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二時間目
私の過去を
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六限目。体育館で各部活紹介と、二、三年生との顔合わせの時間。私は前から二列目で、クラスの中の端の場所。今並んでいる各クラス四列体系だと仲のいい子たちとは離れちゃうから苦手んだよね。
「ヒイロ?」
私の名前をヒイロと呼ぶのはほんの少し前まではあの人しかいなかった。
「何?ユウヤ」
「辰矢だってば、俺の名前そんなに覚えづらい?」
「あっ、ごめん・・・」
私の顔は赤く染まっていっただろうな。とても熱い。
「ユウヤってもしかして、彼氏さん?」
「うん、そんな感じかな・・・」
彼氏、なんてものは中学生にとっては早すぎたと、今では私もそう思う。太鼓部の激しく体育館中に響く演奏は私に聞こえることなく、去年のことを思い出す。
一年前、中学三年生の春、ある男子に恋をした。
彼とは初めて同じクラスになった。私と話が合うこともあってすぐに仲良くなった。じきに二人で遊びに行くことも増えていった。内面も優しく友達からの評価も良い。私にとってはとても勿体無い・・・。好きだけど、釣り合うことのない私が付き合うことなんて、そう思うと彼に私の思いを伝えることはないと思っていた。
でも、ある日の放課後。私とユウヤはテスト勉強で残っていて教室に二人になって帰る直前、奇跡は起きた。
「なぁ、響空」
「何?ユウヤ」
「俺さ、好きな人・・・出来た」
この言葉で私は涙が出そうになっていた。釣り合わない私は今後会う機会を削減しなくてはいけないのがショック過ぎた。でも、彼が好きな人と一緒に居て、楽しく過ごしてる姿を私も見てみたいと思った私は自分の感情を抑え込み、心にもないことを言った。
「そうなんだ。告れば?あんたは根は良くてちゃんと知ればモテるんだから、話せばその子もきっとユウヤのこと気にいってくれるよ」
「そうかな・・・?」
「そうだよ!自信持ちな?」
思っていることと言うことが違うことは女子の特技なのかな・・・。
「響空?」
「何?」
最初は彼の顔を見られなくなって、彼に背を向けていた。そして肩に彼の手のような違和感を感じる。
「響空。俺と付き合ってくれん?」
「え・・・?」
私は彼の力で無理やり、彼の顔を視界に入れられた。そして、彼の言葉でさらに言葉が詰まる。
「俺と付き合ってください。響空」
そう彼は言った。了承した私は彼と数ヶ月間は夢のような生活を過ごしていた。十月頃、私は彼が女子と恋人の様にどこかへ行くのを見かけた。しかも、その人は同じ学校の私とは顔見知りの子だった。私は家に帰って自分の部屋で泣いていた。最初は姉か妹か、そんな感じだと思っていたのに・・・。
その現場を見て以降、彼とは距離を置いて、無視をし続けた。そして、常に彼から逃げ続けた。話しかけられれば、他の子と話し、メールは無視して、電話には出ない。やりたくなくても、今彼と話せば何でも許してしまいそうになるのが怖かった。一番にごめんて言わない彼と今話すべきではないと思った。
二週間後、メチャクチャに思い出を捨てた。
「響空、お前最近おかしくない?」
彼の言葉をいつものように流す。
「いいかげん、無視すんなよ!」
「・・・・・・何?」
彼に右手首を掴まれ、足も止まり彼と目を合わせる。
「何?じゃないだろ。どうして、話そうとしないんだよ」
「・・・・・・・・・」
「何か言えよ」
「・・・私はあなたのおもちゃじゃないの」
私の声はとても暗く、言葉に重さはのっていただろうか。
「そんなの分かってるよ」
「・・・嘘」
「本当」
「・・・そんな冗談はやめて」
「冗談なんかじゃない」
「じゃぁ・・・何で、他の子と恋人つなぎしたの?」
「は?」
「二週間前、駅で二人で楽しそうにしているの見たよ」
「・・・・・・」
彼は黙った。さっきまでの勢いは、自分に不味いことが知られていると知った途端に何も言わな行くなった。
「俺は、お前の事が好きだよ・・・」
「ごめん、それを信じろって言われても、はいそうですかって、信じれるわけないやん」
それを言って私は弱く握られていた彼の手を払い、スタスタと下校の道を進んでいた。
あの台詞以来、彼とは目すら合わせることすらなくなった。破局した。でも、私はきっと彼はちゃんと謝ってくれる。そう信じてる、そう願っている自分がいた。今のところ自然消滅したこの状況をどうするかは全て彼次第だから。何も考えられなかった。
「ヒイロ?」
「あっ、ごめん辰矢。何?」
「戻ろ?」
周りを見るとほとんどの人が教室に向かっていた。
「大丈夫?具合でも悪かったりすると?」
辛い事を思い出して俯いている私には辰矢君の優しさに少し心がどよめいていた。
「ううん、何もないよ?」
私の言葉で心を隠す。もう、自分に迷いを持ってしまう。他の人は私とユウヤのことを知らない。まだ付き合っていると思われている。
「何か隠してるでしょ?」
辰矢は私の何かに感づいて言った言葉に寒気を感じた。この人は何か私とは違う感覚を持っているのかも、とも。
「・・・何かって、何?」
私の声は気づいたら震えていた。
「良くは分かんないけど、誰にも言えないようなこと。秘密とかとはまた違う、話したくても話せないようなこと」
