甘味、時々錆びた愛を

しろみ

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或ル再会

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「國弘くん、準備できた?」
「えぇ、ところでどこに行くんですか?」
「國弘くんの好きなところ」
「?」

博士は僕を叩き起こして(白衣を振り回してしばかれた)、突然外出の支度を強いてきたのだ。全くもって意味が分からない。

「昨日の件だよ!早く会いたいでしょ?」
「別に、そうでもないですけど」
「え?お姉さんは凄く会いたがってたよ?」
「何で博士は僕の姉のこと知ってるんですか」
「それはね、内緒」
「……また隠すんですか」
「違う!行ったら教えてあげるから!」

それだけ言って彼は僕の腕を引っ張って外へと連れて行くのだ。グイグイと街まで連れて来られ、街の商店街まで差し掛かった辺りで博士の足がぴたりと止まった。

「ここだよ國弘くん」
「え、ここって……」

博士が見つめる方向の先には、『和菓子処 いちみや』と書いてある看板を掛けた古風な佇まいの店があったのだ。
そういえば、ここは最近テレビで話題の和菓子屋だと放送されていた店だ。ここの場所でオープンしたのは何週間か前だった気がする。僕も一度買いにここまで来たが、店内に人が溢れかえっており諦めて帰ったのだ。平日の朝であるからなのか今は人がおらず、どこか物寂しげである。

「國弘くんと同じ苗字だったから妙に親近感が湧いちゃって、ほらおいで」
「……、はい」

彼は店の扉を開いて中へと入っていった。僕も彼に続いて中へと入った。
中はさすが和菓子屋といったところか、すべての席は座敷となっており、ゆったりとお茶菓子を楽しめそうなスペースとなっていた。さらに奥にはお土産物として買える小さなお菓子が色とりどりに並べられてある。博士は店員を無視してずんずんと奥に入っていき、暖簾を開いたのだ。

「博士あんた何して!」
「杏樹さんいますー?」

暫くすると奥の暖簾の中からぬっと大男が姿を現した。

「せ、清二さん……」

鮮やかな赤髪はあのときのまま、僕が中学生の時に、僕の父親が唯一取った弟子の姿のままだったのだ。

「あれ?國弘くん知ってるの?」
「おぉ國弘、元気そうだな!」
「……清二さん、何故ここに……」

赤羽清二、彼は僕が小学生のときに僕の父親に教えを請いに来た男だ。昔はとんでもない不良だったらしいが、何があったのか突然僕の家(店)に来て修業させてくれと土下座までして頼み込んできたのだ。当初は父親は断っていたが、彼の熱意に圧倒されて唯一の弟子として雇い、製菓の技術を教えたのだ。現在、彼は姉の夫である。つまり、ここの和菓子屋は姉と彼が経営しているということだ。何となく状況は理解できた。

「赤羽さん、杏樹さんいますか?」
「杏樹な、ちょっと待ってくれ」

清二さんはさらに奥の控え室へ行ってしまった。博士は何故彼らのことを知っているのか。

「……博士、」
「何で知ってるかって訊きたいんでしょ?」
「ええまあ……」
「國弘くんの名前出したら仲良くなっただけだよ」
「本当にそれだけですか?」
「それだけだよ?疑ってる?」
「えぇ、僕の性格を分かっていて隠すところが許せません」
「だから何も隠してないよ」

僕は彼に対する不信感を抱いたまま、ギロリと睨み付けた。博士は宥めるように、僕の頭をぽんぽんと軽く叩く。暫くそのままでいると、暖簾が開かれ、僕の姉である女性が姿を現した。

「くにちゃん久し振りー!きゃー変わってない!大きくなったわねェ」
「、姉さん……」

昔と大分服の趣味は変わったようだが、相変わらず僕をくにちゃんと呼ぶところや切り揃えた真っ赤な髪、ルビーのように深紅に染まる瞳は変わっていなかった。

「國弘くん感動の再会だよ?」
「姉さん……、ごめんなさい……」
「まだ言ってんの?もういいわよ!ねぇ、今こうやって元気に生活できてるんだから、ね?」
「……、」
「……脚のことですね?」

博士はぼそりと彼女に問い掛ける。姉は昔、車に轢かれそうになった僕を庇って両脚を失ったのだ。しかし何故博士がそれを知っているのか、僕の記憶を見たからなのか。
現在、姉は義足で生活をしている。普通の人と変わりのない生活を送れているが、僕は彼女を見る度に罪悪感に押し潰されそうになるのだ。

