最前線

TF

文字の大きさ
315 / 657

Dead End ユ キ・サクラ (59)

しおりを挟む
大人と呼ばれるような年齢になってからでも新しい発見はある。
どうやらさー、私ってさー、ショックな出来事があると、意外と、立ち直るの遅いみたい?

研究が忙しい…なんていうのも言い訳にしかならないってわかっているんだけど、気が付く時間が流れて行ってる。
だってもう、あれから、あれから…もう半年?半年も!経過してるってのにさ!

未だにこの、もやもやがとけないの!無くならないの!…ずっと、喉の奥に残ってる…出たがっているんだけど、出せないでいる。

そんな状況だからなのかな?なんでか、わかんないけどさ…
お母さんにちょっと、だけ?きもち?程度?だけど…語尾とか口調とかがさ、強く当たっちゃったりさ…そんなつもりないのに、さ?…お母さんは何も悪くないの、こんなの、子供みたいじゃん…

自分自身でわかっている、今の私は子供みたいに変に意固地になって癇癪を起しているのだって。
それに気が付くと、湧き上がるもどかしい感情に振り回されてしまう。今みたいに…ソファーの上に置かれている枕を壁に向かって投げてしまったり、硬い地面を何度も踏み抜く様に強く踏んでまったりしている。

うーうーうーーー!!なんだよこれー!!
なんでこう、こう!こう。こーー!!うがぁって感じでもやもやするのかなぁ?
お母さん、何も悪くないのに…

今度さ、時間がある時にでもさ~、謝りに行かないといけないなぁって、思ってるよ?だってどう見たって、誰が見たって私が悪いってわかるもん…
客観的に見ても私が悪だってわかっている、謝るのが一番だってわかっているの、わかっているのに!…足が向かおうとしないんだよなぁ、この地下を出て階段を登ろうと階段の前に来るとさ、あ、あの研究しなきゃなぁ~時間ないなぁ~って誰に言い訳しているのか…誰もいないのにさ、声に出して地上に出ることが出来ていないだよね。

この街に居るとさ、ふとした弾みで、お母さんを見かける事あるよ?その都度、声を掛けようかと思うんだけどさ、お母さんを見ていると、何か、こう、どう表現したらいいのかな?このよくわからない、もやもやが邪魔をしてきてさぁ~…遠くにいるお母さんを呼び止めようと声を出そうとしても出ない。そんな状態で会ったとしても、喉から謝罪の言葉が出るとは思えなくて…その、うん、今は会えない、会うのが、気まずいんだよなぁ…

それのせいってわけじゃないんだけど、自室にいるよりも、ここ、この地下に作った研究室に籠っている時間の方が圧倒的に多くってさ。
今となっては、もう、ココが私の部屋って感じになっちゃってるんだよなぁ…引きこもれるように設備は万全に整えてあるから、居心地も悪くはないってのも問題かも。

足りてないって言うと、お母さんからの魔力かなってなるんだけどさ、幸いにもさ、魔力に関してはギリギリっていうか、何とかなってる。
お母さんが気を利かせてくれたのか、その辺りは、ちょっと、聞く気になれていないから確認とってないんだけど、毎日、昼と夜に医療班の人達が地下室に来てくれる。
医療班の皆から魔力を貰ってるし、それだけじゃなく、新月の夜、限定だけど、勇気くんからも、全力で魔力を注いでもらっているから、何とかなってる、何とかなってるんだけどさ…

もう、半年も…お母さんから魔力を貰っていない…
正直に言えば、勇気くんから貰える魔力も相当、純度が高いからなのか、体に馴染みやすいんだけど…やっぱり、私は…お母さんの魔力が一番、体に馴染むような気がする。

はぁっと溜息が零れ出てくる、手に持ったペンを机の上に置いて、椅子の背もたれにもたれ掛かり、冷たい天井を眺めてしまう。
ここって地下だから、優しい太陽の光も、包み込んでくれるような優しい月の光も入ってこない…無機質な光と冷たい天井しか見えない。
常人だったら気が狂いそうになる空間だよね、だってさ、外から聞こえてくる、壁を伝って聞こえてくる隣人が傍に居るって感じる音もぜんぜん、聞こえてこない…

