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繋ごう明日へのバトン

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ふらつく彼女の腰を支えながらゆっくりと医療班の特別施設

集中治療室がある、緊急処置が必要な病棟へと連れていく

基本的に、一般人の方は、立ち入りを禁止させてもらってる。色々と触れられたくない薬品もあるし、命の危険がある方を感染症から守るために、細心の注意が払えない人が多いので、立ち入り禁止となっている。

なので、私が居ないと中には入れない、と、いわけで、私が居て良かったと思うし、私自身も先の爆発の被害がどれくらいなのか把握したい。
それに、私がやらないといけないような患者が居るのかどうか、それも、気になるところだったの。

それに、自身の怪我もほぼ、治癒が終わっているので!今なら!難しい術も問題なく出来る自信がある!

そうじゃないと、医療班の隊員も、巻き込まれる確率の高い場所に私を向かわせないと思う、私の性格を知っているからこそ、私を外に出したら無理をするので、無理をしても大丈夫だろうと、判断しての自由行動許可だと思っているからね。

病棟の中に入っていくと、現場は既に落ち着きを取り戻している様子だった。

中を進んでいくと、スタッフの一人が全身包帯の私を見て、慌てて駆け寄ってくれる。

そりゃそうだよね、どう見ても重病患者。

いくら隊服を着ていても緊急な治療が必要と判断されて運ばれてきた患者だと思うよね、ちょうど誰かに支えてもらってるような感じになっちゃってるし、実際は私が支えてるんだけどね。

声を出すとスタッフは一瞬で全身包帯の中身に気が付く。頭の上に!が見えるね。

緊急病棟で働けるスタッフは全員、超が付くほどの優秀なスタッフしか配属されない、だから、当然っていうか、ここに居る人達はみんな、団長の座を競い合ったような人達ばっかりで、長い付き合いの方達だから、直ぐにわかってくれるので助かる。

私も、いつか後任を決めたらこちら側に配属される形になると思う。

前線での現場はね、ほんーーーーーとうに!!体力仕事になる事が多いの!でっ!年齢を重ねると大変になるので!

体力的に限界が来た優秀なスタッフのセカンドワークとして!第二の戦場として、こういった施設に配属されることもあるし、希望すれば、他の街にある病院に行く人もいる。
ある意味、一番危険な現場から離れるので現役引退みたいなものって考えている人が多い。

No2もね、私に後任を任せたと思ったら、すぐさまこちらの勤務になるのかと思ってたら、違ったわ。あの人は化物だと思う、こちらと前線の現場、両方を兼任していることが多い。

たぶん、今はこっちで仕事をしていると思う。だって、私が前線の現場に立っているから。

声をかけてくれたスタッフに事情を説明し、まずは、探している人が居るのかどうかを確認するが、ピンと来ていない。
スタッフも一段落がついたので、手が空いているからって事で、探すのを手伝ってくれることに、ありがたい、こういう悲しい連鎖がある時は一人でも人数が増えると自然と悲しみが分散される気がする。

あと、探し人の特徴を伝えたとしても、あの爆発規模を考えると…

顔の判断がつかない人もいたそうで、その、顔が解らないくらいの人は順次、命を繋ぎとめてから、整形を施しているとのこと。

…たぶん、私も整形する形になりそうな気がする、皮膚移植だけで済ましたいなぁ、骨は欠けてないし。

探し人も顔がわからない状態であれば、確かにピンとこないのも無理はない。なので、比較的、落ち着きを取り戻した人から見ていく流れになる。

一人一人見ていくと言っても、退院間近の人はたったの3人でメンタルケアも含めて往診していくことに、皆、心身ともに平静を取り戻しており、特に問題は無かった、それもそのはず、三人とも新人ではなく、隠蔽部隊に長い事勤めているスタッフだったので、寧ろ、自分の怪我よりも、新人達を守れなかったことに心を痛めていた。


…先に新人って伝えておけばよかったなって、思われるかもしれないが、こうやって順調に回復している人を見せることで、この病棟に運ばれているのであれば、希望は持てるという実感を三つ編みの彼女に知ってもらって体感してもらって、心の平穏を取り戻してほしかったっていう狙いもある。

