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私と恋人。
本職。-ママ視点-
しおりを挟む現場につくと、血の匂いがした。
既にアメリアの部下達が、数人のサキュバスを殺したらしい。それに、部下達も数名傷を負っている。
雑魚は、これだけの様だ。
だが、肝心のボスは無傷。体のラインが現れるピチッとしたレザーに身を包み、金髪の長い髪をくるくると弄んでいた。
ユーリちゃんじゃなくて、ほっとしている自分が居たけれど、今はそんな事思っている場合じゃない。
「良い男が居るって聞いたのだけど、、どいつもこいつもイマイチピンとしないわね。サキュバスの、マチルダ様が全員殺しちゃうわよ。」
敵は、両手に民を持ち、首を締め上げようとする。その姿に、カッと熱が上がり、攻撃しようとしたが、アメリアの方が一歩早かった。
「悪魔の分際で、天国にのこのこやってこないでください!!」
アメリアが魔法でサキュバスに攻撃をし、民を逃す。私は、倒れた民を、抱えて敵に見えない死角まで運んだ。
「巻き込んですまない。」
回復魔法と、記憶操作の魔法をかけて、被害を受けない様に遠くに逃し、すぐに部下達のところへ向かう。
--------------
少しの時間の間に、かなり争った痕が広がっていた。アメリアも腕の立つ戦士なのだけど、少し押され気味だ。
飢えたサキュバスって、こんなに強くなるのかしら。それとも、私が居ない間に部下達が弱くなったのかしら、、。まぁ、後者は無いと、信じたいわね。
「いったっ、、何すんのよ、このクソ女!!」
「クソ女で結構ですから、早いところ地獄にお帰りくださーい」
「は、地獄と魔界の区別も出来ない訳?サキュバスの帰る場所は、魔界よ??ばーか」
「そ、そんなの知ってますよ!!どっちもほぼ同じでしょ!!」
「はぁ??違うわよ、阿呆。しかも、ペチャパイ。そんな貧相な身体じゃ、男も寄り付かないわよ??」
「なっ!?うわーん!!ジフリール様、このサキュバス酷くないですか!?」
ねぇ、本気で闘っているの?そう思ってしまうほど、お喋りが過ぎるのでは。女同士の闘いってこんな感じなのかしら。
しかも、私に話題を振らないでよ、、。
「あ、、あぁ、、、」
とりあえず、後からめんどくさくならない程度に答えると、ジフリール様もアナタの事酷いって言ってるんです~!!なんて、言ってアメリアの攻撃力が上がった。よし、その調子よ。
「その男、良いわね。あら??悪魔狩りの上級天使、ジフリール様じゃない。私の事も狩りに来たの??」
魔界に殴り込みに行ったぐらいだから、顔と名前ぐらいバレてるわよね。そんな事あったわ、、。
「天国に害をなす者は、殺すだけだ。」
そうそう、あの時は向こうから殴り込んで来たんだから、私だって大暴れしてやったのよ。
「あ~ん、やっぱり噂通りの良い男。ねぇ、ジフリール様、、私の事抱いてみない??代わりに、この民を解放してあげるわよ。ね??気持ち良くしてあげるから、、」
隠してたのだろう、民が敵の背後に見える。あの位置は、流石に民に危害を加えかねない。意識はないのが不幸中の幸なのか、、。
てか、この女。抱くとか何とか言った??私が、サキュバスを抱く??ユーリちゃん以外に勃つ訳ないじゃない。
、、、いつもの作戦決行ね。
「いいだろう。その民を離すんだな」
「ふふふ、良いわよ??」
サキュバスは、民の元を離れ、私の元にご機嫌で近づいてきた。
「あぁ、とっても素敵、、。」
「は、」
思わず鼻で笑ってしまったのは、気づかれなかったらしい。
上目遣いのサキュバスと目が合う。ユーリちゃんだと唆るものも、他の女だと何とも思わないものね。
何を勘違いしたのか機嫌が更に良くなる女は、単純だ。
「ジ、ジフリール様!?溺愛している彼女が出来たんじゃなかったんですか!?」
、、、あのバカ。本当にバカ。これも作戦のうちに決まってるでしょう??
目で訴えかけるけれど、一向に通じない。
「へぇ、、?でも、その女もマチルダ様の美貌には勝てなかったみたいね。ふふ、魔界に帰ったらジフリール様に抱かれた事、みんなに自慢しなくっちゃ!」
何この女。勘違いしてんじゃないわよ。ユーリちゃんは、アンタと比べるのが失礼なほど可愛いのよ!!
クソ、今すぐ殺して、、、いや、ジフリール。ここは我慢よ我慢。
「ジフリール様、しっかりしてください!!」
アメリア、お願いだから、私がキレる前に黙って。とりあえず、仕事が終わったら、シバくわよ。
「アメリア、民の手当をしといてくれ」
お馬鹿なアメリアに指示をして、魔法でサキュバスとその場を後にする。
----------------------
天蓋付きのベッド、小さなサイドテーブルには綺麗な花が添えられている。ガラスでスケスケのお風呂には、薔薇の花びらが浮かんでいて、ローテーブルの上には高そうなワイン。
いかにも、これからうふふな事が起こりそうなこの場所は、その雰囲気を逆転させる、サキュバスを殺す為だけに作られた部屋。
魔法がかけられたこの場所からは、逃げられた者はいない。おかげで、天国に来たサキュバスの誰もが、ここが墓場だとは知らない。
「流石ジフリール様、女を喜ばせるいい趣味してるわね」
サキュバスが身を寄せて、上遣いでこちらを見上げる。
「ふふ、私、、もう興奮してきちゃった。ねぇ、貴方の女はどんな子なの、、?その女が絶望してる姿、、興奮するわね」
その言葉に拳を握る。恋人が出来ると弱くなるなんて言葉の意味が、なんとなくわかった。
はぁ、、まだダメ、油断したところを狙うのよ。ほら、深呼吸、深呼吸、、。
「ねぇ、ほら、、、抱いて、、??」
女が私に背を向けた瞬間、その身体を大剣で貫く。さっきまでの言葉の憎しみで、感情がぶれていたにも関わらず、急所を仕留める事が出来た。腕は鈍っていないわね。
「ぐっ、、、ぁ、、、クソ、魔法が効かないなんて聞いてないわよっ」
「はは、俺は脳筋なもんでね。魅了する魔法なんて効かないんだよ。しかも、煩い部下が言ってただろ?溺愛してる女がいるって」
「は、、そんな単純な理由でッ、、」
「黙れ、悪魔。天国に来るんじゃねぇよ。」
「ぁ゛っ、うぁああああ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」
身体を切り裂くと、赤い染みが大きく広がっていく。浄化魔法をかけると、悪魔の残骸も、その現場も何も無かったかもように消えた。
サキュバスを殺す方法は、ベッドに誘う。もちろん、抱いた事なんてないし、私には魅惑の魔法が効かないのも事実。
恋人が居なかった時には、何もなかった罪悪感が、私を包み込む。
「報告書、片付けて帰ろ。」
馬鹿すぎる部下、アメリアに説教を食い、私も説教をしていたら日が暮れていた。
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