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懐中時計
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「シオン。昨日はありがとう。すごく美味しかったわ」
「それならよかったです。顔色も良くなって良かったです。今日はどこに行きますか?」
シオンは私の顔を見るとホッとしたように笑った。
「とりあえず、街を見てまわりたいわ」
(せっかくあの本の舞台となった街に来たんだもの。巡礼したいわ)
きっとシオンは断らない。
わかっていたが、少しだけ申し訳なく思う。
シオンは今から行くところが恋愛小説の舞台になったところだとは知らないはずだが、そこに行けば恋人たちが多いため気づく可能性もある。
私と恋人同士に間違われ嫌な思いをするかもしれない。
それでも、最後の思い出に行ってみたかった。
大好きな本の憧れた場所に来られたのだから、行かなかったったら死んだ後も絶対に後悔する。
「わかりました。どっちから行かれますか?」
「うーん。右から」
私は少し考えてからいい匂いがする右の方に行くことに決めた。
この街の人間ではないため、どこが小説の舞台になった店や場所なのかはわからない。
歩いて見つけるしかない。
焦らず、気ままに、楽しく見つけていくことにした。
「はい。右から行きましょう」
私たちは美味しい匂いがする道に向かって歩き出した。
私の鼻は優秀だった。
右の道は美味しいもので溢れていた。
朝早くから沢山の屋台が出ていた。
どうしてこんな朝早くから?と疑問に思ったが、すぐに観光客がたくさんいるからだな、と納得した。
死期がもうすぐ来るとわかったからか、食べたいものをたくさん食べた。
旅に出てから食欲が旺盛になったが、今日は今までよりもたくさん食べた。
周りの女性たちはあんまり食べていなかったため、少し恥ずかしくなったが、シオンが嬉しそうに笑っていたためどうでも良くなった。
それにシオンも一緒に食べてくれたので、途中から楽しみことだけに集中できた。
朝ごはんを食べ終わると雑貨屋に入った。
屋台に劣らずたくさんの雑貨の店がある。
理由は屋台と同じだろう。
たくさんの雑貨店を回り、いろんな商品を見たがどれもピンとこなかったが、初めて見る商品が数多くあって見るだけで楽しかった。
時間を忘れ、夢中で見ているとある一つの商品に目がとまった。
「……懐中時計?」
時計は普通時計屋にある。
雑貨屋にあるなんて珍しくてつい手にとって見てしまった。
蓋を開けて中を見ると、デザインも少し変わっていた。
だが、それが妙に魅力的に感じた。
シオンに似合うな、と思い買うことに決めた。
蓋を閉めようとしたとき、手が滑った。
慌てて地面に落ちる前に受け止めた。
そのとき、手が触れたところがネジのところで回してしまった。
壊したわけでわないから大丈夫だと言い聞かせていたら、突然懐中時計から音がなった。
これはオルゴール式懐中時計だった。
高価で貴重な代物がどうしてこんな古びた店にあるんだ?と首を傾げてしまう。
運がいいのか、悪いのか。
普通に考えればいいのだろうが、どうしても不思議で素直に見つけたことを喜べなかった。
お金はたくさんあるし、多分買えると思うがと不安になりながら店員に話しかける。
「すみません。これ、いくらですか?」
懐中時計を見せる。
「ああ。それは30000アールです」
穏やかな笑みを浮かべたおじさんが懐中時計を見て答える。
一瞬、驚いた表情をしていたが、すぐに元に戻ったので気のせいかと思う。
(え!?30000アール!?聞き間違いよね?)
どう考えても値段がおかしい。
安すぎる。
この100倍はしてもおかしくはないのに。
安物の懐中時計なら、この値段でもおかしくはないが、オルゴール付きでこの値段はおかしすぎる。
一見、全く怪しくない無害な男だが、実際は違うのかと目の前のおじさんを警戒してしまう。
そんな私の考えを見透かしたように、おじさんは穏やかな表情を崩さず話をし出した。
「この懐中時計は少し特殊でして、持ち主を選ぶんです。そのため、普段は見えないんですよ」
おじさんはおかしそうに話すが、私の頭の中は'?'でいっぱいだった。
「だから、見えない人に持つ資格はないんです。売るのも大変なんです。本当はタダあげてもいいんですが、一応商品なので懐中時計代だけは貰おうかと、この値段なんです」
「そうなんですね」
理解できたような、できないような内容だったが「魔法がかかっているんです」という言葉で最後は納得して買った。
シオンが喜んでくれると嬉しいな、と思ったが、既に懐中時計を持っていたらどうしようと不安になった。
これまで旅を一緒にしてきたのに、シオンのことを大して知らないことに気づいた。
渡してもいいのか、駄目なのか一日中悩んだ末に、渡すことにした。
夕食も風呂も済ませ、後は寝るだけになってやっと決心がついた。
私は初めてシオンが泊まっている部屋に尋ねた。
いつもシオンが訪ねてきてくれるので、こんなに人の部屋を訪れるのが緊張するものだとは知らなかった。
私が緊張を落ち着かせようと深呼吸を繰り返していると、「お嬢様。どうかしましたか?」と扉を開けてシオンが訪ねてくる。
