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とある人物達が歩んできた道 ~ 解体作業 ~

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部屋に戻ってきたら、姫ちゃんは疲れたみたいで、日課の訓練をするよりも、真っ先に真っすぐベッドにダイブしたと思ったらすぐに眠りについた。
昨日の、疲れを引きずっているのかもしれないわね、お風呂を入れているときに感じている彼女の体、筋肉の付き具合といい、どうみても温室育ちな感じだもの、きっと、お父様もお母様もこの子の体を運命を憂いて、外に出さなかったのかもしれないわね。

まぁ、過保護にしたくなる気持ちは、痛いほどわかるわよ?私も幼少期のころに、お母様に、素直になってもっともっと、甘えていたら、姫ちゃんみたいに甘えさせてもらえたのかしら?抱きしめてもらえたのかしら?抱っこをしてもらえたのかしら?…お父様に会いたいと言えば、好きな時に会えたのかしら?

幼い時の私と、姫ちゃんをつい比べてしまう。

誰かに甘える、それを素直に実行できて、それを恥だと思わない、だからこそ、甘えて欲しい人からしたら、あんな風に甘えられてしまったら、溺愛していまいそうになるわよね。

本当に不思議な人、ほんとうに…
思い返すだけで、この子が周りに与えた影響は、ほんの、ほんの一か月と少ししか経過していないのに、いろんな変化が生まれているのだと感じている。

本当に、不思議よね、今までは生きることが、必死で必死過ぎて、趣味なんて考えても、思いついても、してみたいと感じていても、それに手を付けれるような程、心に余裕がなかった。

なのに、姫ちゃんがきてから皆の意識が変わってきたのかもしれないわね。

だって、姫ちゃんが作るもの、することが、凄すぎるのよね。
だってね?私達が苦悩して何度も何度も頑張っても、ここまでの富を得ることはできなかった、それを軽々と超えていくし、王族からも感謝される。
何年も、この街で闘い続けてきたというのに、一度も、そう、本当に多くの命を散らしてきたというのに、王族から街を守ってくれてありがとうとか、そういう感謝状すら頂いたことが無いのよね。
過去の偉人達も驚いているでしょうね、この街に王族直筆の感謝状が贈られるなんてね。

それだけじゃない、この街にいる全員が死ぬ覚悟を決めたというのに、誰一人として死者を出さずに、二歩足を倒しちゃうのよ?
この結果にきっと、今まで感じたことがない程の安心感を得た。
その結果、心に生きる以外を考えてもいいのだと、心にゆとりっていうのかしら?余裕とは、また違うような、心が落ち着く、うん、そんな感覚ね。
だからこそ、誰かの為にしてあげたいとか、昔、何かの都合で出来なかったことをしてみたいとか思えるようになったのかもしれないわね。

そんな存在が短命なんて許せる?許せるわけないじゃない…

この子は生きるべきよ、この子こそ、全ての民を導き、救い、明日へと繋げてくれる夜空に見上げると私達を照らしてくれる、月は始祖様と結びつているから、駄目ね、そうね。希望の星、うん、星が一番しっくりとくるわね、希望の星となる存在になるわ。

私達が絶望し、絶命する、その瀬戸際に天から遣わされた始祖様の様に、この子は伝説となる。
そう感じさせてくれる…

ベッドに腰をかけて、気持ちよさそうに寝ている、時の人になるであろう人物の頭を撫でる。
12歳に背負わせてはいけない、それ程までに重い枷を重りを、つい、背負わせてしまいそうになる。

縋りたくもなるわよ、私達が何年も研究していても気が付かなったことに直ぐに気が付くし、始祖様から託された数々の秘術、歴代に渡る、命のバトン、寵愛の巫女が残した、地球という私達とは違う世界からの知識、それら全てを応用し、理解し、惜しむことなく披露してくれる。

その姿に、この絶望しかない世界に希望を見せてくれる、そんな人物が自信満々に、屈託のない笑顔で「任せて!」なんて、言われてみてごらんなさい?

