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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散(1)

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胸に宿るは…苛立たせるもの全てを壊して消してしまいたくなる破壊の衝動
脳に響くは…数多くの悲しみによって消える事のない怒りの鼓動
心臓の音は…一つ波打つたびに全身に駆け巡る悲しみの音色
瞳に映るは…滅ぼす存在を冷酷に冷静に効率よく活動を止める方法を探る無慈悲な激情

何時だって、歯を震わせ、目は充血し、眉間の皺が休まることは無い。

私が…私達が…幾重にも、幾重にも!数える事すら忘れてしまいたくなるほどに!死んでも歩を止めなかったのは、この時の為だ!!
犠牲となった私が届けてくれた想い、願い、ありとあらゆる感情、その全てを受け継いだよ。
功労者は間違いなく、研究の為に人生を捧げてくれた少しひねくれた私。
貴女が人生を捧げて得てくれた研究データのおかげで、今代の私は無念を晴らす為に、自由に動けた、動き続ける事が出来た。
本来であれば、研究にあてる時間が必要だったが、その時間を有効的に使い、最善を尽くし、最も効率よく動くために不必要な物は一切手に入れることなく、必要最低限の品だけを搔き集め続ける事が出来た。

そう、不必要なものは一つも無い、人も、素材も、お金も、繋がりも、心も、願いも、ありとあらゆるもの…
この街にあるのは全て…


敵を駆逐するためのものだ
この街に…死の大地に沁み込んだ血と魂の清算をするときだ
何十年に渡って死んでいった者たちの無念を晴らすときだ


その為なら私は禁忌を犯す…躊躇いなんて無い、その先に、人類同士が争おうが知ったことか!!
地球の知識は非常に役に立った、私達の生活をより良くするために大きく貢献してくれた、先を行く者たちが築き上げた知恵、知識は未開の地を豊かにし、感謝と言う名の心と、金を産む。

人々が感謝としてお金を私達に喜んで渡してくれる、それによってもっともっと、自分たちの生活が豊かになると信じて、それだけじゃない、私は演説でこの大地を獣共の支配から解放すると宣言している。
これにより、獣共に大切な人の命を奪われた人達から大きな支援も受け取っている。
これらをもって、他の大陸からも物資を搔き集めている、当然、人材もね…マンパワーと金さえあれば、幾らでも製造することが出来る…

地球の知識からインスパイアされた兵器をね…誰でも扱えれる殺傷能力の高い兵器をなぁ!!

過去の私は幾度となく悩んできた!簡単に命を奪えてしまう物を製造してもいいモノかと…
人類の願いが平和を望み、人類一丸となって手を取り合い、獣共を蹂躙するという意識が統一されていない現状で、誰でも人を殺せてしまう道具を用意しても良いのかと、人同士で争う火種になるのではないかと、何度も何度も悩み続けてきた!だが、もういい!!もういい!!!倫理何てそんなもの、どうでもいい!お前たちを滅ぼせれたらどうでもいい!製造してしまえば、絶対にその機構は漏れる!獣共を駆逐した、その先に何があろうが、何が起ころうが!!

知ったことか!!
獣共によって人類が滅ぼされるのだけは、許せない!!!
あいつらだけは…あいつらだけは!!絶対に許してなるものか!!
この身朽ち果てようと、お前だけは殺してやる、殺してやるからな!!

この、この私が!お前たち如き獣に!悪意に!星に巣くう寄生虫に負け続けてきた、殺され続けてきた!!

許せるわけがない…私だけならまだしも、お前たちは、私の大切なものを幾度も幾重も、数えきれないほどに蹂躙してくれた!!
お前の死に体をこの大地の上に晒さない限り!我が魂に!我が体に!!我らに平穏は訪れることは無い!!
その為なら、私の未来だってくれてやる!!

その為の準備は全てにおいて順調に進んでいる、覚悟何てとっくの昔に終えてある。この覚悟は、どんな人であろうと懐柔されることは無い!絶対に揺らがない!
お母さんの反対なんて知ったことか!!この湧き上がる感情を抑える事なんて出来るものか!!
この悲しみは!絶望は!恨みは!怨念となって未来永劫彷徨い続けている!!
過去現在未来!!この大陸に住まう全ての人達!当然、牙の抜けた貴族共も役に立ってもらう!私腹を肥やす時間はもう終わっていただく!
この問題は、私達が住まう大陸だけじゃない!他の大陸にいる人達だってあいつらの脅威を認識している!いつか戦わないといけない時が来ることを心の片隅にあり続けてきたはずだ!!

獣共が闊歩する未来を与えてはいけない!!この星にいる人類、全ての総意だ!!
お前たちを一つ残らず、駆逐する!殺しつくしてやる!鏖だ!!!

消える事のない憤る様な情報が何時だって私の身を焦がそうとする…私の体は、私の心は…残響の様に響き続ける激情によって狂っていく…

狂いきってもおかしくない感情の渦に晒されながらも、長い年月の間、全てをこの時の為に捧げ続けてきた、そう、何時かの私が研究に身を投じ犠牲になったように。
今代の私は、全ての私の…私達の無念を、積年の恨みを、曇り続ける空に闇夜を照らす大月を天空に蘇らせるように晴らす為に…

犠牲になる選択肢を選んだ!!
無念を晴らすまでは、私達は止まれない!!

