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とある人物達が歩んできた道 ~ 今後の予定 ~ ①

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うっぐ…なに?
どすっと重い何かが、お腹に突き刺さるような衝撃に突如襲われる、懐かしい感覚ね…
寝ぼけながらも、ゆっくりと目を開けると姫ちゃんがベッドに潜り込んできていて、昔みたいに巻き付く様に抱き着いてくる…まったく、幾つになっても甘えるのが好きね…
頭を撫でながら視線を姫ちゃんから外して壁に向ける、時計を見ると、お昼過ぎ…寝すぎたわね。

寝すぎたけれども、期限が迫っている仕事は終わらしてあるので、1日くらいゆっくりしても、問題はない…だったらもう、選択肢なんて一つよね。
こんな真昼間に珍しく甘えてくる愛娘を抱きしめ暖かい温もりを感じながら気持ちよく、二度寝する!さぁ、夢の中へと舞い戻るとしましょう。

目を閉じるとより強く温もりを感じてしまう。それだけで、頑張って仕事を終わらせたかいがあったと感じられる。
ついつい、抱き着いている姫ちゃんを強く抱きしめてしまう。久しぶりの人肌に私自身も甘えてしまいたくなるわね…
やっぱり、年齢的にとっくに巣立たないといけないとわかっていても、寂しいモノなのね。私も貴女も…

優しい温もりに包まれていると自然と夢の中へと意識が吸い込まれていく…



特に何か音がしたわけでもなく、何かに起こされるわけでもなく、自然と夢から覚める。
窓の外から心地よい風が入ってくる、日差しも柔らかそう。
気持ちの良い昼下がりになろうという時間に目を覚ます、巻き付いている姫ちゃんも気持ちよさそうに寝ている、眠気があれば三度寝も偶にはありかなって考えてしまうが、流石に…うん、三度寝は厳しいものがある、眠くないわね。

起きるとしましょう、かといって、気持ちよさそうに寝ている姫ちゃんを起こす気にはなれない
そういう時は、長い時間によって身に着けたここ以外で活躍することが無い特技、長年の経験によって会得した寝ている相手が絡みついていても問題なく起こすことなく、するっと抜け出せる特技によって、姫ちゃんを起こすことなくベッドから降りる。

っふ、この私にかかればね、巻きついている人を起こさずに綺麗に剥がすのなんてね、社交界で男を落とすように簡単よ!…落としたことないわね私…
っふ、貴族が良く使う比喩なんてね、特別な私には当てはまらないのよ…

ベッドから降りて、ぼさぼさになった頭をがしがしとかきながら、ぼりぼりとお尻をかき、給湯室へと向かって歩いていく。
給湯室にある、お湯を沸かす為にやかんに水を入れて魔道具にセットする。お湯が沸くまでの間に、喉を潤す為に何を用意するのか考える。

お湯を沸かす魔道具のすぐそばに置いてある茶葉と茶色い豆をみる…

さて、今日の気分はっと、そうね、コーヒーも…ありね。
昔だったら、白湯か紅茶の二択しか無かったけれど、今では違う。数多くの選択肢がある。姫ちゃんが頑張った成果なのは間違いない。

数年前から、姫ちゃんが大陸全土を飛び回って、そこを足掛かりにして色んなところと交易を行っており、その際に、交易で気に入った作物などがあれば、身近に手に入りやすくする為に、多額のお金をつぎ込んで栽培できるように作物や果物、趣向品用の作物、それらの種や苗木を手に入れ、現地の人から栽培方法などもレクチャーしてもらい、畜産の旦那と共に、試験的に栽培を開始したのよね。

試験的なので、最初は少量だけだけれど、実った作物などを色んな人に試食や試飲をしてもらい、多くの方から支持を得られた作物に関しては栽培方法を確立したのち、地方でも栽培できるように畜産エリアだけじゃなく、様々な領主と契約を交わして地方領主が管理している領地の一部をお借りして栽培し、王都やこの街に卸してもらっている。
っていうのも変な表現ね、卸すも何も姫ちゃんが地方の農民を雇って地方領主の許可を得て栽培してもらっているから…
納品って表現の方が正しいわね、出来た作物の一部はそのまま地方領主に納品しているから…なんかややこしいわね。

