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Dead End ユ キ・サクラ (63)

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自爆タイプ以外の人型がでてきたら、それはそれで、非情に対処に困るんだけどね!
色んな場所で同時に人型が攻めてきてるからさ、対応できる人が足りてない!居ないってことにもなるわけ!
部隊が対処できなくて危険性が高い緊急事態になったら、直ぐに連絡が届く様に全部隊に通達している。

その通達を受け取る役目が、色んな方面を駆け回っていて基本的に大忙しそうに見える、メイドちゃんに通達が行くようにしている。

こういう非常事態だと、外での取引が停止することになるから、メイドちゃんとしてはぶっちゃけると、仕事が減ったりする。
メイドちゃんは死の大地には絶対に出ないから、出ても…って感じだしね。非戦闘員だもん、メイドちゃんは…

こういう状況になるとね~、取引で外に出る事って無くなっちゃうし、私も死の大地に出撃することになるからさ、メイドちゃんに頼むお仕事って無くなっていく一方なんだよなぁ、1週間程度、敵の襲撃が続いたって程度だったら、逆に大忙しだったろうにね~…こうも長引くと取引先との日程調整なんて一切なくなるし、世話する相手である私が付いて行けない場所にいくってなるとね、手持ち無沙汰になっていることが徐々に増えてくるってわ~け、暇で仕方が無いときっていうか、余裕がある時は、補給部隊と共に行動する様に伝えている。

そうしないとね、こんな非常事態にあいつは何もしていないって周りに思われちゃうからね、忙しそうにぱたぱたっと駆け回っているくらいがちょうどいいんだよね。

臨機応変にってわけでさ、メイドちゃんは私からの仕事が減ったぶん、しっかりと、私の代わりに色んな現場を走り回って御用聞きをしてるって感じになってる、の、かな?
地下室に籠っているから、常にメイドちゃんが傍にいるわけじゃないから、メイドちゃんの行動すべてを把握しているわけじゃないんだよね。
そんなわけで、今もきっと、方々を走り回っているメイドちゃんに緊急事態が発生したら声を掛けるように、予め全部隊に通達してある。
メイドちゃん自身も常に、緊急事態になると鳴らされる鐘の音に意識を向けているだろうから、滅多なことが無い限り、気が付かないって事態にならないと思うから、このまま時間がある時は研究室に籠っていても…大丈夫かな?大丈夫だよね?外に出たら取り返しのつかない段階に迄、攻め込まれてないよね?

皆を信用して、少しでも時間がある時に地下室で研究しているからさ、この地下室で集中してるとさ鐘の音が聞こえない時があるんだよね~。
鐘が鳴ると地下室に備え付けてみたライトが光る様に知らせが出るようにする魔道具を設置しておいたんだけど…壊れているのか、何処かにエラーでも出ているのか、機能してないんだよなぁ!!試しに鐘を鳴らして実験すればよかったよ!もう!

うーん、設置している魔道具に魔石をセットしてあるんだけど、空っぽになってるだけかなぁ?調べて改良したいけど、そんな時間も無いから放置!って感じだよ~…我ながら詰めが甘い事!

そんなわけで、メイドちゃんには、申し訳ないけれどさ、何かあれば、地下室に来るように伝えてあるんだよね。
だからさ、地上へと繋がっているドアが勢いよく開かれる音が聞こえてきた瞬間に、腹くくるしかないんだよね!
止めと言わんばかりにプラス駆け足が聞こえてきてさ、その上更に、大声で私を呼ぶときは…決まって人型が出た時ってね!