やりたい事、したい事を諦めるという選択肢を選ぶことが出来たのも、全て、悪辣な魔女の研究を解読し会得した犠牲になった私のおかげ。
彼女の苦悩と悲しみを晴らしてからじゃないと、好き勝手に生きるなんて、そんな選択肢を選べそうもない。
仮に…今代の戦いで私が死んだとしても、次の私がお前たちを殺す。
過去に戻るだけじゃない、選択肢はもう一つ用意している、素材さえあれば、私は何度でも蘇ってみせる。

私の魂さえあれば、ね…
何度でも魂が擦り切れようが砕けようが、魂の消滅さえ免れたら、私は続ける、何方かが完全に滅びるまで、この戦争は止まらない!!

何人たりとも、この流れを止められない!!止めさせない!!
この衝動を抑えつける事なんて出来るわけがない!!
下手に止めてしまったら衝動に塗りつぶされる…そうなると、私の心は…魂は狂ってしまい、何をするのかわからないもん…
…たとえ死んでしまったとしてもね


肉体の崩壊、死という概念、それすらも超越してみせる、実験はしていないが、理論は出来ているし…
魂を移す為の協力者もいる、彼が私の傍に居る限り、終わらない。肉体の痛みくらい何度でも耐えて見せる…


まぁ、冷静に考えて薬と毒の担い手であるお母さんがいるから。麻酔なんてお手の物、肉体の痛み程度であれば、何とかなると思う。
激情渦巻く感情の渦をこうやって、適度に向き合い、適度にいなし、適度に向き合わないと腸が捻じ切れそうになるほどに痛くなっちゃうときがあるから向き合っている。
ふぅっと、激情の感情が焦がしていった熱い吐息を吐き出しながら、外からはいってくる冷たい空気を肺に注ぐために、窓に近づき、ついつい空を見上げたくなってしまう、窓から天空を眺める。

星は煌めき、中央に大きな月が私を照らしてくれる。月の裏側に魂の世界があるのだとしたら、天空に煌めく輝きは月の裏側へ向かう為に旅立った魂に見えてくる。
その一つ一つの煌めきが、あいつらに奪われた命だと、感じてしまう。清廉な輝きが真っ暗な輝きに見えてしまう。
ギシリと口の中から削る様な音が聞こえる。自然と奥歯に力を込めてしまっている。いけないいけない、歯がかけちゃうじゃん。

すぅはぁっと、深呼吸をして心を落ち着かせる。
真っ暗な空に浮かぶ、半月が囁いてくれる、世界を救えと、囁いてくれる。見ててね始祖様。

貴方がやり残したこと、ちゃんと、貴方の巫女が終わらせてあげるから…
その代わり、粛清だけは勘弁してね?…だって、これからやることってどう考えても…
用意した数々の兵器や兵装、死の大地は本当に死の大地へと変貌するだろうね。大地を穢した罪で裁かれても致し方ない。

だとしても、構うものか…何百年経った後に悪と罵られようが知ったことか。
元より死の大地なぞ、人が住む大地じゃない。何百年と本当の意味での生きとし生けるものが住めない大地になろうが知ったことか…滅びてしまえ…

ギリギリと口の中から、削られていく音が自然と奏でられていると、コンコンっと、冷静になりなさいと落ち着きなさいと宥められる様な音が聞こえてくるように感じてしまうドアを叩く音が聞こえる、夜中に私の部屋にノックしてくる人は限られているし、規則正しく丁寧な叩き方をするのは一人だけ。
ドアに向かって声を出すと
「入ってきてもいいよ、メイドちゃん」
声に反応する様にキィィっと小さな音を出しながらゆっくりと開かれていき、芳しくない表情が見える。
「あの、姫様…」
表情をみて、伝えたいことが分かる。あのボンクラ…ほんっと、情けない。あんなのを生かす価値はあったのだろうか?
「はぁ…ったく、あいつは何なの?どうして、ここまで、役に立たないの?情けない男…」
メイドちゃんが何も言わなくても表情だけでわかるっての…殺しておけばよかったっという言葉は口に出さないでおこう
「そうですね、私もそれには同感です」
きっちりとドアを閉めてから批判する言葉を滑らせていく辺り、誰にも聞かれない様にしっかりと警戒を怠らないのは貴女の良い所だよ。
どの立場であろうと、表立って王に対して堂々と批判するような言葉を述べてしまってはね~、不敬罪で断罪されるからね~、
っま、あの情けない男が私の関係者を断罪するようなこと出来るわけがないだろうけどね!

情けない男が決断を、何日引き延ばしているのか、取り合えず聞いてみよう、どうせ、何一つ決めれて無いと思うけどなぁ…
「それでさ~、情けない男は、後~…何日、欲しいって?ってか、答えはでたの?」
答えなんてわかり切っているけれども、つい、地面をタシタシとつま先で叩いてしまう。
情けない男の判断力の低さ、決断力のなさによって幾度となく引き延ばされているせいで、どうしても苛立ちが湧き上がってしまうが、それをメイドちゃんに向けるのは違う。
懸命に、湧き上がる殺気が溢れ出て殺気や殺意に敏感なメイドちゃんに嗅がれないように抑えつける。
メイドちゃんは今後の作戦にとって要となってもらうからね、絶対に必要な人だもの大事にしないとね~、それにさ、情けない男との橋渡しを何度も何度も行ってもらっているからね、私が直接出向くと反骨精神なのかどうかわかんないけど、歯向かってくるからうっとおしいったら仕方がない!なので、会わないようにしてる。

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