646 / 657
Cadenza 花車 ⑯
しおりを挟む
急激な魔力を消費することによってその場から動けなくなる可能性が高い。
複数人で行動していれば助けてくれるかもしれないけれど、これを使うっということは何を意味するのか…窮地に追いやられているっということになる。
そんな状況下で放ったとしても、死の一撃とは違い己が生み出した決死の一撃によって死ななかったとしても…暫くは動けなくなる、それが何を意味するのか…
死の大地はそこまで甘くない。
動かない人が居れば襲い掛かってくる、大小問わず獣共は人を殺したがっているからね。
っていうか、そういう風に動く様に命令が埋め込まれているんだろうね。
アレは獣の形を模した殺戮兵器だもん、あんなのが生き物であってたまるか。
私としては撤退は悪いとは思わない、生きていれば立て直すことだってできる。
腕も足も折られて、誰も動けなくなり、せめて一太刀…みたいな状況になる前に撤退しろって徹底的に叩き込んでる。
逃げるは美!生きるが勝ち!ってね!
そういう教えを徹底しているのに、この魔道具を量産して現場で使えってさ戦士や騎士達に強制するとさ…誰だってそう、思っちゃうよね?この魔道具を渡された彼らが思いつく使い道なんて限られている。
私もその結論に辿り着いてしまっている。
一人一殺
一人の人間を消費し=一つの獣を殺す
っという、地獄のような方程式…
こんなの非人道的すぎる。そんな作戦許可だせるかってーの。
大昔みたいに命を使って自爆してこいなんて、どんな状況でも言えるわけがない。
そもそも!継戦能力を無くして一撃の為だけに一人の命を消費するって考えなんてさ、私が選べれるわけがない!って、ことだから量産しなかったってことだよね。
─ もう一つ理由がある、敵にこの魔道具の存在を知られるわけにはいかない。量産すればおのずと戦士達は興味を持ち、彼らの自己犠牲という精神によって、いざという時の為に懐に忍ばせる人達が出てくる。故に、生産は秘密裏に行った。数も出来る限り彼らの目に留まらない程度の量しか生産していない。もちろん、破損した時に備え予備も当然用意してあるよ。
なんだ、あの部屋にあるのが全てってわけじゃないのか、他に保管場所があるの?
─ あの部屋にあるのが全て。
ってことは…なるほどね木箱の数が多い理由ってのが、私が箱の中を見やすいように詰め込まないで運んだから、その代わり木箱の数が増えたってことだね、後で予備の数も把握しておかないといけないかも?
─ 生産しようと思えば1日である程度の数は生産できる、型があるので必要であれば徹夜で造ればいい。
成程ね、一週間くらいなら寝ずの作業くらい頑張ってくれってことね。
っま、大量に生産しようが、戦士達に渡すのは良くないかな、無限の魔力っという装備がある私達が使う。それがどう考えても正解だよね。
結論も出て、先を見据え終わると
「そうである、身体強化の要領と同じく手のひらに魔力を集中するような感じで魔力を魔道具に込めるのである、感覚としては魔道具も己の肉体の一部を思う事である」
「っぬぐ、簡単そうに言うが難しいぞ」
二人の足音が近づいてくる。
っとと、思考の渦に飲み込まれていたら、二人が戻ってきた。
二人の様子を見ると、此方に何も言うことなく鉄剣を構えようとしている。
って!一言くらい言ってから魔道具を使って欲しいかな!