「何でそんなふうに?」
「あぁ、何もないなら気にしないで。ただの感だから」
彼に感じたどよめきは、寒気や震えは、間違い無いのかも。少し彼の感が怖くなった。
「ヒイロ?」
私の名前をヒイロと呼ぶのはほんの少し前まではあの人しかいなかった。
「何?ユウヤ」
「辰矢だってば、俺の名前そんなに覚えづらい?」
「あっ、ごめん・・・」
私の顔は赤く染まっていっただろうな。とても熱い。
「ユウヤってもしかして、彼氏さん?」
「うん、そんな感じかな・・・」
彼氏、なんてものは中学生にとっては早すぎたと、今では私もそう思う。太鼓部の激しく体育館中に響く演奏は私に聞こえることなく、去年のことを思い出す。
一年前、中学三年生の春、ある男子に恋をした。
彼とは初めて同じクラスになった。私と話が合うこともあってすぐに仲良くなった。じきに二人で遊びに行くことも増えていった。内面も優しく友達からの評価も良い。私にとってはとても勿体無い・・・。好きだけど、釣り合うことのない私が付き合うことなんて、そう思うと彼に私の思いを伝えることはないと思っていた。
でも、ある日の放課後。私とユウヤはテスト勉強で残っていて教室に二人になって帰る直前、奇跡は起きた。
「なぁ、響空」
「何?ユウヤ」
「俺さ、好きな人・・・出来た」
この言葉で私は涙が出そうになっていた。釣り合わない私は今後会う機会を削減しなくてはいけないのがショック過ぎた。でも、彼が好きな人と一緒に居て、楽しく過ごしてる姿を私も見てみたいと思った私は自分の感情を抑え込み、心にもないことを言った。
「そうなんだ。告れば?あんたは根は良くてちゃんと知ればモテるんだから、話せばその子もきっとユウヤのこと気にいってくれるよ」
「そうかな・・・?」
「そうだよ!自信持ちな?」
思っていることと言うことが違うことは女子の特技なのかな・・・。
「響空?」
「何?」
最初は彼の顔を見られなくなって、彼に背を向けていた。そして肩に彼の手のような違和感を感じる。
「響空。俺と付き合ってくれん?」
「え・・・?」
私は彼の力で無理やり、彼の顔を視界に入れられた。そして、彼の言葉でさらに言葉が詰まる。
「俺と付き合ってください。響空」
そう彼は言った。了承した私は彼と数ヶ月間は夢のような生活を過ごしていた。十月頃、私は彼が女子と恋人の様にどこかへ行くのを見かけた。しかも、その人は同じ学校の私とは顔見知りの子だった。私は家に帰って自分の部屋で泣いていた。最初は姉か妹か、そんな感じだと思っていたのに・・・。
その現場を見て以降、彼とは距離を置いて、無視をし続けた。そして、常に彼から逃げ続けた。話しかけられれば、他の子と話し、メールは無視して、電話には出ない。やりたくなくても、今彼と話せば何でも許してしまいそうになるのが怖かった。一番にごめんて言わない彼と今話すべきではないと思った。
二週間後、メチャクチャに思い出を捨てた。
「響空、お前最近おかしくない?」
彼の言葉をいつものように流す。
「いいかげん、無視すんなよ!」
「・・・・・・何?」
彼に右手首を掴まれ、足も止まり彼と目を合わせる。
「何?じゃないだろ。どうして、話そうとしないんだよ」
「・・・・・・・・・」
「何か言えよ」
「・・・私はあなたのおもちゃじゃないの」
私の声はとても暗く、言葉に重さはのっていただろうか。
「そんなの分かってるよ」
「・・・嘘」
「本当」
「・・・そんな冗談はやめて」
「冗談なんかじゃない」
「じゃぁ・・・何で、他の子と恋人つなぎしたの?」
「は?」
「二週間前、駅で二人で楽しそうにしているの見たよ」
「・・・・・・」
彼は黙った。さっきまでの勢いは、自分に不味いことが知られていると知った途端に何も言わな行くなった。
「俺は、お前の事が好きだよ・・・」
「ごめん、それを信じろって言われても、はいそうですかって、信じれるわけないやん」
それを言って私は弱く握られていた彼の手を払い、スタスタと下校の道を進んでいた。
あの台詞以来、彼とは目すら合わせることすらなくなった。破局した。でも、私はきっと彼はちゃんと謝ってくれる。そう信じてる、そう願っている自分がいた。今のところ自然消滅したこの状況をどうするかは全て彼次第だから。何も考えられなかった。
「ヒイロ?」
「あっ、ごめん辰矢。何?」
「戻ろ?」
周りを見るとほとんどの人が教室に向かっていた。
「大丈夫?具合でも悪かったりすると?」
辛い事を思い出して俯いている私には辰矢君の優しさに少し心がどよめいていた。
「ううん、何もないよ?」
私の言葉で心を隠す。もう、自分に迷いを持ってしまう。他の人は私とユウヤのことを知らない。まだ付き合っていると思われている。
「何か隠してるでしょ?」
辰矢は私の何かに感づいて言った言葉に寒気を感じた。この人は何か私とは違う感覚を持っているのかも、とも。
「・・・何かって、何?」
私の声は気づいたら震えていた。
「良くは分かんないけど、誰にも言えないようなこと。秘密とかとはまた違う、話したくても話せないようなこと」
「何でそんなふうに?」
「あぁ、何もないなら気にしないで。ただの感だから」
彼に感じたどよめきは、寒気や震えは、間違い無いのかも。少し彼の感が怖くなった。
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