眉間に皺を寄せて、心の問題的にも、このままだといけないのかなぁって感じるわけ!
僅かな足掻きとしてさ、お手伝いに来てくれるユキさんにさ、やんわりと、相談してみたりしたんだけどさー…あんまり良い方向に向かう気配が無かったんだよね。
ユキさんにストレートに、聞いてみたんだよ?そしたらね、帰ってきた答えが”ジラさんが姫様の事を?何も言ってないけど?”っと、何時もと変わらないよっと教えてくれただけ…ここでさ、お母さんが私のことを心配して周りに相談してたら、しょうがないなぁって気持ちが湧き上がってきたりするんだけど、そういうきっかけも無いと、動こうとしても足が踏みとどまるんだよなぁ…

考えられることだと、きっと、お母さんの事だからそういうのを表面に見せないだけで、実のところ、私の事を気にかけてくれているって信頼関係の下、そう感じてはいるんだけど…
叔母様との1件があるからこそ、知っているんだよね、あの人って裏では何を考えているのかわからないんだよなぁ部分が…
もともと、お母さんって意外と、冷酷で冷静な部分も持ち合わせている人だからさ、油断はできない人でもあるだよね。
だからといって、この程度、ちょっと態度が悪くて子供みたいな駄々をこねたくらいで、お冠になるとは思えないけれど…ちょっと怖いんだよなぁ…

怖いと感じた瞬間に瞬時に思い出す。
幼い頃に良くないことをしてしまい、長い時間、正座させられ怒られてたっていう、苦い思い出もあるしなぁ…
ちゃんと、怒る時はしっかりと怒るし、罰も私が嫌がる罰をきっちりと用意してくるくらい、私の事を理解しているって部分が、辛い…

この半年間はずっと、こんな感じで、グダグダとしちゃってさ、素直に謝りに行けばいいのにさ、いけないっていう、子供みたいな精神状況でさー、研究が一旦落ち着いて休憩してるときはずっと、もう本当にずっと!!永遠ともやもやと続いてしまっているんだよなぁ~、私ってこんなにも尾を引く様な性格だったんだね…

長い時間、苦楽を共にし、共に手を取り合って背中を預けあって生きてきたっていう長い時間をかけて構築して来た二人の関係性…
この関係背があるからこそ確信がある、お母さんとの関係値は修復できる!ってさ、分かっていても、今はダメ!ダメだよ。。。このもやもやが晴れない限り素直になれない、もやもやが邪魔をして、変に棘を付けてしまいそうで…素直に謝ることが出来ない気がするから、無理だよ。

大好きな人、大切な人に、何度も何度も嫌な思いをして欲しくない、大切なお母さんにそんな風に接したくないし、接してしまった自分に物凄く嫌悪感を抱いているから、この何とも言えないもやもやが消える迄、鳴りをひそめる迄、会いに行けない…よね。

気持ちを切り替える為に、ちょっと考えてみよう。
この半年を振り返ってまとめると、もやもやが私の心に根付いているけれども、研究や対策は順調に進んでいるって感じ、かな?

敵がどの様に、何処からなのか、把握することが出来ない、不可思議な精神干渉。
これに関しては、もう少し時間が欲しい、破邪の力を宿したルの力をベースとした新機軸の術式がもうじきで、完全に完成するかな?って感じで研究が進んでいるんだけどさ…そもそもの問題、敵の手段を見つけれていないってのが問題。
この、些細であり大きな、問題点が解決していないってのも、問題なんだよね。何処から干渉してきてんだっての!壁の内側からじゃないってのも定かじゃないのがウザイ!上空もしっかりと見張っているんだけどなぁ?どこ?どこから干渉しているのって感じ…

敵がどの様な手法で、何処から干渉してきているのか、突き止めれない不可思議な干渉っていうのが大きな問題だとはわかっているんだけど!
わかっているんだけど、どうにもできない、突き止めて壊すことが出来ない!っていう問題を抱えながらも干渉を防ぐ術式を完成させるのは、どうなの?って感じだよね。

実際問題、この干渉っていうのが、心を強く持っていれば作用されないんじゃないか疑惑もあるからさ、実際問題、発動できていたとしても本当に干渉を防げているのか疑問が残るってわけなんだよね~…

実際に使用している、勇気くんとさ、共同開発しているから、性能としては問題無いと思うんだけど、問題が、範囲と維持魔力なんだよね。

勇気くんも、索敵術式を弾くほど強力なあの空間を維持するのは出来ても3時間って感じみたい、それ以上を維持するのは頭痛が発生する恐れがあって、その痛みでユキが起きてきかねないから、長時間維持するのはリスクを考えると、色々と問題があるし、痛み寄って起きてきたユキにどうやって説明すればいいのかってのが、辛いって言っていたんだよね。

