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適当なゲーミングチェアに腰かけて、僕らは話しはじめた。
「単刀直入に言います。あなたは京の回し者なんですか?」
というよりは、僕が一方的に問いつめはじめた。
「えゅー?☆ そぅなわけなっじゃーん☆」
「僕たちを裏切ったのに?」
「ちょ☆ 裏切ったてひどなーぃ☆
病み嬢ぴっぴ会っ場っから家まで運んだのボクなのにぅ☆☆」
「えっ……本当なんですか、それ」
「まっだ疑ってんのーぇぉ?☆
セバぴっぴ捕まったとき、京ぴっぴんとこで三トンハイヤー乗っまわして暴れたげただんってボクなっだよーーーぁぃぅ??☆☆」
「JK一年さん……?」
「三トンハイヤーはっ☆普通二輪免許☆で運転でっちゃっから問題なシダゾ☆☆」
とりあえず、裏切った表現したのは軽率だったかもしれない。
その点はマホに謝罪しておいた。
「まったくぉー、そっぅな卑ょ怯っなことしなゅいってのー☆
ボク、こー見えても心は男の子だっらねゅっっっ☆☆★」
「だったらどうして突然消えたりしたんですか」
「そっなん負け確ったからに決まってっしぅょぉー☆」
けれどまあ、なりゆきは最重要な点ではない。
裏切られたのであれ、
マホの言葉どおり打算的な行動だったのであれ、
ヤツが僕らの前から消えたのは事実なわけで。
いまのところ、ヤツには一〇〇パーセントの信頼をおけない。
「ぅじゃっ、ボクもう帰ってょき?☆」
ただその一方で、いまの僕らにコイツが必要なのもゆるがない事実だ。
「ちょっと待ってください。まだ話は終わっていません」
僕が呼びとめると、
マホは予想していたとばかりに、あきれた様子を見せた。
「くぉょゅぁーー☆☆
また京ぴっぴんに挑むぉうっとかゆーつもりぇー?☆」
「そのとおりです。僕らはアイツをぶちのめしにいかなくちゃなんです」
「ぃやームリっしょぇー☆
今度負っけたらどうなっかもわかんなっよー?☆
止めないけどぃボクはパスだかんねーー☆」
やっぱりそうなるか。
「あゃ、次は助けっこともしないかんねぃー☆」
今度こそ、マホが席を立つ。
その背に、僕はひとつの言葉を投げかける。
「一億」
マホがぴたりと動きを止める。
「ここに一億あります。
マホさん、これは契約です。
いままではエンジョイ勢同然でしたが、ここからは違います」
開かれたジュラルミンケースに、マホの視線が釘付けになる。
「おっと、いまはまだおあずけですからね。
目的が果たされるまでは」
もちろん、これはハッタリだ。
一番上の一枚以外、すべてただの白い紙である。
ナマポ受給がうまくいかなかった場合に備え、
福祉事務所の役員を買収する目的で持ってきていたのだ。
「どうしますか」
即興の策だったから、正直なところ不安はあった。
「ぱぁ金だぅ☆ 金☆
すっごーーぃぇぅ!!☆☆ 契約成立っちゃぅよぃーー☆☆」
が、マホはクソバカらしく、不安は一秒と続かなかったので助かった。
自分と似てるかも、と思ってしまったのは気に食わないけれど……。
とりあえず、金の力は偉大だ。
これでチームメイトを確保できたし、裏切りの可能性も減らせた。
で、あと残るは――
「あ☆ でもさぅ、セバぴっぴ☆
どやって京ぴっぴぇに勝んつさー?☆☆
いっくら嬢ぴっぴがフィジカルモンスターでもさぇー、
あっちはそれ以上の作戦とか用意しっちゃってっしょー?☆」
マホが指摘するとおり、本番でどう戦うか。
「そっれにぃぅー、会場ょっ入ぁったとこで警察ちゃんに連れてかって終ぉわりっしょー?☆☆」
そもそも、どうやって京と戦う環境をつくり出すのか。
二つの問題が、僕の頭も同様に悩ませつづけていた。
