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希望の光 ①

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昏睡患者生還術式について記載していく

第一回 脳細胞検査
術者:医療班団長
助手:医療班No2

浸透水式を用いて、脳細胞へと向かって潜っていき、先の事件によって昏睡状態へと陥ってしまった患者の脳細胞や脳神経の状態を把握するために開始された
現状、この最前線の街において、この二人を除いてそれ以上の技術者は居ない、誰しもが見守り期待される中、術式は開始される。

検査結果:失敗

検査段階にて、失敗となる
失敗となってしまった原因を究明する、判明した失敗要因は、従者の技量不足と判断するのが妥当だろうか?
浸透水式が生まれてから、数多くの練習においても、脳細胞へのダイブは、誰も成し遂げたことが無く非常に危険極まりない難易度の為、技量不足となるのは致し方ない部分もある。

中止した理由:術者と患者の精神の融合が発生しかけたため中止とする。
過去に、浸透水式を練習している際に発生した事故を鑑みてこれ以上は危険と判断し中止とした。

過去に起きた事例として、ここにも記載する
施術者Aが患者Bの神経細胞にアクセスした際に患者の脳細胞へと触れてしまい、患者Bの記憶が施術者Aに向かって大量に流れ込み、施術者Aの記憶が混濁する。

自分が誰なのか、相手が誰なのかわからなくなり。

急遽、助手の手によって術式を中断したが、精神と記憶が混同し、患者Bの中にも施術者Aの記憶が混同されてしまい、暫くの間、患者Bは自身の事をAと名乗っていた。
また、施術者Aは一か月の間、誰とも会話ができず、そのまま衰弱死してしまった。
施術者Aが衰弱死したのち、患者Bの精神も異常をきたし、帰らぬ人となってしまった。

先の事例を鑑みて、術者と患者を守るために術式を中止した
その際に得られた情報は何もなく今回は完全なる失敗となった。


第二回 脳を除く全身検査
術者:医療班団長
助手:医療班No2

前回、検査段階で失敗に終わってしまい、前回に予定していた内臓の検査を主目的として実施する

昏睡状態である患者の内臓状態を把握するために詳しく検査を行う必要性がある
理由としては、患者は、昏睡状態になる前に自身の体に対して危険な行為をしていた疑いがあるのでこの機会に把握しておく必要性がある為
前回の失敗を踏まえ患者と術者を明確に分け隔てる感覚を身に着ける為と、今後、昏睡状態の患者に対してどの様に今後の治療を施していくのかの確認を含め実施。

検査結果:腎臓右片方消失 卵巣消失 子宮消失

神経や血管、筋肉の状態を検査しようとしたが術者と患者の同調が激しく、精神の同調が始まりを見せたので中止とする。


第三回 培養臓器移植
術者:医療班団長
助手:医療班No2

患者の細胞から腎臓・卵巣・子宮を培養し血管神経を繋げる術式を開始する。
術式は問題なく終わらせることが出来たが、術後直ぐに拒絶反応が発生し、培養し移植した臓器が機能することなく腐り果てようとしたため
再度、術式を開始し、移植した培養臓器を摘出
度重なる術者と患者による接触により精神の同調が見られるので術式は急遽中止となる

かねてよりの研究によりとある条件下での臓器消失に置いて失われてしまった臓器は培養したとしても定着しないという説はこれにて立証された

記録担当:医療班No2

筆をおいて、記録をカルテ棚にいれる

…こんなもんかしらね、正直、焦りも、あって結果は芳しくないし、お互いの状態も芳しくない。
現状を甘く見ていたわけじゃない、見通しが甘かったわけでもない、自信はあった、救えると思っていた…なのに。
握りしめた拳を自分の太ももに大きく叩きつける、痛みによってこれが現実なのだと感じる、夢でも幻でもなく、受け入れがたい現実なのであると