心から縋りたくなってしまうのよ?12歳という少女に助けを乞う、乞うてしまうのよ。

情けないという人もいるでしょうけれど、それは、この子を知らないから言える言葉なのよ、この子と共に歩めば、それがどんなに希望の言葉なのかと、感じるでしょうね。
嗚呼、母親として、いけない考えを抱いてしまう。

この子こそが、王に成るべきだと、世界を統べるべきなのだと、抱いてはいけない願いを抱いてしまう。
そんな愚かな考えは抱いてはいけないわ、王族の人達の残虐性、残酷性、裏の顔を知ってしまった以上、姫ちゃんをあれにぶつけるなんて愚かな行為はしてはいけない、きっと、死の50年で起きた悲劇もこの感情が、悲劇をもたらしたのだと、痛感するわね。

始祖様から頂いた始祖様のような超常なる力を持った子供を産んでしまったら、そりゃねぇ?天を、大地を、全て欲してしまうものよ、野心が生まれるのは、当然じゃない?

その教訓がある限り、王族の裏の顔を知っている限り、私は姫ちゃんをそんな道具の様に扱いたくない、この子には道具ではなく、人として人生を歩んで欲しい、寵愛の巫女が周りから道具の様に扱われていた、そんな人生をこの子には歩んでほしくない、好きなように生きて、人として生きて、女性として恋に恋い焦がれて、愛を知って、親の心を学び、自分が最後だと言わないで次の世代へとバトンを渡してほしいわね。

貴女には一人の女性として、生涯を、人生を歩んで欲しい…

気持ちよさそうに寝ている姫ちゃんのほっぺに軽くキスをしてから、魔力回復促進剤を二本開けて一気に飲み干し、日課を行う。

不思議と今日はいつもと違って心穏やかに、集中できる、今までこんなにも心穏やかに、何も考えず、何も感じずに、魔力を練るという行為が出来ただろうか?
それ程までに、今、この瞬間、私の心は、満たされている。

きしさま が そばに いないのに? だー りん を わす れる な

忘れないわよ、忘れる事なんて無いわ、安心しなさい、騎士様は何時だって私達の傍にいるわよ…
ネックレスについている騎士様の遺品が私達に語り掛けてくれるかのように、肌を通して感じる。
そうよ、何時だって、私達の心は騎士様と共にあるのよ。愛しています、騎士様…


日課を終えた後は、軽く姫ちゃんに魔力を注いだ後、一緒にベッドで横になると、一瞬だけ、姫ちゃんが目を開けてこちらを見たと思ったら、手を伸ばしてくる。
それに応えるように抱きしめると、おでこをぐりぐりと擦り付けるように甘えてくるので、頭を撫でて背中をぽんぽんっとリズムよく叩いてあげると小さな声で
大好きっと聞こえたと思ったら寝息が聞こえてくる。

この子は本当に甘えん坊ね、誰かに巻き付いて寝るのが本当に好きなのね、今は良いけれど、大人になってもこうだと、相手の人が困るわよ?
ちゃんと、巻き付いても怒らな人を選ぶのよ?

抱き着く様にお互いを抱きしめあいながら眠りにつく…誰かと一緒に寝れるのが、こんなにもあたたかな気持ちに、しあわせな気持ちになるなんて、ね。
もっと、早くから、もっともっと、前から知りたかったわね…

私も大好きよ、お休みなさい。


ぱちっと目が覚める、上半身を起こすと、いつも通りの時間、よりも少し早いわね。
寝ている姫ちゃんを起こさないようにゆっくりとベッドから降りる。
っふ、それにしても慣れたものよね、毎朝、起きると姫ちゃんが私に巻き付いているものだから起きるのも一苦労だったのに、今ではさらっと抜け出ることが出来るようになったわ、それも姫ちゃんを起こさずにね!って、言いたいけれど、この子って、寝たら本当に起きないのよね?ほっといたらずっと寝てるんじゃない?ってくらい、起きないのよね。

寝れるのはいいことよね。

ぐぐっと背筋を伸ばしたり、腰に手を当てて腰を捻る、肩をぐるぐると回してみる、軽く屈伸もしてみる…うん!筋肉痛はない!快調じゃない!!