今後の為にも実験データは欲しい、此方も集中し見逃さないように彼らの動きを記憶する。
「悪いが頭の悪い俺にもう一度だ、手本をもう一度見せてくれ」
「わかったのである、まず!手のひらに魔力を込めるのである!」
手のひら?っという言葉に首をかしげている。
「手のひら、であるからして、吾輩の感覚としてはそうであるな、握力!握力を強化するような感じで魔力を込める!」
成程っと頷いてから剣を握り締めている音が聞こえてくる。
「次に、手のひらの中にある魔道具を握って握力を強化するような感覚で魔道具に魔力を流し込むのである!して!それができたらこう!っである!」
気合の入った声と同時にベテランさんが動き出す。
鉄剣を上段の構えにして直ぐに振り下ろされ、即座に丸太の方から裂けるようなぶつかる様な音が聞こえ、視線を向けると丸太に新たな裂けめが出来ている。
丸太の周囲には衝撃によって細かい破片が飛び散っている。
丸太にできた裂け目は先ほどの一撃よりも確実に大きくなっている。
威力が目に見えて向上したのは鉄剣と木剣の違いなのか、それとも、ベテランさんが二度目によって魔力を飛ばすという感覚をより深く掴んだからなのか、どっちだろう?
深く観察するために新たに刻まれた丸太の裂け目を注意深く鋭く観察を開始していると
「なるほどな、良い手本だ。イメージに関しては出来る、イメージの感覚は掴めたぞ何となくではあるがな。だが、不安を感じている、これは、その、どの程度なのかという不安がある、放つのにどの程度、魔力を込めればよいのか」
観察していると聞こえてくる内容についつい視線を向けてしまう、その辺りは各々の感覚になっちゃうから、言葉で表せにくい、魔力測定器を持ってくれば良かったかも?
「それは何度も試してみるのが正解であるな、どの程度力を込めればどの程度、魔力を飛ばせることが出来るのかっというのは、各々が感覚で覚えるしかないのである」
先駆者からの答え合わせは…予想通り完全に感覚の世界、肉体言語だ。
「取り合えず、数をこなすのである!力いっぱい魔力を込めたら振り上げた剣を振り下ろしてみるのである、ただ注意があるとすれば切るイメージであるか?それの意識は振り上げた時から振り下ろしきるまで常に!丸太へと向けるのを忘れるなっである」
むんっと胸を張って力強い声…その説明で大丈夫だと思えれる自信は何処からくるのだろうか?
自信満々の説明が終わったと同時に風を切る音が聞こえた、視線を直ぐに向けると鉄剣が振り下ろされている、っとなれば必然、結果がどうなったのか丸太を見ると…
丸太の裂け目が更に広がることは無かった。
ただ、何も起きなかったわけではなく何かが当たったのか、丸太が小さく揺れているような気がする。
ってことはさ、ベテランさんほどの威力は無くとも魔力を飛ばすことが出来たってことかな?
丸太の何処にぶつかったのか、先ほどまで観察していた記憶の中にある丸太と今の丸太、何処に違いがあるのか比べようとすると
「ぬぉ!?っく、っぁ、こいつぁ」
ガシャンっと大量のスプーンを床にぶちまけた様な音で体が跳ね思考が止まる。
音が発生した場所へ視線を向けると、鉄剣の切っ先を地面に突き立て杖のようにし自身の体を少しだけ支えようとしているが全てを支えきれず膝をついてしまっている。
腕の力だけで支え切れなくなったのか更に大きな音を修練場に響かせながら戦士が大の字で横になる。
眩暈がするのか手甲を身につけた状態だというのに自身のおでこに手のひらを当てている。
彼の身に何が起きたのか言うまでもない、これもまた予想していた展開、魔力を飛ばすってのはやっぱりかなり危険なのだと、再確認させられた。
これ以上はダメ、医療班に運んであげないとね。
遠くで此方を様子見している人達を呼び寄せて運んでもらおうかな。
魔力を急激に消費してしまったがゆえに、立つのが困難な戦士、眩暈がして上も下もわからないであろうに、まだ立ち上がろうと膝を曲げては踏ん張れず踵が滑り足がのばされている。
「魔力の消費が激しかったんだと思うよ、無理しないで横になっていた方が良い」
恐らく急激な魔力の消費によって肉体がこれ以上は危険だと警告をだしているってところかな?
