最前線

TF

文字の大きさ
307 / 657

Dead End ユ キ・サクラ (51)

しおりを挟む
つまり!起こしに来た二人は異変に直ぐに気が付いただろう!起こしに来たら、私が普段着とは少しアクセントが違う服装に、化粧!
そこから判断される内容ってこれしかなくね?ないよね?…夜這いと飛躍しなくても夜中の逢引…って考えるのが妥当じゃない?って、当然だよね?邪推するよね?夜中に何処のどいつと会っていたんだい?って、逢引じゃないのって!!!

ドッドッドっと心臓が不安そうに叫んでいる、状況説明をどうやって切り抜ければいいのか、心臓が声を上げて助けを求めている!!

うっわ、ミスったぁ!!!本気でやらかした!!!夜中に誰かと会っていると一番知られたくない人に見つかったぁ!!
朝、私を起こしに来る可能性が高いのっていうか、この二人以外ありえないじゃん!それを忘れるくらい浮かれていた!!
忘れていた!それくらいにまで浮かれていたってことになる!知られたくない人の渾名を思い出せっての!お母さんは恋の伝道師っという渾名を持っているほどにそういった会話に敏感だし、あの人の行動力は計り知れない!私が新月の夜にあいび…逢引!うん、逢引!あれはもう逢引だよね!…その逢引現場を見つけられてしまいそうな予感がする。

安易に想像できるほどに、お母さんの行動力を私は知っている
どうする?ど、どうすればいい?ぇ、どうしたらいいの?にげみち、逃げ道どこ!?

必死に逃げ道を探すが、これ以上、お母さんのスケジュールを調整したところで夜までもつれ込むほどの状況には出来ないし、新月の夜が近くなると不自然に仕事が増えていくっていう状況を作れば逆に怪しまれる!1時間2時間くらい、手を放す事なんて余裕出来るだろうから、見つかるリスクしかない!今から何をしても無駄!匂わせを少しでも感じたら最後!きょうみをもたれ
「…そっとしておきましょう」「ですね」
「姫ちゃんの事だから、問いただしても逃げるだけだし」「ですね」
「もしかしたら初恋かもしれないし」「ですよね」
「外野は黙って見守るのが一番、何かあれば相談しにとことことやってくるわよ」「ですかね?」
「まぁ~生娘の貴女にはこないでしょうね?」「…喧嘩売ってます?貴女も生娘でしょう?」
「あ?喧嘩売ってるの?買うわよ?」「っは、いいですよ?ここいらで決着でもつけましょうか?おばあちゃん?」

「ぁぁん?いい度胸してんじゃないの小娘…」

聞き耳を立てていると、親心っというものを感じれたと思ったのは一瞬だけだった…

あ、何時もの流れになった?ってことは、この流れを利用しない手はないってことだね…強引になるけれどね。相手の意思も少し触れる事も出来たし、この件については素直に話すよりも強引に恥ずかしい初心な乙女的な感じで逃げれば突いてこない、かな?そうと決まれば。
「もー!うるさい!喧嘩するなら外でしてよー!」
喧騒で起きてしまったせいで、気持ち良く寝ていた我儘お姫様がご機嫌斜めを装って、文句を言う感じで、二人を強引に部屋の外に放り出す!!
何か小声で抵抗されるような言葉をいっぱい貰った気がするけれど、キニシナイ!気にしてはいけない!!下手に反応すると畳みかけてくるからね!!!

はぁ、ふぅぃぃ~~~っと深いため息を吐いて、お化粧を落とすためにシャワー室に向かおうと、服を脱ごうとしたんだけど…
自然と、鏡に映った姿に目が止まってしまう。今の、自分に…変なところ、落ち度が無いか…粗を探す様に…見つめてしまう。

今回の服、好きじゃなかったのかな?でも、綺麗だって褒めてくれた、可愛いって言ってくれたよね?