それもこれも、姫ちゃんが回復を促してくれる陣を書いてくれたからよね、あー、ほんっと、もっと前からこの陣があればよかったのになぁ~、学生の頃にさ、必死に戦闘訓練に挑んだ日々なんて、筋肉痛で毎日が悶絶物だったもの…

研究塔に顔を出すのはお昼からだし、医療班としての仕事は先輩がいるから大丈夫でっしょ!怪我人も殆ど回復しているって教えてもらっているから、仕事はなさそうですものね、午前中はどうしようかしら?つい最近まで午前中は研究があるので!って、伝えて強引に時間を作れるときは、作っていたものね。
もう、肉塊君を見ることも無いのよね~、寂しいなんて感情が湧き上がるとでも?…さみしくないわよ?

喉も乾いたので、お湯を沸かして、紅茶でも飲みましょうかね。

お湯が沸くまでの間、念入りにストレッチをして、紅茶を淹れた後は、姫ちゃんの一族である寵愛の巫女が残した未来へと繋がるであろう日誌を読んでいく。
最近は初代様の日誌も読むようにしている。物凄く古く、保存状態もギリギリって感じなので、読みながら、他の紙に書き写している。
この人の願いを後世に伝える為にも、ちゃんとね、一語一句間違えずに、書き写して残さないとね。

一度、流し読みで読ませていただきましてけれど、貴女も、いいえ、寵愛の巫女は本当に苦労なさっていたのですね…
純粋に、女性としても、母親としても、人としても尊敬しています。

カリカリとペンが紙の上で踊る音だけが、部屋の中で流れる、それが唯一の音。
時折、踊るのをやめた時は、休憩の合図、そっと、紅茶を一口、含み喉を潤わしたあとは、ペンという踊り手を紙の上に立たせて、また、舞ってもらう。
綴る思いを乗せて、紙の上で舞ってもらう、伝えたい気持ち、感じて欲しい願いを、込めて、踊ってもらう…

数ページ書き綴って、ペンを置いて背筋を伸ばすと、いつの間にか姫ちゃんも起きてぼーっと、寝癖も直さずに隣に立っていたので、椅子をすこし引いて、膝の上をぽんぽんと叩くと寝ぼけながら私の膝の上に座り、私に全体重を預けてくるので、姫ちゃんのお腹あたりに両手を添えて倒れないように支えてあげる。

ゆったりとしたときの流れを感じながら、朝日を背中で感じながら過ごしていく。
永遠とこんな日々が続いたらいいのにと願ってしまう。

長い長い、永遠と思えるような、心が落ち着く、至福だと感じ取れるようなそんな、小さくもささやかな幸せを肌でこころで、感じていると
「これ、私、写してるから、綺麗に写本しなくてもいいよ?」
あら、完全に目を覚ましたのね、どうやら、目の前にある初代様の日誌を書き写しているのを見たのね、そうね
「別にいいのよ、私が綺麗に書いて残したいと感じたから書いているだけよ」
抱きしめている姫ちゃんのお腹をぽんぽんっと叩くと
「…初代様の本ってこれ、一冊だけじゃないよ?たぶん、後から送られてきた私の大量の荷物にまだまだあるよ?分厚さも同じくらいの本が…たぶん、あと5冊は軽く超えてたと思うよ?」
…考えなおしてもいいかしら?

どうやら、姫ちゃん的に、お気に入りというか、予め厳選してあるやつを見せてくれたみたいで、完全に日記となっている本もある、なるほど、ね?
今まで読んだ内容はけっこう、日記みたいな感じもしたし、日誌の様な感じも伝わってきたし、術式に触れている部分もあるから…ああそうか、術式に関係する何かが書かれているから厳選していたってことかしら?
なるほどねぇ、何かこう、大事なことが書いてあるけれど、前後の情報が無いから、想像の域を超えれない部分がある内容もあったのよね。

…そうなると、あれ?もしかしなくても凄く量が多い?…400年分の日記、いや、そうじゃない、寵愛の巫女、その一族全員が残した、人生で感じた全てが書かれているものがあるとしたら…それを読むだけで何年かかるのかしら?