ここは街の中だから意識を飛ばしても何も問題は無い、なら、生命を守るために意識を狩り取ろうとしている、けれども、戦士としての鉄の意思がそうさせまいと抵抗しているってところかな?
「そういう事である、ほれ、剣を杖代わりにしようと握り続ける名である、力を抜いて吾輩に渡すのである」
ベテランさんに介抱される様にそっと上半身を起こされると
「っはぁ、っく、視界が、まわ、ま」
目が虚ろ、視界が定まっていない焦点があってないな、無理に起こすのは危険だね。
「黙ってていいよ、状況を無理に説明しなくてもいいからね。まずは自分の事を第一優先にして、今からその状態に陥った状態から脱するための方法を伝えるからね」
ほう、その様なことがあるのであるかっと、彼の代わりにベテランさんが口に出す。
得に返事を返すことなく説明を続ける。
「まずは、瞳を閉じてお臍の下辺りを意識して、意識しつつ静かに深呼吸を繰り返して、お臍の下辺りに力を込めていって。感覚としては、そう、だね。こっちの方がわかりやすいかな?身体を強化する時と同じようにさ、体の中を巡っている魔力を操作して肉体の一か所に集中させる訓練あるでしょ?」
なんだ、それであるかぁっと特別な方法があるのかと期待してたのか落胆した声が聞こえてくる。
その声に少々苛立ちを覚えてしまったけれど触れずに話を続ける。
「それを行う前にする予備動作、魔力の感覚を掴む感じで精神を研ぎ澄ます様な感じ、それを静かに何度も何度も繰り返して体内を流れる魔力を外に流れて行かないように体内に留めるように一点に溜め込んで」
ベテランさんに支えられている戦士に魔力を練ろっという難しい行為をこの状況でしろってのは過酷な気がするけど、今、自分で出来るのはそれくらいだもんね。
内容を理解したのか、目を閉じ呼吸を何度も繰り返し心も体も異常な反応をしている全てを落ち着かせるように意識を集中させていくのが伝わってくる。
うん、魔量を急激に失ったとしても意識はしっかりとあるし、命に問題はないっでっしょ。
ベテランさんも状況を理解したのか、上半身を抱き起していたのをそっと床に寝かし立ち上がり彼を見下ろしている。
「ふむ、魔力が無いから辛いのであるか?」
彼を見下ろしたまま確かめるように問いかけてくる。
「っそ、ベテランさんと違って、彼は無限の魔力を得ていない。体内を巡る魔力を急激に消費してしまったから体が命を繋ぎ止めるために防衛本能を起し、強制的に寝かせようとしてるだけ、意識が飛ばなかったのは流石、歴戦の戦士ってところだね」
ふむ、そういうことであるかっと自身の顎を触りながら寝ている戦士を見下ろし続けている?
っていうか、何で手のひらを閉じたり開いたりしてるの?
彼の次の行動、嫌な予感がする、念のために確認(釘を刺して)しておこうかな?
「顔色どう?ひどいような」「なら、吾輩の魔力を分けてあげれば万事解決っというわけであるな」
彼の発言や行動を先んじて制止する間もなく、横になっている人物の真上に手を前に出し、ほれっと小さな声をだし手のひらを返す。
まるで、寝ころんでいる彼の顔面に向けて何かを落としたかのように…
複数人で行動していれば助けてくれるかもしれないけれど、これを使うっということは何を意味するのか…窮地に追いやられているっということになる。
そんな状況下で放ったとしても、死の一撃とは違い己が生み出した決死の一撃によって死ななかったとしても…暫くは動けなくなる、それが何を意味するのか…
死の大地はそこまで甘くない。
動かない人が居れば襲い掛かってくる、大小問わず獣共は人を殺したがっているからね。
っていうか、そういう風に動く様に命令が埋め込まれているんだろうね。
アレは獣の形を模した殺戮兵器だもん、あんなのが生き物であってたまるか。
私としては撤退は悪いとは思わない、生きていれば立て直すことだってできる。
腕も足も折られて、誰も動けなくなり、せめて一太刀…みたいな状況になる前に撤退しろって徹底的に叩き込んでる。
逃げるは美!生きるが勝ち!ってね!