結構自信があったんだけど、反応は左程って感じだった、手ごたえを感じなかった…
ぷぅっと頬に空気を蓄え膨らませながら腕を組み思考を巡らせようと脳みそをノックする起きなっと。
寝ぼけている思考を叩き起こして、昨夜の出来事を細かく思い出し、尚且つ、勇気くんの好みを推察しようとするのだが、そもそも、彼の趣味趣向を知らないことに気が付く。

そうだよ、別に、人類の明日を目指すだけが質問じゃないじゃん、他愛も無い会話、お互いの趣味趣向とか、そういう質問しても、いいよね?
新月の夜を人類存続会議だけっていうのも良くない!味気ない!そもそも、私たち二人でそんな大それた計画を練るって言うのも違くない?…な、わけないか。本気で敵を脅威だと感じている人ってどれ程いるのだろうか?世界を救うための勇者がもしかしたら他の大陸に入るのかもしれない、獣共を真なる脅威と見なし戦おうとする人たちが居るのか探してみたかった。

時間があれば、この星全ての大陸に出向いてみたかった、時間があれば飛行機とか作ってみたかった…車は再現できたけれど、飛行機は難しそうだし、危険すぎるから諦めたんだよね。

うんうん、私たち二人しかほんとの本当に、人類存続するための何が必要なのか考えている人はいないだろうなっと、服を脱ぎながら次は、どんな質問をしようかと考えながら寝汗…冷や汗?を流すついでにお化粧を洗い落とす為にシャワー室へ向かって行く。

明日への希望に心が満たされ、明日を強く望む自分を何処か遠い場所で眺めてしまい、ふと、時計の針が頭に浮かぶ…


私の針は…最後まで、持つのだろうか?…


シャワーを浴びながら、自然とお腹に手をやり、何を思ったのか痛くも無いのにお腹を撫でてしまう。
さぁ、将来の不安があるのはいつもの事、今日も明日も、明々後日も!私の針はまだまだ動き続ける、止まるわけにはいかない!…止まるわけにはいかない…


何処か焦燥を感じながらも、一歩ずつ一歩ずつ、道なき道を進み、頂きが何処かもわからない坂道を登り続ける。
そんな生き方を、この街に来てからずっとずっと、してきた。
後ろを振り返れば、私が歩いた後を色んな人が付いて来てくれた…でも、隣には誰もいない、当然、前にもいない…

この街に来て直ぐに、お母さんが、傍に寄り添ってくれている。隣に立とうとしてくれる。
けれども、年月が経てば経つほど…お母さんは私の隣に居れなくなっていた、気が付くと後ろの方を必死になって歩いている。
年齢と共に弱くなっていき、私に付いてくるのが精いっぱいな人物、感謝の言葉と思いしか無いほどに大切な人、付いてこれないのならおいていくとは違う、私の為に自分の人生を捧げ続けてくれたのなら、残りの人生、出来る事ならお母さんを休ませてあげたい、出来る事なら闘いのない世界で子供を育てて欲しい、自分の幸せを求めて欲しい。

そういう願いを抱かなかったことはない、何時だって、私を支えてくれた人にどうやって恩を返せばいいのか考えてばかりだった。
この辛い現実、辛い環境、辛い仕事ばっかりの日々から突き放してしまえばいいんじゃないかって考えたこともある、でも、その一歩を、突き放す腕を伸ばす勇気が私には無い。

私独りでは、どう足掻いてもこの先に待ち受けている戦いに挑む力も、目指す心も…耐えれるとは思えないから。
だからこそ、私は、私の目的の為に、夢の為に、願いの為に研究を続ける、明日を、生きる為に!!その新たな一歩がこれだぁ!!

「…っふ、我ながらとんでもねぇ物を作っちまったぜ」

目の前にある大小さまざまな培養カプセル、その培養カプセルの中を満たす為に用意した数々の素材、錬金道具、研究用の机に、資料を保存する為の棚、ありとあらゆる道具が!叡智が!!ここに集結している…

それだけじゃないよ?トイレだってあるし!仮眠するためのベッドも用意してあるし!来客用のテーブルもソファーもある!更には!食堂直結のエレベーター的なモノも用意したよ!つっても、人を乗せるほどのサイズじゃないけどね!飲み物とか、お菓子とか、食べ物が欲しい時に、これの中に紙を入れてボタンを押すと厨房に届く様になっている!厨房にいるルッタイさんに用意して欲しい食事をお願いすれば、用意してエレベーターの中に入れて地下に届けてくれるってわけ!

衣食住!…違った、衣はないや、食と住だね、食住は整ったってね!!
…完璧じゃね?私ここに引きこもれるじゃん?一生外に出ないで研究一筋ってことも可能ってわっけ!!!
たはー!ここからでたくねー!一生此処で引きこもって研究してぇー!!テンッション爆上がり!エンジョイパーティーターイム!!

