21 / 89
私とママ。
守りたいもの。-ママ視点-
しおりを挟む「、、、逃げられた。俺じゃ、やっぱり駄目なのか??」
ユーリちゃんがシャワーに行った後、俺は1人、頭を抱えていた。俺以外にはそんなエロい顔を見せて欲しくなくて、意地悪してしまったのだが、見事に失敗した。
だって、好きな人が自分以外にエロい顔見せるなんて、失恋の他無いだろ、、、。あぁ、嫌われたらどうしよう。
「ユーリちゃん、、、。」
胸がギュっと締め付けられる。もう、どうしようもないぐらい、ユーリちゃんに惚れていると思う。俺に出来る事は、、、守るぐらいしかないだろう。元々戦士として闘ってたぐらいだから、それなりの腕はある。最近は平和過ぎて身体が鈍ってるかもしれない、、、
とりあえず、このぐちゃぐちゃなベッドを片付けよう。先程までの行為を思い出して、身体が熱くなる。ユーリちゃんは、俺とするのは嫌じゃないって言ってたから、、脈無しではないと信じたい。好きだといえば、俺だけのユーリちゃんになってくれるのだろうか。臆病でヘタレな俺には、言うまでに、まだ時間がかかりそうだ。
----------------------------
「ふふふ、、ママと一緒の匂い~」
シャワーを浴びたユーリちゃんは、寝ぼけてるのかふらふらとベッドに帰ってきた。可愛い独り言はガッツリ俺に聞こえている。ゴムは捨てたし、下着は変えたけど、汗をかいたし、シャワーを浴びたい。
立ち上がると、ユーリちゃんが服の袖を掴んでいた。
「ママ、、?何処行くの、、??」
ユーリちゃんの言葉で、すっかり自分が男になっていた事を自覚する。この子の前ではママで居ようと決めたのに、、、手に入れたい気持ちが理性を壊してくる。
上目遣いでこちらを見てくるユーリちゃんと目が合う。眠たいのかとろんとした顔をしていて、エロい。このままじゃ、、また、、。
「シャワーを浴びて来ようかと、、」
「んん、、やだぁ、、。1人にしないでっ!!」
この子は、、どうして俺の理性を試そうとしてくるのだろう。恋愛経験のない野郎なんか、こんな可愛い事言われたら、落ちないわけがない。やっぱりユーリちゃんの事が、、ユーリちゃんじゃなきゃ駄目なんだと再度認識する。
「ごめんね、すぐに帰ってくるから。」
そう言って、頭を撫でると幸せそうな顔をして、ユーリちゃんは眠りについた。
ユーリちゃん、ごめん。一緒に寝たら、また手を出しそうだから、帰れそうにない。俺は、洗濯をして、ノースのところで夜を明かす事にした。
----------------------------
日が登って、もうすぐ昼になる。
すっかり男の気分も抜けて、いつも通りの私に戻っていたのだけど、、守りたい気持ちは変わらないから、久しぶりにカマエルに稽古をつけて貰う事にした。
カマエルのスイッチも入って、これからが楽しいとこって時に、
「きゃ、ぁああああああ!!おばけやだぁああ!!!怖いぃいいいいい!!!!!」
恋してやまない、女の声は響きわたった。
「え!?、、ユーリちゃん!!!!」
聞いた事のないユーリちゃんの叫び声が聞こえて、心臓が止まるかと思った。剣を放り投げて、声の聞こえてきた方へ走る。
「おい、ジフリール!!」
カマエルが私を呼ぶ声が聞こえるが、それどころじゃない。
駆けつけると、ウリエルが魔法を使ってユーリちゃんを驚かしていた。私達は見慣れてるから何ともないけれど、ユーリちゃんはよっぽど怖かったと思うわ、、
「そんなに驚く??」
「いやだ!!来ないで!!!怖いからぁああ!!!ママ助けて!!!」
この子は、こんな時でも私の名前を呼んでくれた。私が、、俺だけが守ってあげなきゃ、、そう思った。
「ユーリちゃん!!」
怯えてるユーリちゃんを胸の内に閉じ込める。もう、私が居るから怯える事はないのよ。よっぽど怖かったのか、少し震えている。あぁ、守るって誓ったのに、、、、怖がらせてごめんね。
「ウリエル!!私のユーリちゃんをいじめないでくれる!?」
「え、そんなに怒る??ちょっと脅かしただけじゃん。」
滅多に怒る事が無い私が、怒ったのが意外だったのか、ウリエルはびっくりしている。これがちょっとなら、本気でユーリちゃんの事を脅かしたら、大剣を振り回しながら追いかけてやるわ!!
