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神話の始まり
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アルデン国ルーデンドルフ公爵領に竜が現れた。
それも、ただの竜ではなく黒竜。
その最悪な知らせは国だけでなく、大陸中に一気に知らされ、人類すべてを恐怖の渦に陥れた。
この世界で竜は災害だ。黒竜はその上の大災害に分類される。
黒竜が最後に確認されたのは今から二百年ほど前。
当時は黒竜を討伐するまでに、国一つが滅んだとされている。
多くの魔法使い、騎士たちの犠牲によって現代人は生きている。
知らせを聞いた神殿、魔法協会、各国の国王たちは、直ちに神官と魔法使い、騎士たちを派遣することを決意した。
転移魔法で移動できるとしても、想像を絶するほどの犠牲者が出ることは誰もがわかっていた。
アルデン国はもちろん、大陸中がアルデン国が世界地図から消えるだろう、と。
黒竜が現れるとき、必ず百以上の竜も出現する。
竜は基本単独行動だ。
だが、圧倒的な強さを誇る黒竜には従う。
黒竜だけで国一つを滅ぼせるのに、竜の相手もしないといけない。
アルデン国の空を飛ぶ竜たちをみて、国民は絶望した。
自分たちは絶対に助からない、と。
魔法使いや騎士たちが命を懸けて戦おうとしようとしているのに、誰も彼らが勝つとは思っていなかった。
それでも、もしかしたらと国民たちは髪の毛よりも細い、今にもちぎれてしましそうなほどのか細い糸ほどの希望の光。
奇跡を信じていた。
だが、竜たちの上から黒竜が現れた瞬間、その希望は完全に粉々に砕けた。
はるか上空を飛ぶ竜たちが翼を動かすたび、強風が吹き、建物が崩れた。
アルデン国の象徴の一つといわれる、風の精霊王の加護を受けたと言われる、「平和の鐘」の象徴の建物も崩れ、鐘が音をたてながら落下した。
下にいた人々は死を直感し目をつぶった。
だが、なかなか衝撃がこない。
恐る恐る目を開けると、鐘はぶつかる直前で止まっていた。
誰かが魔法で止めたみたいだ。
鐘の真下にいた少年は腰が抜け、その場に座り込んだ。
いったい、誰が自分を助けてくれたんだ、と周囲を見渡すと瓦礫や、ガラス、椅子、机、さまざまなものが魔法で人にぶつからないよう止められていた。
人々は助かったことに安堵したが、突如黒竜の咆哮が聞こえ、結局死ぬことには変わらないと逃げる気力すら失った。
ただ、呆然と竜たちを眺めていると、空に国全土を包むほどの大きな魔法陣が現れた。
その魔法陣は水色で描かれていたが、光っており、それが何を意味するかは魔法を使わない者たちですら知っていた。
それは水の精霊王と契約した者だけが使える魔法陣の色だと。
太陽の光によって輝き、風が吹いて揺れる水が集まり、無数の鋭い剣が現れた。
水の剣というより、光の剣のような輝きを放つ。
人々は眩しくて目を閉じる。
それは竜たちも同じだった。
なんとか目を開けようとした者たちが、次に見た光景は百体以上の竜たちが剣で貫かれ、断末魔を上げる暇もなく絶命し、落下していく姿だった。
「うそ、だろ……」
少年は信じられない光景に、さっきまで騒がしかった音が聞こえなくなった。
ただ、その光景を眺めていた。
死んだ竜たちが落ちてくれば、街がどれだけの被害を受けるか簡単に想像がつく。
だが、そんな心配は無用だった。
竜たちは街に落ちるまえに現れた魔法陣を通ると、水にのまれたみたいに消えていった。
唯一、水の剣を避け生き残った黒竜は怒りを露わにし、翼をめいっぱい広げ、さっきよりも強い風を吹かした。
だがそんな威嚇も空しく、黒龍は自分よりも大きな水の大剣に貫かれ絶命した。
誰もが死を覚悟したその日、それを忘れるような光景を目にした。
圧倒的な力でありながら、それをコントロールする技術、美しく繊細な魔法を初めてみた。
姿すら見えない救世主に人々は心の底から感謝した。
同時刻、この光景を少し離れたところで見ていた討伐隊の者たち。