しかし、それはつい先ほどまでの話である。
「それなら、対策を思いついてます」
きょうの僕は運がいい。
なぜなら、二つの問題に対する策は、
マホを追ってこの場に来るまで思いつかなかったし、
一つ目に関してはお嬢さまがいないいまでなければ準備できないからだ。
「マホさん、さっそく力を貸してください」
僕は席を立った。
■ ■ ■
「セバスチャン! 捜しましたわよ」
その後しばらくして、
お嬢さまが僕を追って治外法権eスポーツカフェにやって来た。
「あら? ソイツは」
「また仲間になってもらったんです」
「っぅゅえーい☆ よろ☆」
「そうなんですのね。
まあ、もとより一人足りなかろうが戦いぬくつもりでしたけれど」
お嬢さまが意外にもあっさり受けいれているのは、
マホが消えたときに気を失っていたのも大きいのだろう。
「それでセバスチャン、作戦はどうなりましたの?」
「そのことですが、お嬢さま。
じつはもっと確実な作戦を思いついたんです。
ひとまず、戦いの舞台を用意するところまではお任せください」
「……その言葉、本気ですのね?」
うなずき、作戦を説明する。
「これ、パワポで作っとぃた資ぃ料☆」
「あ、どうも」
マホの助けも借りながら簡単な説明を終えると、
「なるほど、よくわかりましたの。
セバスチャン。作戦の準備は一任いたしますわ。
ただし……失敗は絶対に許されませんわよ」
残る準備時間は半日と少し。
作戦の準備以外にも、まだやるべきことがひとつ残っている。
僕らは戦わなければならない。
いくら作戦がすばらしくとも、最終的にそれは変わらない。
戦闘をさけてステルスに徹していては、
京のすまし顔がグチャグチャにゆがむ未来は訪れない。
だからそう、やるべきことは、
「あとは特訓ですの」
そういう意味でも、ここにやってきてよかったと思う。
三人で席に着いた。
適当なゲーミングチェアに腰かけて、僕らは話しはじめた。
「単刀直入に言います。あなたは京の回し者なんですか?」
というよりは、僕が一方的に問いつめはじめた。
「えゅー?☆ そぅなわけなっじゃーん☆」
「僕たちを裏切ったのに?」
「ちょ☆ 裏切ったてひどなーぃ☆
病み嬢ぴっぴ会っ場っから家まで運んだのボクなのにぅ☆☆」
「えっ……本当なんですか、それ」
「まっだ疑ってんのーぇぉ?☆
セバぴっぴ捕まったとき、京ぴっぴんとこで三トンハイヤー乗っまわして暴れたげただんってボクなっだよーーーぁぃぅ??☆☆」
「JK一年さん……?」
「三トンハイヤーはっ☆普通二輪免許☆で運転でっちゃっから問題なシダゾ☆☆」
とりあえず、裏切った表現したのは軽率だったかもしれない。
その点はマホに謝罪しておいた。
「まったくぉー、そっぅな卑ょ怯っなことしなゅいってのー☆
ボク、こー見えても心は男の子だっらねゅっっっ☆☆★」
「だったらどうして突然消えたりしたんですか」
「そっなん負け確ったからに決まってっしぅょぉー☆」
けれどまあ、なりゆきは最重要な点ではない。
裏切られたのであれ、
マホの言葉どおり打算的な行動だったのであれ、
ヤツが僕らの前から消えたのは事実なわけで。
いまのところ、ヤツには一〇〇パーセントの信頼をおけない。
「ぅじゃっ、ボクもう帰ってょき?☆」
ただその一方で、いまの僕らにコイツが必要なのもゆるがない事実だ。
「ちょっと待ってください。まだ話は終わっていません」
僕が呼びとめると、
マホは予想していたとばかりに、あきれた様子を見せた。
「くぉょゅぁーー☆☆
また京ぴっぴんに挑むぉうっとかゆーつもりぇー?☆」
「そのとおりです。僕らはアイツをぶちのめしにいかなくちゃなんです」
「ぃやームリっしょぇー☆
今度負っけたらどうなっかもわかんなっよー?☆
