異世界に転生したら?(改)

まさ

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第3章、俺達が出来る事。

第9話、束の間の団欒

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大森林の深部に向って移動し、2週間たった。

徐々にモンスターも強くなって来ている。


現在の場所は、俺が転生して初めてこの世界に来た場所よりも深い場所になる。

もう少し進めば最深部への入口、通称【深淵の闇】と言われる薄暗い森に到着する。

そして深淵の闇に入ると、そこからのモンスターの強さが桁違いに上がると言われている。


深淵の闇は、結界の様になってるんだとか。

まぁ、結界って言うか魔力が濃厚に溜まった状態がある位置で留まっていて、それこそ闇で出来た壁の様に見えてるらしい。

何でそんな風に魔力が溜まったうえで壁で仕切られた様にハッキリと見えているのかは分かってないとか。

まぁ、ファンタジー不思議世界だしそんなもんなんだろう。

実際、俺が考えても分かるとは思えないしね。


強いモンスターは、その濃厚な魔力を好んでいて、深淵の闇の外には殆んど出ないみたいだ。


何となくだけど、深淵の闇の中だと強いモンスターは魔力を吸収したりして、過ごしやすいんじゃ無いかと思っている。


実際に俺達もMP自動回復なんてスキルがあるし、それって周囲からMPを吸収してるって事なんじゃないかな?

想像からでも強いモンスターは、燃費悪そうだしね。


 前に町のギルドで、この世界の地図(かなり大雑把だけど)を見た時、形は四国の様な感じで、大きさは多分だが、町の大体の距離から(ガーディッシュとシルファルの間)考えて地球のユーラシア大陸くらいかな?合ってるかどうかは知らないけどさ。

そしてその中でも大森林は大陸の右半分を占めている。

【大森林】だけあって面積は広大だ。

深淵の闇は、大森林の40%くらいだと思う。

そこにA~Sクラスのモンスターが覇権を巡り日夜争っているらしい。

聞いた話だと、Bクラスのモンスターは、Aの強さに近くなると深淵の闇へと向かいつつ更にレベル上げ、A級の強さになると深淵の闇内へ行き、既にいるA~Sクラスに挑んでいく。


*鑑定だと「レア度」でギルドでは「級(クラス)」でモンスターの強さを表す事もある。



相手を倒すと自分の縄張りとなり、負ければそこで終わり。


そもそも逃げ帰る事を考える様なモンスターは深淵の闇に入らないだろうし。

結果、深淵の闇の中のモンスターの数は、ほとんど変わらない。


この情報は、百年前のSクラスの冒険者が10年の年月をかけて調べ上げた結果らしい。

そのSクラスの冒険者は、調べ終わり町に戻ると精も根も尽きて、眠る様に亡くなったと言われている。


最強Sクラスの人間が、寿命を削りながら、最後は過労死状態になる程だ。

話を聞いていて、ちょっとだけ深淵の闇に行くのが怖くなったのは仕方ないと思う。



リリムも一所に行く事になり、外周部のモンスターから徐々に深淵の闇に向かって進み、全員の連携、個々の強さ、総合的な強さを底上げしながら進む。

ある程度の安全のマージンが取りながら、深部に向けサーチ&デストロイである。


町を出て2週間、魔法が得意なリリムは一人でもCランクのモンスターを倒せるまでに成長していた。

本来なら深淵の闇まで1週間くらいで着く距離を2倍程の日数をかけて来た成果だな。


リリムは、俺達が大森林の奥に行くことを伝えても「私も行きます!」って意思を曲げなかった。

並みの冒険者なら、絶対に行くなんて言わないと思う。

実際、奥に行くほど危険なのだし、生命をかけてまではいかないんじゃないかな?