いつ開いたのかもわからなかったが、お陰で助かったと思ったが、心の準備がまだできていなくて「その、あの……」と言うだけでなかなか次の言葉が出てこなかった。
「それならよかったです。顔色も良くなって良かったです。今日はどこに行きますか?」
シオンは私の顔を見るとホッとしたように笑った。
「とりあえず、街を見てまわりたいわ」
(せっかくあの本の舞台となった街に来たんだもの。巡礼したいわ)
きっとシオンは断らない。
わかっていたが、少しだけ申し訳なく思う。
シオンは今から行くところが恋愛小説の舞台になったところだとは知らないはずだが、そこに行けば恋人たちが多いため気づく可能性もある。
私と恋人同士に間違われ嫌な思いをするかもしれない。
それでも、最後の思い出に行ってみたかった。
大好きな本の憧れた場所に来られたのだから、行かなかったったら死んだ後も絶対に後悔する。
「わかりました。どっちから行かれますか?」
「うーん。右から」
私は少し考えてからいい匂いがする右の方に行くことに決めた。
この街の人間ではないため、どこが小説の舞台になった店や場所なのかはわからない。
歩いて見つけるしかない。
焦らず、気ままに、楽しく見つけていくことにした。
「はい。右から行きましょう」
私たちは美味しい匂いがする道に向かって歩き出した。
私の鼻は優秀だった。
右の道は美味しいもので溢れていた。
朝早くから沢山の屋台が出ていた。
どうしてこんな朝早くから?と疑問に思ったが、すぐに観光客がたくさんいるからだな、と納得した。
死期がもうすぐ来るとわかったからか、食べたいものをたくさん食べた。
旅に出てから食欲が旺盛になったが、今日は今までよりもたくさん食べた。
周りの女性たちはあんまり食べていなかったため、少し恥ずかしくなったが、シオンが嬉しそうに笑っていたためどうでも良くなった。
それにシオンも一緒に食べてくれたので、途中から楽しみことだけに集中できた。
朝ごはんを食べ終わると雑貨屋に入った。
屋台に劣らずたくさんの雑貨の店がある。
理由は屋台と同じだろう。
たくさんの雑貨店を回り、いろんな商品を見たがどれもピンとこなかったが、初めて見る商品が数多くあって見るだけで楽しかった。
時間を忘れ、夢中で見ているとある一つの商品に目がとまった。
「……懐中時計?」
時計は普通時計屋にある。
雑貨屋にあるなんて珍しくてつい手にとって見てしまった。
蓋を開けて中を見ると、デザインも少し変わっていた。
だが、それが妙に魅力的に感じた。
シオンに似合うな、と思い買うことに決めた。
蓋を閉めようとしたとき、手が滑った。
慌てて地面に落ちる前に受け止めた。
そのとき、手が触れたところがネジのところで回してしまった。
壊したわけでわないから大丈夫だと言い聞かせていたら、突然懐中時計から音がなった。
これはオルゴール式懐中時計だった。
高価で貴重な代物がどうしてこんな古びた店にあるんだ?と首を傾げてしまう。
運がいいのか、悪いのか。
普通に考えればいいのだろうが、どうしても不思議で素直に見つけたことを喜べなかった。
お金はたくさんあるし、多分買えると思うがと不安になりながら店員に話しかける。
「すみません。これ、いくらですか?」
懐中時計を見せる。
「ああ。それは30000アールです」
穏やかな笑みを浮かべたおじさんが懐中時計を見て答える。
一瞬、驚いた表情をしていたが、すぐに元に戻ったので気のせいかと思う。
(え!?30000アール!?聞き間違いよね?)
どう考えても値段がおかしい。
安すぎる。
この100倍はしてもおかしくはないのに。
安物の懐中時計なら、この値段でもおかしくはないが、オルゴール付きでこの値段はおかしすぎる。
一見、全く怪しくない無害な男だが、実際は違うのかと目の前のおじさんを警戒してしまう。
そんな私の考えを見透かしたように、おじさんは穏やかな表情を崩さず話をし出した。
「この懐中時計は少し特殊でして、持ち主を選ぶんです。そのため、普段は見えないんですよ」
おじさんはおかしそうに話すが、私の頭の中は'?'でいっぱいだった。
「だから、見えない人に持つ資格はないんです。売るのも大変なんです。本当はタダあげてもいいんですが、一応商品なので懐中時計代だけは貰おうかと、この値段なんです」
「そうなんですね」
理解できたような、できないような内容だったが「魔法がかかっているんです」という言葉で最後は納得して買った。
シオンが喜んでくれると嬉しいな、と思ったが、既に懐中時計を持っていたらどうしようと不安になった。
これまで旅を一緒にしてきたのに、シオンのことを大して知らないことに気づいた。
渡してもいいのか、駄目なのか一日中悩んだ末に、渡すことにした。
夕食も風呂も済ませ、後は寝るだけになってやっと決心がついた。
私は初めてシオンが泊まっている部屋に尋ねた。
いつもシオンが訪ねてきてくれるので、こんなに人の部屋を訪れるのが緊張するものだとは知らなかった。
私が緊張を落ち着かせようと深呼吸を繰り返していると、「お嬢様。どうかしましたか?」と扉を開けてシオンが訪ねてくる。
いつ開いたのかもわからなかったが、お陰で助かったと思ったが、心の準備がまだできていなくて「その、あの……」と言うだけでなかなか次の言葉が出てこなかった。
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