問題として、術式を維持するために必要な魔力に関しては何とかなるとは思う。試算していないから、何処までいけるのかってのはわかんないんだけどね。
維持する魔力、その魔力は何処から得られるのか?魔力の出どころは、この大陸にいる教会の信者、その人たちが各町に設置していっている教会に祈りの間、月を模したオブジェに向かって祈りを捧げてもらうと、僅かな魔力を頂くようにできている。

教会で捧げられた祈りと言う名の魔力は、この街に向かって、人々が明日を願う心として日々届けられている。
当然、祈りを捧げてもらう為に、祈りを捧げに来てもらった人に、その日、パンを買う程度の僅かな心を配らせてもらっている
純粋に祈りを捧げたいって人は受け取りを拒否する人もいるので、受け取る受け取らないはその人の自由にさせてもらっている

教会の信者から明日を願った魔力がある、そこから貰っても問題はない、よね?私の研究が未来を導くのだから、いいよね?っていうか、普段から、この街で消費しているから別にいいよね?
っとまぁ、そういうわけで、発動+維持に必要な魔力は、何とかなるんじゃないかなって?って感じ?

んで!次の問題があります!それが効果範囲!
実際問題さー、こういう術式って広範囲にするとさ、どうしても!性能が落ちる…
一定の効果を満遍なく、この街一帯を囲むのは難しい…現状で、性能を下げないで最大限に広げたとしても、皆が寝泊まりしたりするための施設一帯が限界、かな?
出来れば、みんなの心が不安定になりやすい病棟まで伸ばしたいけれど…そうすると、術式が届くことは届くけれど、作用しているのかどうか、微妙なラインなんだよなぁ
なら、陣を増やして病棟の地下に設置するって言う考えも無い事も無いんだけど…それをするとなぁ…うーん、するとなぁ…

わかっている問題点を声に出すのも憚れるので、違う問題点を先に考えよう
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

精霊王の愛し子

百合咲 桜凜
ファンタジー
家族からいないものとして扱われてきたリト。 魔法騎士団の副団長となりやっと居場所ができたと思ったら… この作品は、「小説家になろう」にも掲載しています。

【完結】温かい食事

ここ
ファンタジー
ミリュオには大切な弟妹が3人いる。親はいない。どこかに消えてしまった。 8歳のミリュオは一生懸命、3人を育てようとするが。

異世界ラーメン屋台~俺が作るラーメンを食べるとバフがかかるらしい~

橘まさと
ファンタジー
脱サラしてラーメンのキッチンカーをはじめたアラフォー、平和島剛士は夜の営業先に向けて移動していると霧につつまれて気づけばダンジョンの中に辿りついていた。 最下層攻略を目指していた女性だらけのAランク冒険者パーティ『夜鴉』にラーメンを奢る。 ラーメンを食べた夜鴉のメンバー達はいつも以上の力を発揮して、ダンジョンの最下層を攻略することができた。 このことが噂になり、異世界で空前絶後のラーメンブームが巻き起こるのだった。

私は逃げ出すことにした

頭フェアリータイプ
ファンタジー
天涯孤独の身の上の少女は嫌いな男から逃げ出した。

悲恋小説のヒロインに転生した。やってらんない!

よもぎ
ファンタジー
悲恋ものネット小説のヒロインに転生したフランシーヌはやってらんねー!と原作を破壊することにした。

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

置き去りにされた聖女様

青の雀
恋愛
置き去り作品第5弾 孤児のミカエルは、教会に下男として雇われているうちに、子供のいない公爵夫妻に引き取られてしまう 公爵がミカエルの美しい姿に心を奪われ、ミカエルなら良き婿殿を迎えることができるかもしれないという一縷の望みを託したからだ ある日、お屋敷見物をしているとき、公爵夫人と庭師が乳くりあっているところに偶然、通りがかってしまう ミカエルは、二人に気づかなかったが、二人は違う!見られたと勘違いしてしまい、ミカエルを連れ去り、どこかの廃屋に置き去りにする 最近、体調が悪くて、インフルの予防注射もまだ予約だけで…… それで昔、書いた作品を手直しして、短編を書いています。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

処理中です...