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説明
しおりを挟む「……看護師長さん」
鼓動が早くなり冷や汗が流れる。
「花王さん。ここは病院です。騒ぐのはやめてください」
笑顔で言うも、こめかみに青筋が立っている。
'こ、怖い……'
実は生まれて初めて笑顔が怖いと感じた。
「すみません……」
「次からは気をつけてください。とりあえず、床を綺麗にするので花王さんはベットの上で大人しくしておいてください」
床に落ちていた布団を実に押し付け、雑巾を取りに行く。
さっき、実が吹き出した白湯を拭くためだ。
「お、俺がやります!」
自分が汚したのだから当然だ。
そう思って言ったのだが、キッと看護師長に睨まれる。
「いえ、大丈夫です。花王さんはベットの上にいてください」
暗に、邪魔だからそこにいろと言われ大人しくベットの上にいる。
「すみません。ありがとうございます」
「いえ、次はありませんからね。明日は退院なので、それまでは大人しく過ごしてください。いいですね」
看護師長の怖い笑みに、実は何度も首を縦に振り絶対に明日まで大人しく過ごすと誓う。
「ご理解いただきありがとうございます。では何かあったらお呼びください」
看護師長が部屋からでると体の力が抜けベットに倒れ込む。
「こ、怖かった……」
ようやく緊張から解放されホッとする。
『行ったな。じゃあ、話を再開させるぞ』
看護師長が部屋から出ていくと声の主が実に声をかける。
「お……」
お前!と大声で叫びそうになり、慌てて両手で口を塞ぐ。
「お前、いままでどこにいってた」
『どこって、ダンジョンだが?』
「……ダ、ダンジョン!?お前ダンジョンにいるのか!?何で!?」
大声で叫ばないよう気をつけるも、さっきよりも少しだけ声が大きくなる。
『なぜって動けないからだ』
「は?ちょ、ちょっと、まて。じゃあ、いままでお前はずっとダンジョンから俺に話しかけていたのか?」
『そうだ。問題あるか?』
'大アリだ!ボケェ!'
実はそう叫びたいのをグッと堪えこう尋ねるた。
「なぜ動けないんだ?」
『封印されているからだ』
「誰に?」
『いまは言えん』
「なんで?」
当たり前の疑問だ。
これから強くなるために共に協力?する関係なのに秘密を作られるのはあまりいい気はしない。
『何ででもだ。いまはそのときではないとだけ言っておこう。時がくれば自ずと知ることになる。だから、今は気にするな』
「……わかったよ」
実は天井をジッーと睨みつけ渋々納得する。
『さっきの話しの続きをするぞ』
声の主にそう言われ、看護師長がくるまでに話していたことを思い出す。
「わかった。まずはさっきの俺の質問に答えてくれ」
『ああ。もちろんだ。まずは臣下のことから話そう。臣下は俺を含めて77人いる。そいつらも俺と同様呪われてダンジョンに封印されている。臣下を手に入れる方法はただ一つ。ダンジョンを攻略すること。そうすれば臣下はお前を王と認め従う』
「わかった……ん?ちょっとまってくれ。先にダンジョンを攻略されたらどうなるんだ?」
ダンジョンは世界中に出現した。
日本だけでも86もある。
世界ともなると1000近くにもなる。
いや、もしかしたらそれ以上あるかもしれない。
臣下達が封印されたダンジョンがどこにあるかもわからない。
それに先に攻略される可能性もある。
そうなった場合臣下はどうなるのだ?
一つわかるのはその臣下は実を王として認めないということ。
『それはない。そのダンジョンに入るには王の資格が必要だ。それ以外の者は入ることはできん』
「あ、そうなの。なら安心だな。次にいこう」
実は自分以外入る資格がないとわかり安心する。
'次?……たしか、王とミッションのことだったか?'
声の主はさっき実が言ったことを思い出す。
『王に関してはお前次第としか言いようがない。歴史には数多の王が存在がするが誰一人同じではない。人によって王は変わる。お前がなりたいと思った王になればいい。それ次第で俺達は……』
「ん?最後なんて言った?よく聞こえなかった。もう一度言ってくれ」
最後の方はザーッとノイズがかかったみたいに声の主の声が聞こえなかった。
『同じことは二度言わん主義だ。最後のミッションについて説明する』
実の頼みを声の主は断る。
'ケチな奴め……'
心の中で'ブーブー'と叫ぶ。
『ミッションはダンジョンやゲートには一切関係はしない。だが、ミッションにクリアすればそのレベルに合わせた報酬が支払われる』
「ちょっと、待ってくれ!ダンジョンやゲートに関係ないってどういうことだ?」
少し前から声の主の言っていることに頭が追いついていないのに、いまので完全に限界を超えた。
『そのままの意味だ。このミッションは俺個人からのものだと思ってくれていい』
「……そうか、わかった」
実は考えるのをやめた。
黙って従おう。
そう決めた。
ダンジョンとゲートに関係ないのならモンスターと戦うことはない。
それなら、大したミッションではない。
それにミッションを達成したら報酬を貰える。
モンスターを倒すことなく報酬を貰えるのなら最高だ。
言われた通りミッションをこなしさえすればいい。
実は壊れた人形のようなフフッと不気味な笑い方をする。
'気持ち悪いな'
声の主は実の笑みをみてドン引きする。
ゴホンッ!
気を取り直して声の主は実に話しかける。
『質問はもうないな。それなら、これからお前に……』
ミッションを与える、そう言おうとして実に遮られ最後まで言えなくなる。
「ちょっとまった!もう一つある。一番気になっていたこがある。それに答えてくれ」
『なんだ?』
まだあるのか?
声の主は呆れてため息を吐く。
「ダンジョンの壁にはなんて書いてあったんだ?ミッションをクリアしたと言ったが、そのミッションとはどんな内容だったんだ?」
実はずっと気になっていた疑問をぶつける。
それを聞いた声の主は「質問は一つだと言ったのに二つだな」と呆れる。
『壁に書かれていた絵はミッション内容とクリアしたあとのことだ』
実は声の主の言い方に疑問をもつ。
'絵は?なら、文字の方は違う内容が書かれていたのか?'
実は絵と文字のことを尋ねたつもりだったが、声の主は絵のことにしか言及しない。
『その様子だとお前はあの絵を理解できなかったんだな』
実は声の主の言葉にカッと耳まで赤く染める。
「嫌な言い方だな。お前は意地悪だ。理解できていたら、そもそも聞かない」
'たしかにその通りだ'
声の主は実の言い分に納得し心のこもってない謝罪をする。
『悪かった』
実は声の主の言い方に絶対悪いと思ってないと思った。
『それでミッションの内容だが簡単だ。あの穴に飛び込み助けを乞う者と共に一緒にダンジョンの外に出ればいい。それがクリア条件だ』
実はそれを聞いて何とも言えない気持ちになる。
風間に落とされたことで結果的に職業とスキルを手に入れることができ、呪いにかかる心配もなくなった。
裏切られたことによって実はいま以上に強くなる資格を与えられた。
喜ぶべきか、それとも怒るべきか。
運が良いのか悪いのか。
実は笑っているのか、泣いているのか、どっちとも捉えることができる顔をした。
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