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彼の願い
しおりを挟むある日、死んだはずの彼氏からLINEがきた。
────────────────────
彼「久しぶり」
私「…え?」
────────────────────
彼氏がこの世にいるわけがない。
本人なわけがない。
わかっているはずなのに…
それでも私はすぐに返信をしてしまった。
────────────────────
私「なんで…?え?
もしかして
生きてるの?」
彼「急に死んじゃってごめん」
彼「…それが言いたかったんだ」
私「なんで…!
謝らなくていいよ!
貴方は悪くない!
悪いのは病気だよ…」
彼「ごめんな」
彼「死んだやつからのメッセージとか、
お前こーゆーの苦手だったよな」
彼「だから、これで最後にする」
私「最後とか言わないで!
お願い、
私の話を聞いて…」
彼「今から言う事をこれから先、
ずっと覚えていてほしい。
そして実行してほしいんだ」
────────────────────
まるで聞こえていないかのように
私の言うことを無視して続ける彼。
────────────────────
彼「まず1つ目、
俺なんかの為に泣くな。
お前には笑顔が一番似合う。
泣いた顔よりも笑顔が好きだ。
だから、これからも
笑っていてほしい。
お前泣き虫だからなー…
慰めてやれないのが
凄く悔しい 笑」
彼「2つ目、
絶対に無理はしない事。
何かあったら周りに頼れ。
お前は何かとすぐ自分で
解決しようとするからな。
もう側で見てやれねーし、
心配すぎる 笑」
彼「3つ目、
お前さ、桜好きだって
言ってたじゃん。
お前が何かで俺を思い出すように、
俺も桜を見てお前との思い出を
思い出したい。
今 冬だけどな 笑
だから、春の墓参りには
桜を置いていってほしい。」
彼「いやー…わがままばっかりで
ごめん。ほんと迷惑だよな。
でもこのわがままも
次で最後だから」
私「全然わがままなんか
じゃないよ!全部…
全部貴方の優しさ
だし、私の事しか
言ってないじゃん…」
────────────────────
…だめ、お願いどおりに笑わなきなきゃ。
じゃないと心配するって言ってたじゃん…
ポタッ、ポタタッ
あ…画面に涙が…
あれ、笑わなきゃってわかってるはずなのに…
「……うぅ~っひっ、く、」
ごめんね…さっそく涙が止まらなくて…
貴方の事を考えると、泣き虫…直らなさそうです
────────────────────
彼「最後のお願い。
俺に胸はって幸せです
って言えるくらいに
幸せな家庭を築いてほしい。
そして、どんな形でもいいから
俺という存在を思い出してほしい。」
彼「俺さ、天国行っても
堂々と胸はって
言える事あるんだ。
それは、
俺の生涯、お前を
一番に考えた
一番大事にした
世界中の中で一番
お前が好きだって
一番愛してるって事。」
彼「これから先もずっと
お前の事を愛す誰よりも
俺が一番愛してる」
私「私も!私も愛してる。
この先誰を好きに
なっても、思い出も、
声も、顔も…
貴方の全てを
絶対に忘れない。」
彼「ありがとう。
俺、その言葉が
聞けただけでもう充分だ。
俺。幸せ者だな 笑
お前がいてくれてよかった
今まで本当にありがとう。」
私「えっ…返事!
そんな、私こそ
いつもありがとう!」
────────────────────
ここから彼からの返事が来ることはなかった。
私は彼の為にも、幸せになろうと思った。
「……私も堂々と言えるよ」
冷たい空気をスゥーと吸い込む。
「貴方を愛してます!!」
私は涙を拭って空を見上げた。
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