「まぁそうね、くにちゃんが生きてるならいいの、素敵な恋人を連れてきちゃってねェ……清二には敵わないけどあなたもいい男じゃなぁい」
「恐縮です、実は僕……大学の非常勤講師で研究者をしておりまして、彼を娶って暮らしております」
「めとるって何ですか」
「やーんいいわねェ、あたしのくにちゃん可愛いでしょう?大切にしなさいよ」
「勿論、彼を幸せにすることが僕の生きる意味でもありますから」

博士のいつもと違う口調に少しどきどきしながらも、"めとる"の意味が分からず、彼らの話についていけない。僕は博士と姉とを交互に見ていた。

「ふふふ、清二聞いた?」
「聞いたけど胡散臭いな」
「酷い!僕本当に彼を愛してますからね!」
「はは、冗談だよ……國弘はよく一人で背負い込む癖があるからな、ちゃんと助けてやってくれよ」
「えぇ」
「あの……めとるってどういう意味なんですか?」
「まだ言ってたの國弘くん、お嫁さんにするってことだよ」
「っ !! もう!恥ずかしいったらありゃしないことを!平然と!僕に分からないような言葉で言って!むかつく!」
「いや……別に分からないようにする為に言った訳じゃないからね」
「くにちゃん昔からおばかさんだったからねェ」
「変わってないんだな」
「っもう!姉さんも清二さんも!」

僕は頬をぷーっと膨らませてむすっとしたら博士が突然奇声を上げて抱きついてくるもんだから頬の空気がぶふっと口から出て行ってしまった。

「國弘くんキャワイイ!好き!」
「あらきりちゃんずるい!あたしも!」
「せ、清二さん……助けて!」
「じゃあ俺も!」
「何でそうなるんですか !? 」

博士に横から抱きつかれ、その反対には姉、後ろには清二さんがいるから身動きが取れない。どうにかしようとじたばたもがくがどうにもならなかった。はあと溜息を吐いて無駄な抵抗をやめ、今更な疑問を彼らに問い掛けた。

「博士は何で姉のことや清二さんのことを知ってたんですか?」
「あぁ、それ?実はここのお菓子を生徒に貰ってさ、食べたら何か……國弘くんの作るお菓子と似たような味がしたんだよね……ジャンルも違うのに……」
「え?」
「だからこの店のことを調べたんだよ、國弘くんから以前見た記憶を頼りに」
「……、」
「僕の目的は杏樹さん夫婦に会う為だったからね、ここは2号店らしいね」
「……、何故、姉に会いに?」
「そりゃあ國弘くんを貰う為だよ!弟さんを僕に下さい!ってね」
「…………」
「もうきりちゃんったら突然『息子さんを僕に下さい!あっ間違えた弟さんを僕に下さい!』って言いにきて……最初は意味が分からなくて『うちに息子はいません』って答えちゃったのよ」
「よくよく聞いてみると違ったがな、あのときはグタグタだったな」
「そうよ、あと……」
「……姉さん?」

姉は急に声のトーンを落として僕を見据えた。僕も姉の方を見返した。

「くにちゃん、本当にごめんなさい」
「……、何がですか?」
「あなた母さんと父さんが亡くなってからずっとつらい生活を送ってきたのでしょう?何で私たちに言わなかったの?何で、連絡してくれなかったの……」
「……、それは……」
「もう我慢するのはやめなさい、貴方にはちゃんと味方がいるの。ずっと一人だなんて思わないで」
「姉さん……、でもっ」
「でももくそもない!ちゃんと頼りなさい!貴方は一人じゃないの……私は、貴方の家族なのよ…………」

突然の姉の恐ろしい程の剣幕に僕はビクリと身をたじろかせる。目に涙を溜め、俯く姉の姿を見て思わずじわりと目頭が熱くなる。
今まで、誰にも自分の境遇を語ったことがなかった。家族には迷惑をかけてはいけない、悲しませたくないと思ったからだ。
自分は、一人だと思っていた。周りの人間は自分を他の人間とは違う、異質な物を見るような目で見ていたから。自分は他の人とは違う、虐げられる存在だと思っていた。
ふと頬が冷たく感じ、指を滑らせると、自分が涙を流していることに気づいた。
そんな僕の頭を清二さんが優しく撫でて、こう言ったのだ。

「國弘、俺達のこと……恨んでるよな」
「そ、そんな……」
「そうよね……勝手に出ていっておいて家族だなんて都合がいい話よね……ごめんなさい、」
「お前を引き取ってくれたのが親戚だというから安心しきっていた……こんなことになっていたというのを知ったのはつい数ヶ月前だったんだ、本当に……すまない」

清二さんは僕の頭から手を離し、頭を垂れた。2人とも、僕のことを想い、僕を助けられなかったことを悔いていた。
今更ではあるが、自分は家族に対して何も言わなかったが、自分自身以上に、自分のことを考えてくれている存在がいたということを改めて感じた。
僕は博士と目を合わせ、そっと彼の手を握る。

