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第肆章 本番
成長
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一回戦、俺たちは蒼天第二との戦いで、無事勝利した。その結果として俺のペアは、彼女が言うには過大評価を受けた。だからこそ、ここからが本当の本番と言っても過言ではない。
「準備は?」
「大丈夫。もういける」
彼女の目線はかなり本気だった。一回戦で受けた過大評価のおかげで何か吹っ切れたようにも見れた。
そして、準備運動をしていると、扉を二度たたく音が聞こえた。
「こんにちは!次相手をさせていただく昊天第一の『楠原 真鈴』でぇす」
「おい、真鈴。よせって」
制服からして確かに昊天第一の生徒か。でも、これから対戦する相手の控室に何の用なのか、気がまぎれる。
「何か用か?」
「いやぁ、さっきの試合見たよ?二人ともすごい魔道士だなって思って、秘密でもないかなって思ってね」
グイグイと前に出ようとする彼女を止める彼は『平山 和樹』。懐かしい俺の友人だ。懐かしいから話したいと思う半分、集中するために視線を外したいと思う。
「幸平、久しぶりだな」
「おう、久しぶり和樹。やっぱり選抜メンバーになったんだな」
「そりゃ、幸平が認めてくれたからな」
「は?あんた魔賊と知り合いだったの?」
懐かしい会話を止める態度の大きな彼女、彼女が作り出すこの雰囲気が俺たちにどんな影響を及ぼすか、なんて簡単に想像できる。
「悪い、続きはまたにしよ。次はよろしくお願いします。ほらっ、行くよ真鈴」
俺の視線で何かを感じ取ったのか、和樹は女子を連れて控室を後にした。
「ねぇ、幸平が認めたってどういうこと?」
和樹の言葉に疑問を持つ必要なんてないものを。でも、この子に聞かれては、自分がみじめに思われないように話してしまう。
「ライバルなんだよ。あいつも君主魔法を使えるし、俺より早く君主魔法を完成させた」
情けない話しだ。魔賊ともあろう人間が、魔法に関する才能で、魔法に対する努力で俺は和樹に負けた。
「それで認めたってこと?」
「ああ。前の試合も見たけど、正直今の俺で勝てるかどうかも分からない」
ここで、『俺に任せろ』と言いたいところだが、それが容易に言える相手じゃない。
「まあ、大丈夫じゃない?だって私がいるからね」
どうしてだろう、一回戦の時に持っていた感情が入れ替わっている。下を向くことでしか、俺が落ち着くことができない。
「ありがと」
立ち上がり深呼吸をすると、いつの間にか積んでいた荷物を降ろせた気がした。
「ほらっ、行くよ。また聡が待ってる」
俺の手を引く日向の姿がよく見ることができなかった。眩しさのあまりに下を向く。
境界線、この先に俺が認める敵と、十年に一人の天才がいる。この先にも俺が立つには、あの二人を倒して自分は才能を持っていると示す必要がある。
「今更なんだけど、なんで聡がここにいんの?」
「ほんと今更だな。ずっと二人とも不安そうな顔してっからずっと心配なんだよ」
最初の一回戦は日向が、そして今回は俺が、だらしない先発メンバーだな。メンタル面がずっとボロボロ、何も言えないな。でもどうしてだか、彼の顔が晴れていないような気がした。
「まっ、行ってきます」
俺たちは、再びこの境界線を越える。
『さぁ、やってまいりました魔導剣舞祭典 一年生の部 第二回戦は、『砂の貴公子こと平山 和樹』『十年に一人の天才、楠原 真鈴』の昊天第一、それに対する『証明した秀才こと小川 日向』と『伝説の意思を継ぐ者、井魔 幸平』の曇天第四。早くも注目される二校の対戦、熱くなってきましたね』
『本当に熱いですね。全員が全員、注目される実力者ですからね。とくに昊天の二人は、魔法学校の中でも難易度の高い学校の試験の記録を更新した強者ですからね』
