本物の悪女とはどういうものか教えて差し上げます

アリス

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決闘


決闘当日。

「ブローディア公爵家の皆様がお見えになりました」

数十人の騎士を引き連れ登場する。

全員が本格的に潰す気でいることを察する。

だが、一番驚いたのは当主のサルビアまでも本来の格好ではなく戦闘用の服を着ていて皆目を見張る。

サルビアが戦うわけではないのにあんな格好をするとは、それほどシルバーライス家に怒りを覚えているのだろうと貴族達はそう勘違いした。

それでも、先に来ていたシルバーライス家だけはブローディア家の雰囲気に呑まれることなく堂々としていた。

自分達の態度に貴族達は不審を持ち始め、勝つ気でいるのかと哀れみの目をおくる。


ブローディア家が登場する少し前。

「シルバーライス家の皆様がお見えになりました」

従者の一人がそう叫ぶと貴族達はシルバーライス家の方に目を向ける。

その瞳の奥にはシルバーライス家を嘲笑っていた。

登場したのは三人で騎士が見つからなかったのだと瞬時に理解する。

そうなると戦うのはデルフィニウム。

あんな女が母親何て可哀想にという目でデルフィニウムをみる。

もし、母親がシレネでなければ上にいけただろうにと。

今日来た貴族達はこれまでジギタリスの寵愛を受けやりたい放題やっていたシレネの落ちていく姿を見るためだった。

だが、貴族達は困惑した。

きっとブローディア家との決闘に怯えていると思っていたのに、いつも以上に着飾り堂々と余裕の笑みを浮かべていた。

あのブローディア家との決闘でここまで余裕の態度を取れるのは勝つ算段があるのではないかと。

ある者は身の程知らずと馬鹿にし、ある者はどんな作戦か興味を持ち、ある者はブローディア家が負けるのかもしれないと笑い話にしていた。

だが、貴族達は全員シルバーライスが勝つことはないと心の底ではわかっていた。

そうして、暫く笑いの種にされているとブローディア家が登場した。



「国王陛下、王妃陛下、王太子殿下がお見えになりました」

貴族達は全員席から立ち三人に頭を下げる。

国王は近くにいた臣下に指示を出し決闘を始めるよう指示を出す。

「では、これより決闘を始める。両家の代表者は前に」

臣下がそう叫ぶとデルフィニウムが剣を手に持ち前に出る。

すぐにデルフィニウムの手の剣がデザストルであるとサルビアは気づいた。

その少し後に一人の貴族が「あの剣はデザストルじゃないか」と呟くとその呟きを耳にした貴族達が騒ぎ始めた。

「デザストルとは何だ」

王妃陛下が近くの臣下に尋ねる。

「呪われた剣のことでございます。デザストルの前ではどんな強者も相手にならないと死ぬと言われています」

臣下の言葉に国王は顔が険しくなり、ロベリアは喜びそうになるのを何とか必死に耐える。

ゴンフレナはマーガレットを心配そうな顔で見つめる。

全員がブローディア家が負けるかもしれないと本気で思い、その瞬間に立ち会えることを喜んでしまう。

殆どの者がブローディア家が負けることを望み始めた。

だがそんな中ブローディア家は誰一人慌てることなく堂々とシルバーライス家を見つめていた。

マンクスフドとデルフィニウムの戦いが早く見たいと皆が思っているなか、剣を腰にさし前に出たサルビアを見て全員が目をこれでもかと開き息をするのを忘れた。

国一、大陸一、二の強さを誇るサルビアが出るとは夢にも思っていなかった。

これにはアネモネも驚き勝てるかどうか不安になる。

一番最初に我に返った臣下が「それでは両者剣を抜いてください」と。

二人は臣下の言葉で剣を抜き構える。

「この決闘は相手が降参するか死ぬまで終わりません。それでは、始め」

ドンッと大きな音が鳴り決闘開始の合図がなる。

貴族達はサルビアとデザストルどっちが勝つか賭けをし始めた。

「ブローディア公爵。私は貴方を殺したくありません。どうか、降参してくださりませんか」

デルフィニウムが舐めた口調で上からものをいう。

「おい、クソ餓鬼。そう言うことは自分の力で上に立ってから言うものだ。そんな剣に頼らなければ何もできない餓鬼が調子に乗るなよ」

ジギタリスとシレネに腹を立てていたが、代理人には関係ないと殺すのだけは辞めておこう思ったが、今の一言で殺すことに決めた。

デルフィニウムはその言葉にむかついたが、どうせ勝つのは自分だからと余裕こいていたが、パキンッと何が折れる音がしたと思ったらお腹に痛みが走り直ぐに背中にも痛みが走った。

何が起きたのだと理解しようとしたが、痛みでそれどころではなかった。

「……おい、いま何が起きたんだ」

一人の貴族がそう言うが誰も何が起きたか理解できていなかった。

二人が何か話していると思ったら、急にサルビアの姿が見えなくなった。

どこにいったと探していたらパキンッと音がしたと思ったらデルフィニウムが壁に叩きつけられていた。

その光景だけで何が起きたかは明白だったが、あまりにも信じられない光景に誰一人信じたくなかった。

呪われた剣として有名な剣がたった一瞬で折られたのだから。

サルビアの強さが自分達の想像を遥かに超えるほど強いということを。

ブローディア家が負けると思った自分達の浅はかさに、どれだけ能天気な頭だったのかを思い知らされた。

「さて、死ぬ覚悟はできているな。最後に言いたいことはあるか」

サルビアはデルフィニウムの喉元に剣を向ける。

デルフィニウムは自分が負けたことが受け入れられず放心して何も言えない。

「……わかった。なら死ね」

降参する最後のチャンスを与えたがデルフィニウムは何も言わなかった。

なら、文句はないだろうと剣を上に上げふり下ろそうとすると「……負けを認めます」と小さな声で言いサルビアは剣を止める。

デルフィニウムの声が聞こえた臣下は「そこまで。勝負あり。勝者、ブローディア家」と高らかに宣言する。

貴族達始まる前はサルビアが負けるかもしれないと期待していたが、いざ始まるとたった数秒で決着がついた。

それも圧倒的な力の差をみせつけて。

貴族は何故サルビアが出てきたかわからなかったが、今ならわかる。

警告しているのだ。

私の大切な人達を傷つけるなら次にこうなるのはお前達だと。

貴族達はこれまでブローディア家に何をしても多少は大丈夫だろうと舐めてかかっていたが、これからはそんな態度をするのは絶対にやめようと誓う。

今までの非礼を詫びた方がいいのかとも考え始める。

「デルフィニウム!」

勝者が決まりサルビアがマーガレット達の元に帰ると急いで息子の傍に駆け寄るシレネ。

「血が出てるわ。急いで手当てしないと。そこの者手を貸しなさい」

シレネは近くにいた王宮に仕える騎士達に声をかけるが、騎士達はその声を無視する。

騎士達が仕えているのは国王陛下であってシレネではない。
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