「……、謝らないでください、僕はもう……大丈夫、博士……霧夜さんに、出逢えたから……、今は、本当に幸せ」
「……國弘くん、」
「……良かったわ、幸せになるのよ……くにちゃん」

姉は僕の頭を優しく撫でる。彼女は昔から変わらない柔らかな笑みを零した。

「ところで姉さん、」
「何?」
「ここ、厨房じゃないですか……こんなところで騒いでも良かったんですかね」
「あぁ大丈夫よ、ここ休日しかデザート出してないの」
「えっ……あの座敷は」
「普段は持ち帰りできるお菓子メインに出してるの、今日と昨日は店舗調査でここにいたのよ」
「普段は一号店にいるからな」
「成る程……」

僕はこの厨房一帯を見回した。道理でここに僕たち以外の人がいない筈だ。姉は突然何かを思い出したようで、ぱたぱたと走って行きさらに奥の暖簾に消えて行った。

「……、」
「どうしたんです?博士」
「いや、國弘くんに似てるなーって……國弘くんが女の子だったらあんな感じなのかなって」
「……、僕と違って姉は強いので、似てないですよ」
「確かに杏樹は強いけどな、國弘は表に出さない強さがあるだろ?」
「え、わからないです」
「いずれ分かるよ」

清二さんは僕の頭をぐしゃぐしゃと乱暴に撫ぜる。今日はやたら頭を撫でられる日だな、とか独り言ちていると、姉が紙袋を持って暖簾から現れた。

「これ、うちのお菓子」
「えっ!いいんですか?」
「なんて言うのかな、結婚祝い?かしら、ふふっ」
「けけけけ結婚!?」
「ありがとうございますお姉さん!國弘くんは僕が一生を懸けて幸せにします!」
「ちょっ博士……、まぁ……いっか、ありがとうございます」
「普段買うと高いんだからな、有難く頂け」
「はいっ、ありがとうございます……」
「よかったね國弘くん」
「えぇ、」
「では、そろそろ失礼します。今度は一号店にお邪魔させて頂きます」
「えぇ、いつでもいらっしゃい」
「いつでも待ってるぞ」

ぼくは紙袋の中身に期待しつつ、姉夫婦と別れて店を後にした。博士が紙袋を持って、僕の手を握ってくるから、僕も握り返した。

「普段は『何してんですか博士!』とか言ってくるのに」
「……結婚する予定なのに、今更照れるなんておかしな話じゃないですか」
「~~~~ッ、國弘くん大好き!一生愛してる!」
「うっうるさい!街中ですよ!」
「照れてるーさっきまで今更照れるなんてとか言ってたのにー」
「ッばか!知らない!」
「もー素直じゃないんだから~」
「黙って下さい!」

博士に耳まで真っ赤だとからかわれて、僕はふいとそっぽを向いた。すると突然、耳に息を吹き掛けられる。

「ッ!此処でまでしますかそれ!」
「國弘くん、今思い出したんだけどさ……」
「、何ですか?」

博士が突然深刻そうに声を潜めてこう言ったのだ。

「明日、入試……」

先程まで火照っていた顔から一気に血の気が引く。自分の顔が真っ青になるのが明らかに理解できた。まさに顔面蒼白。

「……」
「…………」
「……ええええ!?」
「嘘だろおおおお!!!!」
「何で博士が驚くんですか !? 」
「せっかくお姉さんに認めて貰えたのに!結婚祝いまで貰ったのに!セックスできないなんて!死ぬ!」
「あんたの危機より僕の方が深刻じゃないですか!」
「だって新婚ホヤホヤ夫婦になれたのに!」
「新婚ホヤホヤって何ですか!結婚してませんし!僕の方が優先すべき事項じゃないですか!」
「そそそうだから困ってんだよ!セックスできない!」
「当たり前だろ!勉強しなきゃ!ほらさっさと帰りますよ!」
「よし!じゃあお姫様抱っこで手を打つよ!」
「打たなくていい!」

僕は博士の腕を引っ張って走り出す。ただ博士の方が明らかに足が速いので、結局町外れに出た途端に抱きかかえられて、お姫様抱っこで帰宅する羽目になるのだが。
地獄の勉強タイムの前に、姉さんや清二さんの言葉、博士の言葉を思い出して顔が綻んでしまったのは彼に言わないでおこう。

“僕が一生を懸けて幸せにします”

今だに脳裏で再生されるその言葉が、僕を幸せにすると同時に明日を不安にさせるのだ。
試験に落ちたら博士の所為にしてやる。嘘だけど。






-END-
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