地方の人達は当然、その領地で農業を営んでいる人で手が空いている人を雇って栽培するようにしている。
栽培方法も確立してあるし、問題点も旦那と共に取り組んでいるので、地方の人達が知らない作物でも特に問題はなく順調どこから、各方面、豊作に次ぐ豊作!
これによって、この大陸全土に食物が溢れているって感じなのよね、物流も良くなっているし魔道具も発展しているから地方でしか消費されない作物も王都で消費されるから地方も潤うし、王都も食べ物が溢れることによって飢餓に悩まされる事は今後、無いでしょうね。

結果的に、ここ数年で色んな種類の作物が増えたのよね。飽食の時代が到来したってわけよ。

畜産の旦那も新しい作物に興味津々で今後も全面協力してくれるみたいだし、予算も採算度外視でつぎ込んで頑張ってもらっているから成功して当然みたいな感じだったわね。
作業効率を上げる為に姫ちゃんが管理している農場はお手製の魔道具が豊富だから、作業員も楽に作業が出来ているみたい。
姫ちゃんが言うには、こういった農業が各地で生まれることによって仕事が無い人の新しい受け皿として機能している。
王都で働き口が見当たらない人が居れば声を掛けて働く意思があるのか確認してもらってから、畜産の旦那の所で修業して、地方で開拓開墾を頑張ってもらうって流れみたいね。

作物の種類も豊富だから、自分が好きな作物に関わっていきたいっという我儘にも対応できているみたいね。

そして、その数多くある作物の一つとして、飲む趣向品!
手元にある、この豆みたいな物、砕いたりと様々な工程を経ることによってコーヒーって飲み物になるのよ…

葉っぱからじゃなく種みたいに見えるものから飲み物が出来るの、不思議よね?

ふっふっふ、実は、私もコーヒーっていう飲み物があることは、知ってはいたのよ?一昔は、滅多に手に入らないし、美味しくないって飲んだ人が言っていたのよね…
今にして思えば、保存状態が良くなかったのかもしれないし、淹れ方が悪いのかもしれない、その時に聞かされた噂だと、ちょっと癖のあるえぐみがあって飲む人を選ぶ飲み物って聞いていたのよね。

でもね、今、手元にあるこれはそうじゃないのよ。美味しいのよ!

品種改良されたからなのか、それとも、噂に尾ひれがついていただけなのか、飲んだ人の趣味に合わなかっただけなのか、偶々飲んだ時が淹れ方を間違えていたのか…
原因は知らないけれど、このコーヒーは、えぐみもなく、飲みやすいし、何よりも、この苦みがいいのよ、薫りもね…うん、素晴らしい。

医療班の皆も当然、試飲していてね、この苦みが目を覚ましてくれるってことで先輩がすっごく気に入っちゃったのよね。
それを聞いた姫ちゃんが、色々とお世話になっている先輩の為に目を輝かして「先輩の為に大量に栽培するか!」その一声で、畜産エリアの主を強引に説得してコーヒーを全力で栽培し始めたんだけど…

想定以上に、大量に!栽培しちゃったものだから、先輩だけでというか、この街だけで消費するには量が多すぎる!
ってことで、王都に安値で大量に卸しちゃったのよね。

結果的に、王都どころか、地方に迄、コーヒーが大流行しちゃってるみたい。
大量に生産できちゃったから、薄利多売を貫いて庶民でも紅茶よりも安く手に入るってことで大人気になったのよね。
安いから妥協して飲むってわけじゃなく、純粋に一度飲んで虜になった人が多いっていう味の良さ、品質の良さ、それのおかげもありリピーターが続出って感じね、過去の人を選ぶ飲み物っていう印象は一瞬で払拭されたわね。この街も早く長年根付いた負の印象を払拭できればいいんだけれどね…

っま、そんなわけで、年々、売り上げがぐんぐん右肩上がりで旦那さんもニッコニコだったわね…

苗木を大量に購入した時はどうなることかと思ったけれど、軌道に乗ってよかったと内心、すこーしだけ焦ったわよ…

姫ちゃんが提唱しているコーヒーの美味しい淹れ方とか保存方法とか加工方法とかを聞いたコーヒーの本家本元、現地の人もその内容に感銘を受けるように驚いていたのよね…
その知識と発想力、閃きにと、驚くのも無理が無いわよ。種明かしなんて絶対に他の人に漏らせれないけれど、その大元の知識は地球由来ってことよ。

