おまえの死体(ちゃば)でお紅茶を淹れてやりますわぁぁっっ!!

腎臓の猫

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 マホとかいう自称魔法少女との邂逅から一時間。
 長引いていた二人の戦いは、ついに終局へとさしかかっていた。

「はあ、はあ……あと一キル……
 ふん、おまえもどうということはありませんわね」
「そー、それゆったらぁ……☆
 ボクょもあと一キルっで勝っちゃん……だから……☆」

 まさかここまでもつれこむとは。
 誰ひとりとして予想していなかっただろう。
 それもいよいよ、次の一キルが終着点だ。

「ゆきますわよ」
 お嬢さまの合図で、二人は動きだした。

 ――それぞれ逆の方向に。
 具体的には、お嬢さまは点在する岩のあいだをぬってどんどん前へ、
 魔法少女は数歩うしろに引き、目の前の岩から頭だけを出してのぞけるポジションへ。

 見ていて気づいたのだが、あの魔法少女、言動に反して戦い方が慎重だ。
 自分からはほとんど攻めず、
 障害物越しに相手を狙い、一定の距離を保ちつづける。
 削ることよりも削られないことを優先している感じがする。

 一、二秒だけ頭をさらして射撃、
 ポジションを変えてまた射撃、
 当たったかどうかにかかわらずすぐに頭を引っこめて……

「チッ、またちょこまかと……おまえはゴキブリですの!?」
「ゴキブリはこの後輩ちゃんの異名なんッスけど」
「おまえはいつまでいやがるんですの!?」

 ごく小さなダメージが積もっていき、
 気がつけば、お嬢さまの体力は三割ほど削られていた。

「きゃはゃはぅっははっ☆ ほぅらー、ボクんはーこっちだよー☆」
 かといって、お嬢さまもただ一方的にやられていたわけではなく。
「んぅぉっ!?☆」
 ごく小さな、文字どおり頭ひとつの的にウイングマンの一撃が突きささる。
 ヘッドショットで、それもダメージが大きいウイングマンの一撃である。
 一瞬にして、わずかながら体力差が逆転した。

「なめんなですわっ!」
 エイムの良さでいえば、お嬢さまのほうが上なのだ。
 純粋な正面の撃ちあいであれば、お嬢さまは負けない。

「「……」」
 一進一退の攻防を経て、流れが膠着した。
 円形闘技場の中央、横長な岩を挟んで、二人は動かない。
 というより、動けない。
 とくにお嬢さまは。

「まだ一発しか当てれてなっけどー、キミ、ダッジョッブそーーぅ?☆」
「ええい、いちいちヌチャヌチャと」
 あの言動も、うかつな動きを誘発するためのものに思える。
 お嬢さまもそれに気づいているのか、
 最初のラウンドと比べて大胆な動きは少なくなっていた。
 くわえて、これは当然ながら勝敗を分ける一キルだ。

 ……ん?

「おまえこそ、あと三回頭にキメればおまえの敗北でしてよ?」
「なにゆちゃってっんのー☆ そん前にボクが削りきっちゃうしーぃ?☆」

 勝敗?

「あーらあら。あんな安物の六弦がごとくスカスカな低音こうげきでわたくしを倒すなどと……どタマに毒電波を受信するチップ的なアレでも埋めこまれてやがるのかしら??」
「きゃぱゃっ、オモみたっぷりな妄言っ☆☆
 けどボクのこの髪飾りアクセ、スキミング防止加工されんちゃってんもねーー☆」

 あ、そうか。

「ぐぎぎぎ、ですわ……」
「うーうぅぅぅぅ……☆」

「僭越ながらお二人とも、わざわざ勝敗を決めるまでおこなう必要は――」

「うっせえですわっっ!!」
「うぅっさァいぃッッ☆☆」
 そのとき――僕の進言をはねのけた勢いで、二人は同時に目の前の岩に登り、

「「あ(☆)」」
 二秒間、目と目が合い、

「(ャ)バみッ☆ バみッ☆」
「待ちやがれですわっっ!!!!」
 三秒後には、
 コミカルなカートゥーンがごとく、膠着していた流れがまた動きだした。

 といっても、そこからはお嬢さまが三連続でヘッドショットをキメたので、
 七秒後には決着はついていた。

「やりましたわ~~~ぁっっ!! わたくしの勝利ですのっ!」
「はっーーーぅぁ??☆☆ いまんのナシっしょーー??☆
 アレが許されっなら世界はいまごろ無秩序な混沌GMODになってんってー☆
 チャットみんなもそーおもーよねー?☆」
「上等ですわ。
 そこまで言うのなら、どちらが〝上〟か徹底的に勝負ですの。
 セバスチャン、デ○スを持ってきなさい」

 けっきょく二人は、そんな感じのことを日が落ちるまでくり返した。
 なんなら、落ちた日が昇りだすまでくり返した。
 それでも戦いは果てず。

「認めたくはありませんが、おまえ、なかなかやりますわね」
「ふゅっ、キミこそ☆ 決着はーおあずけっ☆ だね☆☆」
 熱い陽光が、ガシッと手を取りあう二人を包んでいた。

 ……。
 青春だね。じゃっ、そういうことで……

「ちょっと、どこへゆきますのセバスチャン。
 じきに会場へ向かわなければなりませんわよ?」
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