…こんなことをしたって、誰も救われない、救えない現実を受け入れたくないだけなのは確かね…

まさか、ここまで難しいとは思ってもいなかった。

予想できていた部分は概ね予想通りだった。もしもという希望で実施したが、予想以上の拒絶反応だったわね。
臓器が定着しないという情報の大元は、未来姫ちゃんである。

未来姫ちゃんが用意していた情報に誤りがある可能性に賭けたかった、未来姫ちゃんよりも私達は先へと進んでいると思いたかった。
姫ちゃんが失った可能性を失わせたままにしたくなかった…子供を宿せない体になっているなんて信じ切れなかった。一つの可能性を完全に閉ざしたくなかった。

だから、何としても魔力へと昇華してしまった臓器を復元してあげたかった、此方の持ちうる最大の技術を使って培養したとしても…適合しない、しなかった。
体が昇華した部位を、完全なる死へと至った細胞だと認識してしまっているからと記載されていたが本当だったわね…

同じ細胞、同じ臓器だとしても拒絶を起こし適合しない。中で朽ち果てて他の臓器を汚染しかねなかった…


脳細胞の大きな問題は、姫ちゃんの体が、普通じゃない、年齢以上の経験が蓄積されている…特殊過ぎるという事ね。
恐らく、姫ちゃん以外の患者であれば脳細胞へとダイブ出来る自信もあるし同調現象も発生しないと思っていた、姫ちゃんと団長は長い時間を共に過ごしている唯一無二の友人だからこそ、同調現象を警戒していたけれど…ここまで酷いとは想像を超えていた。

正直、私と彼女…団長であれば多少の同調現象すら乗り越えて、辿り着けると思っていた!不可能だとは思っていなかった!

脳細胞であれ、脳神経であれ、脳幹であれ、どの様な場所でも潜り切れると思っていた。
だが、姫ちゃんは…普通の人とは比べ物にならない程の経験を積んでいる、いや、融合しているせいなのだろう…
彼女が保有する情報量が途方もなく膨大で、私も知らない情報が漂っているの、だろう、直接経験したわけじゃないから憶測の域は出ないけれど、考えられる要因はそこだと思われるし、それ以外ありえないと思う。

それに…膨大な情報、経験が重すぎて…友人である団長の心が耐え切れなかった…

姫ちゃんが経験してきた、いいえ、未来姫ちゃん達が苦しみぬいて死んでいった姿を見てしまったのだろう、我が事のように経験してしまったのだろう…絶望の声を叫びながら今も隣の部屋で叫びながら震えている…

悔しいけれど、彼女を支えれる人物は私じゃない、私と彼女は…そこまで親密な関係を築いてこれなかった…

度重なる浸透水式によって、姫ちゃんと団長の肉体と精神は繋がりかけている…
これ以上、メインを団長に任せるべきではないのだろうけれど、私がメインではそこまで深く潜れない、悔しいけれど…私の技術力では届かない!

胸を叩く!頭を叩く!私の中に居た魂を叩き起こす様に自分の体を傷つける

姪の、愛する娘を、救いたいと思わないの?ねぇ!?どうして、どうして肝心なときに貴女はいないの!!寵愛の加護を受けついで、きたのでしょう!?最後の…さいごの…さいごくらいたすけてよ…

私よりも、貴女の方が術式については先をいっていたじゃない…前を歩んでいたじゃないのよ…
痛みによって涙が溢れ出てくる、とめどなく溢れ出てくる、拭う事を忘れてしまう

頬を叩いて自分の体に熱を与える
こんなところで挫けてはいけない!心を奮い立たせるのよ!もういやよ!愛する人が、あいするひとがわたしよりもさきにたびだつなんて!!
立ち上がり、あと、どれくらい材料が残っているのか確認をする…

浸透水式を行う為の材料は後2回分しかない…

急いで錬成してもらおうにも…貴重な材料が必要なため、直ぐに手に入りはしない。手に入ったとしても錬成に時間が必要…
それだけじゃない、敵の進攻を考えないといけない…少しずつ、少しずつ敵との衝突が激しくなってきているという報告は受けている。

全てにおいて時間が無い、出来たとしても後2回!あと、2回が限度…それまでに姫ちゃんを目覚めさせることが出来なかったら…
姫ちゃんはもう…あきらめないといけなくなる