姫ちゃんが言うには地球にも同じような作物があるみたいで、そういう知識とかは、そちらを参考にしたみたい。

そして、地球でもこのコーヒーが愛され色んな世界の人が飲める飲み物ってことは、此方でも通用するだろうという見通しがあったわけね。
そりゃぁ失敗するリスクは、ほぼゼロって算段がつくってものよね。
確認するための試飲会ってことだったのよね、先輩が気に入ったって言うのも後押しになっている、お年寄りでも飲めるってのが大きいのよね。

大量栽培における農業の常識破りっといいますか、反則技よね?術式を使って、強引に成長を促進させて直ぐに結果を出したのも大きいわね…
術式を使って成長を促進させる方法があるなんて驚いたわよ。色んな術式を応用して、成長を少しだけ加速させるなんて発想どこから産まれるのかしらね?
天才の頭は私達凡人じゃ計り知れない。一応デメリットもあるって言っていたから、早急に成果を出したいときだけしか使わないって言っていたわね。

後はね、コーヒーだけじゃないのよ、昔はね、果物の種類によってはなかなか、市場に出回らず、庶民も貴族も手に入らなかったのよね。
でもね、今じゃこうやって手軽に手に入るようになったのよね。
冷蔵庫から葡萄を取り出してささっと水で洗って水気を切って、お皿の上に置く…この葡萄なんて手軽に手に入る果物じゃなかったのよ?

葡萄とコーヒーを机の上に持っていき、先ほど淹れたコーヒーを飲みながら葡萄を一粒一粒、ちぎって口の中に放り込み、スプーンの上に種と皮を吐き出す。

優雅なモノね…
ひと昔の私がみたら、何処の王族よ?って、言いたくなるわね…
気軽に、今日は食べたい気分だから買って帰ろうかな?って感じで簡単に手に入る物じゃ~なかったのよ?
王都にある農業エリアで栽培はしていたけれど…収穫量が多くなかったのよね。
収穫した殆どが長期保存の為に干したり、お酒にしたりね、その際にちょっとしたお祭りみたいな催し物が行われるのよね、可愛さ自慢の娘さん達が葡萄を踏んだりとかね、なので、収穫した殆どの葡萄の殆どが加工されることが多いのよね。

加工することが基本だから葡萄は収穫してもそのままで食すってことが無いのよ。

今もこうやって新鮮な状態でクッキーをつまむような感じで食べる、なんて贅沢なんでしょうね。
新鮮な状態で食すことが出来るなんて貴族でも無い限り、なかなか、本当に、滅多な事が無い限り食べれないのにね…
今では、平民でもちょっと奮発して買おうかしら?っで、買えてしまう時代なのよ…時代は変わるものね。
昔に比べて、純粋に収穫量が増えに増えた結果、誰でもお手軽にお手頃価格で買えちゃう、売れ残り問題っていうのも姫ちゃんが作った魔道具の成果によって日持ちするようになったから、問題なく美味しい期間の間に売り切れるみたいね。

収穫量が増えた要因として、一番の功労者は姫ちゃんだと、身近にいる私は感じてしまうのよね。本人は皆の努力の結果!ってはにかむ様な笑顔で照れていたけどね。

当然、収穫量を増やす為には人手が必須よね?何処から雇っているのかわからないけれど、数多くの人を雇い入れて全力で農地を色んな場所で増やしたのよね…
この大陸も一昔前に比べて農地が非常に増えた結果、様々な作物の収穫量が段違いに増えてきている。大豊作が続くから姫ちゃんも豊作飽食の時代が到来したと嬉しそうにしていたわね。

私も一応、貴族の端くれだから、平民の方に比べたら色々な物を食して来たと思っていたけれど、世界は広いのだとここ数年実感しない日がなかったわね。食べたことのない作物も数えきれないほど食べさせてもらったわね…

コーヒーを飲みながら、ここ数年で、初めて食べた果物や作物を思い出す…
美味しいものが本当に多かったし衝撃的に美味しい料理が多かったわね。うん、また今度、姫ちゃんにお願いして買ってきてもらおうかしら?

初めて食べた果物の中で、お気に入りってわけじゃないけれど偶に食べたくなる果物があるのよ。

ほら、この辺の土地って暑すぎず寒すぎずって感じで過ごしやすいけれど、ほんのり、気持ち的に、暑いのよ。
体が火照っている時に食べる、あの瑞々しい果実がこれまた、体が欲しているのか美味しく感じるのよ。ウォーターメロンとか、ピーチとか、マンゴーだったかしら?そういうのをまた食べたいわね。
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