「ね?お母さんも感じたでしょ?だから、私が流し読みでこれは、何か関連ありそう、これは、面白い考え、これは・・・」
姫ちゃんがどうして厳選したのかという、理由を添えて教えてくれるけれど、姫ちゃんの興味がない内容でも、こちらとしては興味のある内容がふんだんに盛り込まれているから、ちょっとした歴史書よりも、その時代を歩んできた人の手記として非常に貴重な資料なのよね。
うん、幾ら時間が掛かってもいいから写本して、少しでも数を増やして多くを残さないといけないわね。

歴史的価値という学術的な部分として貴重であると伝えると
「なら、まんま同じような本があればいいってことだよね?それならさ、王都で本を生産している、それを生業にしている本職の人に頼んだら?」
そうね、それが一番いいのかもしれないわね。
でもね、それを仕事にしている人達って、どんな風に本を作っているか知っているのかしら?彼らも、私と同じで、基本的に写本なのよ。
だから、絵本とか童話の本って、実はすっごい高価なのよ?その手の職人さんが何度も何度も同じ絵を描いて製本して売りに出すから、私達が絵本を売った時も生産力の部分と価格的な部分で想像していた以上に売れ行きがあがらなかった、もっともっと売れて欲しかった、けれど、絵本とかそういう類の本が貴族たちに需要が高いって知らなかったからこそ、功を奏したのよね。貴族の人達が買いあさってくれて助かったわ。

それで、今回の件で一番のネックが写本っていう部分なのよ、絶対に、内容を見られてしまうわけじゃない?…
なんて説明すればいいのよ、ここに書かれている内容なんて、見る人がみたら、知られてはいけない歴史が盛りだくさんだから、知ってしまったら、下民なんて、問答無用で暗殺されるか、適当に不敬罪を押し付けられて殺されるわよ?

その事を伝えると
「まっさかー、誰かの日記を写本してもらうだけで人が死ぬわけ…ぇ?本当の本当に?…なんで?」
くすくすと笑って返答していたが抱きしめている私の力が自然と強くなってしまったのを感じて、本気で危ない内容が含まれているのだと感じていたみたいで、どこの部分が危険なのか知りたいみたいなので、現状、私が知りうる限りの、知ってしまうと、命が狙われる内容を伝える。

「…これ、燃やした方がいい?」
危険を感じたみたいで、極論を述べてくる。
その考えは正しいわよ?危険なものは遠ざけるのが一番確実、今のうちに燃やしてしまえば安全になるでしょう、でも、それは、絶対にしてはいけない、ここまで貴重な資料は絶対に燃やしてはいけない、学術的な価値は勿論だけど、浮かばれないじゃない、この日記に書かれている部分の多くが、明日を憂いて、一族の悲しさを背負って、それでも懸命に生きて明日へのバトンとして子を生して、育て、愛を育み、誰よりもこの大地を、人類に平穏を祈ってきた一族の祈りを…燃やすなんてしてはいけない。

「…わかった、それじゃ、お母さんが残して置きたい部分をまとめてほしいの、その、歴史的な部分?とか、命を狙われる危険がある部分とかあれば、教えて?その部分だけ抜粋して違う本としてまとめてしまえば、ただの日記になるよね?」
そうね、それもそうね、でも、ばらすのは良くないから、写本した部分でまとめましょう。
姫ちゃんからの提案は本当に合理的というか効率的というか、感情よりも成果を優先する癖がありそうね。

二人でこの歴史書をどの様に扱うのか話し合って決めた。
時間がある時にお互い読みながら写本して、気になる部分をピックアップして製本していきましょう。

因みに姫ちゃんも写本はある程度しているみたいっというか、本当に気になった部分だけ書き写したって程度なのね。
初代様の本が一番、状態が良くないから早めにしないといけないわね、この人は400年前、それよりも前の事も描かれているし、始祖様の成り染とか、始祖様と過ごした日々も書かれていて、本当に貴重な内容なのよね。

これを読めば読むほど、始祖様が思慮深く、人に対して真摯に向き合う素晴らしい人格者だって知れたもの、英雄譚で毒された私の偏見的なイメージが払拭されたわ。

午前中は二人で写本して、お腹がお昼を知らせてくれたので、二人でネグリジェから着替えて、作業着に着替えてから、お昼ご飯を食べるのだけれど、食事をしながら、あれをどの様に解体して、どのような実験をするのか話し合う。
近くにいた人たちがすっと席を離れるのは当然よね、スプラッタ過ぎる内容だものね、食事の席でする内容じゃ~ないわね…