肝心の三つ編みちゃんはというと狙い通り、少し、落ち着きを取り戻して一人で歩けるようには、なっている。なっているがまだ、足取りは覚束ない。

他にも運ばれてきた人はいないのかと問いかけてみると暗い顔をしている、とても言いづらそうにしている…その様子から伝えにくい内容であると察する。

ぇっと、ソニック音波だっけ?あれの術式って難しいんだよね、音波を超指向性に調整だのなんだの、どの方向に的確に飛ばすのか補助の魔道具なしでさらっと使えるの姫様だけだと思う、私だって発動させるのにちょっと時間かかるもの。

あんなコンマ数秒で、あ!使おう!っで使えるわけがない。姫様の術式に対する理解度は常人を軽く凌駕しているのが、本当にすごくて尊敬している。そこの部分はね!悪戯心をそろそろ良い年齢なんだから、抑えて欲しい・・

頭の中に術式を構築し、指定座標を意識して、どの方向にどの範囲までしか聞こえない様に絞って、飛ばせ!ソニック音波!

ソニック音波を使って、スタッフだけに聞こえるように話しかける『もしかして、今も集中治療を行っている方がいらっしゃる?』スタッフは一瞬ビクっとして、こくりと頷いた。
このソニック音波って調整が難しくて囁くように伝えるのが本当に難しい、音量が大きかったかもしれない。

治療中の人達に面会するのは少々難しい、術式の途中で会うなんて更に難しい。どうしたものか。

「ぇっとその」三つ編みちゃんが悲しそうな顔でどうしたらいいのか、次のこちらのアクションを待っている、じっとさせているのも仕方がないし。一旦、この子を返して私だけで動いた方がいいのかな?

そんなことを考えていると「団長じゃない、どうしたの?」集中治療室へ入る為の服装をしているNo2が声をかけてくれる、全身包帯でも私だって気が付く当たりやっぱり凄いなこの人…あれ?お化粧してるときは気が付かなかったような…ん?…一瞬何かの矛盾を感じたけれど、深く考えないことにした。

「これから?」今から難しい術が待っているのかストレートに尋ねると首を横に振り「終わったよ、取り合えず一命は取り留めた」くいっと親指を立ててNo2が後方へと指をさし、私達の視線を向けさせるとストレッチャーがガラガラと部屋に向かって運ばれていくのが見える。
見えたのが話の流れだと、たぶん、一命を取り留めた患者だろう、軽く術の内容を確認すると、近距離で爆発に巻き込まれた為、全身火傷、四肢損傷、等々、四肢の損傷に対する術式は、次回行う予定で、まずは、全身火傷の皮膚移植を完全に終えて、今から回復術式で徹底的に回復を促進させる流れとのこと、因みに女性で身長は160センチ付近、体重は58キログロム…

身体的特徴は似てるかも?もうちょっと軽かったような気がするし、身長も、もう少し小さかったような…

三つ編みちゃんも教えてもらった情報を聞いて、悩んでいる…

身体的特徴だけでは判断できないし、少しだけ、見ることはできますかと尋ねると、部屋に入らなければいいよ。とのこと、部屋に入らなければいいってことは、免疫力低下、及び、無菌室で回復の陣を発動させる流れ、どうやら感染症の危険性もあるくらいの深い深いレベルの火傷だったのだと伺える。

皮膚を張り付けたとしても油断が出来ない状況ってことだよね。

皮膚移植が終わっているのであれば、顔を確認できるので三つ編みちゃんの手を握り部屋に向かっていく、手が震えているのがわかる、無事だったんじゃないかという淡い希望が沸き上がってきているのだろう、人生は思っていた以上に過酷で辛い、それでも、嬉しい出来事もいっぱいある。負けちゃったらダメだよ。

部屋の前に到着してゆっくりと硝子越しに中を見る


崩れ落ちる彼女、そっと抱きしめてあげる



違った、彼女じゃなかった



淡い期待が途切れた瞬間は堪える、希望を、渇望していた思い描いていた甘い未来を、目の前で切れた瞬間は堪える…
声にならない声で泣き崩れる、彼女の心が壊れない様にぎゅっと抱きしめる、私には抱きしめることしか出来ない。

「すいませーん車椅子とおりまーす」

ぁ、いけないお仕事の邪魔しちゃだめだよね。三つ編みちゃんを通路の端に寄せ車椅子が通っていくと
「ぁ、看護師さん、ちょ、ちょっとお待ちになって」車椅子に座っている女性らしき声が聞こえてくる