そういう教えを徹底しているのに、この魔道具を量産して現場で使えってさ戦士や騎士達に強制するとさ…誰だってそう、思っちゃうよね?この魔道具を渡された彼らが思いつく使い道なんて限られている。
私もその結論に辿り着いてしまっている。
一人一殺
一人の人間を消費し=一つの獣を殺す
っという、地獄のような方程式…
こんなの非人道的すぎる。そんな作戦許可だせるかってーの。
大昔みたいに命を使って自爆してこいなんて、どんな状況でも言えるわけがない。
そもそも!継戦能力を無くして一撃の為だけに一人の命を消費するって考えなんてさ、私が選べれるわけがない!って、ことだから量産しなかったってことだよね。
─ もう一つ理由がある、敵にこの魔道具の存在を知られるわけにはいかない。量産すればおのずと戦士達は興味を持ち、彼らの自己犠牲という精神によって、いざという時の為に懐に忍ばせる人達が出てくる。故に、生産は秘密裏に行った。数も出来る限り彼らの目に留まらない程度の量しか生産していない。もちろん、破損した時に備え予備も当然用意してあるよ。
なんだ、あの部屋にあるのが全てってわけじゃないのか、他に保管場所があるの?
─ あの部屋にあるのが全て。
ってことは…なるほどね木箱の数が多い理由ってのが、私が箱の中を見やすいように詰め込まないで運んだから、その代わり木箱の数が増えたってことだね、後で予備の数も把握しておかないといけないかも?
─ 生産しようと思えば1日である程度の数は生産できる、型があるので必要であれば徹夜で造ればいい。
成程ね、一週間くらいなら寝ずの作業くらい頑張ってくれってことね。
っま、大量に生産しようが、戦士達に渡すのは良くないかな、無限の魔力っという装備がある私達が使う。それがどう考えても正解だよね。
結論も出て、先を見据え終わると
「そうである、身体強化の要領と同じく手のひらに魔力を集中するような感じで魔力を魔道具に込めるのである、感覚としては魔道具も己の肉体の一部を思う事である」
「っぬぐ、簡単そうに言うが難しいぞ」
二人の足音が近づいてくる。
っとと、思考の渦に飲み込まれていたら、二人が戻ってきた。
二人の様子を見ると、此方に何も言うことなく鉄剣を構えようとしている。
って!一言くらい言ってから魔道具を使って欲しいかな!
今後の為にも実験データは欲しい、此方も集中し見逃さないように彼らの動きを記憶する。
「悪いが頭の悪い俺にもう一度だ、手本をもう一度見せてくれ」
「わかったのである、まず!手のひらに魔力を込めるのである!」
手のひら?っという言葉に首をかしげている。
「手のひら、であるからして、吾輩の感覚としてはそうであるな、握力!握力を強化するような感じで魔力を込める!」
成程っと頷いてから剣を握り締めている音が聞こえてくる。
「次に、手のひらの中にある魔道具を握って握力を強化するような感覚で魔道具に魔力を流し込むのである!して!それができたらこう!っである!」
気合の入った声と同時にベテランさんが動き出す。
鉄剣を上段の構えにして直ぐに振り下ろされ、即座に丸太の方から裂けるようなぶつかる様な音が聞こえ、視線を向けると丸太に新たな裂けめが出来ている。
丸太の周囲には衝撃によって細かい破片が飛び散っている。
丸太にできた裂け目は先ほどの一撃よりも確実に大きくなっている。
威力が目に見えて向上したのは鉄剣と木剣の違いなのか、それとも、ベテランさんが二度目によって魔力を飛ばすという感覚をより深く掴んだからなのか、どっちだろう?