研究塔に入る前に研究塔の人から着替えるようにと更衣室へ案内される。
あれらの体液が地肌につかないために、防護服という名の作業着を、今着ている服の上から着こんでから、宙づりになっているアレの元へ向かうようにと言われたので、着替えるのだけれど。
昨日はこんな厳重な作業着を着なかったのに、今日はどうしてまた?っと確認したら、あれの体液が肌に良くないと研究塔の皆が気が付いたみたいなので、急遽用意したと教えてくれたわ、確かに、肌を溶かす成分が含まれている液体と知ってしまったからには、注意しないといけないわね。

逆さづりにしてあるアレを下ろしてから、奥様と相談してばらしていく。
ばらして構造を見ると、本当にこれが生物なのか疑ってしまうわね…確かに歯とか胃とかあるわよ?でもね、大きさで言えば人の頭?いや、もっと大きいわね、巨大なサイズの魔石がお腹から出てくるのよ?腸とか圧迫しても関係なし、っていうか、腸ってこれ、機能しているの?ってくらい、細い、中を開けてみても分泌液らしきものがない?考えれることは吸収する機能を持ち合わせていない?なら、何のためにあるのよ?

こいつら、食べることは食べるが消化するだけで、吸収しないってわけね、なら、どうして食べることが前提の構造をしているの?どうして、必要のない行為が出来るようにしてあるの?…あー私達に嫌がらせするためって言われたら納得できるかも、人って言うか生命全てが持つ、根幹の恐怖

食べられてしまう

っという、恐怖ね、それを見せしめというか見せつける為の食事を、食べるという行為が出来るのだと見せる為、だけの構造っぽくない?
だとしたら、悪意たっぷりね、こいつらって…

肺も心臓もある、ってことは、呼吸は必要ってことは間違いないってことね。呼吸をする必要が無ければ、要らないものね、こんな場所を取るようなもの人を殺すための道具だったら不必要だものね。

中を開けてみても、正直、よくわからん、推測の域をでない、見ただけではこれ以上の考察は無理ってことよね、後はどうやって、機能を調べるのかってことだけど、調べる方法がわからないのよね~…困ったものね。

これはどうなっているのか?どういう原理なのか?って気になることは山ほどあるのに、それを調べる方法がないっていうね、奥様に気になった部分を書類にまとめて提出して、後日、研究班がチームを組んでそれに取り組むって体制みたいだけど、こいつらって腐ったりしないのかしら?…生き物なら腐るわよね?

ある程度、臓器の区分けという解体作業も終わったことですし、次に手伝えることはあるのかしら?あれ?姫ちゃんは何処かしら?

そういえば、姫ちゃんが見当たらないわね。
何処に居るのか見渡してみるけれど、あの子って小さいから目を離すと本当に見つけにくいから、取り合えず人だかりのいる場所に行けばいるわよね、ちょうど人の輪が出来てる場所があるから行ってみましょう。

人の輪が出来ている場所に近づき、集まる人の間から、中央を見てみると、やっぱり中心に居るわね。

何をしているのか背伸びをしてみてみると、自然とうわぁっという声が漏れ出てしまう。
姫ちゃんてグロテスクとか、気持ちが悪いとか、そういう感情が欠落しているのかしら?

姫ちゃんの目の前にあるのは敵の頭、頭蓋骨を切って脳みそが露出している、その露出した脳みそをいじっているわね…何をしているのかよく見ると、容赦なく手を突っ込んでいるわねって思ったら、ずるっと右半分を取り出して、机の上に置いて、刃物で解体していくなんて、普通の、貴族であろうと平民であろうと、12歳が平然とこなせる作業じゃなわよ?絶叫もので、恐れ、おののいて、あんな無邪気な笑顔で、出来る内容じゃないわよ?