車椅子がくるりと反転しこちらに向き直すと「ああ!良かった無事でしたのね!」車椅子に乗せられていたのが恐らく探し人だと車椅子に乗っている女性の反応で解る、
声に気が付いた三つ編みちゃんもすぐに車椅子の彼女に飛びつき、更には、全力で大きな声で泣き出し、車椅子の彼女もお互いの無事が解り大きな声で鳴き始めた。

私も、その光景を見て感極まり泣きそうになるが、ここで涙を流すのは大人として少し違う、見栄を張らないとね、
ぐっと涙を堪えて、後は二人だけにしてあげるべきだと判断しその場から離れることに。


病棟から出ようとしたら、No2に呼び止められる。

話を聞くと、先ほどの車椅子に座っている彼女の術を交代して欲しいとのこと、歴戦の猛者でもあるNo2といえど年齢には勝てないご様子で連戦は辛い。
でも、彼女の足と手をくっつけるとしたら今日がラストリミット、吹き飛ばされた腕と足を培養液に付け込んで栄養を送り続けているがボチボチ限界。でも、私も限界。さすがに三徹は死ぬ、吐きそうっとのことで、

まだまだ体力に余裕がある私の出番ってわけね!任せて!初手でへまをやらかして、みんなに迷惑をかけたんだもの!最高のバトンタッチを決めて見せるわ!
ぇ?迷惑なんてかけてない?貴女がいなかったら、もっと悲惨な結果になっているから卑下しないの?うん、ありがとう。それだけでも私の心は救われる。

でも、もっと、もっと、助けたかった…あいつらに命を奪われたくなかった…

溢れる感情と共に涙が流れる、そっと抱きしめてくれる、ありがとう大先輩…
私が泣き止むまで抱きしめてくれた先輩は、私に聖母の様なほほ笑みを見せたあと、崩れるように意識を落とし眠りについた。

お子さんがいたら、一緒にこの街で働いているくらいのご年齢だもの。三日三晩の徹夜は堪えるよね。しかも、それだけじゃない、三日三晩徹夜+難しい術ばっかりだもの。そうとう神経尖らせていただろうに。

大先輩であるNo2をお姫様抱っこしようとしたら腕がつりそうだったので、背負って運ぶことに、やっぱり怪我したてで回復直後の腕で持ち上げるのはまだ早いよね…

病棟にある仮眠室に寝かせ、隊服を脱ぎ包帯を外す、そして鏡を、、、勇気を胸に・・・・見る!!

…あれから、初めて見る、自分の体を…

思っていた以上に酷い有様だ、髪の毛も殆ど残ってないじゃないの、8割?それくらい火傷で皮膚が爛れてるじゃない、ぁーぁ、治す手立てが無かったら絶望して自死を選ぶ人が居るのも頷けるよ。

…涙が自然と零れ出る、心を強く持って、私は医療を志す人、何があろうと諦めない。

なんてね、確かにかなりの衝撃的映像だけれど、治す手立てがある!8割焼けても2割綺麗って程ではないけれどマシな部分がある!この皮膚を培養すればよし!後は8割の皮膚を剥がして培養した綺麗な皮膚にはりなおせば良し!希望はいつだってある!どんなどん底の底になろうとも!希望はいつだってある!

その希望を繋いで見せよう、大人は未熟な子を守り導き、未来へと繋いであげる、未来へのバトンタッチを繋いでみせるよ先輩。

集中治療室に入る為、専用の服を着て、治療室の手前にある部屋で、体を洗浄する。
この無菌室に入る為の洗浄中が一番、神経が研ぎ澄まされていき集中力高まっていくのを感じる、実際に、そういった効果がある薬が散布されているらしい、それを肺の中いっぱいに肺をみたすように鼻からも口から大きく大きく吸い込んでいく。

目覚めろ細胞、走れ脳神経、歌え!未来を繋ぐための讃美歌を!!これが!私の!!脳細胞フル回転!!焼けた指もしっかりと動く!っていっても指はあまり使わないけれどね!

最高にキマッた状態で、最高に研ぎ澄まされた状態で挑む、今の私はどんな神経だって!どんな筋繊維だって縫合して見せる!!