魔法帝と実況の人の会話が、俺たちにも聞こえた。でも、誰も頬を緩ませることなく目の前の敵にだけ視線が行く。
『どうやら両校とも、やる気満々のようですし、さっそく始めましょう!』
『「用意、はじめ!」』
観客の声も混ざった始まりの合図は、四人を一気に行動に移した。それぞれの正面にいる好敵手だけを視界に入れる。そして、魔方陣を形成させる。
「雷魔法 雷装」「水魔法 水刃」
俺たちの魔法が相手に届く直前、目の前が壁の色と同化した。
「砂魔法 要塞 サンドフォールス」
砂の嵐が消えると、そこに見えたのは大きな壁、和樹の魔法だ。
「水魔法 雨水流星」
砂の要塞、魔法を弱体化させるために日向が反応した。地面と同じ高さから要塞に与えられる影響は少ない。彼女の反射的思考回路は、安定的に要塞全体に大粒の雨を降らせた。大きな雲が存在するということは、俺の使うある魔法の発動条件が満たされた。
「雷魔法 轟雷の逆鱗」
俺の『轟雷の逆鱗』の発動条件は二つ。雲の存在と、その雲がこの魔法に耐えられること。それだけ大きな雲か、魔法もしくは魔法によってできたものの二種類。これなら一気にダメージを与えられる、といいな。
「風魔法」
そっと聞こえた魔法のかけら。直後、要塞は姿を消し、空中に浮いた楠原がいた。
「旋風纏」
「これが、十年に一人の天才の由来か」
この世界の天才の基準は普通じゃない。単に基準となる魔法を使えるようになった年によって変わる。『風魔法 旋風纏』はその基準の一つ、ほぼ無敵状態を作れる驚異的魔法。
「あれ知ってるの?」
「あぁ、天才の基準だよ。あれを使っている間は、ほとんどの魔法が当たらなくなる。そういう魔法だ」
「は?そんなのどうしたらいいの?」
あの魔法を攻略するには、魔法自体を無効化するか、風で流されないようにする必要がある。あの子を倒すのは、俺のほうがいいか?
「俺がやる。日向は和樹を頼む」
「やだ!あの子は私がやる」
どうして日向は、あの子に対してそこまで敵対心を持っているのだろう。何かあったのか、それとも単にああいう女子が嫌いなのか。その目つきがちょっと怖いな。
「分かった」
俺の返事の直後、攻略法を隠そうと間に風魔法が飛んでくる。
「それ以上は話させない!」
「話さなくても、あなたには負けないから!」
渡された引導を突き返すように水魔法で反応し、同性での対決が始まった。ペア戦の意味あるのか・・・。
「ほんと、ペア戦の意味あるか?」
「あぁ、俺も同じこと思ってた」
互いにため息を吐いて、俺たちは互いに殺意を向ける。そして、互いに全力を出すぞと、視線だけで伝える。
「砂魔法 砂君の候嵐」
「雷魔法 雷君の天雅孔砲」
互いの君主魔法は、初めて出した時よりもそれぞれ強化されていて、影響が出すぎていた。魔源が拡散され、風が俺たちを後ろへと押してゆく。
互いの魔法は、無力化しあい互い、中間地点からの爆風に観客が悲鳴を上げる。
「なかなか強くなったじゃないか。ここまでなんて」
「それはこっちからしても同じだろ?」
俺たちの実力は、拮抗状態そのもの。この状態から抜け出すには、持久力勝負で勝つか、ペアである人の実力による。目と鼻の先に迫ってくる和樹の右手の砂の剣が俺の首を狙ってくる。
さあ、どうする。俺たちが勝つためには何がいる。
「何か別のこと考えてんだろ。その状態で俺に勝とうってか?今の俺は、以前とは違うぞ!砂広域大魔法 砂の監獄」
硬かった足元が急に沈みだし、踏み込んだ時に違和感が感じる。別の試合の時に見たから知ってはいるが、この魔法が俺たちの連携を崩すことになる。広域系大魔法は、天才と呼ばれるのにギリギリ値しないにしても、発動することだけでも難しいのに、実戦でそれを使うのはそれだけレベルが上がっているということだろう。彼はこの短期間でそれだけ成長する努力をしたのだろう。