リリムは、最初から一度も弱音を吐かずにここまでがんばっている。


「でも本当にマサムネさんの亜空間は凄いですよね」

「そんなこと無いって」

リリムが、夕日のビジョンに変わっている亜空間の壁や天井を見て俺に話しかけてくる。

俺の亜空間は、俺が設定した時間に合わせて壁や天井の見た目が変わるし、この後は徐々に暗くなり満天の星空になる。


「私が聞いていたテイマーさんの亜空間は、こんなに凄く広くないし何よりこんなに綺麗な景色を見れるなんて聞いたことが無いです」

「そうなのかな?他のテイマーに会った事も無いし分からないけど、多分こんなもんじゃないの?」

「違うと思いますけど?」


若干ジト目で俺を見るリリムから逃げるように亜空間内の家へと退避する。




俺は転生した事を未だにメンバーには話していない。

これからも話すつもりも無いが………もしかしたら転生者の特権か?この亜空間。


うん、メンバー以外には黙っておこうかな?
絶対に厄介な事になりそうな予感がする。

皆にもそれとなく言っておこう。


俺とリリムで晩御飯の用意を始める。

コウは料理が苦手って言うか、せいぜい捌いて、串に刺して焼く。みたいなシンプルな事しかしたことが無いみたいだからね。

基本的に俺とリリムが担当になっている。

残りは羽と肉球だしね。


オーク肉を一口大に切り、軽く火を通したら水を入れて一煮立ちさせる。

その間にリリムに野菜を適度な大きさにぶつ切りしてもらって、火の通りにくい野菜から鍋に入れていく。

全部の野菜を入れたら灰汁を取りながら野菜に火が通るまでゆっくりとかき混ぜる。

最後に塩と胡椒で味付けして出来上がり!

「オーク肉煮込み野菜スープの出来上がり!」

リビングのテーブルに人数分の皿に注いだスープを並べ、無限収納からパンをテーブルの真ん中に出し俺達には果汁ジュース、従魔のハクヨウとレツガには水を専用の器に入れて出し皆を呼び揃った所で食べ始める。

「「「いただきます!」」」『グアー♪』『ピー』((いただきます♪))

この世界には「いただきます」の概念は無く女神に感謝する人はいるものの、ほとんどいきなり食べ始めるのが一般的だ。

俺は日本での癖で毎回「いただきます」を言っていたが、それを聞いていたメンバーが理由を聞いてきたので「いただきます」の意味を皆に教えると、それならと皆も真似をし食事前に「いただきます」をする様になった。

リリムも皆とすっかり打ち解け楽しく話ながら食事をしている。

最初、リリムはあまり皆と積極的に話そうとはしなかったからな、楽しそうで本当に良かった。

「マサムネさん、どうしたんです?私の顔を見て?……ハッ!まさか顔に何か付いてました!?」


俺は、慌てて顔をゴシゴシ擦るリリムを見て思わず笑ってしまった。


「違うよ、リリムも皆と仲良くなって良く笑ったり、雰囲気も明るくなったなって思ってさ」

「ふえ!?あうぅ……そんな事を言わないで下さいよぉ…恥ずかしい」



リリムが来て、前よりも雰囲気が良い。

それにやっぱり女子がいるだけで花になるし!


そうそう。

変化と言えば、レツガは大きくなり体長は2メートルに。
今ではリリムや俺をを背中に乗せても余裕で走れる位にまで成長しました。


ハクヨウは良くも悪くも変わらないけどな、あんなに食べるクセに。


たまにハクヨウを見てリリムが。

「何で太らないんですか!理不尽です!」


とか心の叫び?を言ってたけど、あえて聞こえないフリをしました。


触らぬ神に祟りなしってね。


女性を怒らせたら大変と言うのは皆も知ってのとおり。


何て考えてたら。

「マサムネさん何か変な事を考えていませんか?」

リリムにジト目を向けられたけど。
レアスキルのポーカーフェイスをアクティブにして(*持ってません)「イイエ、カンガエテマセンガ?」と伝えたらそっぽを向かれた。


何だかんだで転生してから色々あったけど、楽しい事も多い。

出来れば、楽しい事だけあれば良いけど、そうもいかないしな。



晩飯も食べ終わり少し皆と話した後、風呂に入ってから寝る事にした。

俺が風呂から出てくると、それに合わせて皆もアクビをしながら部屋に向かう、リリムはアクビをしたのを見られ顔を真っ赤にして戻ったけどw

それも可愛かったです。




今までの事、これからの事、色々と考えてたらいつの間にか俺は寝ていた。
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