この半年間で何体仕留めたんだってくらい大盤振る舞いだからなぁ…私だけで両手の指じゃ足らなくない?
全部隊が倒した数を考えると…やめよう、そういうのは落ち着いてから各部隊に褒美を出すタイミングで数えよう。

ってなわけで、新人騎士や、偵察部隊が、人型と対峙した場合は、此方側が許可を出していない人以外は絶対に!ぜぇったぁいに!!人型と闘わない様にと、念入りに通達は出している。
今の状況下で負傷者が出るのは本当にダメ!医療設備が充実してるからって復帰するのに一週間?は、必要じゃん?絶対にダメ!!一人欠けたら他に負担がのしかかる!ギリギリのラインを反復横跳びしてるくらい、今って危険な状況だから、大きな怪我をされると周りもピリついて余裕がなくなる…

人ってさ、余裕がなくなると良くない結果を招くことが多いし、連鎖的になし崩し的に怪我人が増えることだってある。
そういうのは極力避けるべき!現場に戻れなくなるような大怪我だけは避けて欲しい!っていうか、絶対に死人はでてはいけない!

杞憂があるとすれば、どんな状況でも、どんな現場でもね!時折ね、馬鹿がいるから!
戦果を挙げて一旗あげようとする身の程知らずがいるからね!

それをやらかしそうな人がいる部隊には、念入りに!伝えてはいるからね!!
流石に、我先に挑んで戦果を挙げ、多大な功績を抱えて帰還せん!!みたいな蛮勇を実行するなんて、そんなそんな…流石に今の状況で、それは無いと思いたい。

それとは別でどうしても、人型と対峙すると怪我することが多いのは紛れもない事実だからね。
他の獣共とは一線を画す程に違いがある人型と対峙するとさ、慣れてない騎士だったら確実に、気圧されてしまう。
そうなると恐怖や恐慌…フィアー状態に陥ってしまって、冷静に判断して、対処しないといけないのに、体が竦んでしまって思ったように動けなくなって死んでしまう人が出てしまう。
絶対に人が死ぬ状況にならないようにしないといけないんだけど、不意の事故だけは避けようが無い。
今の状況だと本気で本当に良くないんだよなぁ、いや、何時だって人が亡くなるのは良くないよ?でも、戦局を見定める人としては、一人でも戦えれる人が減るのは良くない!

単純計算だけどさ!このペースで敵の攻撃が終わりなく続くってなると!確実に此方側が持たなくなってしまう!
だから、怪我は良くても死ぬのはダメ!絶対にダメ!士気にも関わってくるから、だめ…感情が抑えきれなくなって暴走する人も出てくるから、駄目…

人型も怒涛に攻め込んでくるっていう危機的状況に何度か陥ってさ、人型に対応できる人が居ないって、状況がね、しばしばあるってわけ。
最後の柱ってわけじゃないけどさ、これ以上はダメだって時は、私も死の大地に出撃しているんだけど、頻度が多い…その影響で、魔力の消費が地味に激しいから、大変なんだよね…

残念なことにさ、私は屈強な戦士じゃないんだよね…
屈強な戦士だったらさ、一人でもある程度人型と闘えれるけどさ、私は、それが出来ない。
独りでは人型を倒すことはどう足掻いてもできない、なので…予定だとさ、直轄部隊っというか、いつの間にか結成された姫様親衛隊っていう部隊の解体をしようって考えもあったんだけどさ、今の状況下で出来るわけも無く!昔と変わらず頼りにさせてもらっているって現状…

親衛隊を解体しようかと考えてからの一年間を思い返すと、溜息しか出てこない…

はぁ…何も進まない。何も進んでいない。一年ってこんなにも短かったっけ?この1年間、大きな進歩をしているとは全然!思えれない!
研究する時間が無くても、何とか必死に考えてさ!少しずつ!少しずつ!!牛歩よりも遅く!!では、あるけれども!進んではいる!!って言いたいけれど!!見返すと…ぁぁ、うんって落胆してしまう。

進んでは、いるってさ、思いたいよ?そう思わないと心が持たないって状況だけれどもさ…
このまま、このペースで研究が進んだとするじゃん?明確な結果が出るっていう、ラインがあるんだけど、そのラインを越えるのは何時頃なのかって単純に計算するとさ、10年以上かかる…