「俺がこれを使い始めたのは、この魔法のためなんだよ。真鈴!」
女子の声が聞こえた後、和樹の周りに風が吹き始め体が宙に浮く。それの正体はすぐに分かった。楠原 真鈴の旋風纏だろう。強化系の魔法を他人に付与するのは、俺たちの年齢じゃ死ぬ気で努力しないと出来ない。いや、それだけの努力を積んでもそれを可能にするには、才能なども関わってくる。
「幸平!これどうにかならないの?」
一度合流できたものの、日向もこのままだじゃだめだと理解しているように思えた。焦りが見えた。でもその瞬間、永和に言われたことが頭に浮かんだ。
『あいつは、きっと大丈夫だよ。まるでスポンジみたいだし』
何を言っているのか、今のところ分からない。もし、本当にスポンジのような奴なら、今ここからどうするのか気になった。それじゃ、今の俺は何もしないということなのか。それって・・・。
「俺が何とかする!」
少し声が震えた。俺が感じていることと正反対のことを口にすると、こういうことが起こるんだろうか。
さあ、どうしよう。どうすれば、俺の手でこの場を攻略できるだろうか。俺の君主魔法なら、これを突破できるだろうか。今使える君主魔法は二つ。天雅孔砲に豪刃弓、どちらも遠距離攻撃型。あぁ、無理だ、ここを一気に打開するには、自分の限界を超えるしかない。あの時の永和のように、日向みたいに。
時間が欲しい。でもそれは俺のわがままで、日向も同じこと。時間があって策ができれば、何とかする。そんなの俺か日向のどちらかでしかない。変わらないことだ。
「さあ幸平、これが俺たちが考えた鉄壁の守りだ。さあどうする?」
少し茶色い視界の先に見える二つのローブ、その人の声が雑音交じりに聞こえる。でも、そのセリフを打ち砕こうと思っても、実行できる手が浮かばない。
「時間稼げる?」
「は?!」
俺より先に何か案が思いついたのだろうか。さすがの日向でも、この状況を打開なんてできないよな・・・。
「三分。いや、一分だけでいいから!」
スポンジは一体何を吸収したのだろうか。でも一分くらいだったら、話しかければなんとかなるかもしれない。
「分かった。できるだけ稼ぐ。雷装」
全身に雷をまとって、音と光の間の速さで移動できるようにする。旋風纏とは違う雷装は、攻撃と移動に特化した強化系魔法。ダメージも受けるし、同じ相手にも通用するかどうかは、使う人次第。
「準備は?」
「大丈夫。もういける」
彼女の目線はかなり本気だった。一回戦で受けた過大評価のおかげで何か吹っ切れたようにも見れた。
そして、準備運動をしていると、扉を二度たたく音が聞こえた。
「こんにちは!次相手をさせていただく昊天第一の『楠原 真鈴』でぇす」
「おい、真鈴。よせって」
制服からして確かに昊天第一の生徒か。でも、これから対戦する相手の控室に何の用なのか、気がまぎれる。
「何か用か?」
「いやぁ、さっきの試合見たよ?二人ともすごい魔道士だなって思って、秘密でもないかなって思ってね」
グイグイと前に出ようとする彼女を止める彼は『平山 和樹』。懐かしい俺の友人だ。懐かしいから話したいと思う半分、集中するために視線を外したいと思う。
「幸平、久しぶりだな」
「おう、久しぶり和樹。やっぱり選抜メンバーになったんだな」
「そりゃ、幸平が認めてくれたからな」
「は?あんた魔賊と知り合いだったの?」
懐かしい会話を止める態度の大きな彼女、彼女が作り出すこの雰囲気が俺たちにどんな影響を及ぼすか、なんて簡単に想像できる。
「悪い、続きはまたにしよ。次はよろしくお願いします。ほらっ、行くよ真鈴」
俺の視線で何かを感じ取ったのか、和樹は女子を連れて控室を後にした。
「ねぇ、幸平が認めたってどういうこと?」
和樹の言葉に疑問を持つ必要なんてないものを。でも、この子に聞かれては、自分がみじめに思われないように話してしまう。