中に入ると準備は完璧、いつでも始めれる状態。

始めよう、人の未来を繋ぐ術を、導こう明日への希望へ。

では、術式を始める、内容は焼けた皮膚を除去し培養した自身の皮膚によってはりなおす、分離した腕と大腿部を培養液に浸してある自身のパーツを用いて筋肉、骨、神経、皮膚を繋ぎ合わせ、繋ぎ合わせた部分を急速回復により組織、細胞の組成形成を行う。

メインは私、こと、団長が行い、私の自我が吸い込まれて返ってこなくなるのを防ぐために…あれ?誰が補助してくれるんだろう?いつもはNo2か3だけど、3はたぶん、戦場、2は寝てる、あれ?誰が補助してくれるのかな?この術式で私を補助できる人ってかなり少ないし、まぁ無くてもこれくらいなら大丈夫だけど。

ふと、補助を行う命綱の陣に誰かいるのか振り返ってみると、誰かが立っている、全身を覆う服装だから目元だけで判断しないといけないっていうかあれ?


姫!?


バチコーンとウィンクして手を振ってくれている、サポーターに姫様が居るのならフルダイブしても絶対に帰ってこれる信頼がある。
これ程、頼りになる人がいるなんて思っても居なかった、自然と笑みが零れる、こんなにも安心して後ろを命綱を任せれる人はいない、さぁ、全力を尽くそう。





ふぅ、意識を、自我を、自身に体に繋ぎ合わせ感覚を人の感覚へとシフトさせていく。

術は完璧で完全だった。ミスなんてどこにもない、焼けた皮膚も綺麗にはりなおして皺すらなし!皮膚のよれもなし!シミも全部とった!後遺症も恐らくなし!鼓膜も再生済み!っていうか鼓膜も傷がついていたの知らなかったんだけど!フルダイブ同調のおかげで全身隈なく見れたから気が付けたけど!他にもいっぱいあったよ!ダメージ!あと!焼けた頭皮も綺麗に治したけどしばらくはウィッグ着用してね!髪の毛は生えてくるけど髪の毛は再生できないから。

後は、取れた腕と足のリハビリが必要ってことくらいかな?


術式の閉幕を伝え、部屋から出ていくと姫様が待ってくれていた
「さっすが団長!手際が神がかってる!」パチパチと拍手してくれる

「ありがとう!それと、おかえり姫!」目元だけでもニコっと笑って歓迎する、あれ?姫の顔が曇ってる

「ねぇ、団長ちょっといい?」手を掴まれて更衣室に連れていかれる。

更衣室に入るとささっと帽子やマスクなどをはぎ取られる、そして泣きそうな顔になる「酷い…こんなのあんまりじゃないの…」泣きそうな顔がどんどんくしゃっとなり、目元から涙が伝って落ちていく。

「うん、私もね、鏡を見てびっくり!だけど、生きてるから、姫と一緒に作ってくれた戦闘服のおかげで生きてるから」私もつられて涙を流してしまう、今日はよく泣いちゃう日、涙なんて皮膚と一緒に焼けて枯れちゃったのかなって思ったけれど、涙腺は生きてるみたいで良かった。

「…うん、そうだね。生きててよかった。それはそれとして、きれいな皮膚残ってる?」手早く私の服を脱がしていく、ちょ、まって!?ひん剥かないで!?脱げるから!自分で脱げるから!?あ!こら!肌着も剥かないで!こら!脳天にチョップをお見舞いすると漸く止まる。ほんっとにこの人は!!自身の行動に躊躇いが!!物事に対しての遠慮が無い!!配慮が無い!!

「…ぶつことないじゃないの」膨れっ面で叩かれた頭を撫でている
「…許可なく全部をひん剥こうとするからじゃないの」赤面でプイっと顔を背ける

お互いの行動が日常過ぎて可笑しくなったのか、ふふふっと笑いあう。

「見た限り、腰とお尻とお腹の皮膚が綺麗!これだけあれば、培養すれば大丈夫だから、後で皮膚取らせてね!培養するから、こんだけ綺麗な部分があるのなら元通りにできるできる!培養もなるはやでやるから、1日!1日あれば綺麗な皮膚を大量に作ってあげるからね!」バチコーンと大きなお目目で豪快にウィンクする、姫様って目が大きいからウィンクが似合って可愛くていいなぁ、私がしたらきっと憐みの目で憐憫な感情を抱かされちゃう、わからされちゃう、、、

「いえ、大量はいらないです、適切な量でお願いします、余ったら何処かに使われそうで怖いので、必要最低限でお願いします。」つい本音が口から漏れてしまう。その呟きに、にまぁっとふへへっと笑ってる、売ろうとしてた?ねぇ?もしかして、またヒト財産築こうとしてた?人の細胞で?