うっひょーっと両手を上げて小躍りしてしまうくらいに、今の私は上機嫌!!

息がきれ上がる程に小躍りを堪能した後、一つの問題に目をやり、そしてすぐに目を逸らす…

研究の為に色んな素材から成分を搾り取ったカスや、調合に失敗したゴミとか、実験に失敗した後の祭りっという直視したくない惨状とかが、大量にその辺に転がっている。
…うん、こうなることは予想はしていたね、だって、ここの場所を知ってる人って…幹部連中だけだもん…つまり…

掃除をしに来る人がいないってことだ!!!

あれー?おっかしいなぁ?実験が出来るようになってまだ、経ったの三日目だぞー?培養カプセルの中に入れる液体を研究している段階で、こんなにも失敗作が溢れるものなのかな?

っふ、っと、惨状を見つめながら鼻で笑った後、今まで術式研究所や、研究塔で私のデスク周りとか、実験失敗した後に手を貸してくれた人たちが、どんなに私にとってかけがえのない存在だったのか再認識したよ…

取り合えず、調合途中の実験器具はそのままにして、手に持てる範囲でゴミカスを捨てに行くかぁ…

両手に持てる範囲でゴミをもって、階段を上り、地上に通じるドアを開いては、ドアの直ぐ横にゴミを置く…
地下に戻ってきては調合途中の液体に変化が無いか目視で確認する。数値も異常は示していない、成分を攪拌するにしても時間がかかるし、何分で分離するのかもわからないから、こまめにチェックしないといけない。

はぁ…こういう時間が必要でこまめにチェックしないといけないのはだっるいよね、この場にチェックするだけの誰かを配置したくなるよね。

液体にどの様な変化が起きるのか適度に確認しないといけないし、私以外が見ても判断できない可能性が高いから任せられない…
うへー、時間かかるなぁこれ…予定も詰まってるから、後、2時間以内に変化が無いと、実験は停止させることになるから、またゴミが生まれるぅ…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】温かい食事

ここ
ファンタジー
ミリュオには大切な弟妹が3人いる。親はいない。どこかに消えてしまった。 8歳のミリュオは一生懸命、3人を育てようとするが。

精霊王の愛し子

百合咲 桜凜
ファンタジー
家族からいないものとして扱われてきたリト。 魔法騎士団の副団長となりやっと居場所ができたと思ったら… この作品は、「小説家になろう」にも掲載しています。

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

異世界ラーメン屋台~俺が作るラーメンを食べるとバフがかかるらしい~

橘まさと
ファンタジー
脱サラしてラーメンのキッチンカーをはじめたアラフォー、平和島剛士は夜の営業先に向けて移動していると霧につつまれて気づけばダンジョンの中に辿りついていた。 最下層攻略を目指していた女性だらけのAランク冒険者パーティ『夜鴉』にラーメンを奢る。 ラーメンを食べた夜鴉のメンバー達はいつも以上の力を発揮して、ダンジョンの最下層を攻略することができた。 このことが噂になり、異世界で空前絶後のラーメンブームが巻き起こるのだった。

私は逃げ出すことにした

頭フェアリータイプ
ファンタジー
天涯孤独の身の上の少女は嫌いな男から逃げ出した。

悲恋小説のヒロインに転生した。やってらんない!

よもぎ
ファンタジー
悲恋ものネット小説のヒロインに転生したフランシーヌはやってらんねー!と原作を破壊することにした。

置き去りにされた聖女様

青の雀
恋愛
置き去り作品第5弾 孤児のミカエルは、教会に下男として雇われているうちに、子供のいない公爵夫妻に引き取られてしまう 公爵がミカエルの美しい姿に心を奪われ、ミカエルなら良き婿殿を迎えることができるかもしれないという一縷の望みを託したからだ ある日、お屋敷見物をしているとき、公爵夫人と庭師が乳くりあっているところに偶然、通りがかってしまう ミカエルは、二人に気づかなかったが、二人は違う!見られたと勘違いしてしまい、ミカエルを連れ去り、どこかの廃屋に置き去りにする 最近、体調が悪くて、インフルの予防注射もまだ予約だけで…… それで昔、書いた作品を手直しして、短編を書いています。

処理中です...