「ライバルなんだよ。あいつも君主魔法を使えるし、俺より早く君主魔法を完成させた」
情けない話しだ。魔賊ともあろう人間が、魔法に関する才能で、魔法に対する努力で俺は和樹に負けた。
「それで認めたってこと?」
「ああ。前の試合も見たけど、正直今の俺で勝てるかどうかも分からない」
ここで、『俺に任せろ』と言いたいところだが、それが容易に言える相手じゃない。
「まあ、大丈夫じゃない?だって私がいるからね」
どうしてだろう、一回戦の時に持っていた感情が入れ替わっている。下を向くことでしか、俺が落ち着くことができない。
「ありがと」
立ち上がり深呼吸をすると、いつの間にか積んでいた荷物を降ろせた気がした。
「ほらっ、行くよ。また聡が待ってる」
俺の手を引く日向の姿がよく見ることができなかった。眩しさのあまりに下を向く。
境界線、この先に俺が認める敵と、十年に一人の天才がいる。この先にも俺が立つには、あの二人を倒して自分は才能を持っていると示す必要がある。
「今更なんだけど、なんで聡がここにいんの?」
「ほんと今更だな。ずっと二人とも不安そうな顔してっからずっと心配なんだよ」
最初の一回戦は日向が、そして今回は俺が、だらしない先発メンバーだな。メンタル面がずっとボロボロ、何も言えないな。でもどうしてだか、彼の顔が晴れていないような気がした。
「まっ、行ってきます」
俺たちは、再びこの境界線を越える。
『さぁ、やってまいりました魔導剣舞祭典 一年生の部 第二回戦は、『砂の貴公子こと平山 和樹』『十年に一人の天才、楠原 真鈴』の昊天第一、それに対する『証明した秀才こと小川 日向』と『伝説の意思を継ぐ者、井魔 幸平』の曇天第四。早くも注目される二校の対戦、熱くなってきましたね』
『本当に熱いですね。全員が全員、注目される実力者ですからね。とくに昊天の二人は、魔法学校の中でも難易度の高い学校の試験の記録を更新した強者ですからね』
魔法帝と実況の人の会話が、俺たちにも聞こえた。でも、誰も頬を緩ませることなく目の前の敵にだけ視線が行く。
『どうやら両校とも、やる気満々のようですし、さっそく始めましょう!』
『「用意、はじめ!」』
観客の声も混ざった始まりの合図は、四人を一気に行動に移した。それぞれの正面にいる好敵手だけを視界に入れる。そして、魔方陣を形成させる。
「雷魔法 雷装」「水魔法 水刃」
俺たちの魔法が相手に届く直前、目の前が壁の色と同化した。
「砂魔法 要塞 サンドフォールス」
砂の嵐が消えると、そこに見えたのは大きな壁、和樹の魔法だ。
「水魔法 雨水流星」
砂の要塞、魔法を弱体化させるために日向が反応した。地面と同じ高さから要塞に与えられる影響は少ない。彼女の反射的思考回路は、安定的に要塞全体に大粒の雨を降らせた。大きな雲が存在するということは、俺の使うある魔法の発動条件が満たされた。
「雷魔法 轟雷の逆鱗」
俺の『轟雷の逆鱗』の発動条件は二つ。雲の存在と、その雲がこの魔法に耐えられること。それだけ大きな雲か、魔法もしくは魔法によってできたものの二種類。これなら一気にダメージを与えられる、といいな。
「風魔法」
そっと聞こえた魔法のかけら。直後、要塞は姿を消し、空中に浮いた楠原がいた。
「旋風纏」
「これが、十年に一人の天才の由来か」
この世界の天才の基準は普通じゃない。単に基準となる魔法を使えるようになった年によって変わる。『風魔法 旋風纏』はその基準の一つ、ほぼ無敵状態を作れる驚異的魔法。
「あれ知ってるの?」
「あぁ、天才の基準だよ。あれを使っている間は、ほとんどの魔法が当たらなくなる。そういう魔法だ」
「は?そんなのどうしたらいいの?」
あの魔法を攻略するには、魔法自体を無効化するか、風で流されないようにする必要がある。あの子を倒すのは、俺のほうがいいか?