止めないけどぃボクはパスだかんねーー☆」
やっぱりそうなるか。
「あゃ、次は助けっこともしないかんねぃー☆」
今度こそ、マホが席を立つ。
その背に、僕はひとつの言葉を投げかける。
「一億」
マホがぴたりと動きを止める。
「ここに一億あります。
マホさん、これは契約です。
いままではエンジョイ勢同然でしたが、ここからは違います」
開かれたジュラルミンケースに、マホの視線が釘付けになる。
「おっと、いまはまだおあずけですからね。
目的が果たされるまでは」
もちろん、これはハッタリだ。
一番上の一枚以外、すべてただの白い紙である。
ナマポ受給がうまくいかなかった場合に備え、
福祉事務所の役員を買収する目的で持ってきていたのだ。
「どうしますか」
即興の策だったから、正直なところ不安はあった。
「ぱぁ金だぅ☆ 金☆
すっごーーぃぇぅ!!☆☆ 契約成立っちゃぅよぃーー☆☆」
が、マホはクソバカらしく、不安は一秒と続かなかったので助かった。
自分と似てるかも、と思ってしまったのは気に食わないけれど……。
とりあえず、金の力は偉大だ。
これでチームメイトを確保できたし、裏切りの可能性も減らせた。
で、あと残るは――
「あ☆ でもさぅ、セバぴっぴ☆
どやって京ぴっぴぇに勝んつさー?☆☆
いっくら嬢ぴっぴがフィジカルモンスターでもさぇー、
あっちはそれ以上の作戦とか用意しっちゃってっしょー?☆」
マホが指摘するとおり、本番でどう戦うか。
「そっれにぃぅー、会場ょっ入ぁったとこで警察ちゃんに連れてかって終ぉわりっしょー?☆☆」
そもそも、どうやって京と戦う環境をつくり出すのか。
二つの問題が、僕の頭も同様に悩ませつづけていた。
しかし、それはつい先ほどまでの話である。
「それなら、対策を思いついてます」
きょうの僕は運がいい。
なぜなら、二つの問題に対する策は、
マホを追ってこの場に来るまで思いつかなかったし、
一つ目に関してはお嬢さまがいないいまでなければ準備できないからだ。
「マホさん、さっそく力を貸してください」
僕は席を立った。
■ ■ ■
「セバスチャン! 捜しましたわよ」
その後しばらくして、
お嬢さまが僕を追って治外法権eスポーツカフェにやって来た。
「あら? ソイツは」
「また仲間になってもらったんです」
「っぅゅえーい☆ よろ☆」
「そうなんですのね。
まあ、もとより一人足りなかろうが戦いぬくつもりでしたけれど」
お嬢さまが意外にもあっさり受けいれているのは、
マホが消えたときに気を失っていたのも大きいのだろう。
「それでセバスチャン、作戦はどうなりましたの?」
「そのことですが、お嬢さま。
じつはもっと確実な作戦を思いついたんです。
ひとまず、戦いの舞台を用意するところまではお任せください」
「……その言葉、本気ですのね?」
うなずき、作戦を説明する。
「これ、パワポで作っとぃた資ぃ料☆」
「あ、どうも」
マホの助けも借りながら簡単な説明を終えると、
「なるほど、よくわかりましたの。
セバスチャン。作戦の準備は一任いたしますわ。
ただし……失敗は絶対に許されませんわよ」
残る準備時間は半日と少し。
作戦の準備以外にも、まだやるべきことがひとつ残っている。
僕らは戦わなければならない。
いくら作戦がすばらしくとも、最終的にそれは変わらない。
戦闘をさけてステルスに徹していては、
京のすまし顔がグチャグチャにゆがむ未来は訪れない。
だからそう、やるべきことは、
「あとは特訓ですの」
そういう意味でも、ここにやってきてよかったと思う。
三人で席に着いた。
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