いつもでもヘラヘラしてるよねって言われてるウリエルに、今日はムカついた。
「こんなに怯えてるのよ!!ちょっとじゃないでしょ!!」
「いやぁ、でも、ほら、俺が挨拶する時っていつもこんな感じじゃん??」
、、、言われてみればそうだわ。だから、ラグエルに怒られるのよ。出会った時から、ウリエルはこんな感じだった。
脳筋で、剣や拳で闘うタイプの私とカマエルに対して、ウリエルは魔法を使って優雅に闘うタイプ。その姿はかっこいいのかもしれないけれど、、
「だからって、女にそんな挨拶しないでしょ!」
「まぁ、そりゃあ~。でも、ここに居るって事は、ジフリールの女って事じゃ、、、、え。お前、やっと!?」
「ち、違うわよ!!!この子は!!!」
拾った子、、、。そんな安い言葉、もう言えない。好きな子を拾った子なんて、同僚に紹介したくない。だけども、私の女でもない。じゃあ、何かしら、、。家族??いや、それは誤解を与えるかもしれないし、遠回しにプロポーズしてるみたいで恥ずかしいわ。
何て言えばいいのかしら、、、守りたい子。誰にも渡さない。私だけの子。私だけの印を刻んで、私と永遠に生きてほしい子。
、、、、それってやっぱり。
考えると恥ずかしくなって、ユーリちゃんを抱き締めている腕に力が入ってしまう。でも、離したく無い。
「ジフリール、、、稽古をつけて欲しい理由は、そういうことか。」
追いかけてきたカマエルが、珍しくニヤッと笑った。何なのよ、、、。そうよ!!言わせないで、察しなさいよ!!一緒に闘ってきた仲間でしょ!!
「へぇ、、、、あのジフリールがねぇ、、」
ウリエルもニヤニヤしている。アンタが、恋愛経験があって、女の子と遊びまくって、童貞じゃ無い事ぐらい知ってるわよ!!
私は、この子に恋してるの!!今まで恋愛経験のなかった、この私が恋してるのよ!!知ってるでしょ、初恋なの!!私の恋が実るように応援しなさいよ!!
二人は目を合わせて、更にニヤニヤし始めた。もう、二人して何なのよ!!
「、、、カマエル、ウリエル。夕飯奢るわ。だから、今は帰って貰ってもいいかしら。」
どうせ今は揶揄われるだけなのは、知ってるわ。それだったら、せめて酒を飲んでる時にして欲しいの。
「んじゃ、2日後だな。カマエルは??」
「問題ない。、、、ジフリール、大事にしろよ」
「だからっ!!、、、、はぁ、、、ユーリちゃん。同僚が迷惑かけたわ、、ごめんね。大丈夫かしら??」
ウリエルの魔法で、二人は帰っていった。ユーリちゃんから手を離し、顔を覗き込む。目尻が若干潤んでいるのが色っぽくて可愛い。
昨日のユーリちゃんはどんな顔をしてたんだろう。あんなエロい声を上げて、、あぁだめだわ。昨日のユーリちゃんが声が離れない。今夜も寝れるかしら、、、。
----------------------------
とりあえず剣は拾いに行ってきたけど、ユーリちゃんはさっきと同じで固まったまま。
、、、様子がおかしいわよね??よっぽど怖かったのね。私ったら、自分の事しか考えてなかったわ。
こんなんじゃ、告白しても
『ママっていつもエロい事ばっかり考えて、キモい!!そんな人と付き合えない!!』
なんて言われるかも知れないし、
『ママって独占欲強いよね。勝手に印付けるし。私、そんな束縛強い人好きじゃないんだけど、、。しかも童貞でしょ?(笑)』
、、、やばい。改めなきゃ、、ユーリちゃんに好かれるどころか捨てられちゃうわ!!!
「ユーリちゃん!!」
勇気を振り絞って、小さな手を握る。やばい、、緊張するわ。
「ひ、ひぇっ!?マ、ママどうしたの??」
「お家に帰りましょ!!」
「う、うん。」
ユーリちゃんは、私の手を握り返してくれた。今日こそは、男として意識させてみせる。心の中で、そう意気込んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
83
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる