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おまけ 姫の過去編1

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お父様とお母様達、お姉さま達に、お兄様たち、妹や弟も居る、私の家は大家族。
家もすっごく大きくてすっごいの!毎日がお祭り騒ぎ、妹や弟達があちこちで暴れてはお母様や、お姉さまやお兄様が妹や弟をお叱りになっているの。

でも、私は良い子だから、怒られないの、悪戯とかしたことないもの。そんな私はとっても良い子なのレディなのよ。

私も悪戯とかしたいなって思ったことはいっぱいあるけれど、私が叱られたりすると、きっとお母様が心配しちゃう、お母様には、辛い悲しい気持ちなんて、なってほしくないの。

だからね、悪戯とかしないで、兄弟姉妹仲良く遊ぶことにしてるの、誰にも迷惑をかけないで、楽しい遊びを探すの!

お庭は、色んな物があって楽しいの!お兄様が素振りするための木刀があったり、お姉さまが世話している綺麗な花壇があったり、みんなで泥だらけになって遊んだりする場所もあるの!

でもね、どうしてかわからないけれど、私だけ、お外に出してくれないの、使用人たちの目を盗んで妹たちと一緒にお外で遊んでるとね。

直ぐに、見つかっちゃって、飛んでくるの、っで、お家の中に連れていかれちゃうの。

妹たちはお外で遊んでるのに、どうして?私はダメなの?

理由を聞いても教えてくれないの、はぐらされてばっかり、誰か口止めをしているのだわ。
そんなことが出来るのはお父様しかいないわ!だったら、直接!元凶であるお父様にお話を聞きに行ったの!どうしてお外でたらだめなの?って

「…お前が大事だからだよ」

そういって頭を撫でてくる、理由が知りたいのにいつも教えてくれない!意地悪なお父様、意地悪な人は嫌い!!

お父様の口癖で、兄弟姉妹皆にいっつも言ってる
【誠実であれ、貴族として威厳ある態度を取れ、貴族としての心構えを失うな】って言うのに、

お父様は私に対して誠実じゃない!!嘘ついてたり、はぐらかしたりして、一つも守ってない!うそつきはきらい!いーーーっだ!!

お父様にはぐらかされた後は、決まってお母様の部屋に向かうの、だって気持ちが抑えられないもの、すっごくいらいらするの!

頬を膨らませながら、お母様が居る部屋に向かう。この広いお屋敷だとお母様を探すのは大変だと思うでしょ?

そんなことはないわ!だって、お母様は自分の部屋から一歩も出ないの、食事も自分のお部屋で食べるの。

ずるい!私も自分のお部屋で食べたい!みんなと一緒に食べるのは好きだけどマナーが出来てないと頭を叩かれるの、痛いし、恥ずかしいから叱られるのやだ!

だからね、お母様に用事がある人はみんな、お母様のお部屋に行くの、あのお父様だってそう、他のお母様や兄弟姉妹はみんな、使用人を使って呼び寄せるのに、私のお母様だけは自ら部屋に足を運ぶの!お母様は特別なの!

お部屋に行くと、ゆらゆらする椅子にお母様はいっつも座っているの、座りながら何かを読んでることが多いの、お母様はすっごく博識なんだから!
椅子でゆったりと座っているお母様にね、お父様の文句を言うとね、いっつも優しそうに微笑んで、いつかわかるって言うけれど

いつかじゃない!今知りたいの!どうしてみんな教えてくれないの!!他のお母様もみんな同じ!ぜったーーーーいおしてくれない!!・・・なんで?おしえてくれないのかな?

更に、頬を膨らませているとそっと、抱き上げてくれてお膝の上にのせてくれるの、その後はいつもお決まりで絵本や童話を読んでくれるの♪

それが大好き。

お母様が読み聞かせてくれる絵本が一番大好き、優しく抱きしめてくれるお母様のか細い腕が大好き。

ちょっと硬いけど、温かくて、部分部分ちょっとひんやりしてるけどお母様を近くに感じれて大好き。

お母様も好きなジャンルがあって、私も大好きなのが英雄譚!一番好き!!私もね!いつか大きくなったら本や、童話にある英雄みたいにね!
ぶんぶんと大きな大きな武器を片手で振り回して、お母様を守るんだ!どんなドラゴンだろうと!お城みたいにでかいゴーレムでも!どんな敵からでも、絶対に守ってあげるんだ!

だって、お母様はすっごく細くて白くて走れないくらい弱いから、私が守るんだ。だって大好きなんだもの、ずっとずっと傍にいて欲しい、何処にもいかないで欲しいの
独りはやだ、お母様は、たまに、遠い遠いどこかわからない場所をみてるきがする、おいていかないで、ずっとそばにいて




ねぇ?どうしてお母様はうごかなくなってしまったの?どうしておとうさまはなにもしないの?どうしてそんなにえらそうにしてるの?どうしておとうさまはおかあさまをまもれなかったの?どうして?どうして?どうして?


私が、7歳になるころに、お母様は二度と会えない遠い遠い、世界に旅立っていきました。お父様はお母様を守れなかった…守ってくれなかった!!!大嫌い!!!

お父様の見た目が嫌い、ちょっと下っ腹が出てて小太りで、髪の毛も薄っすらとしていて、金髪でお年も50?だっけ?臭いから嫌い。

そんな、私の髪の毛も、お父様と同じで金髪、だから大嫌い。
お父様と同じ髪の色だから心の底から嫌い!どうして、お母様と同じ真っ白な銀色の様に月夜が反射して輝く綺麗な髪じゃないの?

どうして、お父様は私の髪の色を見て少しほっとしたような顔で見るの?お母様を思い出したくないから?私の髪の色が白色だったら嫌なの?お母様を忘れたいの?

大きくなって、少しずつ、年を重ねるたびに徐々にだけれど、金色の髪の毛が少しずつ薄くなってきて、白に近づいているのが嬉しかった。
大好きなお母様を思い出せて嬉しかった。だから、お母様と同じように髪の毛を肩に届くくらいの長さで整えてもらっているの。

お父様はもっと、伸ばせ、出来れば腰のあたりまで何て言うけれど、どうして、そこまで私の見た目をお母様から離そうとするの?…嫌い

でもね、時折、本当に時折だけど、お父様が悲しそうな顔でこっちを見ることがあるの、私が誕生日を迎えるたびに悲しそうな顔をするの。


私の毎日は勉強に、作法に、貴族としての勉強ばかり、そのおかげで文字が読めるようにはなった、だから、お母様の日記も読めるようになったの。
ずっと、気になっていたの、お母様が毎日毎日、何かを書いているのを知っていたから、文字が読めるようになったら読もうと大事にとってたの。

お父様が探していたけれど、絶対にあげない!みせない!これは私だけのお母様なの!!

お母様の部屋で見つけたお母様の日記を読んでわかったの、お父様が悲しそうな顔をする理由がわかったの。


知りたくなかった、見なければよかった


お母様の家系は、代々、病気になる確率が高くて、長く生きられない家系なんだって、だから、お爺様はお会いしたことあるけれど、お婆様は、お会いしたことがなかったのね。
既にこの世を去っていらっしゃったのね。

お母様も、若くて小さなころは綺麗な金髪だったけれど、発病してからは一気に、髪の色が抜けてしまい真っ白になってしまったこと。

お父様は、その様子を身近で見てきたみたいで、髪の色がサインなのかもしれないと思っているのかも、代々発病しやすい命を落とす病が発症してしまったという。

だから、私の髪の色が少し薄くなっているのがお母様と重なってしまって、私が同じように死んでしまうのだと、私がお母様と同じように長生きできないかもしれないと、
そんな風に想像しちゃって嫌な顔をされていたのだわ。

それから、私は毎日、お母様が呼んでいた難しい本を読むようになった。
元々、日記を読んだり勉強したりと本を読むこと自体は好きだったから苦ではなくむしろ、楽しくてしょうがなかった。

色んな本を読んで、この世にある摂理を知っていくと、私でも未来に繋がる技術がこの世界にあって、子供でも扱えることがあると知った。

それが術式である、様々な事象を魔力を代償に捧げることで発生させると同時に、術式に組み込んだ方程式を用いて事象を制限させたり指向性を持たせたり、
変幻自在に操ることにより少ない魔力で魔法を発現させる人類の英知だ。日常的にランプに火を灯したり、竈に火を入れたり、お風呂を沸かしたりするのも

みんなみんな、世に居る術式を研究する学者先生が生み出して道具として術式を落とし込んだ結果だと知った。

この術式を極めていけばきっと、お母様の病気も治すことが出来たかもしれない、どうして私は、もっと早くにコレに出会えなかったのかな?

ううん、違うわ。お母様を失ったからこそ、私はコレに出会えたのだと思う。

それからの日々は本に書いてある術式を覚え、自分なりに改良したり、ゼロから新しく方程式を生み出す事を喜びとして、部屋に引きこもる日々だった。
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