諦めるという言葉に目の前が真っ暗になる、真っ白な世界が闇に落ちる…視界は闇に落ちていても、残された希望の光は一つだけならある

そうな、なってしまうと…


希望は私の子供だけとなる…


あの子が、闘えるほどまでに成長する…それまで、どうにかして敵に見つからずに逃げ生き延びるしかないってことになるのね。

それを選択するとなると、今すぐにでもこの街から離れないといけない、いけないのだが…私の心はその考えを拒絶する

…いやよ、ハナレタクナイ はなれたくない 離れたくないの、私も私も!最後までここで、ここでみんなと一緒に闘いたい、傷つくのはわかっている!悲しい思いをするのもわかっている!あの日、愛する人の息子が大きく傷ついたのを見て、あの日がフラッシュバックして心穏やかになれなくて日に日に憔悴していくのを見かねた姫ちゃんが強引にこの街から遠ざけるようにしたけれど!

離れてみてわかったのよ…私の知らない所で皆が死んでいくのは耐えれられない、出来ることがあるのにしないのは耐えられない…最後の局面ぐらい一緒に居たい。

でも、人類の未来を…生存を、救済を、考えれば、最後の望みを育てる為にも逃げないといけないのは頭では理解していても心が納得できない。

一筋の光を求めるように思考を巡らせていると

ふと、脳裏によぎる一つの姿…
私に未来を与えてくれた竜…あれがきっかけだとは解っている、アレ以降、確実に私の何かが変化したと感じている。
それが、もしかしたら、未来からの情報を受け取っただけなのかもしれない、でも、私は王都から竜の姿を見た…ドラゴンの姿を見た…
時の狭間に私達を救おうと何かしらの力が働いているのではないかって考えたこともある。
始祖様がこの大地に降り立ったように、何かが、私達が知りようのない何かが人類を守ろうと必死になっているのではないかって希望も抱いていた

だけど、アレ以降…何も変化はない、私自身に大きな変化も無い、姫ちゃんにも変化はない、団長にも…

もしかしたら、アレが最後の抵抗だったのかもしれない、それに、団長からの報告を聞く限り…
姫ちゃんの体にはもう、始祖様から授けてもらった加護は…残されていないと思う

だから?だから、もう、何も起きないって事?奇跡は願っているだけではダメだということ?…逃げるしか、人類が生存する道は無いという事を姫ちゃんはこうなることを知っていたのかしら?だから、私に…託したの?人類の希望を?

全てを救おうと奮闘し続けてきた希望の光…消えてしまいそうな光。
奇跡を願う様に縋りたくなるように部屋を出て消えてしまいそうな希望の光が寝ているベッドに向かって歩いていく…
ベッドの上で寝ている消えてしまいそうな光は、私達が来る日に備えて作り上げた魔道具に囲まれている、生命を維持するための魔道具によって消えてしまいそうな光は限界まで光が消えないように繋ぎ止めている…

光を求めるように、真っ暗な闇の中で小さく輝いている光を求めてベッドの傍へと向かって行く

そっと冷たい手を握る…決して握り返してくれはしない
そっと冷たい頬を触る…くすぐったいと笑うことはない
そっと冷たい頭を撫でる…コロコロと笑いながら嬉しそうな笑顔をみせてくれることはない
そっと冷たい唇に触れる…何時もの様に減らず口が零れてくることはない
そっと冷たいお腹に頬をつける…小さく心臓の鼓動が聞こえる、今にも消えてしまいそうなか弱い音だけが聞こえてくる



気が付くと叫ぶように泣いてしまった



誰も私の肩を抱き寄せてくれない



心が裂けそうになる、砕け散りそうになる、もう一人の私は何も言わない、私の心が裂けるのを待っているのか…いいえ、そんなことはない、もう彼女の魂は私の中には無いのはわかっている、弱い私が縋りたくなっているだけ…

ベッドから滑り落ちるように床に膝を付け、肘を付け、限界を迎えようとしている…
やっぱり、私の心は、弱くなってしまったのでしょうね…


騎士様…どうか、どうか、私達をたすけて…
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