これではいけない、研究が完成しないってのが、目に見えている…最悪のケースも…はぁ…いやだなぁ…

過る結末を忘れる為に、想像しないためにも、頭を振って、頬を叩いて気持ちを切り替える

敵の猛攻が収まる気配を感じることが出来ない状況。
本当は非常事態に備える為にしてはいけない!良くない選択肢だけれど!徹夜してでも!寝る時間も削ってでも!実験をしようと思っている!
…だけれどもさ…この体が、そういった無理を許さない…下手に徹夜したり、無理をしちゃうと、体調が悪化しちゃって寝込んでしまう、逆に研究に遅れが出てしまう。

何年も付き合ってきているけれど、今度ばかりは、自分自身の体に嫌気が刺してしまう…
幾ら鍛えても健康に気を付けても!一向に体の弱さを克服できる気配がないんだもん…
だからといって!弱音を吐いたところで現状はかわらない!

嫌気が刺したとしても!何度も!幾度となく!己の弱さに、心が折れそうになってしまったことは数えきれない!
けれども!ここで、心が、折れるわけにはいかない!っと、必死に己を鼓舞して動き続ける…動き続けてきた、けれど



ときおり…さそわれるように…よういしてある…とある

陣を ぼんやりと ながめてしまう ときが ある…

ざんねんな ことに みみなりは しない



ぱぁんっと大きな音を出す様に頬を叩いて、陣から目を背ける。
冷蔵庫から糞まずい魔力回復促進剤の瓶を開けて一気に飲み干す!
魔力が足りてないから不安な気持ちになるの!
魔力が足りてないから陰鬱な気持ちになってるだけ!
私はまだ戦える!まだやれる!まだ脳は動く!体も動く!


まだ…この世界を諦めたり…したく、ない…


意識が暗い世界に落ちようとしていると、遠くからドアが豪快に開かれる音が聞こえると同時に、叫ぶ声が地下室の中を駆け巡る様に反響する
「緊急事態ですーー!!」
嗚呼…もう…もう、もう!!やってやるよ!!やってやらぁなぁ!!!
こぶしを力いっぱい握りしめ、両頬を叩き!太ももを叩き!力いっぱい足に力を込めて!勢いよく立ち上がり、階段を駆け足で上っていく…苛立つ心を破滅への力へと変えるように、この事態を巻き起こしている敵へ植え付けられた憎悪をぶつけることだけを考えていく…階段を上り終えるとメイドちゃんから報告を受ける。
「すみません、ひめさまー!魔道具持ちですー!!」
その言葉に、こめかみにある血管が切れそうな程に殺意と憎悪が湧き上がって私の心を真っ黒に染め上げていき、自然と心の中で舌打ちをしてしまう。

っち、よりによってか!敵はさー、本気で攻め落とすつもりってことかな?このタイミングで魔道具持ちを投下してくるなんてねぇ…やってやろうじゃん!ああ、やってやるさ!
元よりこっちは、お前たちを殲滅する事しか考えてねぇっての!!全ての準備が整っていないけれど!!秘密裏に開発している危険な魔道具はあるんだからな!!

心は燃え滾っているが殺意を表に出さずに、冷静に、メイドちゃんに敵がどのタイプの魔道具を所持しているのか、現時点で判明しているのか確認を取ると
「ぇぇっと、報告に上がっているのが、水を産み出して、地面を濡らしたり、上空に撒いて雨のように降らしたり、後は、水で体を湿らしているっていう、感じみたいです。」
メイドちゃんから知りえる情報を聞いた瞬間に、この日が来たかと腹を括る…

…水タイプの魔道具…想定している範囲ではあるが、想定通りであれば、出来れば出会いたくなかった最悪の魔道具…

いつか来るであろうとは、想定していたけれど…このタイミングかぁ…とうとう来ちゃったかぁ…水系統の魔道具かぁ、相性最悪なんだよなぁ、私達が主に取る戦法だと、本当に相性が悪い…
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