深く観察するために新たに刻まれた丸太の裂け目を注意深く鋭く観察を開始していると
「なるほどな、良い手本だ。イメージに関しては出来る、イメージの感覚は掴めたぞ何となくではあるがな。だが、不安を感じている、これは、その、どの程度なのかという不安がある、放つのにどの程度、魔力を込めればよいのか」
観察していると聞こえてくる内容についつい視線を向けてしまう、その辺りは各々の感覚になっちゃうから、言葉で表せにくい、魔力測定器を持ってくれば良かったかも?
「それは何度も試してみるのが正解であるな、どの程度力を込めればどの程度、魔力を飛ばせることが出来るのかっというのは、各々が感覚で覚えるしかないのである」
先駆者からの答え合わせは…予想通り完全に感覚の世界、肉体言語だ。
「取り合えず、数をこなすのである!力いっぱい魔力を込めたら振り上げた剣を振り下ろしてみるのである、ただ注意があるとすれば切るイメージであるか?それの意識は振り上げた時から振り下ろしきるまで常に!丸太へと向けるのを忘れるなっである」
むんっと胸を張って力強い声…その説明で大丈夫だと思えれる自信は何処からくるのだろうか?
自信満々の説明が終わったと同時に風を切る音が聞こえた、視線を直ぐに向けると鉄剣が振り下ろされている、っとなれば必然、結果がどうなったのか丸太を見ると…
丸太の裂け目が更に広がることは無かった。
ただ、何も起きなかったわけではなく何かが当たったのか、丸太が小さく揺れているような気がする。
ってことはさ、ベテランさんほどの威力は無くとも魔力を飛ばすことが出来たってことかな?
丸太の何処にぶつかったのか、先ほどまで観察していた記憶の中にある丸太と今の丸太、何処に違いがあるのか比べようとすると
「ぬぉ!?っく、っぁ、こいつぁ」
ガシャンっと大量のスプーンを床にぶちまけた様な音で体が跳ね思考が止まる。
音が発生した場所へ視線を向けると、鉄剣の切っ先を地面に突き立て杖のようにし自身の体を少しだけ支えようとしているが全てを支えきれず膝をついてしまっている。
腕の力だけで支え切れなくなったのか更に大きな音を修練場に響かせながら戦士が大の字で横になる。
眩暈がするのか手甲を身につけた状態だというのに自身のおでこに手のひらを当てている。
彼の身に何が起きたのか言うまでもない、これもまた予想していた展開、魔力を飛ばすってのはやっぱりかなり危険なのだと、再確認させられた。
これ以上はダメ、医療班に運んであげないとね。
遠くで此方を様子見している人達を呼び寄せて運んでもらおうかな。
魔力を急激に消費してしまったがゆえに、立つのが困難な戦士、眩暈がして上も下もわからないであろうに、まだ立ち上がろうと膝を曲げては踏ん張れず踵が滑り足がのばされている。
「魔力の消費が激しかったんだと思うよ、無理しないで横になっていた方が良い」
恐らく急激な魔力の消費によって肉体がこれ以上は危険だと警告をだしているってところかな?
ここは街の中だから意識を飛ばしても何も問題は無い、なら、生命を守るために意識を狩り取ろうとしている、けれども、戦士としての鉄の意思がそうさせまいと抵抗しているってところかな?