その中の一人である老人は、次々と竜たちを倒していく美しい魔法に、胸が熱くなり、少年のように目を輝かせた。
それも、ただの竜ではなく黒竜。
その最悪な知らせは国だけでなく、大陸中に一気に知らされ、人類すべてを恐怖の渦に陥れた。
この世界で竜は災害だ。黒竜はその上の大災害に分類される。
黒竜が最後に確認されたのは今から二百年ほど前。
当時は黒竜を討伐するまでに、国一つが滅んだとされている。
多くの魔法使い、騎士たちの犠牲によって現代人は生きている。
知らせを聞いた神殿、魔法協会、各国の国王たちは、直ちに神官と魔法使い、騎士たちを派遣することを決意した。
転移魔法で移動できるとしても、想像を絶するほどの犠牲者が出ることは誰もがわかっていた。
アルデン国はもちろん、大陸中がアルデン国が世界地図から消えるだろう、と。
黒竜が現れるとき、必ず百以上の竜も出現する。
竜は基本単独行動だ。
だが、圧倒的な強さを誇る黒竜には従う。
黒竜だけで国一つを滅ぼせるのに、竜の相手もしないといけない。
アルデン国の空を飛ぶ竜たちをみて、国民は絶望した。
自分たちは絶対に助からない、と。
魔法使いや騎士たちが命を懸けて戦おうとしようとしているのに、誰も彼らが勝つとは思っていなかった。
それでも、もしかしたらと国民たちは髪の毛よりも細い、今にもちぎれてしましそうなほどのか細い糸ほどの希望の光。
奇跡を信じていた。
だが、竜たちの上から黒竜が現れた瞬間、その希望は完全に粉々に砕けた。
はるか上空を飛ぶ竜たちが翼を動かすたび、強風が吹き、建物が崩れた。
アルデン国の象徴の一つといわれる、風の精霊王の加護を受けたと言われる、「平和の鐘」の象徴の建物も崩れ、鐘が音をたてながら落下した。
下にいた人々は死を直感し目をつぶった。
だが、なかなか衝撃がこない。
恐る恐る目を開けると、鐘はぶつかる直前で止まっていた。
誰かが魔法で止めたみたいだ。
鐘の真下にいた少年は腰が抜け、その場に座り込んだ。
いったい、誰が自分を助けてくれたんだ、と周囲を見渡すと瓦礫や、ガラス、椅子、机、さまざまなものが魔法で人にぶつからないよう止められていた。
人々は助かったことに安堵したが、突如黒竜の咆哮が聞こえ、結局死ぬことには変わらないと逃げる気力すら失った。
ただ、呆然と竜たちを眺めていると、空に国全土を包むほどの大きな魔法陣が現れた。
その魔法陣は水色で描かれていたが、光っており、それが何を意味するかは魔法を使わない者たちですら知っていた。
それは水の精霊王と契約した者だけが使える魔法陣の色だと。
太陽の光によって輝き、風が吹いて揺れる水が集まり、無数の鋭い剣が現れた。
水の剣というより、光の剣のような輝きを放つ。
人々は眩しくて目を閉じる。
それは竜たちも同じだった。
なんとか目を開けようとした者たちが、次に見た光景は百体以上の竜たちが剣で貫かれ、断末魔を上げる暇もなく絶命し、落下していく姿だった。
「うそ、だろ……」
少年は信じられない光景に、さっきまで騒がしかった音が聞こえなくなった。
ただ、その光景を眺めていた。
死んだ竜たちが落ちてくれば、街がどれだけの被害を受けるか簡単に想像がつく。
だが、そんな心配は無用だった。
竜たちは街に落ちるまえに現れた魔法陣を通ると、水にのまれたみたいに消えていった。
唯一、水の剣を避け生き残った黒竜は怒りを露わにし、翼をめいっぱい広げ、さっきよりも強い風を吹かした。
だがそんな威嚇も空しく、黒龍は自分よりも大きな水の大剣に貫かれ絶命した。
誰もが死を覚悟したその日、それを忘れるような光景を目にした。
圧倒的な力でありながら、それをコントロールする技術、美しく繊細な魔法を初めてみた。
姿すら見えない救世主に人々は心の底から感謝した。
同時刻、この光景を少し離れたところで見ていた討伐隊の者たち。
その中の一人である老人は、次々と竜たちを倒していく美しい魔法に、胸が熱くなり、少年のように目を輝かせた。
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