですが、そろそろ終わりにしようかと」
予想外な一言に目を見開く二人。それも当然だ。いつまで続くかも分からない戦いがいきなり終わると言われて信じられるはずもない。
「元々五階で終わらせる予定だったんですよ。ドラゴンで終わると思ってましたし」
「私が入ったからか」
ヤギがコクリと頷く。ローズがいなければドラゴンとの戦闘でジルクが死んでいたのは確実であり、その予想は間違ったものではない。
だが言い換えるとここまでジルクは奴の予想を裏切り続けてきたとも言える。クスリと微笑むのも仕方ないことだった。
「ええ。なのでここは辿り着くことはないはずだった階層」
「魔物の準備をしてない、と?」
警戒しながらヤギに疑問をぶつける。あたしの声を聞くと嬉しそうな顔になるのが忌々しい。
「いいえ。用意していますが……戦力差が過ぎると思うので準備ができたら呼び出す形式にしようかと」
「ほう……何を呼ぶ気だ?」
槍を構えて訝し気にローズは問い掛ける。ドラゴンでさえ戦力差は著しいものだった。それすら超えるともなれば災害に匹敵すると言われても疑いはしない。
「ドワーフとエルフです。かつて私が見た、ね」
その言葉にローズもジルクも頭に疑問を浮かべる。
確かにドワーフとエルフはとんでもない強さをしている。ドラゴンと対等に戦ったとしても疑いはしない。
だがあくまで対等から少し超えるくらいの強さのはずだ。どれだけ強くても、ドラゴン以上に強いローズと比較して戦力差がひどいから譲歩するなどという強さではないはずだ。
二人の疑問に答えるかのようにヤギは言葉を続ける。
「今のドワーフやエルフたちとは比べ物にならない強さ…言うなればエルダードワーフとエルダーエルフですか。それが最期にあなたたちと戦う相手です」
ヤギの言葉は理解できた。だが二人の知識にはそんなドワーフやエルフは存在しない。ヤギが準備した魔物と考える方が自然だった。
「ドラゴンなどとは比較にすらなりませんよ。全力で戦っても持って数秒…いえ、一瞬でケリはつくでしょう。それほどの相手なのですよ」
「ドワーフとエルフを随分と評価しているんだな。彼らに憧れでもあるのか?」
ふるふると首を振り否定の意志を示すヤギ。だが憧れよりもある意味ひどいものがそこにはあった。
「聞いた話では彼らは何体もの災害を殺したことすらあるという話ですからね。かつての私はもう怖くて怖くて仕方なかったですよ」
その言葉に何を呼ぼうとしているのかを察する。憧れではなくトラウマをジルクたちに押し付けると言っているのだ。悪趣味が過ぎると、先に口に出たのはローズだった。
「自分自身のトラウマを押し付けるとは良い趣味をしているな」
「ええ。だから戦力差が過ぎると言っています。用意はできましたか?。もう呼びますよ?」
息を整え、ジルクは生命力による身体強化を、ローズは魔術による身体強化をしっかりと行い、武器を構えた。
「「来いっ!」」
そこに現れたのは金色と紅色が混じった大槌を肩に担いだドワーフと、白刃の長剣を持ったエルフだった。
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