「そういう事である、ほれ、剣を杖代わりにしようと握り続ける名である、力を抜いて吾輩に渡すのである」
ベテランさんに介抱される様にそっと上半身を起こされると
「っはぁ、っく、視界が、まわ、ま」
目が虚ろ、視界が定まっていない焦点があってないな、無理に起こすのは危険だね。
「黙ってていいよ、状況を無理に説明しなくてもいいからね。まずは自分の事を第一優先にして、今からその状態に陥った状態から脱するための方法を伝えるからね」
ほう、その様なことがあるのであるかっと、彼の代わりにベテランさんが口に出す。
得に返事を返すことなく説明を続ける。
「まずは、瞳を閉じてお臍の下辺りを意識して、意識しつつ静かに深呼吸を繰り返して、お臍の下辺りに力を込めていって。感覚としては、そう、だね。こっちの方がわかりやすいかな?身体を強化する時と同じようにさ、体の中を巡っている魔力を操作して肉体の一か所に集中させる訓練あるでしょ?」
なんだ、それであるかぁっと特別な方法があるのかと期待してたのか落胆した声が聞こえてくる。
その声に少々苛立ちを覚えてしまったけれど触れずに話を続ける。
「それを行う前にする予備動作、魔力の感覚を掴む感じで精神を研ぎ澄ます様な感じ、それを静かに何度も何度も繰り返して体内を流れる魔力を外に流れて行かないように体内に留めるように一点に溜め込んで」
ベテランさんに支えられている戦士に魔力を練ろっという難しい行為をこの状況でしろってのは過酷な気がするけど、今、自分で出来るのはそれくらいだもんね。
内容を理解したのか、目を閉じ呼吸を何度も繰り返し心も体も異常な反応をしている全てを落ち着かせるように意識を集中させていくのが伝わってくる。
うん、魔量を急激に失ったとしても意識はしっかりとあるし、命に問題はないっでっしょ。
ベテランさんも状況を理解したのか、上半身を抱き起していたのをそっと床に寝かし立ち上がり彼を見下ろしている。
「ふむ、魔力が無いから辛いのであるか?」
彼を見下ろしたまま確かめるように問いかけてくる。
「っそ、ベテランさんと違って、彼は無限の魔力を得ていない。体内を巡る魔力を急激に消費してしまったから体が命を繋ぎ止めるために防衛本能を起し、強制的に寝かせようとしてるだけ、意識が飛ばなかったのは流石、歴戦の戦士ってところだね」
ふむ、そういうことであるかっと自身の顎を触りながら寝ている戦士を見下ろし続けている?
っていうか、何で手のひらを閉じたり開いたりしてるの?
彼の次の行動、嫌な予感がする、念のために確認(釘を刺して)しておこうかな?
「顔色どう?ひどいような」「なら、吾輩の魔力を分けてあげれば万事解決っというわけであるな」
彼の発言や行動を先んじて制止する間もなく、横になっている人物の真上に手を前に出し、ほれっと小さな声をだし手のひらを返す。
まるで、寝ころんでいる彼の顔面に向けて何かを落としたかのように…
0
あなたにおすすめの小説
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
異世界ラーメン屋台~俺が作るラーメンを食べるとバフがかかるらしい~
橘まさと
ファンタジー
脱サラしてラーメンのキッチンカーをはじめたアラフォー、平和島剛士は夜の営業先に向けて移動していると霧につつまれて気づけばダンジョンの中に辿りついていた。
最下層攻略を目指していた女性だらけのAランク冒険者パーティ『夜鴉』にラーメンを奢る。
ラーメンを食べた夜鴉のメンバー達はいつも以上の力を発揮して、ダンジョンの最下層を攻略することができた。
このことが噂になり、異世界で空前絶後のラーメンブームが巻き起こるのだった。
置き去りにされた聖女様
青の雀
恋愛
置き去り作品第5弾
孤児のミカエルは、教会に下男として雇われているうちに、子供のいない公爵夫妻に引き取られてしまう
公爵がミカエルの美しい姿に心を奪われ、ミカエルなら良き婿殿を迎えることができるかもしれないという一縷の望みを託したからだ
ある日、お屋敷見物をしているとき、公爵夫人と庭師が乳くりあっているところに偶然、通りがかってしまう
ミカエルは、二人に気づかなかったが、二人は違う!見られたと勘違いしてしまい、ミカエルを連れ去り、どこかの廃屋に置き去りにする
最近、体調が悪くて、インフルの予防注射もまだ予約だけで……
それで昔、書いた作品を手直しして、短編を書いています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる