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脆い友情
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アキレアは物凄い速さで空を飛び、わずか1分で1年生の最後尾に追いついた。
そう遠くない場所に1年生の先頭集団がみえる。
1年生ということもあり、そこまで魔法の差はないが、先頭と比べて最後尾の争いは苛烈だった。
上から高みの見物をした後、2年生の集団をみるが1年生とそうたいした差はないように感じた。
更に飛ぶ速さを上げると、3年生の最後尾に追いついた。
1、 2年生と違い、ここは全員が優雅に歩いていた。
自分たちが最下位になるはずはないと信じ切っている。
自分がなめられているということを、こうも目にすると、はっきり言って気分は良くない。
最悪だ。
アキレアは自分が「無能」と呼ばれることは仕方ないと思っていた。
魔法使いはあらゆる魔法が使えるというのが常識。
水魔法しか使えないアキレアにとって、魔法使いとして欠陥品「無能」扱いされることはしかたない。
だが、無能=弱い、と思われるのだけは我慢できなかった。
事実は事実して受け止められるが、事実ではないことは受け止めたくはなかった。
この試験で、どちらが本当に強いかを証明し、認めさせなければならない。
これらは、アキレアにとって学園を卒業するために必要なことだった。
アキレアは彼らの上空に魔法陣を発動させ、攻撃を仕掛ける。
直接体には当たらないよう、近くに落とす。
「なんだ!いったい誰が攻撃を?」
「誰がこんなバカなことを!?」
「今すぐやめろ!」
適当にやっても退学は免れられるのに、いったい誰がこんなバカげたことをやっているのかと、攻撃を受けた3年生たちは見えない敵に向かって叫び続けた。
攻撃で土ぼこりが舞い、上空を確認できなかった彼らは、いつの間にか攻撃が終わり、土ぼこりが消えると、空を見上げた。
彼らは、そこにいたアキレアを見た瞬間、驚きのあまり一言も発することができずに固まった。
最初に我に返った1人の男子生徒が「なんで、無能のお前が空を飛んでんだ」と小さく呟くと、その声で我に返った3年生たちは次々と質問というにはほど遠い、憎悪がこもった暴言を投げ飛ばした。
アキレアはそんな彼らの暴言に傷つくこともなく、クスリと笑い、満面の笑みで「お先に、最下位争い頑張ってね」と言って、飛んでいく。
下から「ふざけんな」「何様のつもりよ」と叫ぶ声が聞こえたような気がしたが、一瞬でかなりの距離ができたため、気のせいということにして、先頭集団に追いつくためにスピードをさらに上げた。
「無能のくせに、なめやがって!」
飛んでいったアキレアをみた男子生徒が忌々しそうに吐き捨てるように言う。
他の生徒たちも同じ気持ちなのか、彼女に向かって暴言を言うものが結構いた。
アキレアの姿などとっくに見えなくなって聞こえるはずもないとわかっていたが、叫ばずにはいられなかった。
暫くそんな時間が続いたが、さっきまで騒がしかったのが嘘だったみたいに静寂が訪れた。
誰一人動かない。
全員が全員を監視するような緊張感に包まれる。
最初は誰が声を発したのか、動いたのか、モニターで確認していた先生たちにもわからなかった。
もしかしたら、全員が一斉に動き出しのかもしれない。
ほんの少し前まで仲良く話していた友達、これからも一緒に頑張ろうと誓ったクラスメイト。
それを忘れたかのように、お互いを攻撃し、蹴落とす戦いが始まった。
空を飛ぼうとすれば妨害、先に行くものがいれば妨害。
倒す以外、最下位を脱出する方法はなかった。
アキレアの存在など忘れたかのように自分が生き残るために、彼らは目の前にいる級友たちを動かなくなるまで攻撃し続けた。
※※※
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