「俺がやる。日向は和樹を頼む」
「やだ!あの子は私がやる」
どうして日向は、あの子に対してそこまで敵対心を持っているのだろう。何かあったのか、それとも単にああいう女子が嫌いなのか。その目つきがちょっと怖いな。
「分かった」
俺の返事の直後、攻略法を隠そうと間に風魔法が飛んでくる。
「それ以上は話させない!」
「話さなくても、あなたには負けないから!」
渡された引導を突き返すように水魔法で反応し、同性での対決が始まった。ペア戦の意味あるのか・・・。
「ほんと、ペア戦の意味あるか?」
「あぁ、俺も同じこと思ってた」
互いにため息を吐いて、俺たちは互いに殺意を向ける。そして、互いに全力を出すぞと、視線だけで伝える。
「砂魔法 砂君の候嵐」
「雷魔法 雷君の天雅孔砲」
互いの君主魔法は、初めて出した時よりもそれぞれ強化されていて、影響が出すぎていた。魔源が拡散され、風が俺たちを後ろへと押してゆく。
互いの魔法は、無力化しあい互い、中間地点からの爆風に観客が悲鳴を上げる。
「なかなか強くなったじゃないか。ここまでなんて」
「それはこっちからしても同じだろ?」
俺たちの実力は、拮抗状態そのもの。この状態から抜け出すには、持久力勝負で勝つか、ペアである人の実力による。目と鼻の先に迫ってくる和樹の右手の砂の剣が俺の首を狙ってくる。
さあ、どうする。俺たちが勝つためには何がいる。
「何か別のこと考えてんだろ。その状態で俺に勝とうってか?今の俺は、以前とは違うぞ!砂広域大魔法 砂の監獄」
硬かった足元が急に沈みだし、踏み込んだ時に違和感が感じる。別の試合の時に見たから知ってはいるが、この魔法が俺たちの連携を崩すことになる。広域系大魔法は、天才と呼ばれるのにギリギリ値しないにしても、発動することだけでも難しいのに、実戦でそれを使うのはそれだけレベルが上がっているということだろう。彼はこの短期間でそれだけ成長する努力をしたのだろう。
「俺がこれを使い始めたのは、この魔法のためなんだよ。真鈴!」
女子の声が聞こえた後、和樹の周りに風が吹き始め体が宙に浮く。それの正体はすぐに分かった。楠原 真鈴の旋風纏だろう。強化系の魔法を他人に付与するのは、俺たちの年齢じゃ死ぬ気で努力しないと出来ない。いや、それだけの努力を積んでもそれを可能にするには、才能なども関わってくる。
「幸平!これどうにかならないの?」
一度合流できたものの、日向もこのままだじゃだめだと理解しているように思えた。焦りが見えた。でもその瞬間、永和に言われたことが頭に浮かんだ。
『あいつは、きっと大丈夫だよ。まるでスポンジみたいだし』
何を言っているのか、今のところ分からない。もし、本当にスポンジのような奴なら、今ここからどうするのか気になった。それじゃ、今の俺は何もしないということなのか。それって・・・。
「俺が何とかする!」
少し声が震えた。俺が感じていることと正反対のことを口にすると、こういうことが起こるんだろうか。
さあ、どうしよう。どうすれば、俺の手でこの場を攻略できるだろうか。俺の君主魔法なら、これを突破できるだろうか。今使える君主魔法は二つ。天雅孔砲に豪刃弓、どちらも遠距離攻撃型。あぁ、無理だ、ここを一気に打開するには、自分の限界を超えるしかない。あの時の永和のように、日向みたいに。
時間が欲しい。でもそれは俺のわがままで、日向も同じこと。時間があって策ができれば、何とかする。そんなの俺か日向のどちらかでしかない。変わらないことだ。
「さあ幸平、これが俺たちが考えた鉄壁の守りだ。さあどうする?」
少し茶色い視界の先に見える二つのローブ、その人の声が雑音交じりに聞こえる。でも、そのセリフを打ち砕こうと思っても、実行できる手が浮かばない。
「時間稼げる?」
「は?!」
俺より先に何か案が思いついたのだろうか。さすがの日向でも、この状況を打開なんてできないよな・・・。
「三分。いや、一分だけでいいから!」
スポンジは一体何を吸収したのだろうか。でも一分くらいだったら、話しかければなんとかなるかもしれない。
「分かった。できるだけ稼ぐ。雷装」
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