「っというわけで!さ!部屋に戻ろう!」ぐいっとすれ違いざまに左腕を掴まれて連れて行こうとするけれど!まってまってまぁって!!服!はだけてる!恥ずかしいから!見えちゃってる!色々とお肌がみえちゃってるの!空いた右腕で姫のお尻を豪快に叩く、乾いた音が更衣室に響き渡りながら姫の悲鳴が病棟に木霊した。

「…いたい!!!いたいいたいいた!!!加減してよ!!!」想像以上に強くはたいちゃってごめんなさい。
「ぜぇったい赤くなってるぅ!!なってるでしょ!?」ぺろっとズボンをおろして見せてくる、うん、綺麗な手形が出来てる、そっか、集中治療室に入る為の服って薄いもんね、そりゃ、痛いよね、いつもの用にジーンズ履いてる感覚でやっちゃったかも。

「…団長ってさ、手が早くない?」ぷぅっと涙目で頬を膨らせている。手が早いっか、確かに、そう言われると口より先に手が出るダメな癖があるのは重々に承知してる。反省しますぅ。

「ふぅ、まぁ私も非があるのは認めるよ、でもさーここって基本的にスタッフ女性が多いから、気にしないかなってさー」お尻に回復の術式を使いながら文句を言ってる。
服装を正している間、ぶつぶつと文句を仰っておられますが、姫も非があるのは確かだからね?配慮が足りないの!

お互い準備も出来たので更衣室から出るとばったりとNo3に出くわす・・・・いるじゃん男・・・・ばっと姫の方をみると視線をそらしてふけていない口笛で誤魔化してる!!

「ぉっと、失礼、ぇっと・・・ぁ!団長でしたか!先ほどの術式お見事でした!感服いたします!!」
No3も私だと気が付くのに少し時間が掛かってる、やっぱり、全身火傷だとわかりづらよね、ってか、先ほどの術式みてたんかい!見学者いたんかい!!集中しすぎていて気が付かなった…迂闊…

「てっきりもう移動されたと思っていました、まだ、全身を集中治療室用の服をお着れになられていらっしゃるとは露にも思わず、完全に団長ではないと先入観によって思考が遅れてしまい団長であると気が付かず申し訳ありませんでした。いや~一瞬何処かの御令嬢かと思ってわかりませんでしたよ。」
相変わらず、口がよく回る回る、まったく二枚舌、三枚舌だなぁ。誰にでもそうやってご機嫌取りしてるんでしょー?

「ごめんねー私達ちょっと用事があるから~、あ!それと集中治療室ちょっと使うから誰にも入らない様に見学者ルームも閉めといてね!」姫様が私の左腕をひっぱってスタスタと歩いていく、姫様もNo3の話が長いうえに回りくどいのを知ってるので逃げるように離れていく。

「あっぶねー、アレがいたのかーごめんねー?知ってたらきちんと服装正してから連れて行ってあげたよー?」
そうだね、そうだよねー!昔にNo3だけが私の事を性的な目でガッツリ(お風呂場含め、着替え含めガン見してくることに気が付いている、流石に全力で見られると恥ずかしい)見てくることを姫様に相談して、ちょっと苦手なの知ってるから助かります。


二人だけでささっと、誰かに覗かれないように培養液が入った瓶の中にお尻と腰とお腹の皮膚を深めに四角に切って入れる、当然、麻酔はしてあるので、めちゃくちゃ痛いわけじゃない感覚的に料理の時に包丁で切るくらいの感覚、大きさも小指サイズだから、そこまで大きくない。

「これで問題なし!培養した皮膚を更に培養して倍々に増やしてあげるぜ!!メイドちゃんこれ、培養班に渡しといて!」
切られたところを回復術式で回復していると培養液を待機していたメイドちゃんに渡していた、メイドちゃんいたの!?全然気が付かなかったんだけど!?しかもちゃんと集中治療室用の服装きてる!偉い!

ってか、姫ってここに居ていいのかな?解析班で敵の対処方法考えてないといけないんじゃないの?

ニカっと全力の笑顔で「さてっと、着替えてお猿さんでもぶっ殺しにいきますか!」
そんなひとっぷろあびるかぁ!みたいなテンションで言わないでよ、強敵だよ?

「でぇじょうぶだ!もう、解析は終わってるし、対策準備も進めてもらってる、準備が終わるまで待ってるだけだったから、そしたら団長がやるっていうから手伝いにきたのさ!」
さらっとこれまでの経緯を教えてくれる。相変わらず人の心が読めるのかなって思う。頼りになるなぁ、このお姉ちゃんは…
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