研究所チーム一丸となって脳をいじくりまわしながらあーだこーだと話し合っているけれど、ちょっと内容が付いて行けないわね。

作業着を脱いで、外にある椅子に座って一息入れようかしら。

椅子にドカっと座って、暑苦しい作業着から熱を逃がす為に胸元とかのボタンをはずして、少しだけ開けると、汗のにおいが昇ってくるのと同時に涼しい風が吹くので心地よく感じていると、遠くの場所から名前を呼ばれたような気がしたので何処だろうと探していると、物陰から手を振る人がいた、手の大きさからして男性ね、誰よ?
どなたー?何用かしら?っと手に向かって叫ぶと
「胸元を隠してください!!近寄れないです!!」聞き覚えのある声ね、坊やじゃないの…ぁ、そういうことね、椅子に座っている人が見えたので、誰だろうと気になって、近くに行くと胸元を開けている私がいたから、声を掛けようと思ったけれど、声を掛けてもいいのかわからない状態だから、物陰に隠れて声を掛けてきたってわけね。

っていうか、そうなると、そうなるわよね?
あんた、私の胸を真っ先に見たことになるわよね?
胸を見たからこそ、声を掛けづらくなってしまったってことじゃない?

胸意外に視線や意識が向いていれば、まずは胸を見ないで、私に声を掛けてから、その後に胸元が開けているって気が付いて物陰に隠れるからね?
確かに?今の私は汗をかいて作業着の中に来ていた服が汗で透けているから?
ブラも何もかもが透けて見えている状態よ?そりゃ、男だったら真っ先に胸を見るわね…開け過ぎたかしら?

っふ、坊やは本当に、言葉に出さないだけでエロに貪欲ね。

乙女ちゃんに怒られるのは裂けたいので、胸元をしっかりと隠してから「いいわよ~」っと、坊やの方に声をかけると
溜息をつきながらこっちに向かってくる。

「何よ、私の立派な麗しい部位を見て溜息つくのは失礼じゃない?〇〇〇でもしたの?」
その発言に顔を一気に真っ赤にさせ「しゅ、淑女が何をいうんですか!!」っと言いながらも少し前かがみになる辺り正直なやつね。

うーん、坊やも若いから、性欲とか、大変でしょうね、今までそういった話題とか、皆がどの様に解消しているのかなんて、気にも留めていなかったけれど、どうしているのかしらね?…女性である私が聞き出せる内容じゃないから絶対に聞かないけどね
「坊や、滾ったときにどうしているの?」「淑女がする会話の内容じゃないですよね!?」
っは!?好奇心の余り言葉が漏れてしまったわ、まぁ、坊やだしいいでしょ、私からすると坊やって弟みたいにさ、身近な年下の男の子って、感じる部分があるのよね、絶対に男として見れないっていう部分があるからかしら?

だからついつい、後先考えずに言葉が、失言が漏れちゃうのよねぇ…乙女ちゃんが居たら確実に刺される内容よね?
「噂で聞いたけど、馬車で半日だったかしら?離れた街には色街があるって聞いたわよ」「その話、詳しく教えてください」
食い気味に来るじゃないの、仕方がないわねぇ、私も詳しくは知らないからね?話のタネで聞いただけだからね?
王都から来た兵士さんたちから聞いた話を、そのまま教えてあげると興奮気味にメモしているけれど、あなた、紙とペンを持ち歩いているの?っと、見てみたら、ボロボロの布の上に、親指の皮膚を切って、そこから出てくる血を、その場で切った爪の先端に付けて書いているじゃない…どこまで、いったい、貴方に何をもってそこまでの執念を抱かせるの!?

指を切るのも躊躇わないし、その血を使って文字を書くなんて発想すぐに思い浮かばないし、実行も出来ないわよ!!

私からの情報を物凄く満足そうな顔でメモした布を丁寧に畳んでポケットに入れる辺り、こいつ、筋金入りのエロスの権化に育ちそうな予感がするわね。
ごめんなさいね、乙女ちゃん、次、こいつと会って夜になったときに、あっちの方でもベテランになっていたら…ごめんなさいね、浮気を疑ってはいけないわよ?ちょっと経験豊富なお姉さま達に、おひねりを片手に、夜の訓練といいますか、ね?手ほどきを受けに行っただけだからね?この街で新しい恋によって本気になって致したわけじゃないからね?…嫉妬深くて、独占欲の強い乙女ちゃんからすれば…夜のお店に行くことすらキレてしまいそうな気がするわね…

うん、乙女ちゃんに会ったら逃げよう!私も刺されかねないわね!得意とする剣で!!

口は災いの元…ってことね。




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