そろそろ最強勇者にも飽きてきたので最弱勇者の話を書くことにしました。

伊武大我

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謁見だ…フフ…

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 「ん…はッ!」

「あ、起きたのね。もう、気を付けなさいって言ってるでしょー。あなたすぐ死ぬんだから」

しまった、また死んだのか。
いかんな、勇者がこのようなことで死んでいては…フフ…気を付けなければ…フフ…

「あなたモンスターの中で最弱のスライムの攻撃でも死ぬんだから防御力1とかなんじゃないのー?それも1は1でも1以下の表記ができないからほんとはほぼ0だけど仕方なく1って書いてあるような1だと思うよおかあさん…」
「こんなので魔王なんて倒せるのかしらねー?」

「フフフ…母上…案ずるな…いくら魔王の攻撃といえ…当たらなければどうという事はない…すべて避ければいいだけのこと…」

「もー、そんなにうまくいくと思ってるのー?家だからおかあさんの蘇生魔法で生き返らせてあげられるけど魔王退治におかあさんはついて行かないんだからねー?」

フフフ…全く…過保護な親だ…

「さ、王様のところに行くんだから早くご飯食べて。着替えもしなきゃでしょ?」

着替え…着替えか…
フフフ…ついにこの服を着る時が来たか…
数年前に拵えた「勇者っぽい青い服」!
今までタンスのスペースを取っていただけだったがついに活躍の時が訪れた…
うーむ…数年前に数年後の成長を見越して作っておいたがピッタリだ…
この胸の「なんだかよくわからないがかっこいいマーク」も素晴らしい…刺繍だからちょっと高かったがやはり付けて正解だった…実に勇者っぽい…フフ…
さぁ…ではさっさと飯を食べて王への挨拶へ向かおうではないか…フフ

 「なぜ…母上も付いてくるのだ…」

「王様のところに行くまでに死んだらどうすんの?自力で生き返れるの?」

どこまでも過保護な親だ…フフ…だがたしかに王に会う前に死んだとあっては勇者としての威厳がないな…
フフフ…仕方ない…好きなようにさせてやるか…フフ

と、言ってるそばから勇者は石につまづいた。

「ぬおッ!」

「っと…フフ」

てっきり転んでまた死ぬのかと思いきや踏みとどまりやがった。

「フフフ…このぐらいで死んでいては勇者は名乗れん…フフフフ…ハハハh」

再び高笑いをしようとしたところで、横からボールが飛んできて

勇者は死んだ。


「ほら見なさい。おかあさんがいてよかったでしょ!」

フフ…少々油断が過ぎたようだ…勇者がボールを見切れんとは…

「あー、ごめんな勇者」

「フフ…まあそう気にするなケンちゃん(7才)…いつも遊んでいるよしみだ…お父さんにも世話になっているしな…フフ」

「ああ、また遊ぼうな」

そういってケンちゃんはボールを持って去っていった。

「フフ…仕方のないやつめ…また「伝説の勇者と導かれし七人」ごっこでもしてやるか…フフフ…もっとも、今の俺は「本物の」勇者だがな…クハハハハハハハ…!」

 城に着くなり「私は勇者だ!」と門兵にものすごいドヤ顔で言い放つと、勇者は胸をはち切れんばかりに張ってドヤ顔のまま城に入った。

「おお、君が今度の勇者か!勇者らしい服装だな!」

む、王ほどではないが偉そうな恰好…「大臣」というやつか…フフフ…よくわかっているな…何しろ「ちょっとだけ」高かったからなこの服…「ちょっとだけ」な…フフ…

「ささ、王様は上の「玉座の間」でお待ちだ。こちらへ」

「うむ」

さも自分が王だ!と言わんばかりの偉そうな態度で勇者は「玉座の間」へと大臣の案内で向かった。

そしてその偉そうな態度のまま王様の前へ立った。

「ほ、ほう。そなたが次なる勇者か…」

「フフ…その通りですとも王様…私が「勇者」です!!」

「こ、こら勇者!王様の前なんだからちゃんとしなさい!いきなり大声出すバカがどこにいますか!」

そういって母さんに無理やり膝を付かされた。
やれやれ、ほとほと困った親だぜ…

「う、うむ、勇者なのはわかっておる…いきなり大声を出すでない。」
「おほん。そなたも知っておるだろうが魔王のせいでこの頃魔物が増えて被害が増えておる。なんか変な瘴気みたいなのも出してるせいで天候も悪い!作物が育たん!そこで毎年勇者を募り、魔王退治に向かわせておるのだがとうとう応募してくる者もお主一人になってしまった。その為面接も実技試験も無しに採用したがほんとに大丈夫であろうな?」

「フフ…もちろんです王様…わたくしは幼少の頃より魔法と剣術の鍛錬を積んでまいりました…心配には及びません…」

「ほう、そうか!それは頼もしい!」

「ですが、少々、本当に少々なんですが打たれ弱い面もございます…まあそちらは攻撃に当たらなければいいだけのこと…ご安心ください…フフ」

「なに強がってるの!あのぉ、王様…この子は実はですね、防御面がですね、ちょっとだけ人より弱くてですね…攻撃面に関しては本人も言っている通り小さい頃から庭で犬のぬいぐるみに向かって必殺技の練習をしているのを見てきているので心配ないと思うんですが、防御面に関して、防御面に関してだけはほとほと弱くてですね…すぐに死んでしまうかもしれないのです…今朝も2回死んでしまっていて…」

「母上…!」

「な…、それは困ったな…」

「はい…家にいる間は私の魔法でなんとかなるのですが…旅先でなにがあるかわからないので…
そこでお願いなんですが…蘇生魔法のできる方をお仲間に欲しいのですが…」

「母上…!余計なこと言わないでください…!フフ…王様…ご心配なく…先ほども申し上げた通り…当たらなければいいだけのこと…仲間は自分で見つけますので…フフ」

「しかしなぁ…そうすぐに死なれても困るしなぁ…」

「お願いします王様!」

「母上!もう黙りなさい!フフ…ご心配なさらずに王様…フフフ」

「うーむ…よし、わかった!いつもの勇者より上質な装備を出そう!」

そういって王様が持ってこさせたのは鋼でできた銀色に輝く鎧と鋼でできた銀色に輝く剣だった。

「いつもは餞別程度の木の棒なんじゃがな。今回は特別じゃぞ!」

そういって王様は笑った。
なぜ…餞別で木の棒なんだ…

 早速鎧を身に着け城を出た勇者。

「母上…先に帰ってもよいぞ…」

「え、でもまた死ぬでしょあなた」

「母上…いくら私でも鎧を着ていて死ぬほど弱くはない…」

「うーん、それもそうね」

じゃあ気を付けてねと言って母さんは帰っていった。

「フフ…よし…では早速…ギルドに行って仲間探しと洒落こむか…フフ…」

「あと…この鎧にもあの「なんだかよくわからないがかっこいいマーク」を描かねばな…フフフ…」
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